拙作は、東北三姉妹を応援しております。
元ネタは……なんだろ。敢えて言うなら、バ〇ル2世?
~前回までのあらすじ~
遠き遠き北方の地。
そこでは確かに、生命が息づいていた。
ウオッカを煽って寒さを凌ぐのは、ふともも栗毛。
だいぶ数を超過した、番町皿屋敷。
猛禽類は、脳をアルコールでぬくめつつ。
誠心誠意、無駄な業務に励んでいた。
傍らには愛する予備。
ジジイ言葉も愛らしい、可愛い玩具だ。
おもちゃが告げる、驚愕の事実。
彼女は憤慨し、恩師と友人に送る手紙を起案する。
歌手にして実業家たる彼女は、筆まめであったのだ。
ビジネスと私信。相反する両者。
それを巧みに織り交ぜる、公私混同には定評がある。
寒さというものを理解できぬ、魔訶不思議な友人。
鼻に特徴がありすぎる、両翼。
ジジイ言葉を強要した、自らの後継者では特にない新人芸人。
超兵器にして老人ホームたる、母艦に乗り込み。
彼らを従え、猛禽類は北極に向かう。
彼女の行く先はいつだって未開の地。
羅針盤が指し示す、希望へ向かっていざゆかん。
老人の性癖だけが、優しく微笑んで方向音痴となっていた。
ロリの罵倒って最高。
しゃんしゃんしゃん。
街は、浮かれた様相を魅せていた。
街を走り回る、角が生えたトウカイテイオー。
袋を担ぎ、柔和な笑みを浮かべる悪質な訪問販売。
恐らくチキンの販売だろう。
道頓堀に沈んでいそうな顔をしている。
そう。もうすぐクリスマス。
この浮かれ具合も無理はない。
カワカミプリンセスは、お買い物袋を肩に。
うきうきと商店街を歩いていた。
「おっ? プリンセスじゃん! 久しぶりだねー!」
おっと。目を血走らせた鬼に目をつけられた。
爽やかな挨拶に惑わされてはならぬ。
ヤツの湿り具合は、留まることを知らぬのだから。
ところで、曇らせはNGな方が多いが。
湿らせはOKだろうか。興味は尽きぬ。
「ウマ違いですわ」
「またまたー。
そんなクソ重そうな袋を担いでる5歳児。
プリンセス以外に居るわけないでしょ。
ネイチャ見てない? 隠すとためにならんぞ。
はちみー飲む? さっさと吐け」
韜晦して見せるが、すぐに看破される。
さすが。理性を倒壊させているだけの事はある。
まさにトウカイテイオーである。
悪い警官と良い警官。
尋問の必須テクニックを、単身にて巧みに使いこなしつつ。
久闊を叙し始める奇跡の加湿器。
まずいウマ物に掴まったものだ。
呪物的な意味で。
「お久しぶりですわ、テイオーさん。
はちみーは要りませんわ。
ウマ娘ポンプは大人のお仕事ですもの。
今回はネイチャさんは何を? ところで寒くありませんの?」
「はちみーの味を知らないとは子供だね。
ネイチャの所業は、子供に話すことじゃないかなぁ。
まったく。
折角リクエストに応えて、こっだ服まで、着てけるに。
ひどいダーリンはお仕置きだっちゃわいや」
バチバチと、違法改造されたスタンガンを手に。
やれやれと剥きだしの肩を竦める虎縞ビキニ。
方言も巧みに使いこなしている。
トーホクテイオーである。
なるほど。ミヤギ出身のキャラなのだな。
プリンセスは納得した。
枝豆由来のあんこが好きなのだろう。間違いない。
しかし、季節感の無い加湿器だ。
梅雨の時期にも、その電力を下げる事は無いと聞く。
きっと、愛の蜘蛛の巣には。
たくさんのシイタケが生えていることだろう。
「あちらの方で、幼女に声を掛けておりましたわ。
ところで、最近新しいモーテルがオープンしたらしいですわよ」
「ネイチャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
ずんだスタンガンときりたん包丁でっ!!!!!
半殺しズラァァァァァァァァァァァァァァ!!」
ズダダダダダダダ。
凄まじい勢いで、指した方向に向かうる星ウマ。
どうやらなまはげ要素も取り入れているらしい。
ちなみに、半殺しとは。
ニホンの一部地域において、おはぎの事を指す。
汚い帝王といえば裏路地。
躊躇いなく向かった。
どうやら誘導には成功したようだ。
「さて。ネイチャさん。行きましたわよ」
「助かったよプリンセス。やはり持つべきものは可愛い幼女だね」
「約束のブツ、お忘れ無きよう。
ところで、今回の梅雨前線の理由とは?」
ずるるるるる……
マンホールから這い出す、拘束具に満ち溢れた汚い帝王。
昨今の下水は、行政の不断の努力により、清潔である。
バビロンの時代より、幾星霜。
ついには悪臭を排除し、ご覧の通り。
ツインテールがいつも通り湿っているだけで。
地下を這いまわった彼女も。
元気で不審な姿を見せている。
でもぼったぼった言ってるから近寄らないで欲しい。
ぼた餅は先程のトーホクズンオーで十分。
愛する妖精に捧げる、略奪品が濡れたら困るのだ。
今年のクリスマスは、いつもより豪勢に。
ドトウ丸鶏をオーブンで焼いた、ローストチキン。
母はサイコパスだが、料理の腕は良い。
今からよだれが止まらない。
公威さんの秘密の薔薇園。
その存在を、旦那さんにリークするというお強請り。
男と男のラブソング。
幸せな家庭を崩しかけた甲斐があるというものだ。
『オレという者がありながらッ!』
旦那さんの悲痛な叫び。
チキンに掛ける、良いスパイスとなることだろう。
「いつも通り、テイオーとお散歩してたんだけどね。
ほら、鎖。プリンセスも引いてみる?
楽しいよ。あたしが」
「わたくしが引くのは、愛犬と、愛妖精のリードのみ。
そう三女神様に誓っておりますの。
お断りですわ」
「つれないねぇ。純愛は目に眩しいよ。
そんで、トウカイ電力がオーバーロードした原因だけど。
ドトウが新商品のウラーひよこを売っててね。
まったく。あんな胸をしておいて。
サンタコスだなんて、各方面に失礼だと思わない?
思わずツッコんじゃったよ。胸に。顔面から」
なるほど。
先程自身も目撃したが、メイショウドトウの企業努力が伺える。
でもヤギをトナカイ替わりに乗りこなすのは、動物虐待じゃないかしら。
プリンセスは、かわいそうな乗り物の姿を思い出した。
『メヘヘヘヘヘヘヘェェェェェェェェ!!!!!!!!!』
『がらがらどんッ! ステイですぅ!
さっきも大型トラックを廃車にしたばっかり!
これ以上の交通事故はごめんですぅ!
たぬ吉さん! にゃん太さん! 止めてぇ!』
問題なし。あのヤギの凄まじい威容。
覇王の気風すら感じさせた。
にゃんことぽんぽこも、処置なしとばかりに首を振り。
被害に遭った運転手も。
涙目のサンタの必死の上目遣いと、ロデオによる乳揺れに。
快く彼女を赦したらしい。
被害と言える被害は無い。
精々あると、するならば。
風俗店の呼び込みと、間違われる程度だろう。
そして振り回される彼女を見て。
牛乳を飲まなければ。
プリンセスは使命感を新たにした。
一日5リットルのママミルクがノルマだ。
愛する妖精は、母の胸と父のケツが、大層お気に入りなのである。
きっと自分の成長も悦んでくれるに違いない。
そう誓った自分が、数年後。
自らの性徴が、愛する妖精を自棄酒に走らせることを。
神ならぬ彼女に、知る由は無い。
「ところで、プリンセスは今日は一人?
あたしと新装開店セール行く? モーテルの」
やはりか。誘いを掛けて来た。
何故こやつを助けたのだ。わたくし。
いくら学生時代の妖精グッズに目が眩んだとはいえ。
隙あらば、またASMRを仕掛けてくるだろう。
恩を音速で忘れるその態度。
見習うべき所がある。
襲い掛かられれば、幼い自分だけでは。
初めてのおつかいの焼き直し。
頼りになる三人の両親も。
今日は忙しく、自分をストーキングしていない。
頼れる味方が居なければ。
マッドティーパーティーの開催は間違いない。
だが。問題は無い。
過保護どもが、自分一人での私掠に。
許可を出すはずもない。
頼れるお供がちゃんといるのだ。
「いいえ。頼もしいボディーガードが着いておりますの。
ねぇ、ナッちゃん。フユちゃん」
「ピヨッ!」
「ワンッ!」
コートの袷。
ふくらみかけの胸元から顔を覗かせる、彼ら。
頼れる味方だ。
そう。将来立派なプリンセスになるために。
既にマスコットは確保してあるのだ。
後は海戦担当だけである。
「……子犬と、ひよこ?
随分頼もしいボディーガードだね。
もしかして、あたしを舐めてるのかな。
そんなにペロられたいのかな?
姫は良い子だ。ネンネはコロリ、懇ろリ」
汚い帝王の囀りに、不穏な響きが混ざる。
やはり。与し易しと見たか。
狂言廻しを開始した。
だが、舐めているのはそちらである。
同じ手が、プリファイたるこの身に二度通じるなどと。
その増上慢を、そげぶする……!
「フユちゃん! ナッちゃん! ゴー!」
「わふっ!」
「ピヨォッ!」
「あはははは! 小動物に何が出来るのさっ!
この帝王を、無礼るなよっ!
何時でも何処でも絶好調ッ!
両手両足を封じられ!
挙げ句の果てに、重りを数十キロ程!
それぐらいはしてもらわないと!
そんなハンデを負わされぬ限り!
このネイチャに負けは無いっ!
やったぜ今日も、ホームランッ!
そんな状況に追い込まれる筈が……」
「もう既にその状況ですが」
じゃらじゃらと 音を奏でる 拘束具。
お前は既に、湿っている。
「Oh……日常過ぎて忘れてた。
痛い痛い! このひよこ、やたら急所を狙ってくる!?
あとこのわんこ、トイレトレーニングちゃんとした!?
さすがにガチケモは、あたしでも厳しい!
そこまで行くと、ガイドラインに反しちゃう!」
つんつんぴよぴよじょろろろろ。
好き勝手に弄ばれる汚い帝王。
完璧な勝利である。
フユウララは陸を往き。
ナツウララは空を舞う。
残念ながら、アキウララは未だ欠番。
代わりにフユウララの粗相にて、大海を表現した。
そう。我が頼れるマスコット。
量産型ウララシリーズである。
まずフユウララ。子犬。
妖精家出事件の翌日。
メイショウドトウが丹精込めて躾けていた、彼女。
母がそれを、貰い受けて来たのだ。
やはりポンコツは本物だったらしい。
正直あの時はちびりかけたが、まぁ問題ない。
利害は一致しているのだ。
嘘は吐かなかったこともあるし。
母はやる時はやルシファーだが。
あの程度で怯んでいては、妖精は手に入れられぬ。
フユウララは、トレーナーの気性を反映してか。
わりと大人しめのハスキーである。
だが、嬉ション癖がひどい。
恐らくメイショウドトウも……いや。
今は語るべき時ではない。
次にナツウララ。ひよこ。
桜の色をした、かわいいピヨピヨである。
彼女は自分の、夏休みの課題として生を受けた。
妖精観察にっきは、3歳と4歳の時に。
既にやってしまったのである。
天丼は一回まで。当然の事だ。
そのため、満を持して行った自由研究。それが。
『カッコウ被害鳥類に、新たな卵を暖めさせてみた』
絶賛を受け、学会への発表まで検討された。
とても学術的かつ、先進的なテーマであった。
健やかな寝息をたてる、ヘソ天妖精。
愛する彼女のおなかに、有精卵をそっと置く日々。
危うくおなかフェチになるところであった。
自分は妖精フェチ。
全身を、骨の随まで。余す所なく味わいたい。
そして、研究が始まって、しばらくして。
数度の夜を経た後に、彼女が誕生したのだ。
もはや妹と言っても過言ではあるまい。
妖精は、殻を破り、自らのおなかの上で。
ピヨピヨと鳴く彼女を寝ぼけ眼で認識すると。
すぐに飛び起き、物も言わずに子育てを開始した。
やはり、鳥類としての習性には逆らえなかったらしい。
そして、数ヶ月後。立派なひよこになった暁に。
プレゼントとして自分に逆輸入されたのだ。
プリンセス大勝利である。
卵から育てられたためか。
その性質は妖精と非常に似通っている。
鶏になる兆しはなく。
産まれた時から変わらぬ、愛らしい桜色の毛玉のまま。
生き汚さを感じさせる、荒んだおめめ。
みっしりと詰まった、羽毛の下の鍛え上げられた筋肉。
凶器たるそれを隠し持ちながら。
産まれたばかりのひよこと変わらぬ姿。
短い手羽先で、短時間の飛行すら可能。
プレゼントされた当日に。
フユウララにマウントを取り、配下と化す傲岸不遜。
自分の側を片時も離れぬ、絶対的な庇護欲。
妹というか、第3の母めいた貫禄すら感じさせる。
「ピヨッ!」
「わふぅ……」
今も、愛する娘を守護れた充足感に。
お出かけの際の定位置である、フユちゃんの頭をぺしぺしし。
こちらに戻り、自分の足元で誇らしげにピヨっている。
なんと頼もしいマスコットか。
愛する妖精も、あのような謎コンはすぐに手放し。
新たなマスコットを探すべき。心底思う。
まぁ、自分の事をエロい目で見なくなったのは。
評価してやらないこともない。
愛する妖精は、母性本能が非常に強い。
恐らく鳥類としての習性だろう。
自分と結ばれるのはもはや決定した未来ではあるが。
子供を欲しがった際には、妖精を一心不乱に愛し。
しかして独占を目論まない。
都合の良い、ヒト雄の協力が必要となるだろう。
今のヤツはまだ落第だが。
妖精のみを愛するようになれば、まぁ認めてやらんこともない。
設計中の、三世代型住宅に設置予定の犬小屋。
そこに棲み家を用意してやろうではないか。
姫君とは、寛容さも重要なのである。
考えていると、雁字搦めのミノムシの声。
「まさかね。思わぬ隠し球だねお姫様。
ウラーひよこのオリジナルとは。
幼児の護衛におすすめって、売り文句を聞いて。
内心バ鹿にしてたけど。
絶対売れるねあれ。間違いない。
あと、これ緩めてくれない?
まさかひよこに鎖を締め付けられるとは。
ネイチャさん、新たな性癖に目覚めそう」
「ウララちゃん、育てる喜びに再度目覚めたようでして。
今では量産態勢に入っておりますわ。
この子を見せた、ドトウちゃんも。
思わぬ商機に大喜びでしたもの。
まぁ、ナッちゃんほどのソルジャーには。
育つことはないとは、思いますが」
鎖を緩めつつ、談笑する。油断はしない。
ナッちゃんも、自らを弾丸と化す態勢を崩していない。
彼女の初速は、恐らく銃弾より速い。
詠唱を封じることも、容易であろう。
「フユちゃんもすごいのですわよ。
母が躾けていますが。
なんと、50km離れたウララちゃんのハンカチも。
余裕で嗅ぎ付けますわよ。
今、貴女の香りも覚えたようです」
「動物の調教って、そういうもんだっけ……
トイレトレーニングが先じゃない?」
「わたくしの護衛はもう完璧ですもの。
問題ありません。時にネイチャさん。
これ、物凄い重さですけれど。
よくこのまま、下水を泳げますわね」
「ああ。皇帝直伝・夜の覇道海戦編。
素破・テンコーの力だね。
師匠はもっとすごいよ。フジキセキと協力して。
水中大脱出からのトレーナー消失マジック。
師匠の旦那さんも大変だよね。
目覚めたらタキシードで、式場に居たらしいもん」
なるほど。ニンポ―とマジックの奇跡の融合か。
ならば得心が行く。
ちなみに素破(すっぱ)とは。
泥棒とニンジャの意味を持つ言葉である。
この場合、後者であろう。断じて狐ではない。
「皇帝、凄すぎますわね……ネイチャさんは?
トレーナーさんと、まだ続いているのでしょう?」
「あたしはまだいいかなぁ。
遠距離恋愛っていいよね。
成就確率16%は常人の話。
電話越しのASMRにより、彼はもうあたしの物さ。
テイオーを完堕ちさせてから、迎えに行くよ」
「今度、教えて頂いても?
もちろん無料とは言いませんわ。
王者式格闘術。あなたの子供に伝授しますわ。
あと、忠実なマスコットの作り方も」
「いいね。すごくいい。
対等な取引は大事だよ。もちろん契約を破れば。
お姫様、わかっているね?」
「ええもちろん。そもそも破りはしませんわ。
約束は大事。ウララちゃんも母も。
約束を破ったこと、ありませんもの。
もちろん嘘も。わたくしも同様です」
「妬けちゃうね。よし、契約成立だ。
弟子には尻以外、手を出さない。
これも師匠の教えさね。
よろしく、お姫様。
悪い魔法使いは、これよりあなたのしもべ。
夜の覇道。更なる発展を期待してるよ」
「よろしくお願い致します。師匠。
あとソフトタッチでお願いします。
あまり激しいと、ひよこが頭を貫きますわ」
「ピヨッ!」
「本当に貫きそうで怖いよね……
さすがはウララのひよこ版。
怖すぎて手が震えるよ。おっと」
「早速触ろうとしないでくださる?」
ズギュウン。
銃声ならぬ、ピヨ声は浮かれた空気を貫き。
汚い帝王は、新たな性癖に目覚めた。
ピヨ貫。かわいらしく、良い響きである。
新たなしもべを得た満足感。
取り敢えず、アキウララ(暫定版)と名付けよう。
海戦も可能なようであるし。丁度良い。
そう思っていると、計画性の高そうな。
そうでもないような、穏やかな声が掛けられる。
「もし。そちらの手遅れそうな方々。
もしや我が友、ファル子さんのお知り合いでは?」
「ばぶー。ふぁるー」
「なにッ!? その孤独なSilhouetteはっ!」
「赤子を抱いてる時点で、孤独じゃありませんわっ!」
「そりゃそうだっ! 久し振りだね。
……フラッシュ。ニホンに帰ってきたんだ」
「YES! アイ! マムッ!」
「ドイツ語でおk」
「また変態ですの……」
その通り。
つづかない