申し訳ありません、エロ小説書くのマジで楽しい。
アフちゃんがTSした理由。
ついにお見せ致しましょう。
~前回までのあらすじ~
『スマートファルコン』の想い。
彼の想いを引き継いだ、彼女は偶像を目指し。
気づいたときには、もう手遅れだった。
全ての者に愛される。そのような幻想を抱いた彼女。
知らなかったのだ。誰も教えてくれなかった。
全てを掴むには、一人の手では小さすぎて。
掴みきれない物は、手から零れていく。
愛とは、手を放すと。逃げていくものなのだ。
彼女は、失ってからそれを知り。
そして、砂漠を産み出した。
ユキオーは、砂漠の中で。
安全ではなく。
勝利ではなく。
必要だったものは。
勝つという、生物としての根本原理。
ただ座して、見守っていれば。
得られる勝利に、価値は無く。
その脚で掴まなければならない。
それが生きるということだと。
ウマ娘の価値観を、ようやく理解した彼女。
何のことはない。大事なのは、ただ一つ。
自分の力で、我がままを通すこと。
生きるとは、闘争であったのだ。
旗持つ彼女に、反旗を翻し。
勝ち取ることを、決めた彼女。
その想いは、愛するウマの虚飾を剝ぎ取った。
歌えなくなった歌姫。
全てを掴もうと、努力して。
大事なものだけ、失った彼女。
黒い太陽に照らされた黒鹿毛。
黒い影は、彼女の目には映らない。
愛してるから、見てはならない。
愛してるから、たどり着けない。
袋小路に迷い込んだ想い。
想いは臨界点を迎え、偽りの太陽は。
真なる太陽へと堕ちる。
このままどこまでも堕ちてゆき。
誰にも、見つけられなくなる場所へ。
深海少女は、沈めたまま。
君に会うために、産まれてきた。
君を幸せにするために、また生を受けたというのに。
くろいくろい、どろどろとした膿みの中。
後悔だけが、リフレインする。
「……ウララ……!」
トレーナーは、立ち上がろうと藻掻いた。
あの衝撃、脆弱なヒト息子がまだ生きているのは奇跡。
そう思った彼は。ぬるりとした感触に。
奇跡など、存在しないのだと知った。
「ああ。あああ。あああああ……!」
割れた、彼女の蹄。
間に合わなかった再開。
フラッシュバックしていく、存在しない記憶。
ただただ、彼は泣き叫んだ。
また、彼女に背負わせて。
剥落していった、尊いもの。
金銀ダイヤ、エメラルド。
己の罪の重さに、堪え切れなかった。
もう、ツバメは堕ちた筈なのに。
「……潮時であるな」
「アフちゃん、先輩……?」
「ユキオー、ウララ先輩の処置を」
「どうにもならないでしょ、あれ……」
『Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
偉大なる先達に守られて。
無事だった彼女たちが、見る先。
蟻地獄のように、砂を吸い込む空洞の中心。
黒く塗り潰された、砂の巨人。
愛を見失って、泣き叫ぶ彼女を見て。
トネガワユキオーは、諦めを知った。
「仕方ない。私が処置するのである」
「……もう、戦えないでしょ。ハルウララ」
「命は繋げる。それだけで十分である」
びりりと、引き裂いた白いもの。
赤ん坊からの、三度目の卒業。
衛生的にも、まぁセーフだろう。
叩きつけられた感情を、真正面から受け止めて。
傷つき倒れたハルウララに、優しく巻き付けていく。
「応急処置など、久しぶりであるが。まだ覚えているものであるな」
「アフちゃん先輩。紛争地帯にでもいたの?」
「ああ。生涯が戦いだったのである」
「……?」
アフガンコウクウショーは、想起する。
アブドゥルの記憶。
別れを告げたと思ったが……
どうやら、それも含めての今生らしい。
こちらを見やる後輩に、そっと笑いかけ問うてみる。
「ユキオー。おじさんとやらの話が聞きたいのである」
「……笑わない?」
「笑わないとも。私が考えている通りであれば。
きっと、私たちが出会ったことにも。意味があるのである」
ぽつりぽつりと、語られる。
彼の闘争の記憶。
届かぬものに手を伸ばそうとして。
ついには、地へと堕ちた彼の記憶。
「……やはり、似ているのである」
「先輩……?」
「処置は終わりである。完全展開も、永遠には続かないはず。
時間を稼ぐ。2人を頼むのである」
「時間なんて。下降気流でも吹き付けるの?」
「いや。完全展開の領域内では、他の領域はだいぶ力が落ちるらしい。
ウマ生とは、新発見の連続であるな」
「駄目じゃン。どうやって時間稼ぎなンてする気なの?」
「完全展開を使う。同位階の領域なら恐らく、多少は通じるであろう」
こきこきと、首を鳴らし。
目を白黒とさせる、後輩に笑いかける。
「……なんで今まで使わなかったのさ」
「無論、制御ができないからである」
「制御できない力で、時間稼げるの?」
「ああ、間違いなく稼げるはずである」
「先輩って、ほンと謎だよね。やたらジジくさいし。
急に、やる気出すし。わたし、訳わかンない」
「何、お前のおじさんと似たようなものである」
不思議そうな顔で、見上げてくる彼女に。
種明かしをしてやることにする。
「ユキオー。お前の友達。恐らく、実在していた人物である」
「……なンでわかるのさ。おじいちゃんたちも、早く卒業しろって」
「それはな。私の中にも、おじさんが居たからである」
「アフちゃん先輩。まさか」
「ユキオー。これを」
「……ねえ。何する気なの」
「バ鹿なことである」
ホワイトブリムを、外して渡す。
自分が、生きた証を。
「先輩ッ!? やめてよ、まるで!」
この場に集った、三つのヒトソウル。
最も、馬鹿で。
最も、尊いと女神が感じた。
愚かなる、人の魂。
「ツバメ」は、敗北しか味あわず。
生涯をただ一匹の馬に捧げ。
全ての記憶を失った。
「利根川幸雄」は、二番手の栄光を掴むため。
勝利だけを追い求め。
勝って負けて、また勝って。
最期の勝負で、奴隷に刺されて失意のうちに。
その記憶を、彼女の内に残した。
そして。
「届かぬ物に手を伸ばそう。愚か者こそ世界を変える」
「やめて! 置いていかないで! 先輩!」
「さぁ。世界の果てを見よう。開け。彼が夢見た世界」
『アブドゥル』の、人生は。
航空力士の横綱として、勝利に彩られていた。
そして、彼はその勝利の最期に。
とても愚かな夢を見て。
そのせいでただの一度、敗北した。
彼は、彼女と同化した。
シンボリルドルフは、前世の記憶を多く引き継いでいる。
そのために、百駿多幸の夢を見た。
この世界のルールでは、前世における勝利者が。
多くの物を、ソウルに託せる。
ハルウララは割れた魂、その片割れしか。
引き継ぐことは、出来なかった。
彼女のソウルに残っていたのは。
人の温もりと、声援の味。
勝たなければいけないということ。
自分は、ここに生きていると。
最期に逢えなかった■に。
伝えなければいけないということ。
「アフターバーナー、完全展開」
全てを引き継いだ、アフガンコウクウショー。
今から再現する夢は。
彼しか知らぬ、神の火。
知ってはならない禁断の炎。
雲竜型と対を成す、横綱のみに許された型。
ふわふわと、浮かび上がる痩身と記憶。
『見たい。果てを』
横綱にしか許されぬ、土俵入りの作法。
それを、許された時には。
彼は老境に達していた。
横綱の土俵入り。
雲竜型は、極め尽くし。
残る型は、もうひとつ。
使ってはならぬと、口伝のみで伝わる奥義。
彼は、空へ空へと昇っていった。
『対流圏などなんのその。成層圏もまだ低い』
雲竜は、自らを育んだ雲海を抜け。
その上へと昇っていく。
手元の計器に目をやると。既に高度は地表より。
50kmに近い位置。
もうすぐ辿り着ける。前人未到の世界へと。
中間圏界面は、-92.5度。
通常の、航空力士では耐えられぬ。
だが、横綱ならば話は違う。
『気流よ、我が身を纏え』
横綱の命に従い。
アブドゥルの身を優しく包む、大気の鎧。
極めた航空力士なら。気流の全てを支配下に。
上昇気流は、中間圏に空気を流入させていき。
彼の花道を確保した。
「懐かしい。あの時も、私は太陽へと昇っていった」
ふよふよと、黒い太陽を捧げ持つ怪物へと。
気流を纏った彼女は、ゆっくりと近づいていった。
べしゃべしゃと汚泥のように纏わりつく、悲鳴のような愛の絶叫。
愛して欲しい。愛してはいけない。
傍に居て欲しい。あなたに近づいてはいけない。
あなたを忘れたくない。何もかも忘れたい。
ただただ矛盾した絶叫を、放ち続ける彼女の悲鳴も身に纒いながら。
アフガンコウクウショーは、笑った。
「すまぬ、万全な状態で負けたことはないのだ。負け犬の気持ちはわからん」
ぼう、と中天に浮かび上がる太陽。
歪みゆく景色。
展開が始まった。
もはや、止めることはできぬ。
上昇気流が空へと、自分と汚泥の怪物を運ぶ。
『オケアノスは遥か下。人の夢は、今私が結実する……!』
科学が発展した時代。
アブドゥルは知識として知っていた。
熱圏は、太陽に程近く。
昇れば昇るほど、温度は高くなり。
最高では、2000度に達するが。
熱くはないということを。
『さぁ、私は最も生身にて! 太陽に近づいた男となる……!』
だが、彼は知らなかった。
熱圏が、熱くない理由。
空気が無いから、気温が無い。
彼の身に纏う上昇気流は、彼を確かに守っていた。
熱圏の、上層に達するまでは。
『……ッ!?』
彼は夢を叶えた瞬間、堕ちた。
堕ちても命は拾えたが、無理を推して出勤した空港にて。
ニホンの暗黒力士に勝つための力は、残されていなかった。
薄れゆく意識の中で、彼が最期に見たもの。
涙ながらに縋りつく、妻子の顔。
「ユキオー。お前、似ているのである。
馬鹿な男に似た、空を目指すと言った
彼女が戦うと決めた理由。
彼は、記憶を残してしまった。
愛する家族。彼を優しく迎えてくれた妻。
宇宙飛行士を目指すと、父とは違う道で空を目指すと。
朗らかに笑った、賢い娘。
ユキオーは似ていた。それだけで。
彼女はまた、愚かになると決めた。
「愚かな男の夢を見よ。見果てぬ夢の果て。燃え尽きよ、我が翼。」
『Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!?』
かっ、と闇の砂漠を照らす太陽。
怪物が、光を感じて絶叫を挙げる。
ばたばたと、汚泥を垂れ流しながら。
掲げ持った、黒い太陽に身を隠そうとする。
偽りの太陽は、真なる太陽に勝てない。
上昇気流は容赦なく。2人の身を空へと運ぶ。
「泥だらけであるな。メイドの誇りが台無しである」
暴れ狂う怪物。なんとか逃れようと、全方位に泥をばらまく。
だが、無駄だ。完全展開は、夢を再現する。
頭上には、大きな大きな太陽。
どこまでも続く、蒼い空。
ここは、
外気圏のすぐ下。
熱圏の中でも、最も太陽に近い場所。
その温度は、摂氏2000度に達する。
熱は感じない。空気の濃度が薄いからだ。
だが、航空力士が操る上昇気流を構成するのは。
地上から噴きあがる、密度の高い空気。
「愚かな男を知っているか? 彼は蠟の翼を用いて、空を目指したらしい」
じゅうじゅうと、汚泥が焦げる音。
流入した空気が、太陽熱で熱せられる。
気温はどんどんと上がっていき。
灼熱の地獄に包まれて、彼女は笑った。
この領域は、制御できない。
ただただ、己と相手を焼き尽くすだけ。
「太陽に近づこうとした不遜な者は、こうなるのだよ。
理解して、共に焼き尽くされろ。『
アフガンコウクウショー。
彼女が、ポンコツクソかわTS異世界転生褐色合法ロリメイド系オリジナルウマ娘力士(精神年齢還暦越え妻子持ち)(早口)である理由。
女神が、彼を彼女にした理由。
なんのことはない。
サブカルチャーに毒された女神は、ツバメの次に見つけた彼の魂。
3つのヒトソウルの中で、最も
「ああ、エル。許しておくれ。私はやはり、アブドゥルだった。でも、もし願いが叶うなら」
泣いている子は見捨てられない。いわんや、実の娘に似ている彼女。
父親として、男として。どうしても、黙っているわけにはいかなかった。
「もう一度、君に逢いたい」
そして、陽炎の中に彼女は消えた。
TS雌堕ちとは、男の中の男にしかできない、最も男らしい行為である。
つづかない