ハルウララさんじゅういっさい   作:デイジー亭

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さぁ、アフちゃんの運命や如何に。
そして、頼れる仲間たちの奮戦。
お楽しみください。

P.S. 投稿時間は、21時が良いと聞き。
勝手ながら、今後は21時に予約投稿いたします。


ファル子さんじゅういっさい そのさんじゅういち ウマ娘の使命

~前回までのあらすじ~

 

 ジジイに、詰問するトレーナー。

 

 例外しか、登場していないためだ。

 

 神ならぬ彼では。

 

 目の前の、ロリどもが。

 

 ちょっと愉快な、初老の男性。

 

 そのソウルを宿しているなど。

 

 想像の、埒外だったためだ。

 

 そして、葦毛が告げる。ゲーム再開。

 

 レースと勘違いした栗毛。

 

 走り去る、彼女を他所に。

 

 トネガワポーズを取るユキオー。

 

 心配そうな、アフちゃん。

 

 その善良さが、仇となるのだ。

 

 堕ちる堕ちる、心の中へ。

 

 輝かしき実績。

 

 すごく印象深い部下。

 

 煌めく記憶の大海の底。

 

 そこで見た、最も強き心象風景。

 

 おじさんの消えた今、止める者など居はしない。

 

 トネガワユキオーは、目を開き。

 

 顕現するは、Eカード。

 

 カードバトルは、大人気。

 

 昨今の若者らしく。

 

 デュエルに興じることとする。

 

 一方的な、スタンバイ。

 

 反射的に、応じる敵手。

 

 初心者狩りは、カードの基本。

 

 そして、何も。起こらない。

 

 フレーバーアイテムだったためだ。

 

 いきなり豹変した、黒鹿毛。

 

 ハリセン用いて、猛禽類の。

 

 優しき心を、取り戻さんと。

 

 修行の成果は、空振り三振。

 

 そして、ついに掴んだユキオー。

 

 自分の力の、使い方。

 

 皇帝としての、立場を守る。

 

 イカサマこそが、本質だ。

 

 そして、アフガン航空は。

 

 ついに、地へと墜落し。

 

 着地点には、ハルウララ。

 

 薫るぜ。プンプンと。

 

 危険な香り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──最も、嫌いな物は。

 

 苦痛に喘ぐ、彼女の悲鳴。

 

 

 

 とある、悲恋の話をしよう。

 

 ハッピーエンドに辿り着けなかった。

 

 ちいさな恋の、物語。

 

 

 

 王様に、命じられ。

 

 お世話を仰せつかった、従者が一人。

 

 気難しい、お姫様。

 

 始めは酷いものだった。

 

 我が儘放題、好き勝手。

 

 誰にも心を開かない。

 

 そして。彼女の闘う姿。

 

 てんで弱くて、まるで駄目。

 

 誰にも勝ちなど、期待されず。

 

 だが。その姿に。

 

 従者は恋に、堕ちたのだ。

 

 

 

 闘い疲れた、彼女を癒し。

 

 次の戦場に、送り出す。

 

 やっと彼女が、心を開き。

 

 目を細めて、彼の手を受け入れた時。

 

 その身は既に。ぼろぼろだった。

 

 

 

 携える、四本の剣。

 

 一本は、ひび割れ。

 

 打ち直すことも、許されず。

 

 ひたすら闘う、彼女の姿。

 

 ただただそれは、生きるため。

 

 闘えなくなった彼女に、価値は無く。

 

 華やかな、中央での舞踏。

 

 弱き彼女は、向かえない。

 

 小さな小さな、舞踏会。

 

 観衆どもは、囃し立てる。

 

 あまりの彼女の、弱さを讃え。

 

 

 

 一人の男が、気付いた価値。

 

 敗北が産んだ、あまりにも身勝手な。

 

 弱者の星という称号。

 

 異論を叫んだ者もいる。

 

 闘争の、価値を損ねると。

 

 賛否両論の、声を背に。

 

 どこ吹く風と、闘い続けるお姫様。

 

 人の言葉など、届きはしない。

 

 届くのは、その身に浴びる歓声と。

 

 愛してくれた、彼らの笑顔。

 

 

 

 ある時、男は王様に。

 

 首を切られ、その地を去った。

 

 金銀ダイヤ、エメラルド。

 

 財宝よりも、彼にとっては価値のある。

 

 煌めく瞳。艶やかな毛並み。

 

 少しずつ、少しずつ剥がれていく姿。

 

 彼女の身体を細らせて。

 

 夢と希望を、人に与え続ける仕事。

 

 燕としての、生活に。

 

 耐えきれなかったためだ。

 

 

 

 人の言葉は通じるが。

 

 話が通じるとは、限らない。

 

 王様は、彼の言葉をうるさがり。

 

 彼女の、最後の闘いを。

 

 支えることは、叶わなかった。

 

 観客席にて、一人佇み。

 

 呆然と、眺めた姿。

 

 勝ちの無い、彼女の価値。

 

 走り終えた、彼女の行方を聞き。

 

 怒りと、絶望に心を染めた。

 

 男の闘いは、その時から始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 意識が、浮上する。

 

 あまりの怒りに、自失していたらしい。

 

 

 

 「う、ウララ先輩ッ! ごめんなさいであるッ!」

 

 「ぬぁぁぁぁぁ……」

 

 

 

 おなかを抑え、転げ回るハルウララ。

 

 トレーナーは、大層腹を立てた。

 

 この褐色ロリ。

 

 自らの、世界の全て。我が愛バに。

 

 よもや、全身で腹パンをキメようとは。

 

 これは、注意してやらねば。

 

 なんとか落ち着いた、愛バの。

 

 おなかを撫でてやりながら、告げる。

 

 

 

 「アフちゃん」

 

 「ヒィッ!」

 

 「どうした。オレの顔に何か?」

 

 「ゆるして。もうしません。殺さないでッ!」

 

 

 

 どうしたのだろう。

 

 腰を抜かして、へたり込む褐色ロリ。

 

 指を、彼女の細い肩に。

 

 ぎちぎちと、食い込ませながら考える。

 

 

 

 「トレーナーさん。顔。

 殺人鬼でも、もうちょっと。

 穏やかな顔をしますわよ?」

 

 「キレた時の、ウララさんそっくり。

 やっぱり、似るものね」

 

 

 

 なるほど。自分もまだまだ未熟。

 

 思いつつ、ちょっとした注意をロリに。

 

 

 

 「いいかアフちゃん。ウララはな。

 母性本能の塊だ。子供が大好き。

 これは、産駒を残せなかったこと。

 それも、関係しているのだろう」

 

 「これから産むんじゃないの?」

 

 「おっと、失礼。まだ引っ張られているな……

 まぁそれはいい。大事なことは一つだ。

 おい、ウララが子を産めなくなったら。

 どう責任を取るんだ貴様」

 

 「う、ウララ先輩頑丈だし……

 スズカ先輩の胸ぐらい。硬い感触であった」

 

 「殺すわ」

 

 「さよなら現世」

 

 

 

 自らの生の、終わりを悟り。

 

 うちひしがれる、アフちゃん。

 

 だが、そうはいかぬ。

 

 責任を、取らせねばならんのだ。

 

 

 

 「駄目だ。サイレンススズカ。

 アフちゃんは、殺させん」

 

 「あら。どうして?」

 

 「し、信じてたのである! 

 かっこいい! 守って守護外道ッ!」

 

 

 

 きらきらとした目で、見上げてくる褐色ロリ。

 

 何、彼女を守るのは当然のこと。何故ならば。

 

 

 

 「ウララが百人産めなかったら。

 母性本能が、満足出来ない可能性がある。

 不足分を、アフちゃんにウマせねばならん。

 ウララのおなかを、痛め付けた罪。

 それで帳消しにしてやろう」

 

 「どちらにせよ殺される」

 

 「お前らの愛、歪んでねぇ?」

 

 

 

 当然の、論理を告げる。

 

 『産駒自在の母性(ハルウララ)』は、大海のごとき母性と。

 

 カッコウ被害鳥類。両方の特性を持つ。

 

 

 

 産むのが、彼女だけでなくとも。

 

 別に、問題は無い。

 

 育てるのが、彼女であれば良い。

 

 プリンセスなど、良い例である。

 

 そう、説明したところ。

 

 頭を抱える六平老と。

 

 異常振動する、アフちゃん。

 

 何故だ。

 

 

 

 「しょ、初犯故。許して頂けないである?」

 

 「まぁ、しょうがない。

 まだ、ダメージが残ると。決まった訳ではない。

 寛大な心で。ウララがギブアップするまでは。

 執行猶予をつけてやろう」

 

 「ウララ先輩……! マジ頑張って! 

 私の幸せのために! ウマされるのは嫌ァッ!」

 

 

 

 愛の籠った、おなかなでなでにより。

 

 穏やかな顔に、なりつつある愛バ。

 

 必死で彼女を応援する、褐色ロリ。

 

 まぁ、触った感触からして、ダメージは無い。

 

 ちゃんと、百……いや、百十三だな。

 

 ウマせてやることを誓い、なでなでを続行。

 

 

 

 「わかったならいい。

 戦いに戻れ。カッコウ」

 

 「ヒィッ……! 既に分類されているッ!?」

 

 

 

 顔を青ざめさせつつ、敵手に向き直る母体。

 

 それで良い。そう思っていると。

 

 葦毛と栗毛が、怪しい動き。

 

 

 

 「マックイーン。ちょっと」

 

 「どうしましたの? スズカさん」

 

 

 

 こそこそと、端に移動し。

 

 内緒話の構え。どうしたのだろうか。

 

 

 

 「いい? マックイーン。

 千載一遇。またとないチャンスよ」

 

 「チャンス、とは?」

 

 

 

 やれやれと、サイレンススズカは。

 

 これが、どれほどの好機か。

 

 解っておらぬ、葦毛に囁いた。

 

 

 

 「私たちは、実績は十分。祖先に顔向けできるわ」

 

 「何を今さら。メジロの歴代も、満足している。

 そう、確信しておりますわ。

 貴顕の使命。十二分に果たしております」

 

 「でも、血統残せないわよね? 

 トレーナーさん、アガる前に捕まるかしら。

 まだ、忘れられないんでしょう?」

 

 「がフッ」

 

 

 

 サイレンススズカは、吐血する彼女の。

 

 背中をそっと摩りつつ、続ける。

 

 

 

 「いい? マックイーン。私もそう。

 愛してるのは、スペちゃんだもの。

 彼女以外と、愛を育むだなんて。

 考える前に、走り出すわ」

 

 「そこは、考えてくださいまし」

 

 

 

 メジロマックイーンは、唸った。

 

 この栗毛、何が言いたいのか。

 

 本題が、見えてこない。

 

 

 

 「これはチャンスよ、マックイーン。

 ウララさんに、腹パンするだけで。

 自動的に、血統を残せるわ」

 

 「なんッ……!」

 

 

 

 この時、マックイーンに電流走る! 

 

 その発想は、無かった……! 

 

 だが、なんと邪悪なことを思い付くのか。

 

 この栗毛、走ることしか。

 

 考えてないように、思えていたが……。

 

 それは、素人考えというもの。

 

 

 

 例え戦法が。只管先頭、逃げであっても。

 

 フォーム改善、ダンスの習得。

 

 トレーニングは、バ鹿では効果が薄いもの。

 

 目的意識と、趣旨の理解。

 

 頭を使う部分は、いくらでも。

 

 

 

 脳が空では、いくら素質があろうとも。

 

 レースに勝てる、筈は無く。

 

 頭が回るのは、道理である。

 

 

 

 「でも、スズカさん。さすがにそれは……」

 

 

 

 血統を、残す。

 

 確かに重要だが……ウマ道に反する。

 

 なんとか、翻意させねば。

 

 そう思ううちに、栗毛の追撃。

 

 

 

 「いい? ウララさんのトレピッピ。

 恐ろしいほどの、優良物件よ」

 

 

 

 彼を見てみる。

 

 顔よし、声よし、ケツも良し。

 

 三拍子で、手を叩きたいほど。

 

 実は、友人のトレーナーである手前。

 

 我慢してはいたが……

 

 相当自分の、好みである。

 

 

 

 「ソソりますわ……」

 

 「おまけに彼は、九夢院。血統も確か。

 私の家や、メジロとも。釣り合うどころか。

 望んでも、縁談を結べない可能性すらある」

 

 

 

 トレーナー名家。

 

 実績を残したウマ娘。

 

 彼女らを、育てて子を育んだ。

 

 そうで無ければ、名家などと。

 

 呼ばれることはあり得ない。

 

 

 

 「で、ですがッ! 

 ウララさんの先程の、悲鳴! 

 わたくしたちの、産駒を残せても! 

 もし、ウララさんのおなかに! 

 ダメージが残ったら、どうしますの!? 

 地獄垂直落下、待った無しですわ!」

 

 

 

 そう。さすがにそれは。

 

 我らの我が儘で。

 

 彼らの愛の、結晶。

 

 それを育む、彼女のおなか。

 

 害することなど……! 

 

 

 

 「ウララさんのおなか。触った事ある?」

 

 「ぷにっとした感触の下に、隠れる。

 オリハルコンの、バッキバキ」

 

 「そうね。あの違法ロリ。筋肉量すら違法。

 ステロイドを使っても。

 あそこまで、ガッチガチにならないわ」

 

 「パワー」

 

 

 

 そう。ハルウララのおなか。

 

 領域の副作用により、みっしり詰まった腹筋。

 

 ダメージを与える事すら、容易ではない。

 

 

 

 「だけどね? それが逆にチャンスよ。

 罪悪感ゼロで、拳を叩き込めるわ」

 

 「なるほど……! でも、先ほどの航空事故。

 相当痛がっておりましたが」

 

 「ふふ。ウララさんは、メルヘンだもの。

 愛するヒトの子を産むため。

 過剰に反応しただけよ。

 今も、安らかに寝てるでしょう?」

 

 「なんと……!」

 

 

 

 なるほど。学生時代の河原。

 

 砂利の上で、二人で見上げた夕焼け。

 

 あの時も、確かに。

 

 黄金船直伝、ドロップキック。

 

 まったく効果は、見受けられなかった。

 

 だが……

 

 

 

 「ですが、スズカさん。愛する二人の間に入り込むなど。

 百合の間に挟まることに匹敵する、違法な行為では?」

 

 「あのトレーナー。ウララさんを愛しすぎて。

 彼女のためには、なんだってやる。

 そのような、覚悟を感じる。

 でも、ウララさんのちんまい身体で。

 百十三なんて、気の狂った数。

 本当に、愛の結晶を宿せるかしら? 

 アフちゃんの母体化は、避けられない。

 負担の分散というものよ」

 

 「けれどもッ! あれは不可抗力ッ! 

 わたくしたちが。外野の者がッ! 

 それに挟まっていい道理などッ……!」

 

 

 

 優雅さを投げ捨て、彼女に食ってかかる。

 

 そのような、そのような行為……! 

 

 

 

 「『カッコウ』するわ」

 

 「だから気に入りましたわ」

 

 「良し(ベネ)。そう言ってくれると思ってたわ」

 

 

 

 なんと、甘美なる行為か。

 

 友人たる、ハルウララの。

 

 理解ある彼ピッピ。

 

 我らが、種ピッピとして。

 

 この遺伝子を。愛の無い行為で、後世につなぐ。

 

 例え、産まれた我が子が、ハルウララに奪取され。

 

 母とは名乗れぬ、身になったとしても……! 

 

 

 

 「恐らくとっても。気持ちいいに間違いありませんわ……!」

 

 「うふふ。マックイーンも、そう思うのね。

 首尾よくいけば、スぺちゃんにも。

 大胆に、腹パン太鼓をさせないと」

 

 「うちの、加湿器どもにも。

 分け前を、与えねばなりませんわね。

 メジロ家総出の、カーニヴァル。

 ヤ〇ザキ、ハル(ウララ)の腹パン祭り。

 血が滾って参りましたわ……!」

 

 「へぇ。なるほど。いい計画だね」

 

 「でしょう? ウララさんの負担は減る。

 私たちも、産駒を残せる。

 おまけに、トレーナーさんも。

 ハーレム系なろう的な肉欲に。

 思う存分、溺れられる。

 三方良しとは、このことよね」

 

 

 

 夢の翼が、どこまでも。

 

 失楽園に向けて、飛翔してゆく。

 

 二人も、同意してくれている。

 

 サイレンススズカは、確信した。

 

 イケる……! 

 

 産駒を残せなかった、自らのウマソウル。

 

 その無念を、晴らす時! 

 

 

 

 「なるほど、完璧な計画だよね。

 不可能だという点に。

 目をつぶればなァ……!」

 

 「「う、ウララさんッ!?」」

 

 

 

 ハルウララは、激怒した。

 

 必ず、かの邪知暴虐の友人(カッコウ)どもを。

 

 除かねばならぬと、決意した。

 

 ハルウララには、愛なき行為がわからぬ。

 

 ハルウララは、母性溢れるウマ娘である。

 

 ケツを撫で、トレピッピを弄び。

 

 純朴な愛を、育んできた。

 

 けれども、NTRについては。

 

 人一倍敏感であった。

 

 あのような、痛み。

 

 一度だけで、十二分過ぎる……! 

 

 

 

 「害鳥は、駆逐しないとね……」

 

 

 

 そっと、握るその拳。

 

 天を衝く怒り。

 

 五分咲の桜が散っていく。

 

 部分展開。

 

 舞い散り踊る、桜吹雪。

 

 ぼそりと告げる、言の葉。

 

 

 

 「ハイクを詠め。ドロボウウマ=サンタチ」

 

 「愛は無い つまりはNTR ではないの」

 

 「わたくしは あなたを想い 善意です」

 

 

 

 なんというやつらか。

 

 ハルウララは、さらなる怒りを感じた。

 

 ハイクを詠めと、言ったというのに。

 

 帰って来たのは、センリューである……! 

 

 怒りに任せ、シャウトする。

 

 

 

 「わたし、産むからッ!」

 

 「よし。言質を取るのは、正気の際に限る」

 

 「タイシンさんに、謝る必要は……

 有りませんね」

 

 

 

 

 言ってない定期。

 

 

 

 「怒りが。沸く沸く。用意……」

 

 「儚いウマ生でしたわ」

 

 「スぺちゃん。ごめんね。帰れそうに無い……」

 

 

 

 「怒ンッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (カッコウ)は滅び。

 

 正義の使者は、鹿毛を揺らし。

 

 怯えて伏せる、駄犬を踏みつつ。

 

 にっこりと、微笑んだ。

 

 

 

 「さて、邪魔者は消えた。次は貴様らだ」

 

 「その錯乱。やはりウララちゃんこそ。

 我が正妻に、相応しい……!」

 

 「会長、ウマの趣味だけは悪いと思うよ。ほンと。

 完全に、ポテトマッシャーじゃン。

 敵味方、関係ない大爆発。正妻に相応しいかなぁ……?」

 

 

 

 さぁ。決着をつけるとしよう。

 

 あと、ヤツらは一応生かしておいた。

 

 冷静になれば。百十三とか、普通に死ぬ。

 

 ちらりと、背後で己の腰を揉む。

 

 理解ある、トレピッピを見やる。

 

 

 

 『わたし、産むからッ! わたし、産むからッ! わたし、産むからッ!

 わたし、産むからッ! わたし、産むからッ! わたし、産むからッ!』

 

 「うむ、これは永久保存。

 嬉しいぞウララ。オレは頑張るからな。

 例えお前を、愛で壊すことになったとしても」

 

 

 

 ヘッドホンで、先程の決意表明。

 

 感極まった表情で。鬼リピする彼。

 

 

 

 『理性不在の愛(トレーナー)』は、理解あるトレピッピと。

 

 気の狂った、ちん○ん亭。

 

 両方の、特性を持つ。

 

 

 

 (ガチで愛し殺される……!)

 

 

 

 よくよく考えれば……

 

 ウマ娘の使命の一つ。血統の保持。

 

 とても重要な、命題である。

 

 協力するのも、吝かでは無い。

 

 ヤバくなったら、押し付けよう。

 

 ハルウララは、決意を新たにした。

 

 純愛。

 

 

 

 メジロマックイーン並びにサイレンススズカ。

 

 カッコウ御法度により、再起不能(リタイヤ)! 

 

 

 

 つづかない


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