ポケットモンスター・パールストーリー   作:ましゅ

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第44話   マキシマム仮面

「いけブイゼルども! みずでっぽうだ!」

 

 ギャラドスを取り囲んだブイゼル達による、水鉄砲の一斉射撃。

 小柄なブイゼル達だが、開いた口から発射する水鉄砲は、離れた場所から見ても迫力があるほどの水量と圧がある。

 頬に、側頭部に、体に強い水鉄砲を受けたギャラドスも怯みかけるが、ぎらっと目を光らせて方々のブイゼル達を睨み返す。

 さらに長い体を振るうと、尾の大きな一振りでブイゼル達を纏めて振り払ってしまうのだ。こちらの方が大迫力の攻撃だ。

 べちべちべちっと尾びれで叩き飛ばされたブイゼル達は、ころんころんと浜辺を転がり、一匹に至っては海の仲間で転がっていく。

 

「ちいっ! やはりブイゼルどもじゃ相手にならんか!

 ならば俺様が相手だ! かかってこい!」

「――――z!」

 

「え、マジで?」

「うそでしょ?」

 

 戦う構えを見せたマキシマム仮面に、唸り声ひとつ上げてギャラドスが突っ込んでいく。

 いやいや、まさか避けるでしょと思っていたパールとプラチナだったが、なんとマキシマム仮面は両手を突き出し、ギャラドスの顔面体当たりを受け止めた。

 もちろんギャラドスも手加減しているはずなのだが。

 とはいえ両者の激突の瞬間は、マキシマム仮面の突き出した両掌と額がギャラドスの額にぶつかり、ばづんと大きく響く鈍い音が鳴ったものだ。

 生半可な衝突じゃない。これがマキシマム仮面の一番の見せ場、ポケモンの攻撃を受け止めるという肉体パフォーマンス。

 恐らく見慣れているのであろう、常連観客からは大人からも子供からも歓声が上がるが、初見のパールとプラチナにしてみれば驚愕ものであろう。

 

「ぬぐぐぐぐ……海の神めぇ……!」

「――――z!」

「どわあっ!?」

 

 額を押し付け合った状態から、ぐいっと力をもう一押ししたギャラドスにより、マキシマム仮面は大袈裟に吹っ飛ばされる。

 恐らく自分で後方に跳んでいるのだろう。豪快なやられっぷり。

 ごろんごろんと情けなく後転して砂浜に倒れ、砂まみれの体で一度立ち上がる。

 

「ひええええ、すまねえ、悪かった!

 やっぱりお前には敵わねぇや! 今日はもう勘弁だ!」

 

 おや一転、マキシマム仮面ときたら跪いて両手を合わせてすりすり。

 大きな声で情けなく命乞い。大の大人がなんてみっともない。

 ギャラドスも訝しげな顔を作りつつ、ずいずいっと身を前に進めてマキシマム仮面を睨みつける。

 

「もう俺は心を入れ替えた! 二度と悪さはしねぇからよ!

 今日のところはもう許してくれ! なっ、なっ?」

 

「うそだー!」

「だまされるなー! マキシマム仮面はうそつきだぞー!」

 

 常連客の子供達から、たいそう容赦ない野次が飛んでいる。大人達もくすくす。

 何かしら"いつもの展開"なのだろう。初見のパールとプラチナに対しては、半分近くネタバレ著しい。

 しかしギャラドスさん、そういう子供達の声は聞こえないふりをして、怪しむような顔こそしつつマキシマム仮面ににじり寄る。とても不用意。

 

「……な~んて、な♪」

 

「!?」

 

 急にぺろっと舌を出して笑うマキシマム仮面。

 それを合図とするかのように、ギャラドス後方の砂の下から一匹のフローゼルが現れ、その両腕でギャラドスの尾を抱き込む。

 そのままなんとギャラドスの巨体を、一本背負いの要領で砂浜の上に投げつけてしまう。

 これには効いたといわんばかりに、ギャラドスも砂浜の上に寝そべってげほっと咳を吐く。

 

「ガハハハ、よくやったぞフローゼル!

 流石は俺様の切り札、マキシマム軍団の幹部筆頭だな!」

 

「ひきょうだぞ~! マキシマム仮面~!」

「せいせいどうどうとたたかえ~!」

 

「あぁ~ん? 勝てばいいのよ勝てば!

 お子様は黙ってろ~い!」

 

 子供達は非常に純真だ。わかっている子もわかっていない幼い子も、マキシマム仮面の卑怯な戦法に全力のブーイング。

 対するマキシマム仮面は、そんな子供達に向けてべろべろば~。大人げない。

 徹頭徹尾、悪役だ。パール達から見れば愛嬌のあるおっちゃんにしか見えなくてしょうがないのだが。

 

「さあフローゼル! 痛めつけてやれ!」

「――――z!」

 

 フローゼルが吠え、配下のブイゼルにしっかりしろと命じるようにすれば、背中を丸めておとなしく待っていたブイゼル達も活気を取り戻す。

 顔を上げて立て直そうとしていたギャラドスの頭の上に、フローゼルが飛びついて踏みつけ、再び顎から浜に落とされるギャラドス。

 ブイゼル達も三匹で群がってきて、水圧の強い水鉄砲をギャラドスの顔に放ったり、浜に横たわった体に体当たりしたりする。

 

「わわ、これは結構えげつないな。

 多分パフォーマンスなんだろうけど、迫真のいじめっぷり……」

 

「ちょ、ちょっとやり過ぎなんじゃないの……

 ギャラドスさん、すごく痛そうだよ……?」

 

「あ、ダマされてる。

 本気でダマされてるな、あれは……」

 

 ダマすと言うと人聞きが悪いが、フローゼルとブイゼル達に袋叩きにされるギャラドスがリアクション上手なのだ。

 体当たりされたボディを逃げるようにくねらせ、水鉄砲を浴びせられたら苦しそうな声をあげ、再び頭を跳んで踏みつけられて黙る。

 なんとか立ち上がろうとする、というか体勢を整えようとするが、執拗に全身を打ち据えるフローゼルとブイゼル達に阻まれていたぶられるだけ。

 いくら巨体のギャラドスとはいえ、これはちょっと可哀想な光景である。

 これが恐らく筋書き通りと理解しつつも、なかなか見ていて気分の良くないリンチを演出するんだなと、プラチナだって思うほど。

 

「がっ、頑張れ~! ギャラドス~!」

 

「お、おぉ?」

「入り込んでるなぁ……」

 

 あまりにあまりなので、パールときたら大きな声でギャラドスを大声で応援する声。しかもまあまあ切実。

 絶対パフォーマンスの一環だと、プラチナぐらいの年頃の男の子にもわかるのだが、パールはわかっているんだかわかっていないんだか。

 ともかくだが、あんな風にギャラドスがやられっぱなしの光景に耐えかねての声援には違いない。声はとりあえず本気である。

 

「負けちゃ駄目だよ~! 海の神様なんでしょう!?」

 

「がんばれ~、ギャラドス~!」

「マキシマム仮面なんかにまけるな~!」

 

「ま、マジか? マジなのか?

 純真な子だな……」

 

 演技とは思えない、いや恐らく演技でもないパールの声に触発されて、観客側の男の子女の子からギャラドスを応援する声が続いてしまった。

 これにはショーの演者、兼プロデューサーのマキシマム仮面の方が戸惑うぐらいである。

 本来ならば、もっとギャラドスをいたぶる展開を続けて、さぁとどめだという場面で、この展開に持っていくつもりだったのだが。

 そこまでやれば、怖い顔のギャラドスにさえ子供達が声援を贈ってくれるはずだという構成だったのに、思ったよりも子供達の反応が早過ぎる。

 

「こわいかおだけど、まけるな~!

 うみのかみさま~!」

「ひきょうなマキシマム仮面をたおせ~!

 まけるなぁ~!」

 

 根本的な話、子供って、単純という言葉で揶揄しては無粋なほど純真だ。

 ヒーローショーで、追い詰められたヒーローに、細かいこと一切無しの本気の声援を贈る子供達の姿を思い浮かべればわかりやすいだろう。

 どんなに子供目線で怖い顔のギャラドスでも、あんな風に悪者にいじめられる姿を見ていると、頑張れって応援してくれる。

 手玉に取りやすい客なのだろうか。いや、間違った現実にそんなの駄目だと本気で訴えるその声は、斜に構えた大人の屁理屈など通用しない迫真がある。

 実のところ、いじめられる怖い顔のギャラドスに、こうして声援を贈ってくれる子供達の姿こそ、マキシマム仮面こそ胸が熱くなるぐらいだ。

 

 予定どおり、あとしばらくはフローゼル達にギャラドスをいたぶらせる展開を続けさせるか。

 いや、こんなに観客が熱くなってくれている空気の中、早くみんなが喜んでくれる空気に持っていかなければ。

 その辺りはマキシマム仮面も敏感である。ひっそり、客に隠した腰元の拳を軽く震わせ、ギャラドスに逆転の流れに移れと指示している。

 この時、観客側の子供達の盛り上がりを見て、このままいじめ続けていいの? と思って少し攻め手が弱まっているフローゼルやブイゼル達も。

 どうしましょうご主人、とばかりにマキシマム仮面の方を(それも客にはわからない角度で)見て、どうすべきか指示を待っているギャラドス。

 結構みんなわかっている。ポケモン達とてショーマンのご様子。

 

「――――z!」

「うおっ!? フローゼル!?」

 

 子供達の声援を受けて奮起したギャラドスが、頭を振り上げフローゼルを吹き飛ばし、体を振り回してブイゼル達を振り払う。

 最初に突き飛ばされたマキシマム仮面と同じく、やられ役だとわかっているブイゼル達はこんころりんと弱そうに吹っ飛ばされていく。

 立ち上がりはするものの、海の神の怒りに恐れをなしたように、ひええと背を向けて逃げていくのみ。弱い末端戦闘員の姿を絵に描いたように。

 一方でフローゼルは、吹っ飛ばされながらもしゅたっと宙返りして着地。流石は悪の組織の幹部的というか、そう簡単にはやられてくれない。

 

「はっ、やるじゃねえか!

 だが俺のフローゼルにそんな傷付いた体で敵うつもりでいるのかよ!?」

「――――z!」

「よぉーし、やってやるよ!

 フローゼル! ブチのめしてやれ!」

 

 悪役言葉遣いのマキシマム仮面だが、それは要するに自分のギャラドスとフローゼルに、決戦ファイトを演じてやれという宣言。

 となれば、ギャラドスもフローゼルも終盤の熱戦を演じろという指示と受け、あとはがつがつやり合うだけ。

 わかってるな? おぅ行くぞ? という眼差しを交わし合ったギャラドスとフローゼルが、前倒しながら最終的な勝敗だけ決めた戦いを始めていくのみ。

 

 始まってしまえば、両者の戦いときたら派手なもの派手なもの。

 フローゼルの、ブイゼル達とは桁が違う迫力のみずでっぽう。ギャラドスもそれを躱し、同様にみずでっぽうを返したりして。

 どちらも強く育てられているから、たかがみずでっぽうでも迫力がある。子供目線では、あれハイドロポンプなんじゃないのって思うぐらい。

 なかなか決定打を与えられない両者同士、"アクアジェット"と"アクアテール"のぶつけ合いの肉弾戦になっていったりもして。

 お互い適度に躱しつつ……ではなく、殆どの技をがっつり受け合いながらの攻防戦だ。

 痛いはず。でも根性で踏ん張っている。ひらひら避け合い、ばちばち技をぶつけ合う攻防を避けてでは、子供達にはつまらないだろうという信念あってのこと。

 我慢してでもぶつかり合う自分達のファイトが、客を熱くさせるものだと信じられるからこそ、痛みに耐えるギャラドスとフローゼルのプロ意識が成り立つ。

 

「ぬうう、"アクアテール"か……!

 なにっ!? "りゅうのいかり"だと!?」

 

「がんばれ~! ギャラドス~!」

「まけるな~! マキシマム仮面をやっつけろ~!」

 

 演者側ながら観客にもわかるよう、ギャラドスがやっている技を中心に解説発言を発するマキシマム仮面。

 押しも押されぬ攻防をやれば、子供達も熱くなってくれる。一生懸命、ギャラドスに勝て勝てと応援してくれる。演者冥利に尽きるというものだ。

 脚本を作っているのは自分達だが、やはりああして心から熱くなってくれる子供達がいてこそ、やり甲斐があると感じられる瞬間である。

 

「頑張れギャラドスさん~!

 負けちゃ駄目だよ、みんな応援してるんだよ~!」

 

「パールぅ……」

「なんかすげぇなあの子……」

 

 7歳以下の子供達と同じぐらい、熱くなっちゃってギャラドスに声援を贈っている女の子の存在が、マキシマム仮面やプラチナ目線では浮きまくり。

 結果的に攫われたヒロイン役なので、あの立場からギャラドスを応援してくれるのは、シナリオ的にもマキシマム仮面にとってはありがたいのだが。

 どうあれ彼女の切実な声をきっかけに、客は盛り上がってくれるので。

 

 しかしそれにしても、パールに目を奪われずギャラドスとフローゼルの激戦に目を向ければ、プラチナから見ても唸らされる衝突である。

 素早いフローゼルのいっそうの速度を乗せた"アクアジェット"は、巨躯のギャラドスのボディに小柄をぶつけても苦しめるほど。

 尻尾を振り抜くギャラドスのアクアテールや、頭を伸ばしての噛みつく攻撃をフローゼルは躱すが、続くギャラドスの水鉄砲は約束通り受ける。

 徹頭徹尾フローゼルの技を受けるのはギャラドスの側で、フローゼルはその素早さを活かしてある程度攻撃を躱しつつ、きちんと最後は攻撃を受ける。

 恐らくそのように決まり事あってのものだろうとはプラチナにもわかるが、見方を変えるとどちらも非常にタフで打たれ強い。

 水ポケモン同士、お互い効果いまひとつの技を受けている事情はあるとはいえ、元々フローゼルもギャラドスも攻撃力自慢のポケモンであるはずだ。

 何発も何発も技を受け合えば、流石にそろそろどちらか力尽きそうなものなのに、ショーにして両者息を切らしての消耗戦。

 そこにはさながら、明日の大舞台に勝つために熾烈極まりないトレーニングに励むかのような、迫真の表情で根性比べに挑むポケモン同士の姿がある。

 真剣勝負とは全く異なる趣とて、これはこれで見るものをぐいと惹き付ける熱戦だ。

 

 しかし、やはりこの場面ではギャラドスに勝って貰わねば。

 程よいところで目で通じ合わせたギャラドスとフローゼルは、一度ギャラドスがアクアテールでフローゼルを叩き飛ばす。

 砂浜を転がりつつ立ち上がるフローゼルだが、ギャラドスは口元にエネルギーを集める仕草を見せ、決め技の構えに入る。

 わざわざ上を向いて、エネルギーの吸収、集中を見えやすくする辺りは、客向け意識の表れか。

 

「ぬううぅ……!

 これまでか! フローゼル! 撤退だ!」

 

 ヒーローの必殺技発動の前兆を目の当たりにすると悪役は絶体絶命。

 フローゼルと共に海の方へと逃げ出すマキシマム仮面だが、ギャラドスさんは逃がしません。

 ここまでやっといて逃げるな、とばかりに、悪役連中を成敗する"りゅうのいかり"を発射である。

 "はかいこうせん"ではなかった。当てたら大怪我しちゃうし。

 狙いはマキシマム仮面とフローゼルのちょっと後ろで、砂浜に着弾させてドッカーンである。

 

「ぎょえ~っ!? 覚えてろ~!」

 

 自分達で跳びつつも爆風に押され、沖の方までけっこう豪快に吹っ飛ばされていくマキシマム仮面とフローゼル。

 わざわざ大の字で無様っぽく吹っ飛ばされていきつつ、マキシマム仮面は着水の瞬間、飛び込み体勢で手と頭から突っ込み安全な体勢を作っていた。慣れ過ぎ。

 親分まって~、とばかりに、ブイゼル三兄弟も海の方へと逃げていく。

 同時に観客から拍手が上がったので、これでショーは終わりということだろう。

 司会による締め括りなどのないショーだが、マキシマム仮面が悪役の場合、先述のセリフを言えば終了、と地元の人達には定着しているようである。

 

「ギャラドスさんっ!」

 

 さて、あとはギャラドスも海の方へと帰っていき、海に身を沈めてから顔だけ出し、観客に感謝の笑顔を向けるつもりだったのだが。

 パールが駆け寄ってくるのでギャラドスも戸惑う。脚本に無いことを客がやってくると演者は動揺しちゃう。

 

「かっこよかったですよ!

 守ってくれてありがとうございますっ!」

 

 前半は見たままの感想そのまま、後半は自分が攫われた立場にあったことも意識しての言葉。

 後半の台詞などを鑑みるに、本当に劇に入り込み過ぎである。

 そのままヒーローに抱きつくようにぎゅっとしてくるパールには、ギャラドスもなんだか照れ臭く、笑顔で頬を擦り寄せて返したものである。

 パール楽しそうだなぁとプラチナには感じる。なかなか出来ないであろう、いい思い出が出来てよかったね感。

 

「……お? おおっ?」

 

 海面から顔を出したマキシマム仮面は、足のつかない深い場所からざぶざぶ泳ぎながら、フローゼル達と一緒に浜の方へと帰っていく。

 そうして浜の光景を見れば、彼にとっては想定外の光景があった。

 子供達がギャラドスに群がって、大きなギャラドスがきょどきょどしているではないか。

 耳を澄ませば黄色い歓声、かっこよく活躍したギャラドスに触れて触って、きゃいきゃいはしゃぐ子供達の声。

 見た目は子供達にとって怖いとされがちのギャラドスだ。そんなギャラドスに子供達が、ヒーローと触れ合いたいとばかりに群がっているのである。

 この展開が一番予想外だったのは他ならぬギャラドスで、こんなに子供達に懐かれるのは初めてのギャラドスの、あわあわする表情がむしろ可愛い。

 あんまり動いちゃ駄目だ、でかい俺が下手に動いて子供を怪我させちゃ大変だ、と殆ど体を動かせず、頭だけ動かし慣れない愛想笑いを振り撒いている。

 

「……ガハハハ!

 こいつぁ、思った以上の大成功だな!

 なぁフローゼル! ブイゼル!」

 

 ちゃぷちゃぷマキシマム仮面のそばを泳いでいるフローゼルもブイゼルも、その言葉には非常に嬉しそうに笑った。

 あのギャラドス、身内同士では心優しく信頼を寄せる気立てでありながら、見た目で損をしてこの手のショーでは悪役を演じることも多かった身だ。

 そんなギャラドスがあんな風に、みんなに愛され戸惑う姿を見れば、フローゼル達も嬉しくなる。

 今回のショーは、出来れば最後そんな風に出来ればいいなというコンセプトで作られたものだったので、これは間違いなく大成功である。

 

 攫った女の子が、ショーの盛り上げに大きく貢献してくれたのも間違いないだろう。

 満足げにギャラドスの姿を眺めながら、ギャラドスに群がる子供達から一歩退き、あははと笑っているパールの姿にマキシマム仮面は小さく会釈しておいた。

 ショーマンは客を楽しませる立場。とりわけショーを盛り上げてくれるお客様は、まさしく演者にとっては神様だ。

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