皆さま、よいお年を。これは煩悩を払うべく準備した。
私からの、ちょっとした除夜の鐘でございます。
~前回までのあらすじ~
その巧みな交渉術で。
鬼子母神を見事鎮めてみせた、謎のウマ娘。
ユキオーの怪獣への懐柔策に、驚嘆するハルウララ。
立場を利用して札束で殴る。まさに王者の交渉術である。
政界をも制圧可能な奥義に、やっと沈静化した大怪獣系ママ。
通常攻撃が性癖破壊でキレると産声で消滅させてくるオギャリ系お母さんは好きですか。
ラノベのタイトルのような、ジョーダンの塊が大人しくなったことに。
安心するも束の間。
猛禽類の、巣への帰還を促すユキオ―。
だがこの猛禽類。そんじょそこらの怪鳥とは訳が違う。
自由と桜の妖精をこよなく愛する彼女は、立場に縛られぬ会長なのだ。
瞬時にこれを固辞。だがこれは。虎児の穴を、ヘイラッシャイするが如き行為。
瞬時にオリキャラ特有の口調の曖昧さと、精神の不安定さを。
誠心誠意見せつけるユキオ―。
下剋上はしないけど自由は奪う。飼い主はわたしのもの。
お猫様のような女王様宣言をカマし。
傀儡政権を高らかに表明し、ジジイ使いとしての必殺(ジジイが)奥義。
老爺津波により、猛禽類を見事ジジイハザードしてのける。
孫娘ポジションを利し、制圧と爺質を同時に実現する奥義。
姥捨てについて知見の無い猛禽類に、これを回避する術は無かった。
そして、ほっこりするハルウララ。
達者で暮らせ。何回言ったかもう覚えてないけど。
だが、猛禽類のキャプテンっぽいヘルプミーが、状況をさらに混沌とさせる。
エセマヤノのコールに対し、わからせを誓うハルウララ。
オリキャラ同士の誰得交友関係の開示。
カイジとはまったく関係のないオリキャラ。
事態が混迷を極める中、鍵を握るはメジロカッキョウイーン。
ツバメの催眠魔手だけが、優しく頭をブレインウォッシュしていた。
「さて。状況を整理しようか。
アホ特有の慢心で。あのジョーダン兵器はホバリング。
動く気配はない。お約束だからね。
こっちが動くまであのままでしょ。それはそうと。
今日はクリスマスイヴ。まずはプリンセスの靴下にこけしを……」
「待てウララ。父として言わせてもらうが、サンタからこけしとは。
それでプリンセスが本当に喜ぶと思っているのか。
ミニスカサンタウララ。これこそが、勝利への道筋だろう」
「ミニスカウララちゃん。わかっておりますわねツバメ。
でもまだ、パパと呼ぶには未熟が過ぎますわよ?」
執拗に自分の頭を撫で続ける、ツバメからの苦言。
カッコウ被害鳥類には、雌雄が存在したのだ。
シングルベルは鳴り響かない。
だが、わかっておらぬ。
このツバメ、まだまだである。
やれやれと、手のひらに頭を擦りつけながら首を振る。
「ミニスカは腰が冷える」
「すまない。全面的に謝罪しよう。ウララ。
後でオイルマッサージをしてやろう。
ぽっかぽかな長ズボンで。思う存分煙突から不法侵入するといい」
「我が家に侵入するのは合法だ。勘違いするなよ」
「あの……ウララさん。よろしいでしょうか」
「何? ウマの家庭事情に、口を挟まないでくれる?」
振り返ると、黒幕のわりに、やたらと影が薄かった彼女。
エイシンフラッシュが困ったように、こちらを見ていた。
「うむ。ウララ先輩。謎コン。
今は、どうやってあの宇宙戦艦に不法侵入をキメるか。
これが焦点であろう。煙突などアレには無い。
空を飛ぶ手段も、このアフガンコウクウショー以外には無かろう。
ママが動けるなら話は変わってくるが……
ご覧の通りの有様である」
「あらあら。ユメガ・ヒロガリングスねぇ……♡
うふふ♡今度のスタジオは、どんなギミックを付けようかしら♡
プロデューサー♡ゴンドラとかどうかしら♡」
「よろしいかと。スタジオと式場。親和性は悪くは無い……
いや。マズいな。申し訳ありませんママ。却下です。
スタジオの面積的に、ジェットコースター形式のゴンドラになりましょう。
予算が三倍でも、面積も三倍とは限りませぬ。
ざっと構造を考えてみましたが。あの幼児どもの満足する速度。
それを実現するとすれば……AD。何か描くものを。うむ。
1.5倍だと、こう。仮に3倍だとしても、こうです」
手渡された木の枝を用いて。
地面に安全基準を無視した殺人コースターを描き出す。
スーツをおむつで膨らませた成人男性。
やはり、ただのイエスマンではクリークママの下僕は務まらぬ。
独裁者とは、時には苦言でもって支える者がいなければ。
理想社会実現前に、過労死してしまうものである。
「あら……ジェットコースター形式ゴンドラ。
幼児は喜びそうだけれど。安全性に欠けるわね。
しょうがない。ワイヤーアクション用の設備で我慢しましょうか。
ねぇワンちゃん♡ウララちゃんのピーターパン、見たいわよね♡」
「だぁー! ウラー!」
赤子をあやしつつ、己を飛ばそうとしてくる独裁ママ。
心無しか、ワンちゃんも満足げだ。
ワイヤーは腰以外に付けていただきたい。
というか、褐色ロリに抱えられて飛ぶのでは、駄目なのだろうか。
そのようなアクションを求められるのは。
少年をいつまで経っても卒業しない、某特殊部隊だけではないのか。
「取らぬたぬ吉さんの皮算用に夢中である。
マ魔王の助力は期待できまい。
むしろ、声を掛けたが最後。ママ堕ちさせられる恐れすらある。
なんか空すら飛べそうな。かの独裁者を、動かせぬとあれば。
似非メスガキをわからせるのは、些か困難では?
それとも、空を飛べる変態に心当たりが?
そのようなアホっぽいキャラ。寡聞にして心当たりがないが」
自らの存在を、大胆に否定する褐色ロリ。
力士はノーカン。そういうことなのだろうか。
だが、甘い。このバ鹿みたいな変態世界。
空でも飛ばねばやってられぬ事も多い。
「問題ないね。マックイーンちゃん。メジロ電器の加湿器どもの具合は?」
「我が社を勝手に名義変更しないでくださる?
今、ヘリオスさんに連絡を取りました。
愛弟子の醜態に、心を痛めていましたもの。彼女。
直にパリピ見習いと、巻き込み事故でワセリン多めの見せ筋。
それぐらいは連れてきてくれるでしょう」
「よろしい。スズカさん。足の具合は?」
「スぺちゃんのもちもちほっぺで、だいぶ暖まってきたわ。
北海道の厳しい寒さ。最初はあまりの寒さに、つい走り出しちゃって。
屯田作業に勤しんでいたけれど。スぺちゃん懐炉はすごいわね。
ふとももだけは。いつでもほっかほかよ。むしろ現役時代より調子がいいわ。
さらに暖かいここならなおさら。最速の機能美、魅せてあげるわ」
「非常に結構。プリンセス。牛に連絡を。
カスタマーに、迷惑をかけるから。謝罪行脚の準備をさせておいて」
「ウララちゃん。自分で謝りに行く気はありませんのね。
そこに痺れて憧れますわ。ナッちゃん。頑張ってきてくださいまし」
「ぴよっ!」
「よしよし。かわいいヤツめ。ミミズか? ミミズが欲しいのか?
三匹か? 四匹か? 「ぴよっ!」……十匹! いやしんぼめ!
ヨーシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシ!!」
ポケットからミミズを取り出し与える。
いい食いっぷりだ。明らかに己の体積以上の量を喰らうひよこ。
きっと、立派な怪鳥になってくれるに違いない。
「ウララ。ひよこの餌は穀物では……」
「トレーナー。この子はそんじょそこらのひよことは違うんだよ。
かわいい我が子だもの。常に最高級のミミズを与えないと」
「肉食系ひよこ……ウララも肉食系だものな。そういうこともあるか」
我が家の食育に、疑義を呈するも。
自分の母としての貫禄に、瞬時に納得するツバメ。
さすが、わかっておる喃。
伊達に毎度。クッソ高い、高級牛肉を奢らされてはいないということだ。
キングちゃんのシチューは大好きだが。
このハルウララ。Tボーンステーキも大好物である。
「……なんとなく展開が読めてきたが。
マックイーン先輩、白マックであったか……?
アレ、そんなに飛べたっけ。
今着てるの、ダサいジャージだし。
それとスズカ先輩。
いくら走っても空にはたどり着かんぞ。
海の上ぐらいは走りそうな気合であるが。
あとひよこ。ひよこって。にわとりでも難しいのでは?」
「心配は無用ですわ。貴顕のおしぼり代を取り戻すべく。
見てから昇竜余裕ですわ」
「先頭の景色と、スぺちゃんのおなかは、譲らない……!」
「ぴよっ!」
それぞれ気勢を上げる、頼れるクズどもとかわいい我が子。
我が子を除き、こやつらの。
理性と常識の飛行性能だけには、信用が置ける。
頼もしい姿だ。さて、編成は……
「ウララ。本当に行くのか……?」
「どうした急に」
ツバメの今さらな疑問。
思わずますおになりつつ問いかえす。
「……正直、オレは反対だ。
ウララが危険を冒す必要はない。
いいではないか。
ファルコンは三食昼寝・ロリ付きの贅沢な生活。
オレはライバルが減る。ウララはオレと幸せな新婚生活。
誰が不幸になるというのか。
ウララ。オレは先程、遂に理解した。
マ魔王の産声の中で。オレも新生を果たしたのだ。
もはやアフちゃんも興味が無い。
お前しか目に映らぬ。
オレの世界の全て。愛しき我が愛バよ。
もし、オレを置いてあの宇宙戦艦に向かうというのなら……
オレの屍を超えて行けっ!
さぁ! トレーナーとウマ娘!
時にはぶつかり合うのも必要というもの!
オレが勝ったら! 今度こそ同棲してもらうぞ!
……いいや! それではもう我慢できぬ!
そのまま幸せなキスをして、この連載を終了させてくれるッ!
そろそろ読者も飽きてきた頃だろうしなッ!」
急遽の発狂を果たし、メタ発言をカマすツバメ。
なんということだ。幸せなキスだと。
正直興味はあるが。
キスについてはガイドライン上、まだ議論の最中。
連載が強制終了させられる恐れがある。
そんなことは、認められぬ。
だって。まだ。
「ファーストキスは、結婚式で。
万雷の拍手の中で……!
言ったよねトレーナー……!
私の夢を……!」
およめさんになっていないのだから……!
「メルヘン過ぎるのだ……!
お預けが過ぎるぞ、ウララ……!
パイタッチすら許されぬ!
このような現状に、オレは一石を投じる!
今、叛逆の時……!」
ツバメ……いや。もう認めてやろう。
性徴したな、我がトレーナーよ。
お互い慎重に。
バックステッポで距離を取り、にらみ合う。
ヒト息子がウマ娘に勝てるわけがない。
そのような常識、通じぬと考えた方が良い。
あの自信に満ちた顔。
何か秘策があるに違いない。
「私たちは、何を見せられているのか……」
「私も、そろそろ結婚するべきですわね……」
「というかウララさん、メルヘン処女すぎませんか?
ドイツではキスなど、挨拶ですよ。
そう言って、私はトレーナーを堕としました」
「スぺちゃん。帰ったらちゅっちゅしましょう? もちろん比喩表現よ」
「もちろんです、スズカさん!」
「ウララちゃんの唇は、わたくしの物ですわっ!」
「あらあら♡青春でちゅねー、ワンちゃん♡」
「うらー! ちゅー!」
うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り。
気を取られたが最後。
一気にイニシアティブを握られかねぬ。
「……は………………師……
……は愛……門……ベ……術師……」
トレーナーは顔を伏せつつ、何事かを呟いている。
なんだ。何の詠唱か。
イケボはもっと近くで聞きたい。
警戒を高めつつ、接近する……!
高まる戦闘のリズム。
闘いのゴングを鳴らせ。
これは、聖戦である。
さぁ。愛しき我が大敵よ。
この桜色の勇者を。
倒せるものなら、結婚してみせるがいい……!
そして、トレーナーの手から零れる。鈍い銅の輝き。
五円玉、だとッ……!?
驚愕に目を見開きつつ。そのまま彼の懐に……
「オレはッ! 愛バッ!! 専門ッ!!! ドスケベ催眠術師ッ!!!!
自己催眠ッ! ここに完了ッ!! 喰らうがいいウララ!!!
我が愛のッ! 全てをここにッ!!
泰山の奥深くッ! 幽玄の霧の中オラつく!! ちん〇ん亭仙人より学んだ!!!
お前のトレーナーたるこの身に刻んだ、最終奥義ッ!
味わい尽くしてガイドラインに抵触しない程度にえっちになれ……!
オラッ♡♡♡催眠ッ♡♡♡」
「アホか」
ウマパンチをキメた。
「ガッシ! ボカッ!」トレーナーは倒れた。スイーツ(笑)
「ぐはっ……! な、何故だ……!
オレの催眠は完璧だったはず……!
何故恋空される……!?
オレの愛が、通じぬはずが……!」
「トレーナー。てめーの敗因は、たったひとつだ。
てめーはウララちゃんをガチ恋させた」
そう。催眠は効果を発揮していた。
だが。描写せぬ限りは問題ない。
このハルウララ。既に発情状態である。
三十路独身ウマ娘の性欲。
舐めてはいけない。
いつだって。恋する乙女は、無敵なのだ。
つづかない