ミサトはシンジの大好きなお姉さん ~碇シンジ養育計画~   作:朝陽晴空

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暴走を止めろ!

 使徒ラミーを倒して、束の間平和が訪れた。

 しかしシンジたち適格者の力を必要としているのは使徒殲滅だけではない。

 新型爆弾が落とされて巨大な広場となってしまった旧東京。

 そこを実験場として巨大ロボット『ジェット・アローン』の完成披露試写会が行われていた。

 その様子はマスコミのカメラを通じて、世界へとネット配信される。

 ジェット・アローン開発責任者の時田シロウは自信たっぷりの様子で仮設ステージの上に立っていた。

 手に握られているのは司会進行用のマイクである。

 

「あちらに見えますのが、日本重化学工業共同体の援助を受けて私、時田シロウが開発した『ジェット・アローン』です」

 

 カメラが捉えた映像には白いシーツを被った巨大な円柱のような物体が映し出されていた。

 実況しているニヤニヤ動画のコメントも期待値最高潮。

 ググーでもツヒッターでもジェット・アローン関係のワードがトレンド入りしていた。

 

「それではジェット・アローン、本邦初公開です、とくとご覧あれ!」

 

 クレーン車により白いシーツが取り払われると、歓喜の声は失望へと変わった。

 赤と白を基調とした、首無しの人間のようなデザイン。

 しかも腕は力無くダラリと下がり、なで肩である。

 肩がガッチリしているガ〇ダムの方が数十倍カッコイイ。

 

「ダサイ」

「ギャグか?」

「日本終わった」

「前座のお笑いロボ?」

 

 ネット上では早くも不満と嘲りのコメントであふれていた。

 スポンサーの日本重化学工業共同体の幹部達の顔も渋い顔になっていた。

 こうなったらスペックを公開して巻き返しを図るしかないとシロウは説明を始めた。

 

「このジェット・アローンには原子炉が6基搭載されており、365日間の連続行動が可能となっております!」

 

 シロウは堂々とそう話したが、ついにネットでは炎上するほどの批判コメントが殺到した。

 

「原子炉だって? 危険すぐる」

「企画の段階で止めろよ」

「365日休みなしで働くなんてブラック企業w」

 

 日本重化学工業共同体のイメージをアップさせるどころか逆効果にもなりかねない。

 それでもジェット・アローンが動く所を見せれば世間の評価はひっくり返るだろうとシロウは考えた。

 

「微速前進、右足前へ!」

 

 シロウはスタッフに指示を出す。

 するとジェット・アローンはゆっくりと歩き出した。

 腕をブラブラさせながら歩くジェット・アローンの姿が中継されるが、称賛の声はほとんど上がらなかった。

 こうなってはジェット・アローンの出力を上げてその力を見せつけてやるしかない!

 シロウは冷静さを失っていた。

 

「原子炉の出力を最大限にあげろ! より速く、より強いジェット・アローンの姿を見せるのだ!」

「しかし、それは危険では?」

「いいからやれ!」

 

 シロウの剣幕に圧されたスタッフは原子炉の出力を上げた。

 ジェット・アローンから制御棒のようなものが伸びて、フルパワー稼働を思わせる。

 全速力で走り出したジェット・アローンを見て、シロウは満足していた。

 

「よし、ジェット・アローンをこちらに帰投させろ。次は腕力を見せつけてやるんだ!」

「ダメです、制御不能! このままでは原子炉も臨界点に達してしまいます!」

 

 このままジェット・アローンが走り続ければ、人の住んでいる市街地へと行ってしまう。

 さらにメルトダウンまで起こしてしまったら、被害は甚大なものになるだろう。

 

「なんて事だ……」

 

 シロウは祈る気持ちでネルフに助けを求めた。

 

 

 

「巨大ロボットをアタシたちの手で止める!?」

「そう、適格者の力を使えば、ATフィールドで数分間は動きを食い止められるわ」

 

 アスカの質問に、ミサトはそう答えた。

 今シンジたちが居るのは旧東京へと向かうVTOL機の中。

 旧東京の実験場で暴走したジェット・アローンを市街地の手前で待ち受けて食い止める作戦だった。

 ATフィールドを展開できなくなったらシンジたちは普通の人間、踏み潰されてペシャンコになるだろう。

 数分勝負の作戦だった。

 

「どうやって暴走を止めるんですか?」

「ジェット・アローンの内部に侵入して、コンソールに緊急停止コードを入力するの。そうすればジェット・アローンは全機能を停止させるわ」

 

 シンジの質問にミサトはそう答える。

 

「ジェット・アローンの内部は高濃度の放射能に満ちていて、防護服を着ていても被曝する危険性がある」

「それでも、やらなければなりません。市民の命が掛かっています」

 

 コウゾウに対して、ミサトは毅然とした態度でそう言い放った。

 

「止めてくださいミサトさん、まだ腕が直っていないのに!」

「葛城一尉、私はアンドロイドなので放射能は問題ありません」

 

 レイがスッと手を上げると、ミサトは首を横に振った。

 

「ジェット・アローンの暴走を止められるのはあなた達だけ。あたしは左手だけでも大丈夫。運動神経が良いからね」

 

 シンジたちを乗せたVTOL機は、目標ポイントに着陸した。

 しばらくすれば土煙をあげて爆走して来るジェット・アローンが見えてくるはずだ。

 ミサトとコウゾウを乗せたVTOL機は再び離陸する。

 ジェット・アローンの背中のハッチから中に侵入するためだ。

 

「おいでなすったわね……行くわよ、シンジ、レイ!」

 

 シンジたち三人はタイミングを合わせてジェット・アローンのつま先にATフィールドを展開することに成功した。

 足を振りあげる事の出来ないジェット・アローンは前進を止める。

 VTOL機がジェット・アローンの背中を掠めてミサトは着陸に成功した。

 

「くっ……このっ……!」

 

 シンジには強がったが、ハッチを開くには両手を使う必要があった。

 右手を使う事はドクターストップがかかっていたが、そんな事も言ってられない。

 痛む右腕を押さえながらミサトはジェット・アローンの内部へと侵入した。

 大きな建物では迷子になってしまうミサトだが、この時ばかりはシンジたちのためにも奮起した。

 

「良かった、ここがコンソールルームね」

 

 ミサトは教えてもらった緊急停止コードを打ち込んだが、エラーメッセージが出た。

 

「そんな……どうして!?」

 

 何度緊急停止コードを打ち込んでもエラーが出る。

 もしや自分が緊急停止コードを聞き間違えたのか。

 自分のミスのせいでシンジが命を落としてしまうかと思うと、ミサトは悔しさのあまり涙が出た。

 しかし数分が経過しようとした時、突然ジェット・アローンは機能の全てを停止した。

 

「ミサトさん、上手く行ったんですね!」

 

 ジェット・アローンから出て来たミサトにシンジは飛びついて抱き付いた。

 しかしミサトは深刻な表情だった。

 この暴走が仕組まれた事だと思ったからだ。

 

「It went well, the president(上手く行きました、大統領)」

 

 ジェット・アローンの暴走事件を眺めている人混みの中に、そう電話を掛ける人物が居たのだった……。

 

 

 

 その後ジェット・アローンを含めた日本の巨大ロボット開発は見直しを迫られ、アメリカに大きく後れを取ったとニュースになった。

 ミサトは右腕を使ってしまった事や放射能の影響を受けていないかなど検査するため、入院が延期される事となった。

 消灯時間を過ぎたミサトの病室で、蠢く人影の姿があった。

 それはもちろん付きっ切りでミサトのお見舞いをするシンジだったのだが、病室のドアを開けて廊下を見回すなど、挙動不審だった。

 周囲に人の気配が無いことを確認したシンジは、眠っているミサトの様子を探った。

 医師によれば薬を投与されているため、多少の事では目を覚まさないらしい。

 シンジは今が最大の好機だと確信して実行に移した。

 

「……アンタ、ミサトの上に馬乗りになって何しているのよ?」

 

 後ろからアスカに声を掛けられたシンジは文字通り震え上がった。

 

「ほら早く、降りてパンツとズボンを履きなさい。アンタがめくり上げたミサトのシャツはアタシが戻しておくから」

「アスカ、どうしてここに?」

「アンタの暴走を止めに来たのよ」

 

 アスカは口をへの字にしてシンジを軽蔑したように見下ろしていた。

 

「ミサトは入院しっぱなしだから、アンタも溜まっていたもんね」

 

 シンジはアスカの言葉を否定できず、大人しく家へと帰る事にした。

 家に戻ると、アスカは不意にシャツを脱ぎ出した。

 

「アタシじゃ、ミサトの代わりにはならない? アタシってそんなに魅力がないかな」

「アスカは可愛いと思うよ」

 

 シンジは顔を赤くしてそう答えた。

 でもシンジはそれ以上アスカと事を進める気持ちにはならなかった。

 この足の踏み場も無い、カオスな空間では千年の恋も冷めると言うものだ。

 結局シンジは、夢の中に出て来たミサトに熱いパトスをぶつけたのだった。

シンジとミサトの関係について

  • R15(?)の現状でいい
  • 姉弟の関係に徹するべきだ
  • アスカやリツコとの三角関係が来い!
  • より激しく!もっと激しく!さらに激しく!
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