存分に試されておりました。
途中に入る、感情表現。
筆者自身が、そのような感じになりました。
~前回までのあらすじ~
闇に蠢く黒い影。
宇宙戦艦の中核にて。
6人のジジイは、頭を抱えていた。
ネタ切れだ。
初手最大戦力を出したため。
順当に。各個撃破されてしまったのだ。
戦力の逐次投入は、愚策である。
先頭栗毛の暴走も、彼らの頭を悩ませていた。
相手は頭を一切使っていないのだが。頭突き以外。
足止めすらままならぬ。
そして、謝罪を検討するも。
彼女をよく知るサングラス。
やっても無駄だと、すげなく告げる。
憤るジジイども。
追求される、落ち度にも。
どこ吹く風の、元暴帝担当トレーナー。
六平 銀次郎はこう言った。
ユキオーを、育てるためだと。
真意を悟り、納得するジジイども。
おろおろと。理解ができぬ、担当バ。
彼の狙いは、己らの。
背中で彼女を、突き落とし。
一人で生きていける力。
これを、与えること。
ユキオーは、涙を呑み。
彼らに戦争の火種を。罪悪感無く投入した。
筆者はちなみに……おっと。誰か来たようだ。
艦内を進む一行。
結局、案内板は見つからなかったため。
出会う老人どもに、サインを与えながらの進軍。
ファンサービスを重視した結果だ。
とりあえず、歩いてりゃいつかは着く。
ウマ娘は、いつだって。
自らの足で進むのだ。どっか適当なところに。
また一つ、棒倒しにて。
適当に決めた方向に進む時。
違和感に気づく、ハルウララ。
「……全員とまれ。薄汚い殺気が。
ぷんぷんしてきたよ」
「やれやれ、勘の良いウマ娘は好きじゃが。
こと今回に限っては、嫌いじゃよ。
……燦三郎。四朗。五右衛門。
奇襲は失敗。プランBで行くぞい」
「プランBって。なんじゃったっけ」
「知らぬ。横文字はどうも苦手でのう……」
「おいおいジジイども。忘れちゃならねぇ。
お歌の時間。そうだろう? 灰二の旦那」
「お前ら全員、不正解。真向勝負だと言ったじゃろ」
「「「いや、言っとらんじゃろ。ボケたかジジイ」」」
ハルウララは唸った。
ジジイどもの、狙いが読めぬ。
こやつら、既に曖昧な状態である。
これは面白くなってきた。
「墓穴に。首まで埋まった老人が。
このハルウララの、覇道に立ちふさがるとは。
さっさと、食糧庫の場所を自白して。
速やかに。腰を労りつつ、失せることだね」
「おぬしらなにしに来たの?」
高峰 灰二は唸った。
このウマ娘、目的が読めぬ。
我らに落とし前を。そのために来たのでは。
しかも腰まで、気遣ってきた。
何か。重大な齟齬が、あるような気がする。
「……暴帝。何が目的じゃ」
「知れたこと。分不相応な、ラグジュアリー。
一切合切奪いつくし。勝利の美酒で、杯を満たし。
タダ酒に。思う存分、酔いしれることだよ」
「おぬしら、海賊だったっけ?」
「かわいいウマ娘に決まってるでしょ」
「……食糧庫、あっち。
うしろの2本のイカゲソの。
まんなかのトサカの下のウロコの右じゃ」
「トレーナー。地図」
「うむ。……ここだな。
この位置で合っているか? ご老体」
「うむ。そこじゃ。案内板は、音声認識で出る。
合言葉は、ファルファルファル子じゃ」
「誰の趣味だ。それは」
「ユキオーちゃんじゃよ。当然じゃろ」
「そうか……ありがとう。
腰を大事にね」
去っていく、ハルウララご一行。
「いいのかい? 灰二の旦那」
「いいぞい。たぶん勝手に。
酔っぱらって、絶不調になってくれるじゃろ」
「なるほど。銀次郎の情報によると。
ハルウララは、安酒を好んで飲む。
貧乏性が、染みついておるとな。
急な高級酒は、脳にキくじゃろう。
さすがの神算鬼謀の灰二。そう呼ばれた男じゃ」
「ふふ。よせやい。ケツが痒くなるじゃろ」
「さて、それではユキオーちゃんを。
愛でて、小遣いを与える仕事。
我らの本業に、戻るとしようか」
「賛成じゃ。やはりあれでお別れは。
少し足りぬと、思うてたところよ」
ジジイどもも、のそのそと。
かわいい愛バの元へ向かう。
誰も不幸にならぬ、優しい世界であった。
「おめぇら、堂々とした不法侵入だなあ!
オラ、ワクワクしてきたぞ!」
「ゴクウこそ。その、一切の警備を放棄した。
勝手気儘な番人ぶりに、わたしも感心したよ」
「なるほど。熱心に働くアリが多いと。
感心しておりましたが。
ここに居たのですね。怠けるアリ」
「そんなにほめられっと、照れるなぁ!」
ノーダメージ。
サインを十枚ほど生産しつつ、辿り着いた場所。
空き缶と、空き瓶が転がる中央に。
ケツをかきながら、座る男。
食糧庫の番人は、もう出来上がっていた。
ゴクウはMUJAKIな無駄飯喰らい。
これには、三蔵法師もニッコリだろう。
「まずは駆けつけ一杯、二杯、三倍海王献杯!」
嬉しげに、職務を放棄する彼。
ゴクウに注がれた、黄金色の液体。
喉に流し込み。その滑らかさに息を飲む。
これが、これこそが……!
「これが高級酒の味……」
「ウララ。それは発泡酒だ」
「さすがは、以前行われた。
G1ウマ娘、格付けチェック。
最初の数問で真っ先に。
音速で映らなくなった、ウララさん。
納得のバ鹿舌ですわね」
「あれはおかゆが悪い。
良いんだよ。酒なんて、喉元過ぎて。
酔っぱらえればオッケー。
ところで、高いのはどれ?」
「これだな。ボルドーグラスは……
ありがとう。ゴクウ氏」
トレーナーにお酌させ、今度こそ。
ぐいと飲み干す、命の水。
なるほど、これは。
「よくわからん」
「ウララ。一気に飲んではいけない。
まずはそのままの薫りを。
次にグラスを手で暖め、広がる薫香を楽しむ。
薫りの次は、いよいよ味だ。
そっと傾け、少しだけ口に。
舌の上で転がして、そっと喉に流し込み。
馥郁たる余韻に浸るものだ。
少し待て、デキャントを……」
「うるせぇ。瓶ごと寄越せ」
「そこに惚れた。好きに飲むといい」
トレーナーより、瓶を手渡され。
ラッパ飲みにて、豪快に楽しむ。
うむ。やはり。
「やっぱよくわかんねーな」
「まぁ、値段とか気にせず。
楽しんで飲めば、いいのではないか」
「ウィスキーの方が、向いていると思いますわ」
そのまま、次の瓶を差し出してくるトレーナー。
よく出来た配下だ。
花の愛で方。それを解っている。
このハルウララ。
心の広さには、自信があるが。
一つだけ、赦せぬことがある。
花の咲き方に、注文をつけられることだ。
己は、全てを魅了する。
満開の桜花絢爛である。
猛禽類や、ユキオーとやらの粗相など。
無粋な花見客に比べれば。
シバきはするが、可愛いものである。
酒は、細かい事など考えず。
好きに飲むのが一番だ。
ウィスキーを頂く。
がぶ飲みする。
スモーキーな薫りが広がる。
チェイサーとして、最高級ワイン。
鼻から抜ける、芳しい薫りに。
目を細め、吐息を吐く。
花はきままに咲き誇る。
ウマ娘という、花。
観衆という名の、花見客。
存分に、我らを。
勝手気儘に、愛でるがいい。
だが、咲き方に。文句をつけてはならぬ。
ウマ娘は、盆栽では無いのだ。
在りし日の、菊花の冠。
三冠目を、サイボーグ栗毛から奪取したおかゆ。
憤る観衆どもに、告げた理事長の言葉。
『笑止ッ! 勝者を批判する権利などッ!
敗者にすら無いッ! 誇り高き冠の価値ッ!
穢すことなど、例えURAが許しても!
トレセン学園は、決して赦さんッ!』
幼き身にして、高らかに。
真理を告げる理事長。
感涙したおかゆは、その後。
凄まじいまでの。合法さを以て。
批判した者どもに、地獄を見せていたものだ。
その点、こやつは合格である。
トレーナーを見つつ思う。
花の愛で方を、知っている。
寿司の食い方。そばの手繰り方。
以前、食事に同席したURAの高官どもに。
訳知り顔で、正しいやり方とやらを強要された際。
己は、広い心で以て。
正しい花の楽しみ方を、教えてやったのだ。
今ではやつらも、立派なザギンの職人である。
こやつは違う。そのままの自分を愛でている。
花の命は短くて。
己はもう、満開を過ぎた。
だが。
こやつならば、枯れた後。
焼け落ちた、己の遺灰すらも。
愛でて、酒杯を傾けて。
そっと涙を零すだろう。
上機嫌で告げる。
「うん、いいね。他の酒も行ってみよう」
「これ、一本百万とかでは無かったか……?」
「猛禽類の金だ。わたしの懐は痛まん」
「さすがのウララニズム。
エルも、このぐらい自儘に。
私を愛玩してくれると良いのだが」
「お前、どこまで行こうとしてんの?」
既に相当アカン具合まで。
調教され尽くしている筈だが。
こやつ、どのような花を。
淫らに咲かせようと、しているのか。
嬉々として。カニバまで行きかねぬ。
三十路独身怪鳥の、獄中死は近い。
ウマ娘警察は、普段は軽い拷問で済ませるが。
リョナの段階に踏みいると。
凄まじい勢いで、下手人をリョナるためだ。
コンプライアンスを遵守し。
世界の崩壊を防ぐため。
彼女たちは、容赦やウマの心を。
容易く彼方に放り投げる。
ハンムラビ法典を、準用しているらしい。
「アフちゃんの大望成就と、怪鳥の暗い未来に!」
「「「「乾杯!!」」」」
「ぴよっ!」
そして始まる酒盛り。
酒には出し物が必須である。
トレーナーの、ケツ踊り。
アフちゃんの、メイド南京玉すだれ。
マックイーンとゴクウの。
限界バトルは描写できぬ。
版権的に、ギリギリなためだ。
ゴクウの出身は、花果山である。
決して野菜星ではない。
一方、その頃。
「でね。その時会長がね?」
「うむうむ。ユキオーちゃん。
やはり、会長の話をする時が。
一番愛らしい笑顔を、魅せてくれるのう」
「やはり、オレァ間違っちゃ居なかった。
百合こそが至高」
「黙れ、燦三郎。
次にワシの前で、百合好きを僭称してみろ。
その首。胴体から脱出マジックさせてくれよう」
「オレ、なんか悪いことしちゃいました?」
「やはりこやつ、なろう系……!」
和やかな歓談。
そこに入る、無粋な通信。
『おいお前ら。いつまで経っても来ねぇんだけど。
ウララたちはどうした?』
「おお、銀次郎。奴らなら、今頃酒盛り中。
あと三時間も待てば、寝こけるじゃろう。
そうなれば、勝利は容易いぞい」
『酒だとっ!? バ鹿野郎ッ!』
「なんじゃ。あやつらは、ひよこを除き。
だいたいは、とっくの昔に成人済み。
コンプライアンスは完全遵守。
責められる謂われは無いぞい」
「どったの六おじいちゃん? そンなに焦って。
あっちが勝手に絶不調になってくれるンだよ?
もう血管脆いんだから。気をつけてね」
血相を変える、通信モニタに映る。
ハルウララの、元トレーナー。
一同は、首を傾げた。
何の問題があるというのか。
『お前らは、アイツの酒癖の悪さを知らねぇ!
アイツは、怒り上戸だッ!』
「シャンパンタワー、入りましたァッ!」
「全ての人バに、ありがとう!」
「いいウマ乗ってんね!」
「ぐいぐい良し来い! ばんばんドス恋!」
「もっと頂戴! いっぱい来い!」
「ババっと一発、重バ場!」
シャンパンコールは高らかに。
バ場は、十分温まった。
そして、いよいよ真打ちの。
実力をまさに、魅せる時。
「四番バッター! ハルウララ!
ポールダンスにて仕るッ!」
「脱げっ! 脱げッ……!」
「こやつ、本気過ぎる」
「脱げるわけがないでしょう。
コンプライアンス的な意味で。
大人しく。座ってシャンパン!
呷ってパンジャン!
ごちそうさまが! 聞こえない!
はしたなくってよ、ツバメさん!」
「このゲーミングお嬢様。
ホストクラブ通いの疑いが」
「オレをツバメと呼ぶな」
流れる、オリーブオイルの首飾り。
著作権は、未だ失効していないためだ。
ゴクウより拝借した、如意棒を用いた。
とびっきりの、淫らの具現。
「良いぞウララッ! オレは今! 猛烈にッ!
感動しているッ……! なんたるセクシー!
キュートかつ大胆な腰使いッ!
オレの如意棒もマックスハートッ!」
トレーナーのアツいコール。
いいぞ。もっと声援を。
家で披露した時より。
高まる熱気。
偏執的な、コール。
わたしが、一番セクシィ!
もはやゼクシィなど、買う必要も……!
ハルウララが、ノリノリで。
ポーズをキメた、まさにその時。
ブチ破られる壁。
ひょっこり穴から、顔を出す。
元気そうな栗毛と、ぐったりした黒鹿毛。
告げられる言葉。
「うーん。ここ結構広いわね。
わりと、満足したわ。
あら。お遊戯会かしら。
相変わらずウララさん、お色気ゼロよね」
「く、栗毛はいつか……絶滅……ガクッ」
背中の荷物をゆすりつつ。
うふふ、とMUJAKIなツルペタ栗毛。
「おめー、気が合うなぁ!
オラの五歳の娘! ゴパンって言うんだけどよ!
アイツより、色気がねぇと思ってたんだ!」
「何を言う! ウララのセクシーポーズに対して!」
「ぴよっ!」
トレーナーと、愛する我が子の反論も虚しく。
「年増の色気が出ておらぬ」
「当家のババアのポールダンスよりは。
ちょっとばかり、マシでしたわよ?」
釣られた愚か者の、量産体制。
なるほど。
「……トレーナー。
おさわりを許す。腰を。
ナッちゃん、こっちへ」
「うむ。役得。
色気の大放出。疲れただろう」
「ぴよっ」
罪無き者のみ。生きることを赦す。
選別はもう終わっている。
彼女はにっこりと、微笑み。
次の瞬間。
枯れ果てる、表情と髪色。
ヒトもウマも。
怒りが限度を超え尽くすと。
最初に笑い、続いて表情を失う。
激しい怒りと悲しみにより。
ハルウララは覚醒した。
覚醒イベントは、お約束である。
もはや庭園も必要ない。
瞬時にバ鹿を、わからせる力。
部分顕現にて、最大威力。
自らを赫怒させるアホが。
三人を超える時。
発動する、新たなる力。
皇帝は、雷鳴にて。
暴帝は、桜吹雪にて。
衆生にその、真意を悟らせる。
「汝、暴帝の
如意棒を核とし、咲き誇る。
先程よりも、色鮮やかな桜花繚乱。
それは、バ鹿どもを床に押し潰し。
直線上の、部屋に居た。
ジジイ四人を、巻添えにした。
ユキオーは、奇跡的に無事であった。
高峯 灰二。
北 燦三郎。
甘草 四朗。
市川 五右衛門。
ジジイども 雑な感じで
つづかない