ミオシティの沖合に鎮座する鋼鉄島。
鉱山として開発される前の自然状態の有り様は、ぺんぺん草も生えやしないほどの、硬い岩盤の塊のような島だったそうな。
海の上に浮かぶ岩山のようだとさえ言われたそれを、試しに掘って開拓してみれば、目も覚めるほど多量の鉱物が採掘できたという。
たちまち海上の鉱山として開発され、そこで採れた鉱物の数々はシンオウ地方全体にも出荷されたほど。
ミオシティで独り占めするには手に余るほど、沢山の鉱物が採れたということであろう。
鉄にせよ石炭にせよ、今ほど科学が発展していなかった時代にもたらされた資源は、シンオウ地方全体の産業を大いに発展させたと言っても過言ではない。
宝の山とも呼ばれた鋼鉄島が、鉱山として名高くなれば、採掘も加速される。
資源の宝庫であった鋼鉄島は、それでも長く人類に恵みをもたらしてくれたのだが、やはりいつかは鉱山だって空っぽになってしまう。
無限のものはこの世に無い。改めてそんな教訓を自然に教えられたミオの人々は、惜しむ想いを以って鋼鉄島を廃坑として見送った。
その日は長らく恵みをもたらしてくれた鋼鉄島、そして大自然そのものに対し、ミオシティのすべての大人が鋼鉄島に向けて最敬礼をしたという。
そんな光景を描かれた古き肖像画は、今もミオシティの大図書館で大きな額縁に収められて飾られる、ミオを語る上ではずせない歴史的遺産だそうな。
「フラッシュいらないね」
「そういうポケモンを連れてこなくても普通に歩けるようになってるから、多くの人が修行する場所として好むんだろうね」
さて、そうして鉱山としての役割を終えた鋼鉄島だが、ミオシティの人々は、長らく親しんだその島との縁切りをしたくはなかったようだ。
なんとか島と人の関わりが途切れぬよう、導き出された結論が、廃坑のインフラを継続し、トレーナー達の修行場所にしていこうというものだった。
決してタダではない基金を投入し、廃坑となった鋼鉄島の坑道には、常に灯りが設置されていたようである。
当時はランプ、技術の発展した最近においては、二年三年は長持ちする電灯。
つまり昔は、年に何度も交換しなければいけないランプを、決して安くない基金を工面してでも定期的に廃坑各地に設置していたということだ。
愛着ある鋼鉄島と袂を分かちたくないという、かつての人々の想いが連綿と繋がれた末に、今なお鋼鉄島は人類の隣人として歴史を歩んでいる。
そんなわけで、洞窟めいた廃坑に足を踏み入れたパール達だが、鋼鉄島の内部は外観から想像される以上に明るい。
地下深部に行けば行くほど暗くなるそうだが。それも、電灯の配置や明るさそのものを調整してのこと。
開発前の岩の塊でしかなかった鋼鉄島も、廃坑という名の洞窟的空間のある今や、野生のポケモンも多く棲みついている。
人が修行場所として足を運べて、かつ野生ポケモン達の棲みかとしても成立する、人類史により創造された人とポケモンの交わる地とさえ言えるかもしれない。
今や原住民となったポケモン達にも配慮して、洞窟内を照らす電灯の光の強さも気遣われているそうな。
人の都合であまり強く洞窟全体を照らし過ぎると、例えば野生のズバットやゴルバット辺りが目を痛めるそうなので。
そんなわけで、鋼鉄島はズバット系統のポケモン達にとって過ごしやすい環境だったりも。パールにとってはあまりいい話じゃなさそう。
「えーと、こっちがキャンプ地。
こっちが野生のポケモンも多くて修行場所に適してるエリア、かな」
「キャンプ地なんかもあるんだね。
野生のポケモンが寄って来ない休憩地点みたいなもの?」
「なんか特殊な機械や香草を使って、ここの野生ポケモン達が寄りつきたがらない場所みたいだね。
疲れたらそこで休憩すればいいんだってさ。
泊まり込みで修行したい人なんかは、そこで野宿したりもするみたい」
ポケッチにインストールした地図アプリを眺めながら、ナビゲートしてくれるプラチナである。
ちょっと普段より精力的さが一割増。
船に乗ってここに来る前、パールの幼馴染であるダイヤが、プラチナには出来ない形でパールを燃えさせたので、なんだかプラチナも少し燃えている。
どうしたってダイヤはパールにとって"特別な男の子"と見えるが、プラチナもどうやら、パールにとってのそういう存在でありたい模様。
頑張るパールを一番そばで支えられるのは自分だけ、そうなっていきたいし、そう思って貰えるようになっていきたいようだ。健気。
「もっと強くなっていこうって思うんだったら、なるべく下の方の階層に行った方がいいみたいだね。
野生のポケモンも多いみたいだし。
で、そういう所で修行する他のトレーナーさんもいるなら、多分それなりに実力者だよ。
ポケモンバトルさせて貰えれば、きっといい勉強になるんじゃないかな」
「なるほど……じゃ、行こう!
鋼鉄島のより深くへっ!」
「ズバットやゴルバットに遭遇する可能性も高まるよ?
大丈夫?」
「か、かかってこーいっ!
克服していく気マンマンだよ、私! むしろ来い来いっ!」
「いつまでその意気がもつかなぁ……」
「もたせるもん!
プラッチの中で私は根性なしなのかっ!? 頑張れるんだぞ、私だって!」
「わかった、わかったから。
ちゃんと格好ついてる姿、見せてよ?」
ここに訪れた目的は二つある。
一つはパールの、ポケモントレーナーとしての実力向上。
一つはパールの、ズバット嫌いを少しでも治していこうというもの。
特に後者の方が難題だ。パールにとっては、幼い頃に溺死しかけたきっかけを作ったトラウマが根源にあるので、一朝一夕で何とかなりそうなほど軽くない。
それでも本人は頑張るって言うんだから、プラチナも彼なりの全力エールとして、からかい気味にパールを煽っていく。
こうやって煽れば、むきになったパールは頑張ろうとする傾向にある。パールの扱い方をすっかりわかってきているプラチナであった。
今までだって一度や二度でなく、パールはコウモリポケモンに遭遇したら、ひたすら慌てて狼狽えて取り乱してきた。
それを見てきたプラチナは、パールを応援はするものの、なかなか難しいだろうなと思っている。
ほら、今だって前を歩くパールの一歩一歩は、いつズバットに遭遇するかを怖がるかのように歩幅が普段より小さい。
そんな後ろ姿を眺めるプラチナは、彼女をからかったりもする口ぶりとは裏腹、なんとか頑張ってねと強く心で望んでもいる。
時々プラチナを振り返り、いなくなってないよね、と、一人でズバットの生息する所を歩くなんて絶対嫌の精神を隠しきれないパール。
プラチナはその都度、微笑みかけて、頑張れという気持ちを彼女に伝えるのみだ。
修行に付き添う友達というよりも、なんだか保護者みたいな立ち位置である。
「ひゃひいっ!?!?
ぱっ、パッチ、お願いいぃぃ!!」
「う~ん、まあ……」
鋼鉄島に最も多く生息する野生ポケモンはゴローンと言われる。
パールの苦手な苦手なズバットやゴルバットの生息数は、それと比べればやや少ない方だ。
しかし、出てきてしまえばパールにとっては乾坤一擲の戦い。ノータイムでパッチを呼び出して撃退してもらう。
初期と比べればコウモリと遭遇した時のパールのリアクションも、随分ましになった方である。
旅する中で幾度かくぐり抜けてきたズバットの巣窟、そこで遭遇するたびに鍛えられてきたのは確かなのだろう。
しかし、克服まではまだまだかかりそう。確かな進歩と、それでも尚のゴールの遠さに、傍で見守るプラチナの心境は複雑なところ。
「はぁはぁはぁ……
心臓によくない……」
「忘れた頃に来るからつらいよね」
「ほんとにそうだよ……
私はず~っといつ出るか出るかってびくびくしてるのに、ちょっと安心しかけた頃に来るから……」
鋼鉄島に生息する野生のポケモンは、ゴローンやイワークが圧倒的に多い。
それと比べればゴルバットの生息数は少ない方で、実は遭遇率もそんなに高くないのだ。
しかし、それはいわばパールにとって、常に10%の確率で遭遇する一番怖いやつ。
いつ出てくるかとずっと震えながら歩き続け、実際のところはなかなか出没しなくたって緊張感だけは長く続く。
ゴローンやイワークを撃退することを繰り返して進む中、流石に対ゴルバットも意識が少しは薄れてきたところで急に出てくる、そんな印象。
これならいっそ、もっと高頻度で出てきてくれた方がいい気さえする。ずっと引き締めた気持ちで、覚悟した精神状態で毎回迎え撃てるからだ。
「でも、ゴルバット以外は結構そつ無く追い払えてるよね。
ここの野生ポケモン達、そこそこ強いと思うんだけど。
進化系のゴローンがこんなにわらわらいるぐらいだしさ」
「それはほら、ニルルもミーナも頑張ってくれてるし。
相性がいいおかげもあるかもしれないけど、うちの子とっても強いんだぞ?」
「ほんと自分のポケモン自慢には余念が無いよね、パールって」
「好き」
「大好き?」
「大好き」
いつも一緒の自分のポケモンへの贔屓目は、ポケモントレーナーならそんなに珍しい話ではない。パールは表現が少し強めではあるが。
プラチナはそういうパールの性格をよく知っているから、気を紛らわせようとする話題にも、パールが少しでも浮かれて話せるものを選んでいる。
ミーナやニルルの良さを語るパールは、ゴルバットとのバトル後でまだ少し冷や汗の残る顔ながら、ちょっと楽しそうで気を持ち直している。
苦手なコウモリに精神を削られる友達のメンタルケアにまで余念が無いとは、プラチナも敏腕マネージャーぶりに磨きがかかってきたものだ。
「地元にこんな修行場所があると、"ミオシティ出身のトレーナーは強い"っていう俗説にも説得力があるなぁ」
「え、そうなの?
確かにトウガンさんもすっごい強かったけど」
「今までにシンオウ地方でバッジを集めきったトレーナーのうち、四人に一人がミオシティ出身の人達らしいよ。
けっこう凄い数字じゃない?」
「えっ、それすごい。
シンオウ地方には他にもいっぱい街あるのに、そんなに偏ってるんだ」
「子供の頃からこういう場所で修行した人は、やっぱりトレーナーとして大成しやすいとかそんな感じなのかな?」
「え~でもそれ難しくない?
ここのポケモン達けっこう強いよ?
私がもしもミオシティ生まれで、トレーナー初心者の頃にここで修行しようとしたって、こてんぱんにされるだけのような気がする」
「う~ん、それもそうか……
そこそこ強くなってからならここでの修行も……でも、それは余所の地でも出来ることだし……」
「地元にいい修行場所があるからって言っても、旅先でいい修行場所あればそっちでやればいいだけだもんねぇ。
どうしてそんなに差が出るんだろ? 地元に修行場所があるのってそんなに強みになるのかな?」
ミオシティ出身のトレーナーは強い、という俗説から、その根拠は何だろうと推理しながら歩いていく二人。
ちなみに答えは、"夢を諦めて一度里帰りしたトレーナーが、地元でもう一度修行して再起するケースが多い"からである。
俺には私にはバッジを8つ集めきるのは無理だ、と、及ばぬ自らの実力に心折れて里帰り、というのは、その実多くのトレーナーが歩んできた道。
ミオシティ出身のトレーナーとてそれは例外ではなく、夢を諦め故郷でゆっくり過ごそう、とした者だって当然多い。
しかし、そこは元トレーナーである。
かつて共に旅路を歩み、数々のバトルをこなしてきた自分のポケモン達に、たまには鋼鉄島で運動してこようか、となりがちなのがミオのトレーナーの風土感。
決して修行して再起しようという意図ではなくとも、何度かそうしているうちに、情熱と自信を取り戻してくる者達もよくいるのだ。
そうして、一度は諦めた夢だけどもう一度頑張ってみようか、となれば、それはもはや夢路の死者ではない。
結局もう一度夢潰えて、再び帰ってくる者達もまた多い中ながら、再出発した末にとうとう8つのバッジの獲得を果たした者も確かに存在する。
大きな挫折からの再起には、それなりの時間ときっかけが必要なものである。鋼鉄島は、ミオのトレーナーにそれをもたらしやすい島なのだ。
ミオシティ出身のトレーナーが良い実績を残すという俗説は、そうした要因もあって確かな事実である。
「ちなみに、バッジを集めたトレーナーの一番少ない町ってどこか知ってる?」
「え、どこ?」
「フタバタウン」
「なにっ」
最多の統計があれば、最少の統計もある。
隣町にまで行ったってジムすらないのどかな町、フタバタウン出身のトレーナーで、ポケモンリーグ挑戦を果たした者は非常に少ない。
やはり身近にポケモンバトルの指導者たる者がいない町は、逸材が輩出されやすい環境ではないということだろう。
ジムが無くても都会でスクールもあるコトブキや、それに近いコトキ、あるいはヨスガに近いズイや、ハクタイに近いソノオとは事情が違うのだ。
もっとも、そんなフタバタウンと似たような環境にあるカンナギタウンの出身者シロナが今のチャンピオンという辺り、世の中わからないものだが。
「パールがもしもバッジを8つ集めたら結構話題になると思うよ。
久しぶりにフタバタウン出身のリーグ挑戦者が出た、ってさ。
もう十年か二十年以上、そういう人は出てないみたいだし」
「へぇ……
………………ねぇねぇ、もし出来たらインタビューとかされるかな?
テレビに出れるかな?」
「ん? まあ、あり得ない話じゃないけど……
あ、そっか、思い出の人?」
「うん、そもそも私がポケモンリーグを目指してるきっかけってそれだから。
テレビに出れたら、あの日私を助けてくれた人、会いに来て下さい、お礼が言いたいんです、って言う気満々だよ」
パールは幼少の頃、ズバットに襲撃されてシンジ湖に落ちてしまい、溺れかけたことがある。コウモリ嫌いのきっかけだ。
そんなパールを助けてくれた人がいて、その人に会いたいとずっと思ってここまで育ってきた、そんなきっかけでもあった。
大いなるトラウマと、遠き恋心めいたものを生み出した小さな思い出。幼い頃のあの一事は、その両方を内包している。
「うんうん、その調子。
トウガンさんにも再挑戦して、バッジを……」
「でも最近、私それ忘れてた感もあるんだよね」
「え?」
「最初は、チャンピオンになってテレビでそう呼びかけたかったっていう理由で旅に出てたけどさ。
最近はピョコやパッチ、ニルルやミーナと一緒に旅してて、強くてかっこいいみんなのこと、どんどん好きになっちゃって。
もしもバッジ集めきっても、それでインタビューされても、うちの子達ほんとに凄いんです! ってことばっかり私話しちゃいそう。
で、呼びかけ忘れちゃう予感もしなくもない」
「わぁ本末転倒」
「最近、自分がどうしてバッジを集めてるんだろうって考えたら、その理由が半分半分になってきてるのがわかるんだ。
有名になって、テレビで呼びかけがしたいのが半分。
もう半分が、みんなと一緒に凄いことやってのけて、うちのみんなはこんなに凄いんだよ、って自慢したいのが半分。
私きっと、もし明日思い出の人に会えたとしたって、バッジ集めはもう辞めないと思うよ。だって、それだけが理由じゃなくなったからさ」
「……そんなこと、考えてたんだ」
「えへへ、夜よくトップトレーナーさんと電話してますので。
けっこう深~い話してたりもするのです」
「あぁ、ナタネさんね。
あの人すっかりパールの電話師匠になってるなぁ」
「なに電話師匠って。初めて聞く単語」
トウガンに敗れたパールが自信を失っていないか、夢を諦めてしまわないかと懸念していたプラチナだが、どうやら完全に杞憂だったようでほっとする。
パールは今や、大好きな四人のポケモン達と一緒に強くなっていくことを偏に目指す、立派なポケモントレーナーである。
幼心の恋心だけでチャンピオンを目指していた、故郷で夢見がちでいただけの少女ではなくなっているのだ。
それは言い換えれば、初心とは違うものを、大好きなポケモン達に教えて貰えて今がある、かつてと違うパールの姿であるとも言える。
ポケモントレーナーとはそうなっていく傾向が強いものだ。
触れ合える、愛着ある、自分にとって一番頼りになるポケモン達と、多くの何かを叶えてきた実績。
もっと強くなりたい。自分がではなく、自分のポケモン達をもっと強い子達にしてあげたい。そう考え至るのも自然なことなのがポケモントレーナーだ。
「……いいなぁ、ポケモントレーナーって」
「プラッチもそうでしょ?」
「いや、僕は……
まあ、トレーナーじゃないことはないけど、"本職"ではないからね」
「そっか、プラッチはあくまで学者さんだもんね」
「僕はあんまり、自分がトレーナーだとは自称しないようにしてるんだ。
学者であることに拘りたいんじゃなくて、トレーナーとして頑張ってる人に、それに本腰を入れてない僕を一緒にするのは少し違うと思ってるからさ」
そんなに難しく考えなくてもいいことなのだが、プラチナにはプラチナなりの拘りがある。
話しながら頬をかき、何かばつの悪そうな顔をするプラチナには、恐らくパールには話していない別の事情がある。
彼とてまだ幼い年頃であろうに、こんな細かい話に妙な拘りを抱くということは、そう思うようになった特殊な背景があるからに他ならない。
付き合いの長くなってきたパールにも、普段は見せないプラッチの困ったような顔に、昔なにかあったのかなと思うだけのものを感じられてやまない。
「プラッチ?」
「あ~、えぇと……まあ、そのうち話すよ。
今日はとりあえず、パールの修行を……」
「そこの君達!」
「はいっ!?!?」
二人の世界で歩いていた二人だったが、後方から大きな声で呼びかける声を耳にして、パールがびっくりした返事をする。
ゴルバットのいる環境であることに影響されてか、びっくりしたら背筋がぴぃんとなるパールである。
あくまで遠くから呼びかけられただけであり、決してその声も過度に大きかったわけではなく、プラチナは特にびっくりする風もなく振り返ったのだが。
振り向いた先には、一人の青年がこちらへ歩み寄ってくる姿が見えた。
青いスーツに同色の帽子、静かな色使いの着こなしの男性だ。
そんな大人がこちらへと、やや目を細めて接近する姿に、パールは相手とプラチナを交互に見る首の動きが早い。きょどきょど。
「ぷ、プラッチ、なんだろう?
私達、もしかして何か怒られるようなことした感じ?」
「そんなことないと思うけど……
まあ、呼びかけられたんだし話を聞いてみようよ」
落ち着いたプラチナと、挙動不審なパールの態度は真逆である。
二人に近付く男性も、どちらかといえばパールに目を引かれる。
別に悪いことなどしてないし、叱られるようなこともしていないのだから、堂々としていればいいのにという話である。
本来、初対面の相手でも気さくに話せるパールと、人見知りするタイプであるプラチナ。
それでいて今は、見知らぬ大人に声をかけられただけでびくついているパールと、落ち着いて話を聞いてみようと冷静なプラチナ。
苦手なゴルバットの生息環境でメンタルの弱ったパール、それをそばに置くプラチナがしっかりしようとしてこの逆転現象だ。
一歩退がってプラチナの後ろに身を置くパールの姿は、自分でも無自覚のうちに、プラチナのことを心から頼りにしている表れだ。
メンタルコンディションが一時の感情にも左右されやすいパールにとって、ぶれの少ないプラチナは良いパートナーなのだろう。
何のかんので多くの局面を、二人で乗り越えてきた二人である。お互い知らず知らずのうちに、互いの補い合い方をよくわかっている。