ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~   作:朝陽晴空

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最強の男との戦い

 シンジとアスカとレイは同じ櫻が丘高校へと進学した。

 第三新東京市が出来る前、箱根町には女子高が一つあるだけだったが、人口の増加と共に学校も新設された。

 

「アスカと綾波は女子高に行けば良かったんじゃないの?」

「嫌よ、『御機嫌よう』なんて挨拶するなんて、『施設』より堅苦しいわ!」

「同じネルフの適格者なのだから、同じ学校に居た方が都合が良いわ」

「そう、良い事言うわね、レイ!」

 

 アスカはレイに対して使徒殲滅の功績争い以外には嫉妬心のようなものは持っていなかった。

 アンドロイドのレイがシンジに恋心を抱くはずが無いと余裕を持っていた。

 しかしレイには赤木ナオコ博士により『回路R』と言う技術が搭載され、知識を求める心、時として戦う心、他人を愛する心を学習させる目的をリツコに託されたのである。

 適格者として使徒と戦っていくうちに、レイの回路Rは目覚めつつあった。

 

「僕は何の部活に入ろう……」

 

 シンジたちは様々な部活から勧誘を受けていたが、迷っていた。

 アスカはテニス部、レイは文芸部へと仮入部していたが、シンジは吹奏楽部には馴染めなかった。

 管弦楽部は学校には無かったのである。

 何とかしてあげたいと思ったアスカは、授業中にある考えが閃いた。

 

「無ければ作ればいいのよ!」

「何を?」

「音楽部よ!」

 

 アスカは身を乗り出してシンジにそう話した。

 

「アスカ、今は授業中だよ」

 

 シンジがそう指摘すると、アスカは顔を赤くして席へと座った。

 

 

 

 放課後、シンジたちは職員室へと向かったが、部員は最低四人は必要だと教師に言われてしまった。

 

「カヲル君が居たら良かったのにね……」

 

 シンジがそう呟くと、しんみりとした雰囲気になってしまった。

 そんなシンジたちに同じクラスの女子生徒が声を掛けて来た。

 

「ねえねえ、あたしを仲間に入れてくれない? あたしもドラムをやりたかったんだ!」

 

 確か霧島マナと言う名前だったはずだ。

 シンジと腕を組んで職員室に向かう積極的なマナに、アスカはぽかんとしてしまった。

 

「先生、あたしたち軽音学部を作りたいんです!」

「ちょっと、何をアンタが勝手に仕切っているのよ!」

 

 アスカはそう言ってシンジの腕をマナから引き離した。

 

「だって、ドラムが部長だって決まってるじゃない。アスカは『ケイオン!』ってアニメ見た事無いの?」

「何よ、その家電量販店みたいな名前のアニメは!」

 

 アスカはマナにそう言い返した。

 最近になって、そのスポンサーの名前が変わったので耳に残って居たのだ。

 せっかく覚えたCMソング、『まるまるもりもり三重丸』も無駄になってしまった。

 

「部長はあたし!」

「言い出したのはアタシなんだからアタシが部長!」

「碇君はどう思うの!?」

 

 マナに聞かれたシンジは答えに困った。

 どっちでもいいとも言えない。

 職員室で揉め続けると教師からの印象も悪くなる。

 

「綾波はどう思う?」

 

 シンジがレイに意見を求めると、アスカは不機嫌な顔になった。

 逃げるシンジがアスカは嫌いなのだ。

 

「霧島さんの方が良いと思う」

「何でよ、アンタとアタシは仲間だと思ってたのに、ひどーい」

「アスカは楽器が弾けないもの」

 

 レイに指摘されてアスカは今更ながら気が付いた。

 シンジと一緒の部活をやりたい事で頭が一杯で気が付かなかった。

 とりあえずどの楽器をするかは後回しにして、軽音学部を結成する事になった。

 

 

 

 アスカは自分に楽器を教えてくれそうな人を探した。

 マナに教えてもらうのは腹が立つ。

 出来ればシンジに教えてもらいたかったが、シンジも自分の楽器を精一杯だった。

 レイはアンドロイドなので伝説級の演奏もプログラミングで再現できるらしい。

 

「レイのヤツ……インチキなんかしちゃって……ん、待って?」

 

 演奏をプログラミングするにしても、演奏の知識や経験が無いと難しい。

 あのエアギタロン毛が協力しているのか?

 いや、それよりも……。

 

「アスカちゃん、良く赤木博士がバンドをやってたって分かったね」

 

 シゲルはアスカの話を聞いて感心したようにつぶやいた。

 

「リツコが髪を染めているのにピンと来たのよ」

 

 アスカはリツコの研究室で、リツコが中学校の制服姿で母親のナオコと一緒に校門前で撮った卒業式の記念写真を見た事がある。

 中学生時代のリツコは髪を染めていない、真面目で地味な印象だった。

 もしかして学生時代にバンドでもやっていたのではないかと思ったのだ。

 

「それで、私にギターの指導をしてくれって? 私はそんなに暇じゃないんだけど?」

「お願い、マナを見返してやりたいのよ! ジミヘンを超えるくらいにして!」

 

 アスカにそう言われたリツコは飲んでいたコーヒーでむせた。

 

「いくら何でもそれは無理よ。基本的な事は青葉君に教えてもらいなさい。上達したら、私が高等テクニックを教えてあげるから」

「歯ギターとかは嫌よ、ローズマリー!」

「その名前で呼ばないで」

 

 リツコは殺気を込めた視線でアスカを睨みつけた。

 新兵器の開発で忙しい時期に厄介な事を頼まれたものだとリツコはため息を付いた。

 

「という訳で、教えてもらうから感謝しなさいエア・ギタ男」

「何でそんなに君は偉そうなんだ?」

 

 アスカはリツコに個人指導を受けられなかった悔しさをシゲルにぶつけるのだった。

 マヤはアスカが暴露した『ローズマリー』の写真を見てウットリとしている。

 マコトは他の二人の分まで仕事をする事になって不満を漏らしていた。

 

 

 

「リツコさん……パンツも脱がないといけないんですか? と、とっても恥ずかしいんですけど」

「ダメよ、正確なデータが測れないからね」

 

 シンジはリツコの研究室で裸にされて二人きりになっていた。

 リツコの方は普段通りの白衣を着ている。

 呼び出された名目はシンジ用の新しい武器を作るためだった。

 

「本当、お父さんに似た立派な体付きになって来たわね」

「リツコさん、そこを見て言うのは止めて下さいよ」

「上の髭も生やすつもりは無い? 良い育毛剤があるの」

「髭の手入れは大変って聞きますし……僕には髭は似合わないですよ」

 

 リツコはシンジの筋肉を確かめるとの口実で、身体のいろいろな部分を触っていた。

 武器は全身で使うものだと力説して、下半身まで触って来た。

 

「ATフィールドを使う武器だから、敏感な調整が求められるのよ。使徒と戦う前の日は、精気を消費してはダメよ」

 

 リツコさんには見抜かれているとシンジは震撼した。

 シンジに与えられた武器は、『マゴロク・エボック・ソード』(通称マゴロク・E・ソード)と言う刀状の武器だった。

 エボック社とは国内大手の玩具メーカーでネルフのスポンサーなので仕方なく正式名称に入れている。

 最初は刀ではなくヨーヨーが武器になる予定だったが、スポンサーの玩具メーカーが今はスポーツチャンバラの時代だと力押しして刀になった。

 

「シンジ君の学校でも体育の必修科目で『剣術』があるからちょうどいいんじゃないかしら」

 

 セカンドインパクト後、安全大国日本の神話も崩壊したので高校では剣道から剣術を教える学校も増えている。

 女子であるアスカは『薙刀』が必修科目なので武器は『ソニックグレイブ』となった。

 レイはアンドロイドなので何でもありと言いたいところだが、メイドタイプだったため、武装できる箇所は人間並みだった。

 隠し武器をたくさん忍ばせているミサトの方が武器が多いかもしれない。

 なんとレイは胸からミサイルを発射できるように改造された。

 

「アンタ、一体何を考えているのよ!?」

「だからアスカよりおっぱいが大きくなった。葛城一尉は追い越せないけど」

 

 そう言って顔を赤らめて胸を張るレイを見て、アスカは油断ならない存在だと思った。

 もちろん、適格者としての役目を終えた後はミサイルは解除するのだと言う。

 自分の中に組み込まれた『回路R』が完全に覚醒すれば本物の人間になれるのだとレイはアスカに話していた。

 アンドロイドが本物の人間になるなんて、有り得ない、騙されているレイがかわいそうだと思いながらも、リツコの技術力なら実現するかもしれないと半信半疑だった。

 

 

 

 シンジたちが高校で軽音楽部として楽しい放課後を送る一方で、コウゾウはミサトと司令室で難しい顔をしていた。

 

「今年の13日の金曜日は5月13日か……」

「ええ、高校生活の新学期を楽しんでいるシンジ君たちを見ていると、心が痛みますね」

「ヤツはシリアルキラー。必ず姿を現すだろう。しかも不吉な言葉を言い残している」

「『人斬りは飽きた。人間以外のものを斬ってみたい』ですか」

 

 その連続殺人犯(シリアルキラー)の名前は不明。

 一年に数回訪れる13日の金曜日以外は普通の人間として生活を送っていると思われる。

 刀で220人の大量殺人を行った事から、絶対無敵の刀、空前絶後の刀との意味を込めて、使徒『絶刀(ゼットウ)』と呼ばれた。

 使徒ゼットウが言う人以外のものとは適格者あるいは使徒ではないかと思われた。

 シンジとアスカとレイは顔バレはしていないが、使徒を倒すヒーローとしてスポンサーの広告塔になっている。

 使徒ゼットウがネルフ本部を狙ってやって来るのは予想出来た。

 シンジたちの存在を隠すとゼットウがネルフ本部で暴走し、多くの犠牲者が出るかもしれない。

 5月13日が来る前にゼットウを捕まえることが出来れば最善なのだが、今までの事件からも犯人を特定する事は出来なかった。

 

「優秀だって豪語していた日本の警察はどうなってんのよ!」

 

 コウゾウの前だがミサトは連続殺人犯を捕まえられない苛立ちを隠さなかった。

 

 

 

 そしてついにやって来てしまった5月13日の金曜日。

 ネルフはこの日、ミサトとシンジたちを覗いた社員全てがリモートワークとなった。

 野次馬がネルフに来て戦いに巻き込まれては大変だと言う事で、周囲も戦略自衛隊によって封鎖された。

 

「拙者の相手はお主ら四人という訳か?」

 

 使徒ゼットウは木材と和紙と縄で作られた巨大な凧でネルフのヘリポートへと降り立った。

 金属探知レーダーに反応が無いわけだ。

 しかし刀は金属で出来ていると思うのだが……。

 ゼットウは腰に鞘を下げている。

 

「冥途の土産にお見せしよう。拙者の刀はこれよ!」

 

 ゼットウの手から刀のようにATフィールドが伸びる。

 鞘は飾りだったんかい! とつっこみたくなった。

 ゼットウはシンジも腰に鞘を下げているのを見てニヤリと笑う。

 

「お主の刀と拙者の『ムービべーサ』。どちらが上かお手合わせ願おう」

「その前に約束してもらえますか?」

「……何ぞ?」

 

 シンジの言葉にゼットウは表情を変えずに答えた。

 

「僕は適格者ですが、他の人達は普通の人間です。だから命は助けて下さい」

 

 シンジはミサトたちだけは死んでほしくない一心でそう訴えかけた。

 

「……良かろう、拙者はもう人を捌く事に何の感慨も持たぬ」

 

 だったら連続殺人なんてやめて欲しいわね、とミサトは心の中でつぶやいた。

 シンジが鞘からマゴロク・E・ソードを引き抜いて構える。

 ATフィールドを纏わせれば、使徒の刀と互角のはずだ。

 

「その刀は?」

「マゴロク・エボック・ソード。ネルフの技術力を込めた、新世紀で一番の刀よ」

「拙者には玩具の様に見えるがな。数百度の打ち合いで傷無しの拙者を斬れるものかな」

 

 ミサトが自慢気にマゴロクソードを紹介すると、ゼットウは鼻で笑うような素振りだった。

 シンジのマゴロクソードとゼットウのムービべーサがぶつかり合う。

 これから二人の鍔迫り合いが始めると思われた。

 パリーン!

 

「ミサトさん! ネルフ最強の刀、折れちゃいましたよ!」

 

 シンジは恥も外聞もなくミサトの元へと逃げ帰った。

 

「仕方ないわね、シンジ君、これを使いなさい!」

 

 ミサトはいつものプログレッシブナイフをシンジに渡した。

 しかしナイフと刀ではリーチに圧倒的に差がある。

 

「シンジ、危ない!」

 

 アスカがソニックグレイブでゼットウの刀から放たれたビームを受け止める。

 その衝撃でソニックグレイブも先端がへし折れてしまった。

 

「拙者は無傷の状態ならば、刀の先から光線を放つ事が出来るのだよ」

 

 遠くへ逃げ出そうとした人たちは、この光線にやられたのだろうとミサトは思った。

 

「その亜麻色の女子も適格者か」

 

 そう呟いたゼットウは舌なめずりしてアスカを見たように思えたミサトは、このままだと全員殺されると捨て身の作戦に出た。

 

「シンジ君、あたしが使徒の動きを止めるから、プログレッシブナイフで使徒を斬りなさい! せめて光線攻撃が無ければ、あなたたちは逃げられるわ!」

 

 ミサトはそう言うと、リツコに金属製に改造してもらったメジャーを使徒に向かって投げた。

 しかしあっさりと使徒によって薙ぎ払われてしまう。

 

「まるで歯が立たないなんて!」

 

 空中で動きの取れないミサトの白い首を使徒ゼットウの赤い刀が薙ぎ払う。

 

「ミサトさぁぁぁぁぁぁん!」

 

 シンジは絶叫し、アスカは思わず目を背けた。

 

 怒りに燃えたシンジは涙を流しながら使徒ゼットウに特攻するが、プログレッシブナイフは使徒ゼットウの刀に弾き飛ばされてしまった。

 

「情けない、それがお主の全力か」

 

 使徒ゼットウはつまらなそうな顔でため息を吐き出した。

 

「あれ……あたし、生きてる……」

 

 地面に着地したミサトは呆然とした表情で自分の首を手で押さえた。

 ミサトの白い首筋には傷一つ付いていない。

 

「人は斬らぬと約束したからな」

「これで満足したなら、さっさと帰ってくれない?」

 

 殺人犯を逃がすのは悔しい事だが、自分たちの命も大事だ。

 希望を込めてアスカはそう言い放った。

 

「否。拙者は人以外のものを斬ってみたい。死にたくなければATフィールドを全開にして耐えるのだな、女子よ」

 

 使徒ゼットウはそう言ってアスカに向かって必殺技の構えをとった。

 

「超重斬一刀流……」

「待って、あなたは私が倒す」

 

 そんな使徒ゼットウに近づいたのはレイだった。

 

「武器も持たぬ女子が拙者を倒すとは笑止千万。拙者が適格者を屠る所を黙って見ていればいいものを」

「綾波!」

「さよなら」

 

 レイはそう呟くと、胸部から服を突き破ってミサイルを放出した!

 ATフィールドをアスカへの必殺技の一撃に集中させていた使徒ゼットウは、レイのATフィールドを込めたおっぱいミサイルの威力に耐え切れずに地面へと倒れ伏した。

 

「まさか乳房に爆弾頭を仕込んでいる女子が居ようとは……お主もそうなのか?」

「失礼ね、あたしの胸は天然よ」

 

 プスプスと煙を上げて、震える手で使徒ゼットウがミサトの胸を指差すと、ミサトは腕組みをしてそう言った。

 

「碇君、恥ずかしいから見ないで」

「うん、分かったよ綾波」

 

 レイは両腕で自分の胸を隠している。

 

「アンタ、今まで誰にも傷つけられた事の無い最強の男だとか言ってたわよね。だからレイみたいな華奢な女の子に油断するのよ」

「人は弱さを知ってこそ強くなれるのでござるな……」

 

 アスカの言葉に使徒ゼットウは納得した様子だった。

 彼は大人しくコアの摘出手術を受けるのだと告げた。

 もしコアの摘出により寿命が大幅に縮む事があっても、誰かに自分の流派を伝えたいと語った。

 

「ミサトさん、本当に良かった……!」

 

 シンジは涙を流しながらミサトの胸へと顔を埋めた。

 

「ミサトの胸は爆発しなくて良かったわね、シンジ」

 

 そんな減らず口を言うアスカも目の端から涙を流していた。

 ミサトに抱き締めてもらっているシンジを見て、レイはおっぱいミサイルはもう装備しないようにリツコに頼もうと思うのだった。

シンジとミサトの関係について

  • R15(?)の現状でいい
  • 姉弟の関係に徹するべきだ
  • アスカやリツコとの三角関係が来い!
  • より激しく!もっと激しく!さらに激しく!
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