ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~ 作:朝陽晴空
セカンドインパクトにより、四季が失われた日本でも、暦の上では冬は存在していた。
従前は寒い時期に流行するとされていた季節性インフルエンザも、生き残りをかけて進化を遂げていた。
インフルエンザも元をたどれば鳥インフルエンザがヒトにうつったものだ。
さらに厄介な事に、コウモリを発生源とするコロナウイルスも流行の兆しを見せていた。
未知のウイルスを恐れた日本政府はロックダウンや学校の休校を決定。
ネルフの中でも感染者や濃厚接触者とみられるスタッフが出てきた。
滅菌業者も慌ただしくネルフの中へ出入りしていた。
マンパワーの不足が懸念される状況で、ミサトがコロナウイルスに感染してしまった。
総司令のコウゾウにウイルスをうつしてしまうわけにはいかない。
適格者のシンジとアスカにもだ。
ミサトは2週間ほど医療機関に入院する事となった。
代わりに保護者役としてやって来たのは伊吹マヤだった。
彼女はネルフからリモートワークを命じられ、ミサトが退院するまでの間、シンジとアスカと同居する事になった。
「シンジ君、アスカちゃん、しばらくの間よろしくね」
ほわほわと穏やかな感じを漂わせるマヤはシンジたちにとって優しいお姉さんになると思われた。
しかしマヤは家の中を見るなり、顔色を変える。
「コンロには油がビッシリ、シンクには洗い物がドッサリ。棚の上にはホコリが積もっている。こんな汚い場所では健全な生活を送ることは出来ないわ!」
初日からシンジとアスカはマヤと一緒に家の大掃除をさせられる事になってしまった。
除菌対策も万全だろうとコウゾウはマヤにシンジとアスカを任せたのだ。
掃除でクタクタになってしまった三人は夕飯をバーウーイーツで済ませた。
翌朝、シンジはキッチンから漂って来る味噌汁の匂いに、ミサトが帰って来たのかと錯覚した。
キッチンにはエプロン姿のマヤが立っていた。
「ミサトさんのエプロンを借りたんだけど、ぶかぶかだから縛り直しちゃった」
マヤはそう言って、自分の胸を押さえた。
アスカも欠伸をしながら起きて来て、朝食が始まった。
マヤの作ってくれた朝食は、ご飯の固さも、目玉焼きの黄身も、味噌汁も、レシピ通りにしっかり作られていて美味しかった。
ただミサトの料理のようにクセが無いのでシンジには物足りなかった。
「シンジ君の口には合わなかったかな?」
「いえ、でも塩を一つまみ入れると味が引き締まりますよ」
シンジはそう言うと、自分とマヤの味噌汁に塩を入れた。
「あっ、本当」
マヤとシンジは顔を見合わせて笑った。
アスカはつまらなそうに味噌汁をすすっている。
『施設』では粗末な食事しか与えられて居なかったアスカは、どんな料理でも美味しく感じるのだ。
朝食を終えると、マヤはネルフ本社と通信してリモートワークを始める。
アスカとシンジは、学校の体育の授業や部活で運動できない分、近所の公園でロードワークをするのが日課となった。
緊急事態宣言以下のため、密を避けながら限られた時間で行わなければならない。
「第三新東京市では、まだ市中感染は起きていないのに、大げさね」
アスカはマスクを着けながらのランニングに不満のようだ。
常夏のような気候では確かに暑くて息苦しい。
「もう時間の問題だよ」
ミサトはクルーズ船に使徒が乗っている疑いがあると調査に向かい、その船で感染してしまったのだ。
クルーズ船から大人数の感染者が出た事はニュースになっている。
「アスカはアメリカでウイルス感染に巻き込まれたんだっけ」
「アタシと加持さんは直ぐに治療薬を打てたからね。このウイルスもきっと優秀な科学者が何とかしてくれるわよ」
「……味覚障害は残ってるの?」
「まだ少しだけ。でも細かい味が分からないだけよ。濃い味付けにしてくれれば分かるわよ」
ロードワークを終えてシンジとアスカが家に帰ると、入れ替わるようにマヤが車で近所のスーパーに買い出しに行った。
不要不急の外出を避け、スーパーでも家族の代表者一名で買い物に行くようにと総理大臣も呼び掛ける事態になっている。
バーウーイーツなどのデリバリーサービスや通販の制限はされていないが、毎食デリバリーという訳にもいかない。
家に帰ってもシンジとアスカはダラダラしているわけにはいかない。
マヤは5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)にうるさく、棚の上や部屋の隅のホコリにも厳しい。
普段からこまめに掃除をしていれば、大掃除など必要ないと言っている。
学校の宿題も多めに出されていた。
シンジとアスカは給付型の奨学金を目指しているので、成績を疎かにするわけにもいかないのだ。
「アタシたち、ネルフから給料をもらっているんだから、そんなに頑張らなくてもいいんじゃない?」
「いつまでも適格者で居られるか分からないし、ミサトさんに大学の入学金を出してもらうなんて甘えたくないよ」
使徒や適格者の能力には、年齢による減退があるのではないかと推測されている。
セカンドインパクトの日に最初の使徒が発見されてから15年、世界各地で誕生した使徒は生まれ持っての能力ではない事が確認されている。
最初の使徒は全ての使徒の父親と言う意味で「アダム」と呼ばれている。
「ただいま。直ぐにお昼を作るね」
「マヤさん、僕も手伝います」
数日分の食材や生理用品などを買い込んで来たマヤが帰宅する。
並んでキッチンに立つマヤとシンジの姉弟のような姿も板について来た。
昼食を済ませてシンジとアスカは宿題、マヤは午後のリモートワークに入る。
夜は教育に厳しいマヤがJHKしか見せてくれないため、アスカは不満だった。
「マヤさんはどの力士が好きですか?」
「私は、赤城冨士を応援しているの」
JHKの相撲中継で盛り上がるシンジとマヤに、アスカは舌を出してアカンベェをしていた。
「ミサトが居なくなったら、今度はマヤに乗り換える気?」
「何を言ってるんだよ!」
アスカが嫌味を言うと、シンジは感情を剥き出しにして怒った。
学校で友だちに会えない事は、シンジとアスカの二人にもストレスを与えている。
緊急事態宣言が一週間ほど続いた日の事、ネルフにスキャンダルが降りかかった。
ネルフ社長である冬月コウゾウが、営業が禁止されているはずの高級クラブでスポンサー企業の社長たちと大宴会を行ったとネットニュースとなったのである。
もちろんコウゾウはこれはフェイクニュースで、コウゾウが高級クラブで宴会をしている写真も捏造だと主張した。
「冬月司令、残念ながら高級クラブでの宴会写真は『本物』だと認めるしかありません」
「赤木君、それはどういう事かね!?」
「私たちの技術では、偽者であると断定できない以上、逆説的に本物だと言う事です」
「ディープ・フェイクという訳か……」
リツコの報告に、コウゾウは深いため息を付いた。
ネルフには政府・民間を問わず、ネットを通じて世界中からクレームが殺到している。
ネルフに出資しているスポンサー企業もイメージダウンに悲鳴を上げている。
華麗に使徒を倒す適格者をヒーローにする作戦も台無しだ。
クレームの対応に追われているネルフに更なる災厄が襲い掛かる。
「司令、使徒イロウルを名乗る者から犯行声明が届きました。メインコンピュータのMAGIをハッキングして、地下の自爆装置を作動させるそうです!」
シゲルの報告を聞いて、コウゾウとリツコは顔を見合わせた。
「イロウルだと!?」
「司令、きっと犯人は彼に間違いありません」
二人にはフェイクニュース捏造と秘密にされている地下の自爆装置を知っている人物に心当たりがあった。
以前ネルフに勤めていた元スタッフ。
その名前を楼類(ろう・るい)と言った。
IROURUを並び替えると、ROU RUIとなる。
リツコの母親、赤木ナオコ博士と共にMAGIを開発するほど優秀な技術者だったが、資金の横領で逮捕されてネルフをクビになっていたのだ。
横領の理由は重病になった妻の治療費に充てるため。
同情すべき点はあったが、コウゾウは彼の罪を見逃さなかった。
彼の妻はウイルスによる合併症を起こして死んでしまった。
また世間でウイルス騒ぎが起きた事により、彼の憎しみが再燃したのだろう。
「赤木君、何としてでもMAGIのハッキングを阻止してくれ!」
「分かりました!」
コウゾウに言われたリツコはマコトとシゲルを伴ってMAGIのハッキング阻止へと向かった。
「綾波君、もし本部の自爆装置が起動する事があったならば……」
「ATフィールドで爆発の規模を抑えれば良いのね」
レイは無表情でコウゾウに向かってそう答えた。
「くそっ、まだ葛城さんをデートに誘ったことも無いのに爆弾なんかで死にたくないよ」
「お前には一生無理だよ」
「口より手を動かしなさい」
マコトとシゲルとリツコはそれぞれのパソコンをMAGIに接続してロウ・ルイとの電脳戦に挑んだ。
3対1なのにこちら側が押されている。
ロウ・ルイが使徒の力に目覚めてイロウルを名乗ったのも、ハッタリではないと感じていた。
そして彼の技術なら、偽者と見抜けないディープ・フェイクニュースを作り上げる事も可能だ。
ネルフ本部爆破事件はシンジたちの家にも伝えられた。
「先輩、私も直ぐにネルフへと向かいます!」
マヤがそう言い出す事はリツコも当然分かっていた。
リツコもマヤが側に居てくれた方が心強い。
しかしリツコは決してネルフ本部へは来るなと命じた。
「先輩、先輩……!」
マヤは取り乱して泣いてシンジにすがり付いた。
自分の胸で泣きじゃくるマヤをシンジは困った顔で抱いていた。
そんなマヤをアスカは思い切り引っ張ってシンジから引き剝がした。
「マヤ、泣いてばかりじゃなくてアンタにはやる事があるでしょ!」
「アスカちゃん……?」
マヤはポカンとした表情で目に涙を貯めたままアスカを見上げる。
「使徒イロウルをとっ捕まえるのよ!」
ネルフ本部のリツコたちはハッキングを抑えるのに手一杯だが、自分たちでフェイクニュースの発信元をたどれば使徒イロウルの居場所を特定できる。
そうしたらシンジとアスカが力づくで捕まえてやる作戦だった。
「私一人で出来るかな……?」
「マヤさんなら出来るはずです、頑張って下さい」
シンジはマヤの手を握って励ました。
使徒はコンピュータを扱う技術は優れていても、ATフィールドを使った戦闘にはほとんど慣れていなかった。
潜伏先のアジトが割れると、マヤの運転する車で直行。
使徒は鬱憤を晴らすかのようにアスカによって叩きのめされた。
種明かしをすれば、使徒は滅菌業者に紛れてコンピュータウイルスをネルフのパソコン端末に仕込んでいた。
外部からハッキングしているのは見せかけだった。
リツコたちの決死の努力でネルフ本部の自爆装置の起動は回避された。
「シンジ君が励ましてくれたお陰よ、ありがとう」
「僕は大したことはしてませんよ」
マヤにお礼を言われたシンジは顔を赤くして答えた。
「あのねえ、はっぱを掛けたのも、使徒を捕まえたのもアタシなんだけど!」
アスカはむくれた顔をして、シンジとマヤの間に割り込んだ。
そして騒動が治まった後、ミサトも2週間ぶりにシンジたちの元へと帰った。
「ミサトさん……!」
「シンちゃん……!」
アスカの前だと言うのに、シンジとミサトは正面から抱き合った。
「あーあ、これじゃ当分乳離れは出来そうにないわね」
呆れた顔でアスカはため息を吐き出した。
その日久しぶりにミサトの手料理を食べたシンジはご満悦だった。
「シンちゃん、今夜は久しぶりに一緒に寝よっか?」
「今日は思いっきりミサトお姉ちゃんに甘えちゃったら?」
「アスカもからかわないでよ……」
しかしその日の夜……シンジは我慢しきれずにミサトの寝室に忍び込んでしまった。
快気祝いにといつもより多くビールを飲んでミサトは酔い潰れている。
だからシンジも大胆な行動に出た。
先端でミサトの胸に触れただけで、シンジの腰は砕けてしまった。
溜まりに溜まっていたものを解き放ったシンジは、ミサトを汚してしまった事に焦った。
もう少し、上手くやるつもりだったのに。
シンジは後悔を抱えながら念入りに後始末をしてミサトの寝室を出て行ったのだった。
シンジとミサトの関係について
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R15(?)の現状でいい
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姉弟の関係に徹するべきだ
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アスカやリツコとの三角関係が来い!
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より激しく!もっと激しく!さらに激しく!