ハルウララさんじゅういっさい   作:デイジー亭

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ぺくしぼの方に投稿してる、オリジナルR-18の方を書いていたら遅れました。
前回、雑なオチに使った反省を込めて、ファル子回です。
楽しいお歌の時間。

元ネタは、大人気鉄道アニメ……?と、世紀末救世主、人形浄瑠璃、今作におけるファル子の異名。
最後に彼の産駒実績を添えて。


ハルウララさんじゅういっさい そのじゅうご 人形遊び

~前回までのあらすじ~

 

 唐突な青空プロウマレス回。

 

 リングに舞い降りる、美しき鳥が2羽。

 

 片や三十路独身ルチャドーラ、エルコンドルパサー。

 

 片やクソかわTS異世界転生ウマ娘力士、アフガンコウクウショー。

 

 空中戦はエアマ〇ターを読み直して勉強した、アツい戦闘描写で描かれ。

 

 アフガンコウクウショーは、見上げたコンドルの羽搏きに、自らの運命を悟る。

 

 そう。TS異世界転生ウマ娘は2度堕ちる。

 

 初手はトレ堕ち、次手百合堕ち。

 

 隙を生じぬ二段構え。

 

 古典的な漫画落ちも披露して、彼女の恋は急転直下。

 

 三十路と合法ロリが地に堕ちる時、愛が産まれて熱い煮汁が食卓を彩る。

 

 そう。百合ップルの誕生である。

 

 ウマ娘には百合が似合う。

 

 まるでイエローに染まったカサブランカ。

 

 辺りに漂う退廃的な香りは、キン肉〇ン式舞空術の代償か。

 

 その花言葉は陽気と裏切り。そう……

 

 ラテン系のノリで、この作品は読者の予想を裏切り続けるのだ。 

 

 黄色い救急車の登場は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よい子のみんなー♡クリークママといっしょ、始まりますー♡

 ……うふふ。たまにはわるい子がいてもいいかも♡

 ママがいい子に、してあげる♡」

 

 甘く蕩けたタイトルコール。

 

 その甘さに潜んだ毒は、もはや隠しきれてはいない。

 

 

 

 クリークママが己が身を抱きしめ、禁断症状の到来を告げる。

 

 彼女はいい子が大好きだが、わるい子をママ堕ちさせるのはもっと大好きなのだ。

 

 あからさまな危険ウマ物……

 

 まさに超特急で幼児を堕とす、特級呪物と言えるだろう。

 

 幼児たちの保護者は何を考えて、己の子を千尋の谷に紐無しバンジーさせているのか。

 

 

 

 疑問に思いつつも、自分の番だ。

 

 今日も今日とて労働の。尊い汗を流すとしよう。

 

 

 

 「ウマのお姉さん、ウララだよっ!」

 

 にっこり笑い、宙返り。

 

 この程度の動きはウマのお姉さんの必須科目だ。

 

 体操も、己の仕事なのだから。

 

 着地に失敗し、腰を痛めて笑顔を歪ませながら、ハルウララは思った。

 

 誰だよバク宙なんて、三十路にさせようと思ったの。

 

 

 

 腰痛に苦しむ違法ロリの無理やりな笑顔を見て。

 

 男児たちの性癖も、また歪んだ。

 

 リョナはNG。だが痛みを堪え、クリークママの視線にて。

 

 笑顔を強制されるロリの姿。

 

 なんと愛らしいことか。

 

 およめさんにせざるを得ない。

 

 

 

 「歌のお姉さん、ファル子だよっ☆」

 

 ♡マークを象る手。

 

 弾む声に潜む狂気。

 

 

 

 猛禽類は今日も、己の年齢を華麗に無視し、あざといポーズで観衆を魅了する。

 

 永遠の17歳なのだ。

 

 スピンオフ作品・ファル子さんじゅうななさいの掲載が、心待ちにされることだろう。

 

 さすがに書かん。

 

 

 

 「がろうくんだがおー。がおがおー」

 

 お道化て告げる、幼児愛好着ぐるみ。

 

 今日も湿布を貼る際に、ロリ腰椎を見て楽しめる。

 

 

 

 徒になぞれば死を賜るが、なんのその。

 

 ロリにイタズラせずに、紳士は名乗れぬ。

 

 不退転の決意を固め。

 

 彼のテンションは、最高潮に達していた。

 

 

 

 「ウマ美ちゃんだウマー」

 

 どこか疲れた様子の愛らしい姿。

 

 ツインテールもどこかしっとりとしており。

 

 激しい湿度に晒された事を示している。

 

 

 

 着ぐるみに追加されたのは、ごついペット用首輪と鎖。

 

 汚い帝王は地に堕ちた。

 

 既にその地位は地殻を貫通していたため、次に到達するのはリオデジャネイロだろう。

 

 

 

 もはや気ままなセクハラは、更なる束縛の引き金となる。

 

 次に着ぐるみと中身に追加されるのは、アイアンメイデンかもしれぬ。

 

 フルアーマーウマ美ちゃんである。

 

 

 

 だが、やる。何故なら嫉妬に狂った相方の艶姿は、何よりも魅力的だからだ。

 

 エアー尻揉みをしつつ、硬いケツ意は彼女の胸に。

 

 

 

 以上、5名。

 

 番組の愉快な仲間たち。

 

 一騎当千の、社会不適合者どもである。

 

 

 

 自分を除いてな。

 

 ハルウララはそう思いつつ、母なる邪神の託宣を待つ。

 

 今日はどんな手法で、幼児の輝かしい未来を台無しにするのだろうか。

 

 教育とは、時に厳しい物である。

 

 

 

 この狂った世界で。

 

 生存競争に勝利するためには、死狂いの決意が必要なのだ。

 

 そのための、クリークママといっしょ。

 

 生存の代償は、子孫繁栄の権利である。

  

 

 

 「今日はー♡ファル子ちゃんの新曲の発表ですー♡」

 

 新曲。新曲と申したか。

 

 このハルウララにも知らされていなかった。

 

 ならば、怨霊に与える燃料は、誰が用意するというのか。

 

 

 

 ずずいと舞台に進み出る、猛禽と、ロリに飢えた狼の姿。

 

 まさかの裏切りである。

 

 湿布はプリンセスにお願いしよう。

 

 

 

 さて、ピアノはウマ美ちゃんに……

 

 奴隷2号の姿を探すと。

 

 鎖を掴まれ、トウカイテイオーに連行されて行く姿。

 

 あやつ。監視されていたか。

 

 不用意にエアー尻揉みなどするからだ。

 

 でも待って。今はマズい。

 

 

 

 「ウララちゃん♡準備♡」

 

 クリークママの艶やかな死刑宣告。

 

 このハルウララ、絶望顔を禁じ得ぬ。

 

 

 

 辛そうに ピアノを担ぐ 違法ロリ。

 

 聖帝十字陵を建造するかの如き川柳に、男児の性癖の歪みは加速する。

 

 

 

 「ありがとうウララちゃん♡……遅い。次は音速で運べ」

 

 抱擁と共に耳元で告げられる、同志ママーリンの叱責。

 

 自らが鉄道にて輸送される、永久凍土を幻視して。

 

 暖かい春の息吹が自分に訪れぬ事を知り。

 

 

 

 桜の妖精は、母の胸の中で泣きじゃくった。

 

 きっとその涙は、極上の甘露であることだろう。

 

 性癖が歪んだ男児たちの羨望の視線を集めつつ。

 

 彼女の頬をべろりと舐める、邪神の笑顔がそれを保証している。

 

 ウんマぁい! 

 

 

 

 「みんなーっ☆今日はファル子の……新曲を聞いてねっ☆」

 

 母の抱擁に力が籠り。同胞の腰が悲鳴を上げる音。

 

 猛禽類は、暗い未来の訪れの予感に。

 

 急遽ウマドル急行の路線を変更した。

 

 ナイス判断である。

 

 

 

 満足げに微笑む独裁者の腕から解放され。

 

 泡を噴いて崩れ落ちる、同じバ場の砂を食った同期。

 

 許せ。決していつものゲルマン煽りに対する復讐ではない。

 

 そう心の中で呟き、がろうくんと背中合わせの態勢へ。 

 

 

 

 この曲は。

 

 親友に送る、祝辞である。

 

 マイクのスイッチを入れ、息を吸い込む。

 

 さぁ。始めよう。私たちの、物語。

 

 生命に対する賛歌を。

 

 

 

 

 『強く なれる 理由を知った……』

 

 クリークママによる、優しい旋律に合わせた唄い出し。

 

 会場がざわめく。

 

 スタッフたちの青褪めた顔。

 

 JAS〇ACの襲来を恐れているのだ。

 

 

 

 だが、問題ない。

 

 短すぎるフレーズは、JA〇RACとて手出し出来ぬ。

 

 その曲であるという、特定が困難であるためだ。

 

 軽々な料金の請求は、言論統制を生みかねぬ。

 

 ウマグル先生がそう言っていた。

 

 

 

 強くなれる理由など。様々だが。

 

 今時の幼児どもでも知っていることだ。

 

 彼らは性癖を破壊されることで強くなる。

 

 

 

 がろうくんと背中合わせの態勢から、息を合わせて振り返る。

 

 彼の胸にはずらりと並ぶ、薄切りの菓子パンが貼りつけられていた。

 

 思い出す。あの日のクリスマス。

 

 

 

 

 

 

 『ファルコンさん、シュトーレンはいかがですか?』

 

 親友が、聖なる日に差し出してきたもの。

 

 『えっ? なぁに? それ』

 

 他国の文化に疎い己は、お出かけのための準備の手を止め。

 

 素直に疑問を告げた。

 

 

 

 『ドイツでは、12月になって少ししたら、これを焼きます。

 そして、少しずつ食べながら、ジングルベルの鐘を待つんですよ。

 今日はクリスマス。

 ドライフルーツやバターが馴染んで、最も美味になる日なのです』

 

 『へぇっ! 素敵な風習だねっ☆ファル子もいつか、立派なウマドルになって! 

 ドイツでも、たくさんライブをやってみたいなっ!』

 

 『ファルコンさんならできますよ。親友として、ファンとして。

 私は応援しています。ドイツに来たら。父の作った本格的なものを。

 あなたにご馳走しましょう』

 

 

 

 そっと微笑み、薄切りのシュトーレンを差し出す彼女。

 

 親友の、好意に満ちたお菓子。

 

 未来への希望まで詰まった、とっても嬉しいクリスマスプレゼント。

 

 自分は大喜びでそれにかぶりつき、舌鼓を打って。

 

 

 

 

 

 

 起きたら、朝だった。

 

 トレーナーとの約束、すごい勢いですっぽかした。

 

 この前気づいたけどアレ、睡眠薬入ってただろ。

 

 

 

 ダダダ……ダァァァァ―ン!!!!!!!! 

 

 早弾きからの、全鍵盤同時打撃。

 

 クリークママが、歓喜に胸を激震させる。

 

 足元には痙攣を続けるハルウララ。

 

 そろそろ搬送されないと、後遺症が残るやも。

 

 だが、もう知らぬ……! 

 

 

 

 『フルルルルルルァァァァァァッシュウウウウウウウウウウウ!!!!!!』

 

 今さら気づいた親友の裏切りに。

 

 脳内が赫怒に支配され、固めた指先で、憎きドイツ菓子を貫く。

 

 

 

 「……………………!!!!!!!!!!」

 

 一本目、二本目、三本目。

 

 がろうくんが痛みに耐えて歯を食いしばる。

 

 曲に豚のような悲鳴を入れる事は許されていない。

 

 そのような無作法。

 

 ピアノをノリノリで弾きこなす、邪悪と母性の塊が許すわけがない。

 

 

 

 だが、何本目まで耐えられるかな? 

 

 きっと、こらえきれず。

 

 クリークママにお仕置きされてしまうに違いない。

 

 彼は幼子ではないため、容赦は期待できない。

 

 

 

 見た目だけなら幼児に近い、ハルウララでさえ、ああなるのだ。

 

 タイキの壁を突破し、シャトルにて。

 

 宇宙空間でのおむつの耐用試験を強要されても、不思議ではない。

 

 

 

 自分の八つ当たりを必死に堪える彼の姿。

 

 罪悪感が、自分の手を鈍らせる。

 

 

 

 『お前も……』

 

 口を噤む。

 

 この辛い境遇。

 

 母なる邪神の暴虐に耐える、同志であるのだ。

 

 無残な最期を、遂げさせたくはない。

 

 だが。3日前届いた手紙。

 

 

 

 

 

 

 『ファルコンさん。おひさしぶりです。お元気でしょうか? 

 ウマドル活動は順調でしょうか。

 貴女の歌は、そろそろ日本中に轟いていることでしょう。

 愛する夫に続く、ファン第2号として確信しています。

 そうそう。この前、かわいい女の子が産まれました。

 名前はスマートワン。勝手ながら、ファルコンさんの名前を頂きました。

 親友ですから。でも、恋の競争には負けて欲しくないですね。(笑)

 ドイツにいらっしゃる時を、心待ちにしております。

 母は強し。閃光の右を、魅せてあげましょう。

 

 あなたの親友 フラッシュより』

 

 

 

 

 『木偶人形に、してやろうかァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!』

 

 四指を揃え、貫手と成し。

 

 がろうくんの胸板を怒りに任せ貫く。

 

 

 

 「ろりぶっ!!!!」

 

 崩れ落ち、四肢を跳ね回らせるがろうくん。

 

 耐えるなどできるはずがない。思い上がるなロリコンが。

 

 この鍛えた北斗七本貫手は、いつか母は強しとか抜かしたアイツを。

 

 己の知らぬ強さの理由を知った、憎き親友を。

 

 何もわからぬ木偶人形にするために。

 

 

 

 『憎悪の森の奥深く……

 

 鍛えた身体。軋む心。わたしは人形を作る……』

 

 

 

 がしゃんっ。

 

 壊れた人形の如き仕草で、立ち上がるがろうくん。

 

 素敵なマリオネットの出来上がりだ。

 

 

 

 この曲の名は、再度の産声を上げた憎悪を言祝ぎ。

 

 

 

 Make dekut! (メイク 木偶ット!)

 

 

 

 そう、名付けた。

 

 さぁ、グランギニョルの開幕だ。

 

 絶望の魔拳にて。

 

 全ての者は、哀れでかわいいお人形さんとなる。

 

 人形劇を始めよう。

 

 

 

 『罠に気づいたその時に あなたは既に ジングルベル

 

 だけど決して逃さない あなたはいつかわたしのもの』

 

 

 

 操り人形に手を取られ、憎しみのタンゴを踊る。

 

 がっくんがっくん首を揺らしつつ。

 

 踊り狂うマリオネット。

 

 

 

 『だからわたしは進化する……』

 

 

 

 ダァァァァァァァァァァン!!!!!!!!! 

 

 再度の全鍵盤同時打撃。

 

 腰に響く音撃に、さらに痙攣を激しくするハルウララ。

 

 

 

 打撃音に合わせてキメポーズ。

 

 そう。自分は新たな真実を知ったのだ。

 

 着実に進化している。

 

 いつか、ドイツへと羽ばたき。

 

 かの国で、狂乱の人形浄瑠璃で日本文化を教えてやろう。

 

 

 子のことは心配せずとも良い。

 

 わたしが愛情を籠めて、育ててやろう。

 

 子に罪は無いのだから。

 

 

 

 人形に腰を支えられ、のけ反りつつ。

 

 想いの限りを叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 『キャベツも、ドイツぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 なんてことだ。酢漬けキャベツも、ドイツだったんだね。

 

 

 

 

 

 彼女は知らない。

 

 ザウアークラウトは、酢漬けではなく。

 

 発酵食品であることを。

 

 

 

 

 

 

 デーモンファル子閣下による。

 

 狂乱の新曲お披露目はさらに続き、ハルウララは入院した。

 

 あと、がろうくんは曲が終わったら普通にロリの尻を追いかけ始めた。

 

 頑丈な変態である。

 

 スマートファルコンの、ドイツへの道のりは遠い。

 

 

 

 

 

 

 つづかない




だが一応、ハーメルンの規約は遵守する、わたくしなのであった。

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