ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~   作:朝陽晴空

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 簡単な解説

 シンジとアスカは5分間しか戦えない

 プラグスーツは酸素ボンベの代わりになる

 今回の使徒は元水泳選手

 レイは限り無く人間に近い存在として創られた


シンジの水泳特訓、コーチはミサトさん

「ミサトさん、どうしたんですか!? 顔色が真っ青ですよ!?」

 

 シンジは帰って来たミサトを見るなり、心配そうな表情で駆け寄った。

 

「彼氏にでもフラれたんじゃないの?」

「ミサトさんに彼氏!?」

 

 アスカの言葉に、シンジは激しく動揺した。

 しかしミサトはそんなシンジの様子に気付く事無くリビングのソファに身を沈めた。

 シンジは冷蔵庫から缶ビールを取り出してテーブルの上に置くが、ミサトは手を付けようともしない。

 

「身体の具合でも悪いんですか!?」

 

 そのミサトの様子にシンジはますます心配を募らせるばかり。

 ミサトとしても、アルコールが入った状態で大事な話をするわけにはいかない。

 本当は酔った勢いで話したい気分だった。

 冬月司令から聞いた碇夫妻の死の真相。

 シンジとアスカが適格者である事。

 今日はショッキングなニュースが多すぎた。

 

「……よりによって、どうしてシンジ君が適格者に選ばれなくちゃならないのよ……」

「えっ、僕がどうかしたんですか?」

 

 自分の心の声を漏らしてしまったミサトは、後には退けないとシンジとアスカに冬月司令から聞いた事を話した。

 

「ウソ……そんな話、冗談でしょう!?」

 

 話を聞いたアスカはテーブルに両手を突いてミサトに向かって身を乗り出した。

 しかしミサトの真剣な表情はこれが悪ふざけではない事を語っていた。

 

「冬月司令への返事は保留にしてあるわ。あなたたちに強制する事は出来ないからね」

「……しばらく一人で考えさせて」

 

 アスカはそう言うと、アスカの布団の置かれた元物置部屋へと引っ込んで扉を閉めてしまった。

 

「シンジ君は、どうしたい?」

 

 ミサトに尋ねられたシンジは、学生服の上にエプロンを着けた格好のまま、ミサトに近づいた。

 

「ミサトさん、抱きしめてもらっていいですか?」

「いいわよ、来なさい」

 

 シンジはそう言うとミサトの胸に飛び込んだ。

 幼い頃、シンジは良くミサトに甘えていた。

 思春期を迎えて中学生になると、恥ずかしがってミサトが抱き締めようとすると逃げようとしていたが。

 

「僕は……正直怖いです。使徒と呼ばれる人と戦うなんて、想像するだけで身体の震えが止まりません」

「そうよね、シンちゃんはケンカした事も無い、優しい子だもんね」

「ただ臆病なだけです」

 

 子供の喧嘩に親が出る、ではないが、姉代わりのミサトは学校でシンジをいじめたヤツに仕返しをしていた。

 シンジは人付き合いの上手い方ではなく、そんなに友達も多くなかった。

 群れから離れた草食動物は、肉食動物の格好の餌食となる。

 それは人間の世界でも同じ道理だった。

 

「でも、僕は父さんと母さんを死なせた使徒を倒したいと思います。あまり記憶にないけれど、父さんと母さんは僕に優しかった。何より、今ミサトさんを苦しめているのは使徒なんだから……」

 

 シンジの決意表明をミサトはしっかりと聞いていた。

 他に聞いていた人物がもう一人。

 アスカも部屋の扉に貼り付き、聞き耳を立ててミサトとシンジの話を聞いていたのだ。

 

 

 

 翌日、ミサトはシンジとアスカを連れてコウゾウの元を訪れていた。

 ミサトは施設に拘束される事を嫌って脱走したアスカが適格者になる事を承諾した事を意外に思っていた。

 

「フクリコーセーってやつ? はしっかりとしてもらうからね!」

「もちろんだとも」

 

 コウゾウにも物怖じしないアスカの態度に、ミサトはハラハラした。

 ミサトはコウゾウをもっと頭の固いワンマン社長と想像していたが、物腰柔らかな老紳士だとイメージを一変させた。

 シンジとアスカのような子供たちにも頼みごとをする際にはしっかりと頭を下げる。

 これは並の大人でもそうそう出来るものではない。

 コウゾウはミサトがシンジとアスカの直属の上司になると告げた。

 シンジはミサトがネルフに勤めている事は知っていたが、隠されたネルフの実態までは知るはずも無かった。

 これまで姉のように甘えていたミサトが上司になった事に、シンジは悲しみを感じた。

 今までの関係を続けられないような予感がしたのだ。

 

「君たちはネルフの適格者の一員として使徒と戦う事になるのだが、正体が知られると、狙われる可能性がある。そこで《プラグスーツ》と呼ばれる服を着て使徒と戦ってもらう事になる」

 

 コウゾウが指示すると、宇宙服のようなものを持ったスタッフが現れた。

 顔の部分はマジックミラーのようになっていて、内側からしか見えない仕組みになっている。

 下着もすべて脱いでこのプラグスーツを着るのだと言う。

 戦闘の邪魔にならないように体にフィットした形になっていた。

 

「嫌ね、ボディラインが丸見えじゃない」

「それに、この服に色々な会社の名前が入っているみたいですけど……」

 

 赤を基調としたアスカのプラグスーツと青を基調としたシンジのプラグスーツは洗練されたデザインで、二人は不満は無かった。

 しかし服のいろいろな場所に『ONY』や『GASE』、『ワクドナルド』のマークが入っているのが気になった。

 

「それはネルフに資金を提供してくれるスポンサー企業の名前だよ。キール議長のアイディアで、適格者には広告塔になってもらう事になった」

「特務機関ネルフは秘密組織じゃなかったの?」

 

 コウゾウの言葉に、皮肉めいたアスカのツッコミが入った。

 

「ネルフも資金難になってね。使徒の存在も隠すのが難しくなって来た。そこで方針転換が図られたのだよ」

 

 ネルフの実情をグダグダ話していても仕方ない。

 コウゾウは本題に話を戻す事にした。

 

「プラグスーツがあれば、ATフィールドを解放して戦う事が出来る。しかし君たちは戦いについては素人だ。しばらくは訓練を受けてもらうよ」

 

 シンジとアスカの前に指導教官として現れたのは加持リョウジと言う男だった。

 

「ふうん、なかなか良さそうな男じゃない」

「アスカ、ああいう男の人が好きなんだ……」

「アンタみたいなガキとは違うのよ」

 

 しかしリョウジがミサトに色目を使っているのを見ると、アスカの口はへの字になった。

 

「あなたも一緒に指導を受けてみては如何ですか?」

 

 ミサトは適格者ではない。

 しかしある考えを持っていたミサトは戦闘訓練を受ける事を承諾した。

 リョウジ一人では一度に三人の相手は出来ないので、戦略自衛隊の少年兵、霧島マナとムサシの二人も戦闘訓練に加わった。

 シンジはムサシと、アスカはマナと、ミサトはリョウジと組み手を行った。

 

 

 

 その日、シンジたちはクタクタに疲れ果てて帰宅した。

 早くも次の日、シンジたちが倒すべき標的の使徒が決まった。

 使徒の名前は水野・サキ・ヴァッシュ。

 アメリカ人のクォーターで、頬に十字の傷を持つオリンピック代表の水泳選手だった。

 サキは先月、沖縄の米軍基地の移転工事が始まると、沖縄の自然を守ると言う大義名分で米軍の戦艦を沈めているのだと言う。

 

「沖縄の自然を守るためだなんて、悪い人だとは思えないけど……」

「それは口実で、本音は使徒だと露見してオリンピックのメダルを剥奪された逆恨みに過ぎないと思われる」

 

 困惑した顔で呟くシンジに、コウゾウはそう説明した。

 サキが使徒の能力を使ってメダルを獲ったのは定かではないが、使徒に対する偏見があるのは確かである。

 ATフィールドを使うと体力を消耗する。

 時間無制限で使えるわけではない。

 サキが連続して襲撃をしないのはそう言った理由もある。

 今のシンジとアスカはATフィールドを展開できるのは5分が限界だ。

 戦闘訓練も短期決戦を目標に行われていた。

 

「シンジ君、浮かない顔をしているが、どうしたんだい?」

「僕、泳げないんです……」

 

 リョウジに尋ねられたシンジは暗い顔でそう答えた。

 小学校の頃、クラスメイトに25メートルが泳げなくてバカにされた過去があるのだ。

 

「プラグスーツには酸素補給装置が内蔵されています。水中戦闘にも支障はありません」

 

 技術部の赤木リツコ博士に言われても、シンジの不安は消えなかった。

 

「よし、それなら俺がシンジ君に水泳をコーチしてやろうか?」

 

 リョウジにそう言われたシンジだが、渋い顔をしていた。

 

 

 

 シンジたちは沖縄のネルフ関連施設に飛んで、水泳の特訓をしながら使徒サキの襲来を待つ事になった。

 沖縄のビーチで男たちの視線を釘付けにしたのは競泳水着のミサトだった。

 シンジにとって自慢の姉だが、舐めるようにミサトを見つめる男たちには不快感を覚えた。

 言い寄る男たちはアスカに声を掛ける者も居たが、ほとんどがミサト目当てだった。

 

「ほぅ、大きな胸の抵抗をものともしない速さだな」

 

 リョウジが鼻の下を長くしてミサトの泳ぎを見ているのもシンジとアスカは気に食わなかった。

 ビーチではどうしても人目を引いてしまうミサトに群がる男たちを追い払う事に追われ泳ぎの特訓どころではなかった。

 翌日からシンジとミサトはネルフ施設内のプールで特訓をする事になった。

 アスカはリョウジと特訓したいと強く主張して、この組み合わせになったのだ。

 多分、アスカはリョウジとデート気分を味わいたいのだろう。

 

「ほらシンジ君、あたしが両手を掴んでいるから安心して」

 

 シンジは水に顔を付けてバタ足する練習から始めた。

 他の誰かに見られたら恥ずかしいが、ここにはミサトと自分しか居ない。

 息継ぎのために顔を上げる度にミサトの大きな胸が正面に来る。

 だからシンジは泳ぎが上達して行くのが少し残念だった。

 

「シンジ君~! ここまで泳いであたしの胸に飛び込んで来なさい!」

 

 遠くで手を振るミサトに、シンジは俄然やる気を出した。

 

「100メートル泳げるようになったら、御褒美を上げちゃうわよ♪」

 

 胸を寄せたミサトにそう言われたシンジは妄想が爆ぜた。

 その日の夜は興奮してベッドの上で溜まっていたものを発散させてしまったほどだ。

 

 

 

 ついに使徒サキが沖縄に現れたとの情報が入った。

 サキの標的は米軍の象徴的な艦隊『オーバーザレインボー』。

 今までの散発的な襲撃とは訳が違う。

 阻止しなければならない。

 

「パターン青を確認、使徒です!」

 

 頭に着けたインターフェイス・ヘッドセットを通じてシンジとアスカに、オペレータの伊吹マヤの通信が入る。

 シンジとアスカはマヤに指示された場所に急行した。

 ミサトとリョウジは発令所で二人の戦いを見守る事しか出来ない。

 サキはATフィールドを展開して魚雷のように米軍の戦艦に突撃した。

 しかしそのサキの頭突きは同じATフィールドによって阻まれた。

 ATフィールドを展開したシンジが腹で受け止めたのだ。

 あまりの痛さにシンジはお腹を手で押さえて悶絶する。

 勢いを失い、動きを止めたサキの頭をアスカはヘッドロックで固めようとした。

 首を絞めて気絶させてしまえばアスカの勝利である。

 しかしサキはその鋭い目のような冷静さを持って、顎を引いて気道を確保した。

 そして体重をアスカの肘にかけて腕を振りほどいた。

 サキはシンジの横をすり抜けて標的の米軍艦隊に向かおうとした。

 そうはさせまいとシンジとアスカはそれぞれサキの太ももにしがみついた。

 二人を振りほどこうと、サキは両腕の腕力で必死にシンジとアスカの頭を押しのけようとするが、二人は歯を食いしばって太ももにしがみついた。

 

「間も無く五分が経過します!」

「シンジ君、アスカ、これ以上の戦闘は危険よ! 撤退しなさい!」

 

 ATフィールドが無くなればシンジとアスカも普通の人間とは変わらない。

 使徒に強く押されて首の骨を折ってしまう危険性もある。

 シンジとアスカは悔しそうな顔でサキから離れる。

 

「二人のお陰で時間稼ぎは出来た、それで十分だよ」

 

 リョウジの言う通り、サキは今回は米軍艦隊の襲撃を諦めて逃げ帰るようだった。

 捕まえられないのがシンジとアスカにとって無念だった。

 しかしそんなサキの前に、白いプラグスーツを着た適格者が現れた。

 広告は『三Internet Bank』の一社のみとシンプルなデザインだった。

 サキは元水泳選手のテクニックを生かして、I字ストロークのクロールで逃げようとした。

 しかし白いプラグスーツの適格者は人魚のような泳ぎ方で、サキを捕えた。

 そしてサキの手の平を掴んで捻り上げると、サキは苦痛のあまり悲鳴を上げて口を開いた。

 ここまで来れば使徒も普通の人間と同じ。

 逮捕された使徒はコアを除去する手術を施されるのだと言う。

 それは寿命を大幅に縮めてしまうため、人道的とは言い難いものではあるが……。

 

「あの白いプラグスーツ、何者よ!?」

「君たちと同じ適格者、綾波レイさ」

 

 アスカの質問にリョウジはそう答えた。

 

 

 

 沖縄のネルフ施設で、アスカとシンジはレイと対面した。

 まさに無表情とも言って良いレイの様子に、シンジとアスカはどう接して良いのか戸惑った。

 

「レイは使徒と戦うために創られた、ヒューマノイド・アンドロイドなのさ」

「えっ!? 僕たちと同じ人間にしか見えませんけど」

 

 リョウジの話を聞いたシンジは驚きの声を上げた。

 

「まだ生まれたばかりの子供のような一面も持っているが、仲良くしてやってくれ」

「アンタの泳ぎ、人魚みたいだったわね。アンドロイドだから出来たの?」

「私は人形じゃない」

 

 アスカに尋ねられたレイは少しだけ眉をひそめてそう答えた。

 

「人形じゃなくて、に・ん・ぎょ!」

 

 まるで自分が悪いヤツみたいじゃないと思ったアスカはそう言って念を押した。

 

「シンちゃん、お腹に大きなアザが出来ているけど大丈夫?」

「ミサトさん、このくらい平気ですよ……って痛い! 触らないでください」

「もう、無理しちゃって。強がらなくて良いのよ」

 

 ミサトはそう言ってシンジの頭をお腹の傷に障らないようにやんわりと抱いた。

 

「あの二人は、相変わらずシスコンね」

「シスコ?」

「アンタ、アタシをからかっているの?」

 

 アスカは首を傾げるレイを見て大きなため息を吐くのだった。

 

 

 




 最後の使徒の能力まで構想が浮かんだので、連載を進めようと思います。
 そんなに格闘技に詳しくないので、もっと込み入った戦闘描写をしたいのですが、気になった点(あり得ない矛盾など)がありましたらご指摘ください。
 修正していきたいと思います。
 特に格闘技・特撮ヒーロー技の名前など教えて頂けると幸いです。

シンジとミサトの関係について

  • R15(?)の現状でいい
  • 姉弟の関係に徹するべきだ
  • アスカやリツコとの三角関係が来い!
  • より激しく!もっと激しく!さらに激しく!
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