ハルウララさんじゅういっさい   作:デイジー亭

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 さぁさぁ。もうすぐ第2部も終わり。たぶん。
 そして! またもや! んこにゃ様(@Nkonya0529)より、拙作のかわいいウララちゃんのファンアートを頂く神展開!

 
【挿絵表示】


 かわいい(確信)

 とってもかわいいウララちゃんを、これからもよろしくお願いいたします!


ファル子さんじゅういっさい そのさんじゅう 悪夢のゲーム

~前回までのあらすじ~

 

 怪鳥との絆により、目覚めた力。

 

 開帳された、アフちゃんの。

 

 新たな領域、雲竜型。

 

 褐色ロリは、静かに敵手に問う。

 

 ところで、こいつをどう思う。

 

 白髪ロリの、アンサー。

 

 すごく……わかりません。

 

 どうでも良いと、指を差し。

 

 次の瞬間、宙を舞い。

 

 タイトスカートを、抑えるユキオー。

 

 自然主義で、あるためだ。

 

 そして、地面に堕ちたる彼女。

 

 ドヤる敵手に、解説おねだり。

 

 わからなかったらウマに聞く。

 

 社会人になっても、とても重要である。

 

 ノリノリで、解説するアフちゃん。

 

 大分、頭が悪いためだ。

 

 そして、ちょいと口を滑らせた白髪。

 

 激昂した、褐色ロリ。

 

 やきうのおウマさんを利し。

 

 愛する彼女へと。駆け寄るユキオー。

 

 そして、魔法が解ける時間。

 

 おじさんに、涙の別れを告げ。

 

 契約更新。新たな魔法が、掛けられる。

 

 リバーシブル・戦国大名シンデレラ。

 

 ガラスの靴も、草履ももはや過去の遺物。

 

 おじさんと、ノーパンからの卒業である。

 

 

 

 

 

 

 「おいジジイ。オレを騙したのか?

 あのロリ、飛ばないぞ。

 どう見ても、トリじゃないだろ」

 

 「いやぁ。ちょっと夢見がちな。

 普通のウマ娘だと、思ってたんだがな」

 

 

 

 さすがに、異例が続けば。

 

 心が、大海のように広い自分とて。

 

 苦言を呈さざるを、得ない。

 

 トレーナーは、ジジイに問いただすこととした。

 

 

 

 「夢見がちとは?」

 

 「脳内のおじさんとやらと。

 喋る時が、稀によくある」

 

 「なるほど。不思議ちゃんなら。

 何があっても不思議ではない。

 そういうことだな?」

 

 「まぁ。そういうことにしておこう。

 俺も正直、よくわかってねぇ。

 ウマソウルってのはな。

 まだまだ、ヒトの理解を超えてやがる」

 

 「ウマソウルって凄い」

 

 

 

 リキシソウルと、トネガワソウル。

 

 不思議に満ちた、異世界ソウルである。

 

 

 

 「さて。待たせたね? 先輩」

 

 「マジで待ったのである。

 私が待てが得意な、優秀なメイドでなくば。

 今頃、わんわんしてるところである」

 

 「犬か駄犬か。はっきりしてくンない?」

 

 「わんわん」

 

 「やはり」

 

 

 

 話術で時間を、稼ぎつつ。

 

 ゆっくりと、新たな力を確認する。

 

 

 

 「ファル子さんッ! 私の話を……!」

 

 「フラッシュちゃんと話す事なんて。

 ファル子、何一つ。無いよ」

 

 

 

 エイシンフラッシュの、悲痛な声。

 

 無駄だ。会長は、呪いから完全に脱した。

 

 毎日の、晩酌後。

 

 寝入った彼女へ、あまあま解呪ASMR奉仕。

 

 会長の心の中の、お前のポジション。

 

 このトネガワユキオーが、埋め尽くした。

 

 もはや、声など届く筈も無い。

 

 命を惜しみ、ドイツまで逃亡するなど。

 

 退くべきところは、退くが(つわもの)

 

 だが、それで貴様は。

 

 最も大事な者を失った……!

 

 

 

 「こうなれば……! ウララさん!

 バナナ……Oh……寝てました」

 

 「ウララちゃんには、興味津々かなぁ」

 

 

 

 正妻には、興味あり。

 

 あの桜色は、キャラの濃さは。勿論の事。

 

 常に、番組で共演していたため。

 

 我が奉仕では、居場所を奪えなかった。

 

 だが、まぁいい。

 

 ナンバーワンなど、似合わない。

 

 この身は、奉仕するもの。

 

 第二正妻として。雑に愛されるが本望。

 

 何故ならば。

 

 この身は、彼の敗者の魂。

 

 トネガワソウルを、継いでいる。

 

 自分は常に。ナンバー2狙い……!

 

 

 

 「おじさんは、心の中にッ!」

 

 「プレイッ!」

 

 「スタートの景色も、譲らないッ!」

 

 

 

 自分の準備が、整ったことを。

 

 敏感に、察したのだろう。

 

 先ほどの、タイムで。

 

 完全にやきう脳になった、葦毛の合図。

 

 反射的に、何処かへ走り出す栗毛。

 

 

 

 「ええ……」

 

 

 

 こやつら、マジで何なの。

 

 頭を抱える。

 

 

 

 「だ、大丈夫であるか? ユキオー」

 

 

 

 心配そうな、褐色ロリの声。

 

 バ鹿め。まんまと騙されおった。

 

 でも、お友達としては。とても良いウマ。

 

 ユキオー、優しいウマは大好き。

 

 戦いが終わったら、仲直りしなきゃ。

 

 思いつつ、ほくそ笑む。

 

 

 

 この、頭を抱える格好こそ。

 

 利根川幸雄の、お決まりのポーズ。

 

 これこそが。我がルーティン……!

 

 

 

 「ぬぅぅ……!」

 

 魂が、熱くなる。

 

 おじさんは、この魂に完全に馴染んだ。

 

 心象風景に、堕ちていく。

 

 

 

 洋上の豪華客船。違う。

 

 チームトネガワ。違う。

 

 

 

 領域は、ソウルの見た夢。

 

 夢は、一つとは限らない。

 

 だが、核心となる。

 

 最も、強き心象風景。

 

 それは、たった一つだけ。

 

 さらに潜航していく。

 

 おじさんが、抱えていた闇の中へ。

 

 

 

 高層ビルと、鉄骨。違う。

 

 エビロォォォォォォッル! 海老谷貴様。

 

 

 

 危ない。一番手の掛かった、部下の顔。

 

 海老ロールを、顕現させるところであった。

 

 さすがに、赤座海老では勝負に勝てぬ。

 

 借金を背負うのが、関の山。

 

 

 

 恐らく。誤った心象を具現してしまえば。

 

 次に魂を、震わせるまで。

 

 その心象だけでの、戦いを強いられる。

 

 会長に、無様な姿を魅せるなど。

 

 彼女が許しても、このトネガワユキオー。

 

 自分自身が、許せぬのだ。

 

 

 

 

 さらに、深度を深める。

 

 魂が告げる。ここだと。

 

 前世における、会長の笑顔。

 

 耳当てをつけた、ヤツの……!

 

 

 

 「これだッ!」

 

 

 

 そして。見つけた。

 

 スターサイドビル内部。

 

 十枚のカード。

 

 これだ。これこそが。

 

 我が、真なる武器……!

 

 

 

 「フォーリンダウン! 『失脚へのカウントダウン(Eカード)』!」

 

 「ぬぅッ!?」

 

 

 

 心象風景から浮かび上がり。

 

 顕現させるは、皇帝と市民。

 

 握られる、二種のカード。

 

 手首に巻かれる、精緻な時計。

 

 

 

 「これは……!?」

 

 駄犬メイドの手には、奴隷と市民。

 

 ウマ耳には、お洒落なアクセサリ。

 

 

 

 「なんであるかッ!?」

 

 「Eカード。あンたを地獄に堕とすッ!

 わたしの新たなる力ッ!」

 

 「どんなルールッ!?」

 

 「皇帝が強いッ!」

 

 「無いんだけどッ!?」

 

 「質問すればッ!

 答えが返ってくるのが、当たり前か……?

 バ鹿がっ! 大人は質問に答えたりしないッ!

 それが基本だッ!」

 

 「理不尽!」

 

 

 

 一喝する。

 

 道理の分からぬ、先輩である。

 

 ウマは、平等ではない。

 

 会長が教えてくれた、真実。

 

 味わい尽くして、地に堕ちろ。

 

 さぁ! 闇のゲームの、始まりだ……!

 

 

 

 「デュエル・スタンバイッ!」

 

 「ルールが分からぬッ!」

 

 「甘いぞ凡骨ッ! わたしのターン!

 皇帝を、攻撃表示で場にッ!」

 

 「わ、私は市民を防御表示!」

 

 

 

 バ鹿め。乗ってきおった。

 

 応じなければ、命を永らえたものを。

 

 

 

 「あンたは、高級羽毛布団!

 それに、埋め尽くされるタイプッ!

 皇帝ッ! 滅びのバースト王権神授ッ!」

 

 「なん……だと……!?」

 

 

 

 そして。

 

 

 

 「「……」」

 

 「何も起こらないんかいっ!」

 

 

 

 スパパァン、と。

 

 両者の頭上に、振り下ろされる。

 

 ゾーリンゲン製ハリセン。

 

 ドイツ仕込みの、ツッコミ。

 

 エイシンスラッシュである。

 

 

 

 「「いったぁぁぁぁぁいッ!」」

 

 「……」

 

 

 

 頭を抑え、転げ回るロリども。

 

 エイシンフラッシュは、慎重に。

 

 スマートファルコンの、顔色を伺った。

 

 口の端が、微かにひくついている。

 

 やはり。

 

 

 

 (お笑いのソウルを。失ってはいない……!)

 

 

 

 まだ、目はある。

 

 この身に、リアクション芸人の適性。

 

 それは、皆無である。

 

 クールビューティだからだ。

 

 

 

 (ですが……! 修行で身につけた、この力ならッ!)

 

 そう。ツッコミならば。

 

 彼女を、喜ばせてやれる……!

 

 今までは、温存していたが。

 

 まさに、成果を魅せる時ッ!

 

 

 

 「ファル子さんッ! 目を覚ましてッ!」

 

 「フラッシュちゃん。芸が楽しめないから。

 ちょっと黙ってもらっていい?」

 

 「はい」

 

 

 

 やはり。リアクション芸が大好物。

 

 ロリアクションに、ご執心のようだ。

 

 映画も喜劇も、客がうるさすぎるのは、禁物。

 

 感激しすぎた絶叫で。観劇し損ねるなど。

 

 あってはならない、状況である。

 

 エイシンフラッシュは、機会を伺うこととした。

 

 大人しく、下がってロリどもの。

 

 戦いを、後方師匠面で見守る。

 

 

 

 「おじさァン!? これ、使えないンだけどッ!」

 

 「おじさんって、誰であるッ!?」

 

 

 

 ちょっと掛かり気味な、ユキオー。

 

 もう居ない、おじさんに苦情を申し立て。

 

 返答の無い虚無感に、肩を落とし。

 

 次いで腕時計に、目を落とす。

 

 

 「ン……?」

 

 文字盤には、時刻以外に見慣れぬ数値。

 

 そして、波打つ何かの線。

 

 これは。もしや……?

 

 

 

 「先輩。パンツ丸出し」

 

 「はいてないのである」

 

 

 

 波形に、変化なし。

 

 

 

 「先輩。後方から栗毛が」

 

 「そんなベタな嘘。騙されないのであるぅおお危なッ!?」

 

 

 

 超特急で、褐色ロリを掠める栗毛。

 

 ガチビビリした、駄犬。

 

 

 

 「褐色ロリアクション芸人……いいなぁ。

 スカウトしたいなぁ」

 

 満面の、笑顔の会長。とてもかわいい。

 

 

 

 「ふう。だいぶ満足したわ」

 

 「スズカさん。マウンドに選手以外の立ち入り。

 次は見逃しませんわよ?」

 

 「やきう好きよね。マックイーン」

 

 

 

 栗毛はどうやら、相当楽しんできたらしい。

 

 せっかく、教えてあげたのに。

 

 ウマの好意を、無駄にするとは。

 

 とんでもない先輩である。

 

 思いつつ、文字盤に目を落とす。

 

 波の高さが、天元突破。

 

 やはり。

 

 

 

 「あー!! びっくりした! もー!! びっくりしたッ!」

 

 「なァるほどねェ! こいつは素敵だよ、先輩!」

 

 「むぅ……?」

 

 

 

 わかった。この力の使い方。

 

 カードは、フェイク。

 

 本命は、この腕時計ッ……!

 

 

 

 「先輩。時に、フォーリンダウン」

 

 「うおッ!? 危ないのであるッ!」

 

 

 

 そっと指さし、告げてみる。

 

 一瞬で、飛び退く彼女。

 

 不必要なまでの、飛距離。

 

 再度跳ね上がる波形。

 

 脳内に閃く、ある推測。

 

 

 

 「先輩。もしかしてさ。

 その領域、()()()()()ンじゃないの?」

 

 「ま、まっさかー! このアフガンコウクウショーが!

 練習不足の部分展開! 使ってみたはいいものの!

 あんまり制御ができなくて! 焦っているなど!

 あるはずが、ないのであるッ! ふひゅー。すー」

 

 「口笛吹けてないよ? なるほどねェ……」

 

 

 

 文字盤に、目を移す。

 

 ばっくんばっくんと、乱高下する波形。

 

 確信に変わる。

 

 

 

 「フォーリンダウン『失脚へのカウントダウン(Eカード)』。

 どうやら、とっても使えるようだね。

 ……まァ。アフちゃん先輩には。

 あンまり必要ないかもだけども……」

 

 「むぅ? どういう能力なのである?」

 

 「先輩じゃないンだから。教えるわけないでしょ」

 

 「けち」

 

 

 

 口を尖らせる、褐色ロリ。

 

 とてもかわいらしい。

 

 お友達もいいが、ペットにしてあげるのもソソる。

 

 会長と、正妻の新居。

 

 メイド服を着て奉仕する、自分。

 

 黒鹿毛の、かわいい子ウマ。

 

 庭には、褐色ロリの犬小屋。

 

 素敵な、未来予想図である。

 

 そう思いつつ、指を差し向ける。

 

 

 

 「む? 懲りないヤツである。それでは私を捉えることなど……」

 

 「連射したらさ。どうなるのかな」

 

 「やめてッ!?」

 

 

 

 跳ね上がる、波形。

 

 悲鳴を上げる、褐色ロリ。

 

 やはり、この力。

 

 相手の、耳のアクセサリから。

 

 その、動揺を見抜く。

 

 勝負に、非常に役立つ力……!

 

 

 

 「もっとポーカーフェイスな、相手が良かったッ!

 フォーリン、ダウンダウンダウンダウンダーウンダーウンウンッ!」

 

 「連射しすぎィッ!」

 

 

 

 びゅんびゅんと、空を駆けまわる。

 

 アフガンコウクウショー。

 

 部分展開した自分なら。

 

 出力を絞れば、連射は容易。

 

 必死な顔で、避け続ける彼女。

 

 だが、制御の利かない領域で。

 

 そんな、無理な機動をしたら?

 

 

 

 「あら」

 

 「すごく痛いッ!」

 

 

 

 ガァン、と。

 

 栗毛の壁に、衝突する褐色ロリ。

 

 

 

 「アフちゃん。いい度胸ね。

 さすがに私も、こう真正面から。

 大胆不敵に、ナイムネ強調。

 ちょっと。とても。すごく腹が立ったわ」

 

 「ご、ごめんなさいなのであるッ! ゆるしてッ!」

 

 

 

 珍しい、栗毛の真顔。

 

 握り締められる拳。 

 

 慌てて飛び上がる、彼女。

 

 下から見上げ、先程とは違う点に気付く。

 

 

 

 「へぇ……」

 

 

 

 舌なめずり。

 

 なるほど、部分展開の利点。

 

 こんなところにも、あったのだ。

 

 もっと足掻いて、ドツボにハマれ。

 

 思いつつ、連射を継続。

 

 掠めるだけで、痩躯が揺れる。

 

 なるほど。動揺すると効果アップ。

 

 

 

 「はい、ダウンダウンダウンダウンダウン」

 

 「もうッ! ドSゥッ! 恋しちゃいそうッ!」

 

 「やだ。そんなこと言われたら。

 わたし、キュンキュンしちゃう。

 もっと堕としたくなるじゃン。故意に。

 ダウダウダウダウダウダウダウダウダダダダダダダダ」

 

 

 

 胸が、ときめくその悲鳴。

 

 とってもアガッてきた。

 

 連射速度が、高橋名人。

 

 会長には、ドMだが。

 

 本来、自分はドS。

 

 会長と出会っていなかったら。

 

 彼女と、爛れた学園百合ラブコメディ。

 

 そんな、運命もあったかもしれぬ。

 

 だが、このユキオー容赦せぬ。

 

 楽しむのは、会長を楽しませてから。

 

 部下として、基本の心構えである。

 

 

 

 「ひぃんッ! も、もう持たないッ!

 アテンションプリーズッ!」

 

 順当に、アフガンコウクウショーは制御を失い。

 

 

 

 「ぬわー!」

 

 「ぐっほ!」

 

 「ウララッ!?」

 

 

 

 どことなく、既視感を覚える悲鳴。

 

 アフガン航空、墜落の巻。

 

 

 

 

 

 つづかない




たまに、おねだりするが吉。
そう伺いましたので。
もしも、面白いと思っていただければ。
ちょいと、下にスクロール。
ブクマ・感想・評価などを頂けると。
わたくしが嬉しい。ほっこり。
パワー

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