ハルウララさんじゅういっさい   作:デイジー亭

25 / 69
さぁ、第二話。
果たして正しかったのは誰か。
表層のみでは、心とは解らぬものです。
元ネタいっぱい。オレももうわからぬ。


ファル子さんじゅういっさい そのに 笑顔の意味

~前回までのあらすじ~

 

 見事マ魔王をシバいた、カッコウ被害鳥類。

 

 その勇者としての役割を一旦終え。

 

 一息ついたハルウララ。

 

 だが、周囲の変態どもは、そんな彼女をブン回す。

 

 ツバメのマルチロックオン式純愛。

 

 力士の癖に情報戦に長けた、汚いニンジャ染みた後輩。

 

 赤ちゃんは好きだが、思想が赤くはなくなったクリークママ。

 

 一瞬で梅雨を作り出す、拘束された加湿器使い。

 

 そして、様子がおかしいウラコンカサブランカ。

 

 失職の危機は、別の鳥類にも迫っていた。

 

 怨霊を卒業した猛禽類。

 

 性癖以外は綺麗な歌姫と化した彼女。

 

 そのような薄いキャラに、番組での居場所は無かったのだ。

 

 そしてハルウララは酒を飲む。

 

 あまり興味が無かったからだ。

 

 滅びの時は、刻一刻と迫っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしを。

 

 

 わたしだけを、見てください。

 

 

 脇目も振らず、わたしだけを。

 

 

 想い憎悪し、決して忘れないで。

 

 

 そうしなければ、愛しいあなたは。

 

 

 きっと、新たに愛した誰かを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よいこのみんなー♡クリークママといっしょ、はじまりますー♡」

 

 

 

 甘く蕩けたタイトルコール。

 

 そう。今日も今日とて収録である。

 

 

 

 「ウマのお姉さん、ウララだよっ!」

 

 

 

 腰の調子も悪くない。

 

 ブレイクダンスにて仕りクソが。

 

 盛大にセットに腰を打ち付け、悪態を「ウララちゃん♡」すいません。

 

 

 

 クリークママの視線が、熱い。

 

 丸くなったところで、赤い物は赤い。

 

 触れればキレる、原理主義者である。

 

 

 

 「歌のお姉さん、ファル子だよっ☆」

 

 

 

 猛禽類の♡マーク。だが、表情は硬いまま。

 

 これは今日で、お別れか。

 

 長い付き合いであった。達者で暮らせ。

 

 

 

 「ウマ褐色合法ロリメイドのお姉さん、アフちゃんである」

 

 

 

 ふわふわと浮かぶウマ娘力士。真下から覗き込む男児ども。

 

 

 

 「ハァイ! ジョージィ!」

 

 アラー!! 。

 

 

 

 医療の敗北に、膝をつく。

 

 愚かなことだ。

 

 ノーパンしゃぶしゃぶはもはや違法。

 

 

 

 綺麗なお姉さんたちが接客してくれて。

 

 楽しく遊べるおっさんの楽園。

 

 そう。おっさんと幼児をチェンジしただけで。

 

 彼の伝説の飲食店と、同じような業務形態を誇る。

 

 クリークママといっしょ。この番組においても。

 

 

 

 対策なしにあのような破廉恥なミニスカメイドスカート。

 

 クリークママが着用を許すわけがない。

 

 未来が暗い幼児どもに。

 

 愚かな役人どもと同じ轍を踏ませる訳には、いかぬのだ。

 

 

 

 ちなみに、ノーパンしゃぶしゃぶは健全な用語だ。

 

 なんといっても地上波においても。

 

 放送禁止用語ではないことが立証されている。

 

 細部はググって欲しい。

 

 

 

 「がろうくんだ。食べちゃうぞ。ウララとアフちゃんだけな」

 

 

 

 腰に響くイケメンヴォイス。顔と声だけはやたらといい。

 

 湿布を貼らせる際には、耳元で好みのシチュで囁かせよう。

 

 D〇Siteと違い、ツバメのASMRは無料なのだ。

 

 このハルウララに対してはな。

 

 

 

 女児に対し興味が無いことを告げる、己の役割を放棄した発言。

 

 偽りの愛に目覚めてしまった彼。

 

 ミサイルでもあるまいし。

 

 マルチロックとは呆れ果てる。

 

 この番組に必要なのは、精密誘導による人道配慮ではない。

 

 ジュネーブ法の違反だ。

 

 無差別大量の性癖クラスター爆弾こそが。

 

 人気の秘ケツである。

 

 

 

 だが、彼はこの番組において続投を赦された。

 

 何故か。

 

 

 

 「にいちゃん、良いケツしてるやないけ……」

 

 「デュフフ。某、萌えて参りましたぞ……!」

 

 「もう新宿二丁目なんて、行く必要はありませんわ!」

 

 

 

 女児どものいやらしい手つき。

 

 背中のジッパーに大量投入される、諭吉さん。

 

 

 

 そう。彼はビキニパンツを必要としない、新たな接客の形。

 

 お触りご自由ダンサー・餓狼として、新たな役割を与えられたのだ。

 

 中身は懇談の時間、女児どもにのみ。

 

 別室で開帳される。

 

 

 

 さすがに番組の最中に、頭を取り外すわけにはいかぬからだ。

 

 餓狼の頭をストリップし、女児どもとの握手会に臨む。

 

 それが彼の新たな現金収入である。 

 

 

 

 アメリカネズミはその頭を取り外すことは許されていない。

 

 子供の夢を壊さぬためだ。

 

 真夏の太陽に照らされつつ、仕事上がりのビールを希求する彼ら。

 

 夢の国は、オッサン臭い汗の迸りにより、その存在を維持している。

 

 儚い幻想である。

 

 

 

 だが、がろうくんについては問題ない。

 

 有閑マダムじみた、女児どもの夢。

 

 それはイケメンとの、密やかなる甘い時間。

 

 少女漫画のような、メルヘンで淫秘な体験。

 

 昨今の少女漫画の風紀の乱れは著しい。

 

 

 

 クリークママは、バナナ魚(漫画版)を読んで。

 

 このシステムを閃いたらしい。

 

 

 

 アイツ、幾つだよ。

 

 昨今の少女漫画じゃねーぞあれ。

 

 

 

 復刻版は全20巻。アニメ化に伴い。

 

 絶版から不死鳥のように蘇った、かの作品。

 

 少女漫画とは思えぬ乱行を示す名作である。

 

 

 

 菊乱暴から始まるラブストーリー。

 

 主人公はポルノ男優。

 

 戦争の悲惨さと、性的暴行被害者の悲哀を正面から描いている。

 

 表現の自由とは、かくも難しいものである。

 

 2018年にアニメ化されたので、是非見てみて欲しい。

 

 

 

 「ナデナデシテー……ブルル! ブルスコファァ!!!」

 

 

 

 ウマ美ちゃんの調子も良い。

 

 ウマカリで購入したため、動作には不安があったが。

 

 後で高評価をつけてやらねばなるまい。

 

 さぁ。仕事を始めよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スマートファルコンはこっそりと溜め息をついた。

 

 調子が悪い。

 

 能面のような顔。

 

 そのように言われてしまった昨日。

 

 

 

 対処として、スタジオから出た後に。

 

 衛星軌道上から。母艦たる。

 

 第四世代型超光速恒星間航行用超弩級万能宇宙戦艦ファル子リヲン(早口)を呼び出し。

 

 表情を取り戻すための。たった一つの冴えた方法。

 

 

 

 『カカカカカカッ……!』

 

 『クキコケケケケ……!』

 

 『勝たなきゃゴミ……! 勝たなければ……!』

 

 『へたっぴ……! へたっぴね……! ツバメ返しの、やり方が……!』

 

 

 

 透明な牌を使用した、狂喜の遊戯。

 

 愉悦麻雀に興じたのが悪かったのかもしれない。

 

 

 

 卓を囲んだのは四人。

 

 自分とワシーとビョードー。

 

 ゴクウは麻雀ができぬ。

 

 

 

 彼に出来るのは食う寝る遊ぶ、酒を飲む。

 

 戦闘以外の役には立たぬ。

 

 そのため、急遽あの娘を参加させた。

 

 

 

 そう。ビョードーと共に。

 

 この隼の目が見いだした、逸材。

 

 

 

 その、金に対し異常な執着を見せる、ウマ生哲学。

 

 さらにはポエミーな名言癖を忌避され。

 

 トレーナーに選ばれなかった彼女。

 

 だが、神は彼女を見捨てていたのだ。

 

 

 

 あの日の事を思い出す。

 

 川辺で物の道理の分からぬアホどもに。

 

 途方に暮れていた彼女。

 

 

 

 川底より護岸設備を破砕しつつ。

 

 浮上する、フラッシュ脳散らす号。

 

 方向音痴とアルコールによるものだ。

 

 

 

 あわてふためく彼女の、きらりと輝く才能を。

 

 酔っ払った自分とビョードーは見逃さなかった。

 

 

 

 直ちに彼女を情熱的に拉致し。

 

 返す刀でトレセン学園に訪問。

 

 経営難に悩む合法ちびっこを、酒臭い甘言と札束。

 

 さらには砂の女王たる我が実績で誑かし。

 

 ターゲットを合法的に我らが物としたのだ。

 

 

 

 「ワシにはトネガワという冠名が……」

 

 「トネガワ? 贅沢な冠名ねっ☆

 あなたは今日から、ただのユキオーよっ! 

 分かったなら、返事をアンサー!」

 

 「くっ……! なんという理外……! 

 だが……狂気の沙汰こそ、面白い……!」

 

 

 

 我が目に狂いは無かった。

 

 己の見出したその煌き。

 

 彼女は、神に愛された、凄まじい適性。

 

 トレセン学園に居る、凡百のトレーナーでは見いだせぬ。

 

 輝かしい才能を持っていたのだ。

 

 リアクション芸人として。

 

 

 

 繰り返される、寝起きドッキリ。

 

 無茶振りの数々。

 

 熱湯チャレンジ。

 

 パイ投げ。

 

 

 

 そして、なんやかんやで札束の魔力と。

 

 たまに見せる偽りの優しさ。

 

 さらには衣食住完全保証。

 

 辛子入りシュークリーム付きの厚待遇。

 

 彼女は完全に、我らの掌中に堕ちた。

 

 

 

 今では我が一味の、頼れる芸人である。

 

 そのリアクションは、我らに最大限の愉悦を与え。

 

 船内の空気は、とても和やかになったのだ。

 

 

 

 それは、フラッシュ脳散らす号の涙の爆沈を経て。

 

 ファル子リヲンに乗り換えた今も、変わらない。

 

 そして、彼女にはもう一つ役割がある。

 

 それは。

 

 

 

 (なんといっても、ちっちゃくてかわいい現役JKロリだし……!)

 

 

 

 回想を終え、貧血にふらつきつつもガッツポーズ。

 

 そう。今朝緊急搬送された彼女。

 

 もちろん我がキープちゃんである。

 

 

 

 ユキオー。

 

 愛しの桜の妖精を、取り逃がした時のためのサブプラン。

 

 

 

 真実の愛には、サブプランが重要なのだ。

 

 もはや、同じ轍は踏まぬ。

 

 ジュネーブ条約の遵守は必須。

 

 精密誘導マルチロックオンこそが。

 

 勝利への方程式なのだ。

 

 

 

 計画的な行動は、何よりも大事。

 

 そう。いつも彼女も言って……? 

 

 

 

 「フラッシュちゃん……」

 

 

 

 ぽつり。と。

 

 口から漏れる、親友の名。

 

 無計画な自分を、三年間支えてくれていた、彼女。

 

 

 

 そして、我が愛するヒトを奪い去って行った、憎い怨敵。

 

 

 

 だった。

 

 

 

 だが。もう憎くはない。

 

 ウマ生で100回目の、真実の愛を見つけたのだ。

 

 ぐっちゃぐちゃに混ざりあった轍の数は、成長の証。

 

 憎しみに目を曇らせている場合では無い。

 

 

 

 愛しい彼女を、見上げる。

 

 

 

 「動くなよ。その頭がリンゴになるぜ。はいヨー! シルバーッ!」

 

 

 

 相変わらずかわいい。

 

 今日の楽しい遊びは、ウ射リアム・ヘル。

 

 幼児の頭に乗せた、リンゴを。

 

 

 

 褐色合法ロリに跨がった違法ロリが。

 

 空中流鏑メイドする、一子相伝の技である。

 

 

 

 舞い飛ぶナイフ、幼児の悲鳴。

 

 ハルのウララの流星は。銃弾よりも、速いのさ。

 

 

 

 ギブアップした、根性の足りぬ子は。

 

 クリークママの胸に、ご案内。

 

 どこ吹く風は、授けられぬ。

 

 マゾでもママでも、お好きな方を選ぶがいい。

 

 

 

 泣く子も漏らす、楽しい遊戯。

 

 これが愉悦というものだ。

 

 自分の脳天に飛来するナイフを、マイクで弾きながら。

 

 記念すべき百人目の、そして十年以上ぶりに愛する、対象を見る。

 

 

 

 くりくりとして、淀み尽くした愛らしい瞳。

 

 腰痛に悩む、ロリロリしい肢体。

 

 カッコウの被害を、断固認めぬ精神性。

 

 熟練の曲芸士がごとき、ナイフ捌き。

 

 そして。打てば響く、その。

 

 

 

 思えば、ダートのマイルのゴール後に、煽り尽くした時に。

 

 既に自分は恋に堕ちていたのかもしれない。

 

 桜色の妖精に。当時愛したトレーナーがいなければ。

 

 もっと早く気づいていただろう。

 

 

 

 愛したくてたまらない。

 

 昔から、愛する者の前では。

 

 緊張しすぎて無表情になる。

 

 自分の悪い癖だ。

 

 憎む時と煽る時には感情が出るのだが。

 

 

 

 だが。もう問題ない。

 

 頼りになるクルーとの出会い。

 

 愉悦の味を知った自分。

 

 解決策は既に見えた。

 

 昨夜の団欒時の、一幕を思い浮かべる。

 

 

 

 『ひゃー! このおでん、美味ぇなぁ! ユキオーも食ってみろよ!』

 

 

 

 ゴクウの快哉。彼はいつも美味そうに飯を食う。

 

 

 

 『はい、ユキオーちゃん、あーん♡』

 

 

 

 自分はキープちゃんに対して。

 

 愛情たっぷりのあーんをしてやった。

 

 

 

 『ワシは幼子ではないが……頂こアッツゥイッ!!』

 

 

 

 煮えたぎるおでん。

 

 舌もバ鹿なゴクウを利用した、巧妙なる。

 

 翔べない鳥類倶楽部。

 

 のたうち回るユキオーの愛らしいロリボディ。

 

 

 

 やはり。イジればイジるほど。

 

 魂とは輝きを見せるのだ。

 

 この一手間が、クズにはなかなか出来ぬ物……! 

 

 

 

 「ンォフウッ。コココココ……!」

 

 

 

 笑みが溢れ出す。

 

 胸元で輝きを増す、蒼き宝石。

 

 

 

 そうそうこれだ。この気持ち。

 

 愉悦こそが、長い冒険を経て知った、我が本質。

 

 愛しの妖精は、どんなリアクション芸を魅せてくれるのか。

 

 もはや我慢ならぬ。

 

 

 

 ファルファルファルファルファル……

 

 不穏な気配に、妖精がこちらを流鏑メる。

 

 マイクを廻し。ナイフを弾き。

 

 キンッ。キンキンキンッ。

 

 ハウリングと衝撃音。

 

 響き奏でるラプソディア。

 

 

 

 突撃準備。

 

 我が愛を見よ……! 

 

 

 

 「ウララちゃんッ! プリーズラブミーキルゼムオールゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 「誰だよ! アイツの心が空っぽとか言ったの! 

 奥の奥までクソたっぷりじゃねぇか!!! 

 おいメイドォッ! 緊急浮上ッ! ママッ! 早くあいつをシベリアにッ!」

 

 「汚い帝王は嘘つきだッ! アフターバーナー最大出力ッ!」

 

 「剥き出しの感情ッ! ママはこれを求めていました……!」

 

 「クソァッ! ツッコミはどこだっ!」

 

 「ウララ先輩であるっ! 若輩者には荷が重いっ!」

 

 「私だけでツッコミきれるか、いい加減にしろバ鹿ッ!」

 

 「あんまり揺らされると、堕ちるのである────ーッ!!!」

 

 「モルスァッ!」

 

 

 

 流れナイフでハリネズミと化した、がろうくんは沈黙している。

 

 幼女の盾となれたなら、本望だろう。

 

 

 

 襲い狂うナイフの流星群。

 

 空へと堕ちる流星、シューティングスター。

 

 その煌めきを、穢したい……! 

 

 

 

 ファルファルファルファルファルファルッ! 

 

 

 

 「私は今、生きているッ!」

 

 

 

 スマートファルコン。御歳31。

 

 故意に恋する堕とし頃。

 

 堕ちた恋は、数知れず。

 

 

 

 愛する者に、無計画に無双乱舞。

 

 無表情で詰め寄り、無茶振りにてリアクションを求め。

 

 無い無い尽くしの恋愛プラン。

 

 破れた恋は、星の数。

 

 

 

 夢は両手にロリの、愛とリアクション芸に溢れた失楽園。

 

 あわよくば、アフちゃんも掠奪しよう。

 

 ワンちゃん。立派な芸人に育ててあげるからね。

 

 

 

 

 

 

 海賊王とは、最も無計画で強欲なる者の称号である。

 

 

 

 

 

 

 

 つづかない


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。