ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~   作:朝陽晴空

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ハルカ、約束の時(最終話、続編予告あり)

 枕を涙で濡らしたミサトが起きた翌朝、シンジとアスカの姿は無かった。

 アスカのFウイルス検査も兼ねて、両親のお見舞いに行くと話していたので、二人でネルフ関係の病院へと行ったのだろう。

 二人だけで行ったのは疲れ果てていたあたしへの思いやりかとミサトは考えた。

 いつも三人で食事をしているテーブルの上には、二人が作ったミサトの朝食と、シンジのS-DATが置いてあった。

 これはシンジからのメッセージなのでは?と思ったミサトはS-DATのイヤホンを耳にはめて再生した。

 S-DATから流れて来たのは、最近ミサトでもラジオやTVのCMでする新鋭アーティスト『夜遊び』の『ハルカ』と言う曲だった。

 カップに入った冷めたコーンポタージュスープを電子レンジで温めながらミサトは思い返す。

 碇夫妻を突然の事故で失ったミサトとシンジは、お互いに孤児となってしまった。

 『施設』に入れられてバラバラにされそうだったところを、周囲の人々の助けもあって、跳ね除ける事が出来た時の事を思い出す。

 『当事者同士が婚約を結んでいる場合、未成年でも施設の入所を拒むことが出来る』などと言う法律の穴である例外規定を使って、シンジを施設に入れようとする陰湿な施設関係者を追い払った事もあった。

 その時のミサトは、シンジと結婚する気持ちなど毛頭無かった。

 恩人である碇夫妻の息子であるシンジを弟として育ててい一心だった。

 劣悪な環境と言われていた『施設』に押し込めるより良いと思っていた。

 だからシンジの為にネルフで、嫌な上司の下でも一生懸命に働いた。

 シンジとの暮らしが明日も続くように祈りながら毎晩眠りに就いていた。

 二人だけの生活は決して裕福なものではなかったけれども、喜びも悲しみも分かち合った。

 振り返れば今まで数えきれないくらいの思い出がミサトとシンジにはあった。

 ミサトが陰で人一倍仕事を頑張っていた事をシンジは知っている。

 シンジはミサトから何も買ってもらえなくても、側に居るだけで幸せだったといつも話していた。

 

「ありがとうを言いたいのはあたしの方よ、シンちゃん」

 

 曲を途中まで聴いたミサトはそう呟いた。

 使徒の力を使って世界征服を企んでいたキールを倒した事で、特務機関ネルフにも春が訪れていた。

 特務機関ネルフは打倒キールの役目を終えて新たな組織へと生まれ変わるのだとゲンドウは話していた。

 

「大丈夫、新しい組織でもあたしは頑張るから。シンちゃんが応援してくれるなら百人力よ」

 

 ミサトはシンジに強がって話すようにそう呟いた。

 これから一人の生活が始まるのだと思うと、ミサトも正直言って寂しい。

 夜眠れるのかどうか不安になる。

 使徒との戦いは辛いものがあった、でもシンジはくじけずに最後まで諦めなかった。

 エヴァMark13を倒せるほどに成長したシンジを見たミサトは、すっかり大人になってしまったのだと感心した。

 幼い頃からずっとシンジと一緒に居られた事はミサトにとっては何よりの喜びだった。

 だからシンジがアスカと幸せな人生を歩むことが出来るのならば、自分は嬉しいとミサトは自分に言い聞かせた。

 今のシンジは両親を初めとしてたくさんの愛する人に囲まれている。

 自分もそうだ、だからシンジと顔を合わせる時は泣かないで笑顔で居ようとミサトは決意した。

 振り返れば今まで数えきれないくらいの思い出がミサトとシンジにはあった。

 涙を流すのは一人になった後だ。

 

「今までありがとう、アスカといつまでも幸せにね」

 

 家に帰って来たシンジとアスカに涙をこらえながらミサトがそう言うと、シンジとアスカは困った顔で顔を見合わせた。

 

「ミサトさん、僕とアスカは別れて暮らす事にしたんです」

「そう、だからこの家を出て行くのはミサトじゃなくてアタシ」

「ええーーーっ!?」

 

 シンジとアスカの話を聞いたミサトは顎が外れそうなほど驚いた。

 

「だって、アスカのFウイルスの為にもこの家で御両親と一緒に二人で暮らした方が良いって話になったじゃない」

「ミサト、アタシは今まで適格者として使徒と戦って来たのよ。Fウイルスにアタシが負けるとでも思っているの?」

「いえ、そうとは思わないけど……」

 

 アスカの迫力に圧されながらミサトはそう答えた。

 Fウイルスはアメリカ軍の手で作られたウイルスであり、特効薬の完成も間近だという話だった。

 今のアメリカの大統領は穏健派でFウイルスは収束すると言われている。

 

「でもどうしてあたしがこの家に残る必要があるの?保護者役で無くなったあたしとシンジ君は赤の他人なのよ?」

 

 碇夫妻はミサトを引き取る時、ミサトを養子とはしなかった。

 尊敬していた葛城の姓をミサトに残したい気持ちがあったのだろう。

 そしてシンジの両親の碇夫妻が死亡認定された時も、ミサトはシンジを養子にはぜず、家財もシンジに相続させた。

 ミサトも恩がある碇の姓をシンジから奪う気持ちにはなれなかった。

 

「だって……ミサトさんと僕は婚約しているじゃないですか」

 

 シンジに指摘されて、ミサトはシンジとの婚約解消手続きをとる事をすっかり忘れている事に気が付いた。

 碇夫妻の生存が確認された今、シンジは施設に入れられる事は100%無い。

ミサトは回避策としてシンジと婚約をしている必要は無いのだ。

 

「ミサトさん、小さい頃僕と約束してくれましたよね。僕のお嫁さんになってくれるって」

「そんな遥か昔の約束、お姉ちゃん覚えてないな」

 

 シンジに問い詰められたミサトは顔を真っ赤にしてそう答えた。

 あれはシンジをしつこく『施設』に入れろと言って来た役人を追い払う芝居だったはずだ。

 法律に詳しい友人に相談したところ『少子化対策婚約保護法』を武器にしろと言われたのだ。

 未成年でも婚約している状態ならば、施設に入れることは出来ない。

 法律の抜け穴だった。

 

「ミサト、年貢の納め時よ。覚悟しなさい」

「結婚指輪を買うお金も無いし、まだ親のすねをかじっている僕だけど、ミサトさん、僕のお姉さんからお嫁さんになって下さい」

 

 アスカとシンジに真剣な表情で詰め寄られたミサトは、こくりと頷いた。

 その瞬間、アスカがクラッカーを鳴らす。

 

「さあ、シンジとミサトの結婚祝いよ! ミサト、今日は豪勢な夕食を作りなさい!」

「自分のお祝いなのに、あたしが料理を作るの?」

「アタシの送別会も兼ねているのよ。さっさとアタシが出て行けば、シンジの両親が入院している間、好きなだけズッコンバッコンできるでしょ」

「あんたねえ……」

 

 繰り出されるアスカ節に、ミサトは呆れてしまった。

 しかしこうして三人で一緒に暮らせるのも残りわずかだ。

 ミサトは腕によりをかけて御馳走をつくるのだった。

 しかし碇夫妻もシンジとミサトの婚約解消を言い出さないという事は……両親公認だという事だ。

 以前は親娘と言った関係だったが、これから舅と姑と嫁になる。

 甘えて寄りかかる存在では無くなったのだ。

 シンジ君の嫁として相応しい女性として見られるようにならなければならない。

 とりあえず、大酒飲みの酔っ払いの失態を無くさなければとミサトは決意した。

 

 

 

「ミサトさん、夜勤お疲れ様です。でも、ソファじゃなくてベッドで寝て下さいね。母さんも心配しますから」

 

 ある日の昼下がり、碇家のリビングのソファで倒れ込むように寝ていたミサトは、シンジの優しいキスで起こされた。

 あれからミサトは『ネルフ第三新東京市中央病院』の女性医師となっていた。

 シンジはミサトが使徒核摘出手術をする時の専属看護師となっている。

 キールとの戦いが終わった後、ネルフは使徒化ウイルスの存在を世間に公表し、世界各地に使徒化ウイルスを治療するための病院を造った。

 患者はATフィールドが発生し、不思議な能力に目覚めてしまった人間だ。

 世界各地に居た好戦的な使徒はキールとの戦いでほとんど居なくなり、ATフィールドを貫通するメスなども開発されている。

 軽症の場合は飲み薬による治療も行われている。

 使徒の能力が出た患者の中には、最初はスプーンや箸が折れるだけだったが、恋人との恋愛フラグも折れてしまったと泣きついて来る者も居た。

 ミサトはそんな患者にも優しく接してくれると評判が良かった。

 また、使徒化して暴走した患者を看護師のレイやコトネと一緒に制圧する勇ましい面もあった。

 アスカもそんなミサトに憧れて医師免許を取るのだと張り切っていた。

 ゲンドウとユイは院長と院長夫人となり、副院長となったコウゾウはやっと肩の荷が下りたと安心していた。

 それでもヤンチャをした患者を炊飯ジャーに閉じ込めてしまう事もあるそうだ。

 

「ミサトさん、せっかく同じ日に休みをもらったんですから、今夜どうですか?」

「そうね、みんなあたしたちに気を遣ってくれているんだし……」

 

 その日の夜は、シンジとミサトは同じベッドの上で愛を確かめ合った。

 碇夫妻は院長権限を使って、シンジとミサトの休日のシフトを重ねる事がある。

 これから外科医としてのキャリアを積もうとするミサトに、出産によるブランクを開けさせたくないのだろう。

 それともただ単に早く孫の顔が見たいだけか。

 技師であるリツコに懐妊を告げられた時はシンジとミサトは手を取り合って喜んだ。

 

「私の技術なら直ぐに男の子か女の子か分かるけど、どうする?」

「ううん、聞くのは止めておくわ。たくさん名前を考えるのって楽しいじゃない」

「まさか何人も子供を作る気なの?」

「一人っ子は寂しいもんね、シンちゃん」

 

 幸せそうに見つめ合うシンジとミサトを見て、リツコはため息を吐き出した。

 

「ミサトさん、急患の使徒です!ダジャレだけでR-1グランプリで優勝してしまった芸人が運び込まれました!ATフィールドとパターン青を確認しました」

 

 麻酔科医のマヤがリツコの研究室へと駆け込んで来た。

 

「世の中を明るくする有用なウイルスかもしれないけど、それじゃあ頑張ってネタを作っている他の芸人さんたちがかわいそうね。緊急手術よ、シンちゃん!」

「はい、ミサトさん!」

 

 ミサトとシンジ、マヤは急いでオペ室と向かった。

 人から人へと感染を広げる間に変異を起こして行く使徒ウイルス。

 生命の樹から始まり20年の間に進化を遂げている。

 ほとんどの人間が無症状であるが、誰しも極微量のATフィールドを持っているのだという。

 ミサトとシンジの行く道に、幸あらん事を……。




 これにて本編は完結です。
 続編としてこの連載枠で「女医ミサトと新米看護師シンジ(仮題)」が続きます。(R15版)
 人類と使徒ウイルスの共存と戦いは続くのです。

 R18版は「女医ミサトと催眠術看護師シンジ(仮題)」です。
 催眠術の力に目覚めたシンジがミサト先生にイタズラしてしまいます。
 ミサト先生の下着は黒が良いかなと思っています。
 R18版の公開アドレスは下記になります(現在非公開。公開をお待ちください)
 https://syosetu.org/novel/279168/

追伸:当初は、マイ・フェア・レディのようにアスカとの三角関係のこじんまりとした短期連載の予定でしたが、格闘シーンを入れようとしたら長編となってしまいました。個人的な謝罪ですが結局、ミサトのプロレスシーンを描くことは出来ませんでした。ごめんなさい。

Web拍手を押して応援して頂けると幸いです。
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R18版関係の質問です。女医ミサト先生の下着の色の希望は何ですか?

  • 妖艶な魅力を感じる黒
  • 純白さが際立つ白
  • 乙女チックなピンク
  • 爽やかな水色
  • 明るい太陽のような黄色
  • 軍隊フェチなグリーン
  • 情熱が燃える勝負下着の赤
  • 個性極まるウコン色
  • 無色透明、葉っぱ三枚あればいい
  • その他の色(Web拍手などで直接)
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