俺のナイメアでハンティング!   作:ヤーナムの影

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第一話【模擬演習】

 試験会場は一言で例えるなら地獄と化していた……ロボットにとってのな。

 

「三十ポイント!」

「25!」

「やばいやばいやばいぞ、まだ10だあああああ!!!」 

 

 我先にと次々に現れるロボットを排除していく受験者達。その瞳には誰よりもポイントを稼ぐと言う執念超えて狂気が浮かび上がっており、見る人が見たらきっと引く光景だ。破壊音とポイントをあまり稼げてない受験者達の悲鳴が響く中、受験者達の頭に妙な音が響き渡る。

 

「狩人様まずはどうしましょう────わかりました、まずは白ですね」

 

 チリリン、チリリンと騒がしいはずの会場に響くは鐘の音。直後、白い光が怪我をした受験者達の体を包み込む。

 

「な、なんだ!?」

 

 白い光は体の周りをくるくると周り、やがては傷の部分に吸い込まれていった。そして怪我をした受験者達は驚いた事だろう、何故か怪我が完治しているのだから。思わず手を止める受験者達、自身の身に何が起こったか把握できていない者達は自然体音の方へと振り返る。

 そこには場違いな2人がいた。赤子を車椅子に乗せ、女の子は先程から音の原因である鐘を鳴らし続けていた。

 

「見たところ怪我人は全て治療出来たようです────はい、わかりました今度は赤ですね」

 

 女の子は鐘を鳴らすのを止めると別の鐘を取り出した。それは先程の鐘と違いなんだか妙な威圧感のある物。獣に関する個性を持つ受験者達はその鐘を見た瞬間全身から鳥肌が立ち、全てを捨て去ってでも逃げ出したい衝動に駆られた。

 

「では、鳴らします」

 

 そしてその鐘が鳴らされた。瞬間、獣に関する個性を持つ物は皆出口へと走り出す。なんだアレはなんだアレはなんだあの訳の分からない恐怖の対象は────っと。

 鐘が鳴らされ音が響き渡ると突如、車椅子の影が広がった。同時に鼻につくような不快な匂いが充満する。毒々しい霧が影の広がった場所から立ち込め、やがては姿を表す。

 

「それでは皆様、良い狩りを」

 

 それは────獣だった。目は血走り、既に人間の体を成していない異様な姿。それが影からいく匹もまるで溶け出るかの如く異様な腐敗臭と鉄くさい匂いを醸しながら現れ始めていたのだった。

 

※※※

 

 いけぇー! 旧市街直送獣ども、ロボットのみを狙って喰らいていけぇッ! 

 俺が念を送ると獣達は一斉に駆け出し、ロボットのみを狩って行った。

 本来なら人間に襲いかかる獣達だが俺が使役してるから大丈夫だ、問題ない。

 

 ここで俺の個性の説明をしておこうと思う。俺の個性は大きく分けて3つの事ができる──ーってか、出来ないように縛りを設けた。

 

 一つ目は人々の治療、端的に言えば聖歌の鐘の使用だな。

 原作ブラボの如く鐘は一度鳴らすと効果範囲内の癒す力がある。狩りの夜では水銀弾を消費して使うが、現実世界の場合血液が必要となる。まぁ、血液って言っても量は微々たる物で使い過ぎると貧血起こして死にかける以外は問題ない物だ。

 

 ほんでもって二つ目が皆さん、特にPVP御用達の共鳴する不吉な鐘だ! 

 本来なら敵対者として他のプレイヤーの元へ向かう為のアイテムだけども、個性としてあの世界から持ち出したコレは違う。

 なんと! これを鳴らすと鐘を鳴らす女の如く獣やら眷属やらを呼び出す事が可能なのだ! 制限は特に無く、やろうと思えば聖職者の獣から月の上位者まで呼び出せる……けどこの世界でボス級モンスターはヤバイ。リアルで啓蒙蓄積してSAN値チェックが始まっちまう。だからコイツはモブモンスター、例えば腐った犬とか黒い犬とか聖堂教会の神父様とかを呼び出す専用になっている。え? 豚ちゃんはどうかですって? ……豚は許しませんが何か? 

 それで俺にとってお気に入りの三つ目は────っとと。そんな事している暇じゃなくなったらしい。

 

「狩人様、0ポイントが現れました」

 

 地面を揺らし、建物を破壊しながら現れるは事前に説明のあったゼロポイント君。ほえぇ、月の上位者よりもおっきぃ。ゆっくりと近付いき、明らかに恐怖を誘っているのが見て取れる。

 そしてその魂胆にハマった受験者達がみんな揃って逃げ惑っている。ハハッ、ワロスワロス。

 

「狩人様、万一を考え撤退しますか?」

 

 まさか、その判断はナンセンスだよ人形ちゃん。

 

 俺のような狩人だとコレぐらいの恐怖、らんらん相手にするよりも怖く感じないからへっちゃらだぜ。そんじゃ人形ちゃん、制限時間も近づいて来てるし三つ目使いアレを倒して帰りましょ。

 

「了解しました」

 

 ゆっくりと俺が乗ってる車椅子を押し人の流れとは逆行しながらゼロポイントの元へと向かう。その途中、紫頭のグレープ君とビリビリしてそうな金髪君に止められたけど俺たちはヒーローになる為ここにいるんだぜ、コレぐらいの軽すぎる恐怖に逆らえなくてどうするよ。

 

 そして気付けば2人ぼっち。他の受験者達は既に彼方の場所でこちらを伺っている……のかな? 感覚だけで見えてる訳じゃないから詳しくはしらねぇ。

 あ、そういえば三つ目の説明がまだだった。三つ目は大体想像ついてるんじゃないかな? 

 

「それでは青、使用させていただきます」

 

 三つ目の名は狩人の呼びの鐘。その効果は──ーその名の通り、狩人を呼ぶ事が出来る事だ。

 チリリンと青の鐘が鳴る。すると青い光が地面を照らし、ふわりとその者は姿を表す。

 

「────あぁ、匂い立つなぁ」

 

 お、今回はガスコンロ神父ですか。オスオス、いつも最初の難関としてぶっ倒させてもらってまーす。

 

「……ガスコイン様では?」

 

 人形ちゃんのツッコミは青ざめた血の如く何処へぽーいして気にせず、この鐘を説明するとコレは俺がこれまでに出会った狩人をランダムで呼び出す効果を持つ。呼び出せる対象に例外は無く、時計塔のマリアやゲールマン。なんだったら全盛期ルドウィークだって呼べる。まぁ、難点を上げるとすれば────

 

「アレは獣だな? ヨシ、狩るか」

 

 頭に虫湧き過ぎて話をまともに聞いてくれなとこかな。

 俺が止める声も聞く耳と持たず真っ直ぐに彼はゼロポイント目掛けて突っ込んでいく。ちよっと! 突然のバーサーカーは辞めてって俺いつも言ってるよなぁ! 

 

 言動はまさに狂戦士。しかしその技術は凄腕の狩人、ゼロポイントの攻撃を最小限の動きで避け続け的確にダメージを与えていっている。うわぁ、相変わらずガスコンロ神父の攻撃えげつねぇな。ゼロポイントちゃんなす術無しじゃん。

 

「あぁ、獣臭い。どこもかしこも獣ばかりだ」

 

 いや、俺的にはこの場で一番獣やってるの神父だと思うぞ。

 そんな感想もつゆ知らず彼はゼロポイントの腕を捥ぎ、足を斬り飛ばしてそしてその大きな頭部は変形させた獣狩りの斧を叩き込む。それと同時だろうか。

 

【試験終了!】

 

 試験間の終了の合図が鳴り響いたのだった。

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