ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~   作:朝陽晴空

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両方とも重要なテーマなので、タイトルに入れてみました。


四人目の適格者候補/命の決断を

「ネルフのアメリカ支部が殲滅だと!?」

「はい、アメリカ政府によるコードXXXが発動され、戦術核が使われたようです」

「何と言う事だ……」

 

 ネルフの司令室で、リョウジから報告を受けたコウゾウは深いため息を漏らした。

 人為的に適格者を作る実験が、アメリカネルフ支部では行われていたのだ。

 その無理な実験の結果、使徒となり暴走。

 厄介な事にアメリカ支部は適格者を【量産】するために【ウイルス】と言う手法をとった。

 その危険なウイルスが本格的に街に漏れ出し、バイオハザードが起こった。

 ウイルスに侵された人間は使徒に似た力を持って暴徒と化した。

 問題となったのは、力と引き換えに人間との知性を失い、獣のように人間を襲うようになった事だった。

 バイオハザード発生から1週間後に、アメリカ政府はネルフ支部の企業城下町となっていたラーソンシティを爆撃すると言う滅菌作戦を行った。

 

「君とアスカ君は一度あの街に行ってウイルスに感染したらしいじゃないか。大丈夫なのかね?」

「アスカは適格者だったので元から抗体を持っていたようです。私もワクチンを打ったので今頃ウイルスは死滅しているでしょう」

 

 コウゾウは念のためにリョウジに尋ねたが、この数ヵ月間リョウジの身体に異常は見られなかった。

 

「それで、感染した少年を引き取る事にしたが、大丈夫なのかね」

「彼は適格者になりうる可能性を持っています。使徒として処理してしまうのはそれこそ大きな損失でしょう」

 

 リョウジがアメリカ支部から少年を連れて来た事は驚いた。

 彼は感染者で溢れかえったラーソンシティから脱出して来た数少ない生存者だった。

 脱出中に使徒もどきと交戦して感染、アメリカに居れば処分される事は確実、だからリョウジは彼を特例措置を使ってネルフ本部へ連れて来たのだった。

 

「渚カヲルです。よろしくお願い致します」

 

 司令室へ入って来た少年は落ち着いた様子でコウゾウに向かって頭を下げた。

 見たところ普通の少年と変わりはない。

 特徴的なのは瞳孔が赤く染まっている事だけだ。

 

「御覧の通り、彼はウイルスに侵されながらも自我を保っています。細胞への侵食も抗ウイルス薬や特製のハーブなどの服用によって抑えられています」

「なるほど、彼がスプレッダーになる事は?」

「このウイルスは飲み水などの経口摂取から感染が広まったようです。飛沫感染、空気感染の可能性はほとんどありません。身体的接触を避ければよろしいかと」

 

 コウゾウの質問に対してリツコはそう答えた。

 万が一カヲルが理性を失って使徒化してしまった場合に備えて、カヲルの首には爆薬を仕掛けたDSSチョーカーを着けている。

 これだけの安全策を講じた結果、コウゾウは渚カヲルをネルフ本部に所属させる事を認めた。

 

 

 

「新しく本部に所属する適格者を紹介するわ。渚カヲル君。元ユーロ支部の所属よ」

「よろしくお願いするよ」

 

 ミサトはアスカを警戒させないためにカヲルの出自をユーロだとごまかした。

 さらに赤い目の色を隠すためにカラーコンタクトを着けさせている。

 

「ふーん、戦力が増えれば、その分アタシたちが楽になるから別にいいけど。それにしてもアンタ、挨拶をするならポケットから手を出したらどうなの?」

 

 手を隠したがる人間は心に何かを抱えている。

 アスカはカヲルを直ぐに信用する気にはなれなかった。

 

「えっと……じゃあ、これからは僕がカヲル君と戦闘訓練をする事になるんですね」

「うーん、彼はまだ正式に適格者になったわけじゃないんだ。しばらくは別メニューで訓練を行う事になるのさ」

 

 リョウジがシンジの質問にそう答えると、シンジは少し残念そうな顔をした。

 アスカと組み手をすると直ぐに胸を触った、お尻を触ったセクハラだと言われるし、レイは逆に胸を触ってしまっても無反応なのでこちらが恥ずかしくなる。

 さらにレイはアンドロイドなので首を360度回転させるとか関節を逆転させるなど、シンジをびっくりさせるのだった。

 ミサトさんとの組手ではATフィールドを発生させてミサトを傷つけてしまわないかおっかなびっくりだし、まともに戦闘訓練が出来る相手はリョウジだけだった。

 コウゾウは九段だから強いのかと思ったが、空手ではなく将棋九段だった。

 戦闘訓練には役に立たない……。

 

 

 

 渚カヲルはネルフ本部内で暮らす事を強要されたが、学校にも行けるし、普通の中学生と変わりのない生活を送ることが出来た。

 

「渚君の部屋って、独特な感じだね」

 

 カヲルの部屋の壁紙は、星模様になっていた。

 

「部屋を暗くしてブラックライトを当てるともっと面白いよ」

 

 そう言ってカヲルが部屋の照明を切り替えると、天井には星座が浮かび上がり、まるで宇宙の中に居るような感じになった。

 

「この部屋には窓が無いからね。司令にお願いしたら、アサヒっておじさんが来て泣きながら1日で殺風景だった壁と天井にクロスを貼ってくれたよ。頑張ってくれた彼にはチップとして『100万VES(ベネズエラ・ソブリンボリバル)』(※1VES=0.0001290円)の札束をあげたよ。そうしたら、感激して大泣きして帰って行ったよ」

 

 他にシンジの注目を引いたのは部屋の大部分を占拠しているグランド・ピアノだった。

 

「スタインウェイ&サンズ社製のピアノさ。中古だから安くしてもらったよ。請求書はネルフ営業三課のハマザキさんに書いてもらった。彼もとても良いお兄さんだったよ。弾いてみるかい?」

「いや……高そうだから止めておくよ」

「そうかい? 君のお父さんはピアノが好きだったのに」

「父さんの事を知っているの!?」

 

 カヲルの言葉に驚いたシンジは思わず声を上げた。 

 ミサトやコウゾウはあまり両親の事を話してはくれなかった。

 いや、ミサトは話してはくれるのだが、辛そうな顔をしながら話すので、聞く事ができないのだ。

 

「もっと父さんの事を聞かせてよ」

「そうだね……じゃあ、シンジ君も何か楽器を始めなよ。僕も友達が欲しかったんだ」

 

 ピアノの他に楽器は無いかと探していると、カヲルはシンジにチェロを勧めた。

 

「どうしてチェロなの?」

「それはサバイバル用さ」

 

 楽器とサバイバル。

 共通点が無さそうだと首を傾げるシンジに、カヲルは説明を始めた。

 

「敵に襲われた時、チェロはリーチが長くて破壊力のある武器になる。さらに背負っているだけで暴漢に絡まれにくくなる。乗っている船が沈んだ時も浮袋の代わりになるし、山で遭難した時も薪になるし、弦やエンドピンで野生動物と戦った事もあるしね」

 

 カヲルは冬にカナダで遭難し、熊の巣穴に入り込んでしまった時にチェロが役に立ったのだと話した。

 理由はともかくとして、シンジはカヲルのチェロを譲り受ける事になった。

 カヲルは収納に13本のチェロを持っていて、外に持ち歩く時は使い分けているのだと言う。

 シンジが貰ったのはカヲルが『ユーティリティ』と呼んでいる初心者向けの物だ。

 

「ねえミサト、バカシンジのヤツ、またナルシスホモの部屋に行っているみたいだけど、どう思う?」

「適格者同士、仲良くするには良い事なんじゃないの?」

 

 シンジはカヲルの部屋に入り浸る事が多くなり、家に帰る時間も遅くなった。

 家に戻ってもチェロの演奏の練習ばかり。

 アスカが話しかけても上の空で答える事もある。

 ミサトとアスカは口には出さなかったが、構ってくれないシンジが寂しかった。

 

「このままバカシンジはアタシとミサトよりも、あのナルシスホモと付き合うようになるんじゃないでしょうね」

 

 アスカの胸の中にこの家族が崩壊してしまうのではないかと不安が芽生えた。

 そのせいか、胸の辺りがムズムズと感じ出した。

 

 

 

 司令室でコウゾウはリツコから報告を受けていた。

 

「冬月司令。あのアメリカ支部で発生した【ウイルス】について報告すべき事があります」

「なんだね、赤木君?」

「あのウイルスに感染しただけでは、発症する事はありません」

「それは喜ばしい事ではないか。渚君の治療も安心して出来るな」

 

 コウゾウはホッと安心した表情を浮かべながらも、怪訝な表情を浮かべる。

 

「それではなぜラーソンシティで使徒化が大発生したのだ?」

「感染した人間が強い不安、恐怖を感じるとウイルスが活性化する様です。私たちは【Fearウイルス】と名付けました」

「なるほど、目の前でヒトが化け物になれば強い恐怖を感じるな。それでFウイルス発症者が伝播した訳か」

 

 リツコの説明にコウゾウは納得した様子だった。

 

「渚カヲル、加持リョウジ、アスカに関しては心配は無いと思われますが、参考までに」

「うむ、気には留めて置こう」

 

 

 

 渚カヲルがネルフ本部での生活に溶け込んだ頃、彼は時機到来と考えてネルフ本部への地下への侵入を試みた。

 手引きをしている協力者はリョウジ。

 彼はスパイ活動を続けて広大なネルフ地下空洞、ジオフロントの構造を調べ上げた。

 リョウジがカヲルに協力しているのはセカンドインパクトの真実を突き止めたいからである。

 カヲルはセカンドインパクトを引き起こしたとされる黒幕とされる人物と深いつながりがあるとこまでは突き止めた。

 しかしいくら調べても黒幕となる人物まではたどり着けない。

 そこでネルフは地下に最初の使徒であるアダムを封印し、次のインパクトを起こそうとしていると言う噂の方を探ってみる事にした。

 カヲルなら第一使徒アダムの姿が分かると言うのだ。

 ロンギヌスの槍によって封印されているアダムの様子を探るのもカヲルの密命だった。

 両者の利害が一致し、使徒が居るセントラルドグマのヘブンズゲートは開かれた。

 

「違う、ここに居るのはアダムじゃない!」

「何だって!?」

 

 肌が一面真っ白な姿になって、まるで直立する女神像のような姿をした女性にはどす黒い赤い血の色をした槍が刺さっている。

 

「母さん、母さん!」

 

 取り乱して近づこうとするカヲルを、リョウジは力づくで押し留めた。

 ここに忍び込んでいる事がバレたら自分の首が飛びかねない。

 リョウジはカヲルを説得して引き返す事にした。

 

「なあ、あそこにいた使徒は元は君の母親だって事か? それじゃあアダムが生きているって噂も眉唾なのかよ」

 

 リョウジに話し掛けられてもカヲルは顔を伏せたまま、答えなかった。

 

「おじさんは僕を騙していたんだ……おじさんはもう信用できない……」

「誰だ、そのおじさんって言うのは?」

 

 そうリョウジが問い掛けると、カヲルの右肩が膨れ上がり、異形化した。

 何本もの触手のようなものが生えている。

 

「まさか、ウイルスが発症してしまったのか!?」

 

 リョウジはDSSチョーカーの起爆スイッチを持っていない。

 持っているのはミサトだ。

 急いでリョウジはミサトに連絡を入れた。

 

 

 

 リョウジから連絡を受けたランジェリー姿のミサトは赤いバイクで、後ろにシンジを乗せて駆け付けた。

 シンジとミサトはヘルメットを被るしか時間の余裕が無かったのだろう。

 ランジェリー姿でバイクに乗るのは法律的にはギリセーフだったので警察も先導に協力してくれた。

 シンジとミサトがネルフ本社へ駆けつけると、カヲルは身体から生えた触手でネルフの従業員たちを捉えて簀巻きにして締め上げていた。

 中には受付や事務の女性社員、たまたまその場に居たマヤも巻き込まれていた。

 このままでは従業員たちは全身の骨を砕かれて死んでしまうだろう。

 しかしカヲルは何とか意識を保って触手の力を緩めようとしているようだ。

 

「来てくれたんだね、シンジ君。嬉しいよ。さあ、君の手で僕を殺してくれ……僕の意識が無くなる前に。でないと、僕はこの人達を絞め殺してしまう」

「そんな事、出来るわけ無いよ!」

 

 苦しみながらも笑みを浮かべるカヲルに、シンジはそう答えた。

 

「大好きな君にだからこそ、頼んでいるんだよ。僕の頼みを聞いてくれないか?」

 

 カヲルは目から涙を流してそう訴えていた。

 ミサトはDSSチョーカーの起動リモコンスイッチに指を掛ける。

 

「ミサトさん、それは?」

「渚君の首に仕掛けられた爆薬入りのDSSチョーカーの起爆スイッチよ。感染者はゾンビじゃない。首を吹き飛ばせば倒せるの」

 

 ミサトの説明を聞いたシンジは顔色を変えた。

 

「止めて下さい、ミサトさん!」

「でもね、シンジ君。このままではマヤちゃんたちも死んでしまうのよ」

「……僕がみんなを助けます。爆弾なんか使ったら、僕は一生ミサトさんを許しませんからね!」

 

 しっかりとした目でそう言い放つシンジに、ミサトは心を打たれた。

 シンジは全身全霊を持ってマヤ達を拘束している触手を断ち切り、何人かを解放した。

 

「大丈夫ですか、マヤさん?」

「ありがとう、シンジ君」

 

 ホッとしたのも束の間、カヲルの身体から伸びる触手の数は増え、拘束されている人たちから痛さに悶える悲鳴が上がった。

 そしてカヲルの触手はミサトをも捉えてしまった。

 こうなってはミサトもDSSチョーカーの起動スイッチを押すことが出来ない。

 

「ミサトさん!」

 

 シンジは真っ先にミサトの元へ向かおうとするが、ミサトは首を横に振った。

 近くに居る人を助けるのが先だ。

 

「碇君……!」

 

 ネルフの奥から現れたレイが、カヲルに向かって火炎放射を浴びせたのだ。

 普通の炎ではない、ATフィールドを伴った炎だった。

 カヲルの触手の力が緩み、拘束されていた人々は解放された。

 しかしまだカヲルを止めることは出来ない。

 燃えやすい触手の部分を焼け焦がしただけだ。

 シンジとレイのATフィールドの力は使い果たしてしまっている。

 その時突入して来たのはドローンによって吊り下げられたアスカだった。

 アスカの体重は42kgなので、限界重量45kgのドローンでも運べたのだ。

 

「ミサト、ATフィールドを渚の首に収束させるわ! DSSチョーカーを!」

 

 アスカの言葉にミサトは頷いた。

 

「止めろ――っ!」

 

 シンジの叫びも空しく、カヲルの首に仕掛けられたDSSチョーカーは作動し、ATフィールドにより爆発範囲を狭められた爆風は、狙い通りにカヲルの首を撥ね飛ばした。

 

 

 

 家に帰ってから、シンジはミサトの胸でずっと泣いていた。

 この時ばかりは、ミサトの胸に包まれても興奮する事は無かった。

 

「ごめんねシンちゃん、あたしの事嫌いになった?」

「ミサトさんの事、嫌いになるわけ無いじゃないですか!」

 

 ミサトに向かって力強い目を見せたシンジも、まだ中学生の子供なのだとミサトは痛感した。

 シンジとカヲルは高校に進学したら音楽系の部活に入ろうと約束して受験勉強も頑張り始めた矢先だった。

 アスカはミサトにすがり付いて泣くシンジを見て後悔していた。

 ATフィールドを上手く使いこなせば、DSSチョーカーを使わずにカヲルを救えていたのではないか。

 

「シンジ、アタシがもっとしっかりしていれば渚のヤツを助けられたかもしれない」

 

 だから、アタシを嫌いにならないで、とアスカが心の中で思うと、胸の中で何度も刺すような痛みが走った。

 

「そんな……アスカのおかけでみんなが助かったんだよ。アスカは僕たちの大切な家族だ。嫌いになるはずなんてあるわけないじゃないか」

 

 ミサトから体を起こしたシンジがアスカを抱き締めると、アスカの胸の痛みがスッと引いた気がした。

 

「アタシ、まだこの家に居ていいの?」

「もちろん」

 

 シンジとミサトが声を揃えてそう答えると、アスカの目からも涙が零れたのだった。

 

 

 




冬月コウゾウは九段です。……将棋の。

チェロについての引用(参考)です。

最後の光 様のツイッターより。
@vc_shiori

https://twitter.com/vc_shiori/status/938401465319616512?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E938401465319616512%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnlab.itmedia.co.jp%2Fnl%2Farticles%2F1712%2F09%2Fnews024.html

シンジとミサトの関係について

  • R15(?)の現状でいい
  • 姉弟の関係に徹するべきだ
  • アスカやリツコとの三角関係が来い!
  • より激しく!もっと激しく!さらに激しく!
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