ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~ 作:朝陽晴空
「とりあえず、シンちゃんはいつも通り学校に行って。この娘はあたしに任せておいて」
「分かりました」
シンジは不安そうな顔をしながらミサトに答えた。
そのシンジの様子を見ていたアスカは、シンジが心配しているのはミサトの事だけで、自分に向けられていない事に気が付いた。
シンジの視線はミサトにばかりに集中して、ミサトのシャツを着ただけのアスカの方を見ようともしない。
初対面の相手だから仕方のない事かもしれないが、アスカはそんなシンジの態度が面白くなかった。
「じゃあミサトさん、行ってきます」
「いってらっさーい!」
シンジは笑顔でミサトに手を振って、玄関から出て行った。
少し急いで登校すれば、遅刻はしないはずだ。
玄関のドアが閉じ、シンジを見送ったミサトは厳しい表情になってアスカを見つめた。
「さてと、あたしも仕事に行くけど、この家の中で大人しくしているのよ」
「分かっているわよ、アタシも捕まりたくないし」
ミサトが正式に申請をするまでは、アスカは逃亡者扱いだ。
施設の職員が一度死んだと思ったアスカをしつこく追跡調査するとは思えないが、アスカの姿を見つければ捕まえようとするだろう。
自由を手に入れるまでのしばらくの間の辛抱だ。
「お腹が空いたら冷蔵庫にあるものをチンして食べて」
「チン……?」
聞き覚えの無い言葉にアスカは首を傾げてミサトに尋ねた。
ああそうか、この娘は施設で教えられていないのかとミサトは同情した。
アスカは自分を憐れむような目で見つめるミサトを、施設の大人と同じく自分を見下して居るのかと思って睨み返した。
「ごめんなさい、あなたの事をバカにしたわけじゃないのよ」
ミサトに正面から抱き締められたアスカは、不思議な気持ちになった。
誰かの胸に顔を埋めた事など初めてだった。
「うっぷ、苦しいわよミサト。アタシを窒息死させるつもり?」
「ごめんごめん」
そう言ってミサトはアスカを解放した。
ミサトはアスカに電子レンジの使い方を教えた後、出勤時間に遅れないようにするために家を出た。
「いってらっしゃい」
アスカにそう言葉を掛けられたミサトはフッと笑みを浮かべた。
ミサトの愛車は真っ赤なバイク、こいつでかっ飛ばせば遅刻はあり得ない。
「さてと、ミサトの家に匿ってもらう事になったのは良いけど、やる事が無くて暇よね~」
この家に来た頃はもしかして施設に連れ戻されるかもしれないと内心怯えていたアスカも、だんだんと気持ちに余裕が出て来た。
完全に自由の身となったわけでは無いので、まだ解放感には浸れないが。
「アイツ……見かけは、ザ・無害って感じだけど、隠された一面があるかもしれないから油断は出来ないわ」
『シンちゃんのお部屋』とミサトが書いたらしいドアプレートの前に立って、アスカはそう呟いた。
これからシンジの部屋のあら捜しをしようと言うのだ。
シンジの部屋は質素で、机は綺麗に片付けられており、本棚には参考書ばかりで漫画の一冊も無かった。
机の上に置かれた古いS-DATにはピアノの曲だけが入っていた。
「何よ、優等生面して、つまらないの」
アスカも施設に入所していない恵まれた中学生の男子は、ゲームやアニメや漫画、スケベ本などに興味を持っている事を知っている。
こっそり施設の自分の独房にそう言うものを看守にバレないように隠しているヤツも居るほどだ。
「でも、こうしてみると……ミサトとシンジが写った写真ばかりね」
シンジの部屋を見回すと、シンジの両親らしき写真、学校の友人と写った写真も飾られているが、圧倒的にシンジとミサトのツーショット写真が多かった。
「ははーん、これはもしかして……」
アスカがシンジの枕を詳しく探ると、寝ているミサトをこっそり撮ったらしい写真が隠されていた。
ラフな格好で寝ているミサトのバストの下の部分が見えている。
やった、ついにシンジの弱みを見つけたとアスカはほくそ笑んだ。
学校に登校したシンジは、予鈴のチャイムが鳴る前に教室の自分の席へとたどり着いて安堵の息を漏らした。
「優等生のセンセが遅刻ギリギリとは珍しい、何かあったんか?」
「別に何もないよ」
「何や、相変わらず愛想の無いやっちゃな」
クラスメイトのトウジに声を掛けられたシンジがそう答えると、トウジはつまらなそうにそう呟いた。
シンジは限られた短い時間で今日の授業の予習をする。
授業で教師に質問されても、模範通りの答えをする、何となく好かれないタイプだった。
休み時間や放課後になってもトウジやケンスケの遊びの誘いを断り、シンジはクラスから孤立していた。
ミサトには同世代の友達を作った方が良いと言われているが、シンジはトウジたちの好むような下ネタは特に苦手で、トウジたちが興味を持つ美人生徒会長にも興味を持てなかった。
だから昼休みになるとシンジはミサトの作ったロールキャベツ弁当を食べると、独り図書室へと向かった。
図書室で勉強をしたりもするのだが、ここにはトウジたちのように騒がしくする人間もおらず、シンジはその静けさが好きだった。
そして図書室にはいつものように先客が居た。
同じクラスの綾波レイだ。
シンジとレイは目が合わせると、シンジの方から目を逸らした。
別にシンジとレイは図書室で親し気に話したりしない。
ただ顔を合わせるだけの関係だった。
放課後になるとシンジは音楽室へと足を運ぶ。
音楽室では違うクラスの同級生、渚カヲルがピアノを弾きながらシンジを待っていた。
「やあシンジ君、さっそく二重奏を始めようか」
「うん」
シンジは椅子に座ってチェロを構えると、カヲルのピアノに合わせて演奏を始めた。
二人が演奏を始めた事に気が付いた女子生徒の中には、こっそりと音楽室のドアの入口から中をのぞく者、目を閉じて聴き入る生徒も居た。
その女子生徒の中にはシンジのクラスの委員長である洞木ヒカリも含まれるので、トウジとしても面白くない。
「シンジ君、そんなにチェロが弾きたいのなら買ってもらわないのかい?」
「ううん、僕の家は裕福でもないし、迷惑を掛けたくないから」
カヲルの質問にシンジは首を横に振ってそう答えた。
シンジがチェロが欲しいとねだれば、ミサトは自分の食費を削ってでも買ってくれるだろう。
しかしシンジはミサトのストレス解消になっているビール代を減らすような事はしたくなかった。
今働いているネルフの職場では、アサヒと言う嫌な上司が居るらしく、酔っては愚痴を零していた。
「独学じゃなくて、本格的に留学でもすれば、シンジ君はチェロの演奏家になれると思うけどね」
「それこそ無理な話だよ」
増してやこれからはアスカと言う同居人が増えて家計は厳しくなって行く。
ミサトの優しいところは好きだが、本音を言えばアスカと言う少女には施設に戻って欲しいとシンジは思った。
アスカには同情しないでもないが、大好きなミサト姉さんに苦労して欲しくないとシンジは願っている。
「おかえり、シンジ」
家に帰るなり小悪魔的な笑みを浮かべて出迎えたアスカに、シンジは嫌な予感を覚えた。
「まさか優等生のシンジ君が、ミサトをオカズにしているとはね」
アスカの言葉を聞いたシンジは鞄を乱暴に放り出すと自分の部屋に駆け込んで、自分の枕を調べた。
隠してあった“あの写真”が無くなっている。
クラスメイトのケンスケに貯めていた小遣いを払ってまで借りたカメラで撮った写真だった。
「か、返してよ!」
「返してあげる。でも、アタシを追い出そうとしたら分かっているわよね」
シンジが顔を真っ赤にしてそう言うと、アスカは素直に写真を返した。
アスカもここで写真を返さないとシンジを余計に怒らせてしまうのは分かっていた。
「アンタの部屋は図書館みたいに本棚があって、さぞ勉強に精通しているとは思ったけど、アタシが夜に勉強を教えてあげてもいいのよ?」
「余計なお世話だよ」
シンジが言い返すと、アスカはからかうような笑みを浮かべた。
「ちなみに参考までに教えて欲しいんだけど、どんな感じだったの?」
「ミサトさんに抱き締められて、窒息しそうになった日の夜、寝ているミサトさんの服をめくって触ったら、ピーンとなったんだよ……」
そこまでシンジの話を聞いたアスカは、とりあえず満足した様子だった。
「まあミサトには黙っておいてあげるわ。アンタにそう言う目で見られているって気が付いて居ないようだし」
不機嫌そうな顔をしたシンジは、放り投げていたカバンを拾うと部屋へと戻り、着替えてリビングへと出て来た。
そしてキッチンにあった空っぽの鍋を見て悲鳴を上げた。
「あーっ! ミサトさんのビーフシチューが無い!」
「その鍋にあったビーフシチューなら、お腹が空いたからアタシが食べたわよ」
アスカがケロリとした顔でそう言うと、シンジは怒りながら冷蔵庫を指差した。
「冷蔵庫に冷凍食品が入っていたじゃないか!」
「ミサトの言う通り、電子レンジに入れたら破裂して食べられない代物になったのよ」
「外袋から中身を取り出して電子レンジに入れろって書いてあるだろ! しっかり読めよ!」
優男だと思っていたシンジがこれほど怒り狂うとは、アスカには思ってもみなかった。
「あああっ、夕食はミサトさんのビーフシチューだって楽しみにしていたのにっっっ!」
「アンタどれだけミサトの事が好きなのよ……」
地団駄を踏んで悔しがるシンジを見て、アスカはドン引きでため息を吐き出した。
その頃、ネルフでいつものようにD級勤務者として事務仕事をしていたミサトは上司のアサヒに声を掛けられた。
「冬月社長がお前を呼んでいるそうだ、何かやらかしたのか?」
「さあ、私には心当たりはありませんが……」
このアサヒと言う男は自分の保身しか考えていない。
ミサトは早々に社長室へと向かう事にした。
それにしても社長に呼ばれるなど初めての事である。
D級勤務者はもちろん、会社でも限られた人間しか社長室のあるフロアには入れない。
警備員に通されたミサトは他のフロアとは違う異質な感じに驚いた。
一般企業のオフィスとは違う、物々しさを感じる。
社長室があるはずの場所は、司令室と書かれている。
「葛城ミサト、参りました」
思わず軍人がするような敬礼をして、ミサトは背中を向けて立つ冬月コウゾウに声を掛けた。
「よく来てくれた特務機関ネルフへ。私が司令の冬月だ」
振り返ったコウゾウはミサトにそう声を掛けた。
ミサトは状況が分からず、目を丸くして息を飲んだ。
自分が勤めていたのはネルフと言う民間気象研究企業では無かったのか?
「君が驚くのも無理はない。特務機関ネルフは、《適格者》を率いて《使徒》を倒す密命を帯びた組織だ」
コウゾウはミサトに説明をした。
新世紀(21世紀)を迎えてから、特別な能力を持つ人間が世界各地で《使徒》と名乗り、犯罪や破壊活動を行うようになった。
《使徒》は《A.T.フィールド》と呼称されるバリアーのようなものを持っており、通常の武器では絶対に傷つける事は出来ない。
そこでネルフは同じA.T.フィールドを持つ人間を《適格者》として育て上げ、使徒を倒すための手段とする事にした。
「君が拾ったアスカと言う少女、彼女も《適格者》候補の一人なのだよ」
コウゾウの言葉を聞いたミサトは、崩れ落ちそうになるのを必死にこらえた。
施設に収容されたアスカはA.T.フィールドを持つ子供として見出され、《適格者》として訓練を受ける前に脱走したのだった。
「そして君が育てているシンジ君の両親、碇夫妻も《使徒》の手によって殺された」
「そんな……スピードを出し過ぎた車が崖から転落しての事故死では無かったのですか?」
ミサトの問い掛けにコウゾウは首を横に振った。
「違う、真実は使徒が碇夫妻が乗っていた車を持ち上げ、崖下に向かって思い切り投げ飛ばしたのだよ。A.T.フィールドを生まれ持った子供である、シンジ君を葬り去ろうとしてな」
コウゾウはA.T.フィールドの発現時期は個人により異なり、赤ん坊の頃から発現する者も居れば、シンジのように資質は持っていても、少年期を過ぎた頃に発現する者も居ると話した。
「それでは社長……いえ、司令が私を呼び出した用件とは……」
「君には二人の《適格者》を監督する教官として、特務機関ネルフに入隊して欲しいのだよ」
コウゾウはミサトの目をしっかりと見つめて、そう告げたのだった。
色々な秘密が明らかになると言う意味でタイトルを付けました。
この世界線でのミサトは何と料理や家事が出来ます。
肉弾戦を多くしたかったので、使徒は基本的に人間サイズにしました。
シンジとミサトの関係について
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R15(?)の現状でいい
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姉弟の関係に徹するべきだ
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アスカやリツコとの三角関係が来い!
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より激しく!もっと激しく!さらに激しく!