いろは「"人を助ける"って、楽じゃないよ】   作:一時キリカ

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「注意事項です。この小説では、二人の視点を交代して話を進む事が頻繁に起こります」

「タグにもあるけど、片方はオリキャラで別作品と強く関わるよ。ちなみに、今からSeason2ね!」

「原作のマギアレコードと設定や物語を変えたり、キャラ崩壊も有り得るので注意してくださいね? それでは、マギアレコード始まります!!」






Episode13【Birds of a Feather / 似た者同士】

 

 

 

「はぁぁぁぁあああああああっっ!!」

 

《フンッ!》

 

バキィッ!!

 

ジジジッッ....

 

「そこっ!!」

 

バシュンッ!

 

「がぁっ!!」

 

 

紫百合の力を限定的に纏ったいろは、対するはリターナーの"エミヤ"と魔法少女の"かずみ"が戦っている。いろはが振るう骨と彼岸花の片手直剣に、エミヤが愛用する干将・莫耶を投影される度に叩き割っていた。並み魔法少女が身体強化しても、サーヴァントとしての能力を引き継いだエミヤは負けることは無いだろう。

 

それでも紫百合の基本ステータスの大半は、エミヤを上回っており、かずみと互いに援護射撃することで補っていた。最も厄介な能力を十全に振るう紫百合ならともかく、自身を必死に抑えようとしているいろはなら負ける要素は無い。

 

 

「((抑えなきゃ... 抑えなきゃ...))はぁ...! はぁ...!!

 

 

《同化は出来ても、力までは操れないか....このままでは、君がリターナーに意識を塗りつぶされるだろう。解除することオススメするよ》

 

 

「そんなの....知らない...!!」

 

出来るのなら、既にやってる。でも、エミヤさんが言ってた通り"意識が遠のく"感覚はあった。どれだけ光を追いかけても、背後から真っ暗な世界が直ぐそばまで迫って来る。

 

 

《それは不可解だな、ここ最近聞く"マギウス狩り"も君の仕業だろう? 相手の固有魔法までも使いこなし、その力でマギウスに関わる者を無惨な姿に変えた"黒い悪魔"...偶然にも紫百合は、"魔法少女の固有魔法を奪い、自身の力に加える"その側面を持つのだがね》

 

「待って! アレは....」

 

バシュンッ!

 

「言い訳でもするの? それとも...."自分のせいじゃない"って、開き直るの?」

 

「違う..そんなつもりじゃ....」

 

 

アレが起きたのは紫百合さんの暴走だと、ユネスさんから聞いていた。でも、同時に私の"私怨"があったんじゃないかって...

 

 

《取り敢えずは、"マギウスの仲間ではない"ことは理解した》

 

「それなら...!!」

 

《―――とはいえ、身内を好き勝手に使っていたのは弁明の余地もない。"君が大人しく紫百合を返して貰う"か、"くだらない意地を張って自己消滅"するかの二択だ》

 

「私...解除する方法なんて....知らない」

 

《フンッ、話にならん》

 

ジャキッ!

 

怒りを抑えながらも、二刀を構える彼からは嫌でも殺気を感じ取れた。こうなってしまった以上、もう誰も止められない....

 

 

《仕留めるぞ、かずみ。こんなつまらない戦いに、時間を割くのは我慢ならん》

 

「分かった。でも...."殺さない"ようにね」

 

《善処できれば良いのだがね》

 

クラッ

 

「あっ....」

 

 

さっきよりも強い目眩に、足がふらついた。もう今の自分には、戦う気力なんて残っていない。あるのは....

 

 

―――ちゃぁぁああああああああっっっ!!!

 

《ちぃっ..新手か... 避けろ、かずみ!!》

 

「うん!」

 

 

ボォウッッ!!

 

 

「いろはちゃん、大丈夫?」

 

「つる..の...ちゃん...?」

 

「色々聞きたいことあるけど、まずは目の前の二人を倒すまで待ってて!」

 

《こっちは仲間を取り返しに来ただけだ、人を悪者扱いするのは納得がいかないのだがね?》

 

「知らないよ.... 私はいろはちゃんを助けるって、やちよに約束したんだからっ!!」

 

《いいだろう、私が君の相手をしよう。そっちは頼んだ》

 

「いろはちゃん....だっけ? 覚悟は....もう出来てるよね」

 

「何言ってるの、どっちも私が....!!」

 

ドガッ!

 

突如鶴乃は腹部に激痛が走り、背後の鳥居へとくい込むように吹き飛ばされてしまう。一瞬の速さに、彼女は対応できなかった。

 

鶴乃が自分の元居た場所を見やると、いつの間にか移動した男が足を突き出していた事から、その者に蹴り飛ばされたことをようやく認知する。

 

 

《この体たらくで、二人を相手できると? そんな慢心を持つようなら、そのまま慢心に溺れて溺死しろ》

 

「鶴乃ちゃん...!!」

 

「ぃっ...!! こんなの...平気だよ...いろはちゃんの方が、痛そうだもん....」

 

「私...ケガなんて....」

 

確かに私も戦っていたけど、傷は大したものじゃない。むしろこの短時間で誰が見ても私より傷を負っている、

鶴乃ちゃんの方が心配だよ....

 

 

「怪我なんかじゃない...."心"が痛がってるもん」

 

「ここ...ろ...」

 

「だから、私が戦うんだ。戦えない、いろはちゃんの分も....!!」ダッ!

 

《正面から? 冗談もよしてくれ、それでは"狙ってくれ"と言ってるようなものだ》

 

赤原猟犬(フルンディング)

 

 

エミヤが新たに赤い剣を投影し、そこから矢のように鋭く、細くして弓にセットする。真正面から迫る鶴乃に向けて放たれる。

 

シュッ!

 

「うっ...掠ったくらいなら!」

 

 

 

《匂いは覚えたな? "行け"》

 

グイッ!

 

ビュンッ!

 

「あぅ"ッッ!?」

 

「鶴乃ちゃん!? 何で矢が...」

 

「"赤原猟犬(フルンディング)"...北欧の英雄"ベオウルフ"が使っていた魔剣。血の匂いを嗅ぎつけ、ただ振り回すだけで最適格な斬撃を打ち込めるのを"矢"にしたんだってさ。

あの剣に血を吸わせちゃうと匂いを覚えて、弾かれてもまた追ってくるよ」

 

「そんな...!?」

 

どれだけ離れて隠れようが、All range attack(破壊しない限り追い続ける矢)だ。それも一本だけでも厄介極まりないのに、それを"複製できる"のにも関わらず一本で済ませている...

 

 

「いいの、あの子を助けなくて? あのままだと、魔法少女として戦えなくなるよ」

 

((いいわけない!! お願いします紫百合さん、今だけは...))

 

グッ....

 

 

再び自分の魂に火を灯し、僅かながらも意識を取り戻すいろは。しかし...いくら足掻こうと、動く気配のない自身の体に苛立った。

 

 

「どうして!? 動いてよ!! 私はどうなってもいい、鶴乃ちゃんだけでも...!!」

 

「....それじゃあ、紫百合を動かせないよ」

 

「知ってるの....?」

 

 

ただ首を縦に振り、少女は再び語る。

 

 

「紫百合には2つの側面があるの、"魔女の側面"と"魔法少女としての側面"が....今のいろはちゃんは、まだ"魔女の側面"。紫百合の本能に主導権があって、あなたはその"器"」

 

「どうすれば...良いの...」

 

「少しだけでもいい、"紫百合を理解して"」

 

「理解....する....」

 

クラッ...

 

目の前が真っ暗になる、Time Over(時間切れ)だ。いくら魂に火を灯そうが、現実はそれさえも呑み込む。

 

暗闇に落ちる。

 

落ちる

 

オチル...

 

オチル....

 

 

私の魂は、底のない闇へ落ちていった。それは、どうしようもない事実に思えた。拓未さん風に言えば、"ここでGAME OVER(打ち止め)"なんだって。

 

 

「わたしは...まだ....」

 

 

凄まじい後悔の念が溢れ、自分の顔を塞いで涙する。それも無意味だ、こうなったら誰も助けることも、助けられることもないのだから。

 

 

〈嘘よね...こんなの悪い悪夢よ...〉

 

〈他の姉妹は食べてもいい!! だから私は...!!〉

 

〈いやぁぁぁあああ!! 死にたくないっ!! 私はまだっ...〉

 

〈やだぁぁぁああああああっっ、助けてぇぇえええええっっっ!!〉

 

 

「お姉ちゃん...?」

 

数々の断末魔に、いろはは誰の声なのかを言い当てた。決して存在しない筈の記憶、そして....

 

 

『――珍しいのが来たわね』

 

拓未さんの記憶で見た"ほむらさん"が、ベンチに座っていた。どうしてこの人を見ると、ういのような愛おしい気持ちに....

 

 

『ここは"39"の記憶、今のアナタが抱く感情も彼女から来るものよ』

 

「39ちゃんの....」

 

『39はこの時の記憶を今でも後悔し、同時に運命を変える瞬間だった。ほら、あそこを見なさい』

 

 

私は彼女の指差す方向を見ると、誰かが小さいダクトに入っていった。もしかして....

 

 

『そうよ。今まで見てきたのは、一時 拓未の記憶じゃない。39と....私達、"Defecters(欠陥少女)"の記憶よ』

 

「ディフェクターズ...? それって.....」

 

『貴方の想像通りよ』

 

そう、彼女達は"作られた命"だ。魔法や魔術なんかじゃない、純粋な科学で複製されたクローン人間。そう気付いたら、自分と同じ人間がそんなおぞましい事をしたことに、そして彼女たちに使い魔を襲わせた純粋悪の塊に吐き気を催す。

 

 

『残念だけど、ここでは吐くことも飲食さえもできないわよ。気を紛らすのに、トランプがあれば良いのにね...』

 

「だ、大丈夫です...!! 私は....」

 

『無理をしないで、そういった人から壊れるのよ』

 

「......」

 

『これで、私達のことを知ったわね。次は、39を知りなさい』

 

「7さん....あなたはどうするんですか?」

 

『決まってる、他の妹達が癒えるまで見守るのよ』

 

 

そう告げると、周りは再び断末魔が溢れ返る。手作りの家には彼女達の返り血と、使い魔に燃やされた只々"赤い風景"が繰り返していた。

 

 

「こんなのを、今まで...!?」

 

『これでも減った方よ? それに同情なら、妹達にしてあげて。私は同情される必要なんてないもの

 

7が振り返って、私に再び顔を見せる。それは先程と違い、目の下にクマが出来ていた。彼女は裂けるように、引きつった笑顔で口を動かす。

 

 

『ここに居れば、拓未が私を慰めてくれる...私を愛してくれる、そんな特権を手放したくないもの...!!』

 

「7...さん...あなたは....!?」

 

『"魔女(ウィッチ)"みたいでしょ?私だって彼に会う前から、とうに壊れているわ。 今の貴方では、とてもとても理解出来ないでしょうね!!』

 

アハハハハハハハハ!!

 

 

7は気が狂ったように笑い、自分から血に染まった池に飛び込む。おぞましくも、"(うらやま)しく"感じる自分の感性に疑った。このまま居ればきっと、自分も同じような末路を辿るのに....

 

 

「そっか....私も...」

 

『まだダメよ』

 

「え?」

 

『まだアナタは来てはダメ、まだ引き返せるのよ?』

 

 

瞬間、また落ちていく感覚に陥る。足場があったはずなのに、暗い海の底に沈むように、そして自分を上から覗き込む魔女が見守っていた。

 

 

『ア....タは...』

 

 

――――もう何も聞こえない

 

 

 

 

 

どれだけの時間が....いや、一瞬なのかもしれない。もう日の光さえも思い出せない中で、自分は何かに生まれ変わったようだった。

 

 

「.....わたしは」

 

 

心を眠らせてしまいたい。

自分の使命なんて忘れてしまいたい。

 

永遠にこのままだと思う不安から、目を背けて壊れてしまえば良い。

 

 

 

....けど

 

 

((なんだろう....なにか....))

 

 

気のせいかもしれない、

 

希望に諦めず、心が惑わす幻覚かもしれない。

 

 

――――――――!

 

((この...こえ....))

 

 

その声は、遥か遠くから....

 

流星のように(いのち)を燃やしながら、それでも輝きながら加速する。

 

 

――――――(わたし)を見ろ。

 

――――――手を伸ばせ。

 

――――――ただ一言、■■を呼べと。

 

 

「....ぇ..」

 

 

もう長く動かなくなっていた身体に、熱を入れるように叩き起こす。

 

まだ声が出ないし、手があるのかさえ疑わしい。

 

やっぱり"幻聴"だと、心を閉ざしたくなる。

 

 

((なのに....))

 

 

――――諦めるなっ!!

 

 

光輝くその身を削ってまで、暗闇を切り裂く流星が私を追いかける.....微かに見えたのは、龍の"瞳"が力強く私を見つめていた。

 

 

――――あと一歩、あと一手が足りない...!!

 

―――――――最善は尽くした、後は....

 

 

輝く龍星(りゅうせい)から、自分の知るあの姿で現れた。

 

それはまるで....

 

 

The rest is left to you(後は任せた)、いろは!! 手が動かないのなら、舌でも伸ばしてくれ!』

 

((あぁ...!!))

 

 

彼の声を聞くと、今まで空洞だった心の穴が満たされていく....自然と忘れていた涙も、頬を伝って(そら)へと溢れる落ちる。

 

 

『いろは、忘れたのかい? 帰ったら、一緒にパフェを食べようって!! そんな約束をしたのに忘れた、キミのPartner(相棒)の名前は誰だ!?』

 

 

その光を知っている。

その声だって知っている。

 

私は手を伸ばし、ゆっくりと口を動かした。

 

 

《「....助けて...拓未...さん...ッ!!」》

 

 

『あぁ....ヒーローはいつだって助けに来る!!』

 

 

誰かの声が重なり合う、きっとその声の持ち主も同じ状況だろう。伸ばした手は、別の熱に掴まる。

 

 

カッ!

 

 

「拓未さん...!!」

 

『久しぶりだね、紫百合、いろはちゃん』

 

《全くよ、このバカっ!!》

 

私は拓未さんがもう片方の手で掴む、その方へと見る。そこには7さんに似ているが....どことなく幼く、そして拓未さんのように魂が輝いていた。

 

 

「39...さん...?」

 

《紫百合で良いわよ、いろは》

 

『こんな時に言うのもなんだけど....私はまだ帰れそうにないんだよね〜』

 

「《はぁ?》」

 

『仕方ないでしょ!? チートとはいえ、ちょっとの間しか居られないんだよ!! 助けに来ただけでも、及第点くらいは良いんじゃないの!!?』

 

 

私は紫百合さんと互いに視線を合わせ、口を揃えて言う。

 

 

「《ダメ! 帰って来るまで、点数なんかあげないから!!》」

 

『....そっか、待っててね"二人"とも』

 

 

 

 

 

−−−−−−−−−−――――――−−−−−−−ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「..ま...だ......」

 

《そろそろ諦めたまえ。この状況がどれだけ絶望的なのか、分からぬほど馬鹿ではあるまい》

 

「....ま..もる..ん..だ..みん...な..を.....」

 

《―――そうか、もう》

 

若かりし自分を見るように、少女を見つめた。自分を掴んでいた手をゆっくり解くと、鶴乃は力が尽きたかのように眠りにつく。エミヤは先程とは打って変わって、鶴乃に負担がかからないよう優しく抱き上げる。

 

 

《悪役を買って出ても...骨折り損のくたびれ儲け、か》

 

「ううん、違うよ」

 

《これは....!》

 

 

「スゥ.....ぅ......」

 

 

鶴乃のように眠りについているいろはの手には、一輪に彼岸花を持った少女が描かれた銀色のカードが握られていた.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今回の話で、39ちゃんこと紫百合についてヒントが出ましたね。これはまだまだ氷山の一角ですし、主人公がドン引くくらいの過去持ちだったりする

....のは、元からだったね。

うん(拓未も人のこと言えないよ)
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