ハルウララさんじゅういっさい   作:デイジー亭

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うん。すまない。シリアスが続けられない体質なんだ。


ファル子さんじゅういっさい そのさんじゅうきゅう 起死回生の、布

~前回までのあらすじ~

 

 何もかも、飲み込んで。

 

 ツバメは静かに燃え尽きた。

 

 灰となった、彼の魂。

 

 女神は抱え、微笑んだ。

 

 サービス(わがまま)する価値が。

 

 これにはあると。

 

 彼女はそっと、欠片を託し。

 

 彼を見送り、決意する。

 

 まだ、きっとある筈。

 

 薄汚れた、輝く魂。

 

 そして、トレーナーは思った。

 

 三女神、相当フリーダム。

 

 ならば、自分も好き勝手。

 

 愛する彼女に声援を。

 

 加速し続ける、歌劇戦闘(ミュージカル)

 

 スマートファルコンの、脳裏を。

 

 過ぎ去り続ける、忘れた記憶。

 

 悲鳴の唄は、高らかに。

 

 忘れなければ、ならなかったもの。

 

 彼女の元へ、向かうための知識。

 

 現地で、彼女を探すための言語。

 

 彼女を傷付ける、全ての手段。

 

 ハルウララは、強い。

 

 このままでは、勝てない。

 

 苦鳴の唄は加速していき、制御を失い。

 

 彼女の秒針が、きしみ始めた。

 

 失われたストーリー。

 

 ここには居ない、魔法使い。

 

 黒鹿毛の、罪の記憶。

 

 だいすきなあなたを。

 

 助けてあげられなかったこと。

 

 愛しいウマから、奪われた全て。

 

 取り戻さんと、彼女は告げた。

 

 愛を、あなたに。

 

 憎悪を、私に。

 

 彼を、愛しましょう。

 

 あなたが愛を取り戻すまで。

 

 そして、いつの日か。

 

 暴走し続ける想い。

 

 強制的に開かれる世界。

 

 その砂漠の名は、スマートファルコン。

 

 己を濡らす、慈愛の雨を。

 

 愛ゆえ、自ら奪った女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……君は、彼のなきがらを。

 どうするつもりだい?」

 

 「そうだな。彼女はどこに?」

 

 「桜の下に埋まっているよ。

 食肉になど、させるものか」

 

 「なら、同じところかねぇ」

 

 小山を登り、彼らは歩む。

 

 「爺さん。あんたマメだな……」

 

 「何がかな」

 

 「道。ちゃんと整備してるんだな」

 

 「彼がいつ来てもいいように。

 最低限の義理だよ」

 

 「あんた、損する性格って言われねぇ?」

 

 「言われるな。だがそれがどうした。

 私は、好きでやっているのだ。

 嫌いなことをやるよりは。余程いい」

 

 「……彼女の生の最後が。

 あんたの元で良かったと。

 きっと社長も思ってるよ」

 

 「心にもないことを言うな。そんな筈がない。

 必ず迎えに来ると。彼は私に言った」

 

 しかめっつらの老人を見て。

 

 青年は、少し笑った。

 

 「あんた、社長にちょっと似てるよ」

 

 「そうか? ……そうかもしれんな。

 なんといっても、ひどい馬鹿だからな」

 

 「あと、どんぐらいだ?」

 

 「この坂を登れば、彼女の桜だ」

 

 「そうか……きっと綺麗なんだろうな」

 

 「当たり前だ。彼女が埋まっているのだぞ」

 

 「あんたもさ。相当彼女のこと、好きだよな」

 

 「彼には勝てんさ。私は、牧場にいる彼ら。

 みなを愛しているからな」

 

 「博愛ってやつかい?」

 

 「偏愛というやつだ。私は人間が嫌いだよ」

 

 「素直じゃねぇジジイだな……お、……!?」

 

 「どうした? ……!」

 

 彼らが、小山の頂上にて見たもの。

 

 「……社長。あんたは願いを果たしたんだな」

 

 「ウララ。お前はずっと、待っていたんだな」

 

 馬の耳を生やした、少女が見守る中。

 

 彼のなきがらに、頬を擦り寄せる。

 

 鹿毛の、ぼろぼろの馬。

 

 一声だけ、満足げに嘶いて。

 

 霞ゆく空へと、消えて行った。

 

 少女はそっと微笑み。

 

 彼らに手を振り、姿を消した。

 

 「爺さん。俺はもう一回だけ、社長を裏切る」

 

 「奇遇だな。私もそう思っていたところだ」

 

 彼らは、決意した。

 

 「やっぱ、あの人が忘れられるのは。許せねぇ」

 

 「馬耳美少女。これは流行るぞ」

 

 そして、彼らは殴り合った。

 

 心が、通じ合わなかったためだ。

 

 滾る情熱と、老練の拳。

 

 二人は桜の下で、ぼこぼこに顔を腫らし。

 

 彼の話題で笑い合い、涙を溢し。

 

 誓いを新たに、盃を交わし。

 

 そして、産まれた二つの作品。

 

 『幸福な王女』と号された、銅像。

 

 『ウマ娘プリティ―ダービー』と号された、アプリゲーム。

 

 後世に愛される、名作となったという。

 

 今も桜の下には。

 

 鹿毛の馬を撫で、微笑む巌のような青年。

 

 彼らの生きた証が、残り続けているという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 くろいくろい太陽に照らされた。

 

 永劫に、続く砂漠。

 

 砂丘は無く、ただただまっすぐに。

 

 地平線だけが、その輪郭を告げていた。

 

 

 

 「なるほど。規模がバ鹿でかい。

 やっぱりわたしのとは違うね」

 

 「ウララさんの庭園。わりと小さいですもんね」

 

 「多分、一番小さいんじゃないかな。

 理由はよく知らんけど」

 

 

 

 並び立つ、黒鹿毛を見やり。

 

 ハルウララは、問うこととした。

 

 

 

 「フラッシュちゃん、計画通り?」

 

 「ええ。黙っていて申し訳ない」

 

 「あとでボコる。……勝利条件は?」

 

 「お好きなように。

 必ず生き残りますから。

 ……ファル子さんの、愛を取り戻す。

 私はそのために、生きてきました」

 

 「純愛?」

 

 「これが純愛でないのならば。

 世界に愛など存在しないでしょう」

 

 「ならいいや。協力してあげるよ」

 

 「よろしいのですか? 

 言えば、断られると。

 そう思い、黙っておりましたが」

 

 「バッドエンドに終わる純愛なんて。

 作品としては綺麗かもしれんけど。

 わたしは、とっても嫌いなんだよ」

 

 「……感謝します。桜色の暴帝よ」

 

 「さて。理由はいい。次は手段だ。

 アレ、どうする?」

 

 「ノープランです」

 

 「この役立たずが……!」

 

 

 

 彼女たちが、見つめる先。

 

 

 

 「Lu La La La, La La Lu La La,

  La La, Lu Lu Lu Lu, Lu La Lu La……?」

 

 

 

 届かぬ太陽に、片手を伸ばし。

 

 旗を片手に歌い続ける、その姿。

 

 スマートファルコンは、じっと。

 

 こちらを見据えていた。

 

 

 

 「増幅機構。活きてるのかな」

 

 「恐らく。見えていないだけかと。

 完全展開は、上書きではありますが……

 元々有った物を、潰す物ではありません」

 

 「つまり、放っておくと?」

 

 「どうしようもなくなる。

 その可能性が濃厚ですね」

 

 「んで、アレは。どういう攻撃を?」

 

 「今から体験できるようですよ……ッ!」

 

 

 

 

 「La La Lu La, La Lu La Lu La,

  Lu La La La, La La Lu La La,

  La La, Lu Lu Lu Luッ!」

 

 

 

 太陽を取り巻く、黒炎(プロミネンス)

 

 ほどけて、こちらに降り注ぐ。

 

 

 

 「当たるとヤバそうっ!」

 

 「ダートは苦手なのですがッ……!」

 

 

 

 どんどんどん、と。

 

 砂地に突き刺さる、黒炎。

 

 エイシンフラッシュを抱え。

 

 なんとか離脱を果たした、ハルウララは。

 

 ごくりと、唾を飲んだ。

 

 

 

 「足元の感触からすると。

 ダートコースだね、これ。

 と、いうか。覚えがあるぞ。ここ」

 

 「と、いうと?」

 

 「坂が無い、平坦なダートコース。

 おまけに、このクッション砂。

 間違いない。ここは。()()()()()()だよ」

 

 「……詳しいですね?」

 

 「お前ら、芝の選手と違って。

 ダートは重賞が少ないからね。

 現役時代、よく走ったもんだよッ!」

 

 

 

 連続して突き刺さる、黒炎を躱しながら。

 

 ハルウララは、右回りに。

 

 太陽の周りを駆け巡る。

 

 

 

 「やっぱりねっ! 

 右回りだね、この領域ッ!」

 

 「右に回ると、どうなるのですかっ!?」

 

 「完全展開は、ルールも上書き! 

 ここが大井レース場ならッ! 

 左回りすると、恐らく速度が落ちるッ!」

 

 「詳しいですねッ!?」

 

 「わたしは怒りっぽいからねッ!」

 

 「今まで、何人潰しました?」

 

 「数えてない。生きてるからセーフ」

 

 「アウトだと思うのですが……」

 

 

 

 なんとか避け続けるうちに。

 

 

 

 「La Lu La, La Lu La Lu La, La Lu La Lu Lu,

  La La, Lu La Lu La, Lu La Lu Lu, La La,

  Lu La Lu Lu La, La La Lu Lu?」

 

 

 

 こちらに降り注ぐ、黒炎を止め。

 

 首を傾げる、スマートファルコン。

 

 彼女の領域内で、こちらが避け続けられるのが。

 

 恐らく、不思議なのだろう。

 

 

 

 「チョン避けは、得意だからね……!」

 

 「いつから、東方に向かったのです?」

 

 「わたしの髪型がなんだって?」

 

 「そちらではありません」

 

 

 

 ちょっとした、ジョーダンにより。

 

 空気をリフレッシュ。

 

 シリアスを続けると、被弾からの回復。

 

 これに、時間が掛かるためだ。

 

 安全圏まで下がらせた、彼に向かい叫ぶ。

 

 

 

 「トレーナー! あれの弱点はっ!?」

 

 「弱点は、まだわからん。

 だが、攻撃の起点は黒い太陽。

 アレが、何にしろ核心だろう」

 

 「なるほどね……良かろう。いい分析だ」

 

 「感謝の極み」

 

 

 

 美しい礼を魅せる、彼に満足し。

 

 太陽を、堕とす方策を考える。前に。

 

 

 

 「ファル子ちゃん! タイムッ!」

 

 「Lu La Lu, La Lu La La, Lu La」

 

 「よし。理性を失っても、お約束は遵守するらしい」

 

 「お笑いソウル、強いですねぇ。さすがはファル子さん」

 

 

 

 戦力を、今一度分析する。

 

 あちら、正気を失った猛禽類。

 

 

 

 「こっちは……」

 

 

 

 安全圏に避難させておいた、他の者どもを見る。

 

 

 

 「えぐえぐ……エル……そうだ、嘘NTR煽り……! 

 今夜もホームランである! そうと決まれば、状況証拠を……!」

 

 

 

 碌なことを考えていない、褐色ロリ駄犬。

 

 恐らく、実行した瞬間に。

 

 とんでもない勢いで、お仕置きされること請け合いである。

 

 どうせここで生き残っても、拷問により。

 

 儚く命を失う可能性が高い。

 

 ここは、捨て駒とすべきだろう。

 

 

 

 「会長……わたし、要らない子なの……? 会長ぅぅぅ……」

 

   

 

 打ちひしがれる、白髪ロリ駄犬。

 

 よほど、猛禽類に見向きもされなかったこと。堪えたのだろう。

 

 やけっぱちになり、突っ込んで無駄死にする可能性が高い。

 

 ここは、捨て駒とすべきだろう。

 

 

 

 「おいおい。ジジイには刺激が強すぎるぜ、この展開……」

 

 

 

 呆然と、帽子の庇を下げ。

 

 ユキオーを、なでなでしているジジイ。

 

 老い先短い身である。

 

 ここは、捨て駒とすべきだろう。

 

 

 

 「ウララさん。何か良からぬことを考えているような……?」

 

 

 

 横で、レイピアを構えるゴリラ。

 

 動物園かここは。あまりにも動物が多すぎる。

 

 駄犬が二匹にゴリラが一匹。

 

 メイショウドトウ回ではないのだ。

 

 ここは、捨て駒とすべきだろう。

 

 

 

 「ううむ。あの歌。何か法則性があるような……?」

 

 

 

 必死に、敵手の動向を解析するトレーナー。

 

 顔よし、声よし、ケツもよし。

 

 おまけに気も利くときた。

 

 気が、多少狂っているのが難点であるが……

 

 生かしておいても、良いだろう。

 

 理解のあるトレピッピ。

 

 もう、逃すわけにはいかぬ。

 

 

 

 「よし。捨て駒どもとトレーナー。

 作戦を説明するよ」

 

 

 自信を持って告げる。

 

 ヤバい時こそ。堂々とした態度が必要なのだ。

 

 

 

 「ウララさん。あまりにも判断が早い。

 これには天狗も呆然です」

 

 

 

 捨て駒その一、ゴリラ。

 

 

 

 「まずは、あやつにいやらしいことを。

 されている写真を、確保せねばならぬ。

 ユキオー、自撮り棒は持っているのである?」

 

 

 

 捨て駒その二、褐色ロリ駄犬。

 

 

 

 「ほい、アフちゃん先輩。うう、会長……」

 

 

 

 捨て駒その三、白髪ロリ駄犬。

 

 

 「こいつの性格、俺の責任じゃねぇよな……?」

 

 

 

 捨て駒その四、ジジイ。

 

 

 

 「二進法……? いや、違うな……それにしては短い。

 いいぞウララ。俺はお前の物だ。好きに使ってくれ」

 

 

 

 彼ピッピ。

 

 以上、5名の異常者を。率いて勝負に臨む。

 

 分の悪い賭けだが……嫌いではない。

 

 

 

 「いいか。まずアフちゃん」

 

 「わんっ」

 

 

 

 元気のよい、お返事を返す駄犬。

 

 どうやら、回復したようで何より。

 

 

 

 「飛んで、アレを堕とせ」

 

 

 

 太陽に向け、顎をしゃくる。

 

 

 

 「ウララ先輩。私、まだはいてないのである」

 

 「だから?」

 

 「だからッ! 飛んだら下から! こやつに見られちゃうし……!」

 

 「俺は貴様のスカートの下になど。寸毫たりとも興味が無い。

 調子に乗るなと言ったはずだぞ、アフちゃん」

 

 

 

 鼻を鳴らして、見下した視線を向けるトレピッピ。

 

 やはり出来た、男である。

 

 

 

 「この男ッ……! これはこれで腹が立つのであるッ……! 

 もっといやらしい視線を向けてもらわねば! 

 エルに嫉妬してもらえないのであるッ! もっと欲情してッ!」

 

 「貴様。誰の男に手を出そうとしている……?」

 

 「ゆるして。ころさないで。きゅーん♡きゅーん♡」

 

 

 

 腹を見せて、転がるアフちゃん。

 

 そのスカートの下を、じっと見るトレピッピ。

 

 一切の、熱の籠らぬ視線。

 

 恐らく、参考資料としているのだろう。

 

 学術的興味しか、その視線からは感じられぬ。

 

 

 

 「しょうがない。トレーナー、なんとかしてやって」

 

 「ふむ。アフちゃん。これを」

 

 「これは?」

 

 

 

 スーツのポケットから、包みを取り出し。

 

 駄犬に手渡すトレーナー。

 

 

 

 「おむつだ。クリークママから頂いてな。

 何かの役に立つかと思い。持ってきてあった」

 

 「おむつ」

 

 「おむつだ」

 

 「つけるの? 私が?」

 

 「つけるのだ。お前が」

 

 

 

 しばしの、静寂。

 

 

 

 「嫌であるッ! 私、まだにじゅっさいッ! 

 おむつをつけるには、まだ早いのであるッ!」

 

 「ノーパンよりマシだろうがッ! 贅沢を言うな、駄犬! 

 クリークママなら、遅すぎるぐらいだと言うぞッ!?」

 

 「あれは気が狂ってるだけであるッ!」

 

 

 

 ぎゃあぎゃあと、喚く。躾けのなっていない駄犬。

 

 それを、諭そうとするトレーナー。

 

 ほのぼのと、見守るものとする。

 

 

 

 「わたし。会長に履かせてもらっててよかったぁ……」

 

 「俺は、アレを見た時眩暈がしたよ。育て方、どこで間違えたんだろう……」

 

 

 

 無い胸を撫でおろす、もう一匹の駄犬と。

 

 悲しみに暮れる、おじいちゃん。

 

 かわいくて完璧な自分とは違い。

 

 変なウマ娘を、担当してしまったためだ。

 

 

 

 「いいリアクションは、ファル子さんの興味を引ける可能性がある。

 頼みましたよ、アフさん」

 

 

 

 計算高さを魅せる、ゴリラ。

 

 

 

 「いつも通り、味方が居ないッ! 知ってたッ! 

 だが、私は、尊厳のためッ! エルへの純愛を貫くためッ! 

 これを、拒否するのであるッ!」

 

 「ウララ。抑えてくれ」

 

 「よしきた」

 

 「ひぃぃぃぃッ!? HA☆NA☆SE☆ッ!」

 

 「誰に口を聞いてるのかな」

 

 「きゃんきゃんッ♡……ッ!? やめ、やめるのであるッ! 

 男におむつを履かされるのは嫌ァ! せめてフラッシュ先輩にッ!」

 

 

 

 大暴れをする駄犬。だが、無駄だ。

 

 恥ずかし固め合戦。このハルウララ、負けた事がない。

 

 筋力がすごいからだ。

 

 

 

 「うむ。ウララとの子のおむつを替える、よい予行練習となる。

 さぁて、アフちゃん。おじちゃんが、おむつを替えてあげよう」

 

 「履いてないのであるッ!」

 

 「お前が今から履くんだよッ!」

 

 「ゆ、ユキオー! 助けッ……なんで撮ってるのッ!?」

 

 

 

 ウマホを構える、白髪ロリ。

 

 きょとんとした顔で、告げる。

 

 

 

 「証拠写真欲しかったンでしょ? アフちゃん先輩。

 良かったじゃン。動かぬ証拠だよこれ」

 

 「こんなのエルに見られたら、ガチで殺されるのであるッ!」

 

 「じゃあ……先輩、今度遊び行かン? 

 いいレストラン見つけたンだぁ。

 会長と行く前に、下見しとかないと」

 

 「この流れだと、奢らされる予感しかしないのであるッ! 

 しかも、お主らは結構上流階級ッ! 

 私、お給料そんなにもらってないッ!」

 

 「いいじゃン。ばら撒くよ? 不特定多数に」

 

 「早速脅されてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ! 

 じ、ジジイッ! 助けてッ!」

 

 

 

 藁にも縋る表情で、よく知らないジジイに頼るアフちゃん。

 

 往生際の悪い駄犬である。

 

 

 

 「こいつらは、俺が育てたんじゃない……

 俺、フェアリーゴッドファーザー……

 気の狂ったシンデレラっていうか。

 常識が死ンデレラだろこいつら……」

 

 「現実逃避する気持ちはわかるけどもッ! 

 生産者責任果たしてジジイッ!」

 

 「記憶にございません」

 

 「ジジイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」

 

 

 

 そして、審判の時は来た。

 

 

 

 「さぁ。アフちゃん。赤ちゃんになろうなぁ?」

 

 「嫌ッ! 嫌であるッ! 助けてエルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! 

 アッー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 「Lu La La Lu, Lu Lu La Lu La, La La, La Lu」

 

 

 

 彼女が最期に叫んだのは。

 

 愛する、ウマの名だった。

 

 合掌。

 

 

 

 

 つづかない

 

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