ガンダム? そんなことよりスーパーロボットだ! 作:神咲胡桃
ロボットは男のロマン。
どうやら僕は転生したらしい。
目の前で
プラフスキー粒子と呼ばれる特殊な粒子。それによって動くプラスチックの戦士ガンプラ。
多くの者たちが夢にまで見たそれが、僕の目の前に広がっていた。
ガンプラバトル。
テレビアニメのガンダムシリーズに出て来る
自分の手で作ったガンプラが実際に動かせ、さらには戦うということであっという間に大人気に。
世界大会が開かれるなど、ただのゲームの一言では済まないほどの熱気を見せている。
……見せてはいるんだけどなぁ。いやまあ、うん。それは良いんだよ。アニメの、架空の存在が自分の手で動かせる。大いに結構。僕もやりたい。だけど、さ。
――――なんでガンプラしかないんだよっ!!
ロボット、それはロマン。
ありとあらゆる人間が、頭の中で思い描き、しかし頭の中で完結してしまうもの。故に人はロマンと呼ぶ。
しかしこの世界なら、そのロマンを現実にできる! ロマンをより味わえるのだ! こんなに嬉しいことはない!
――この世界にあるプラモデルが、ほとんどガンプラだけであることを除けば。
「……これがネックだよなぁ。どうしてガンプラ以外がないのか」
確かにガンプラも良いと思うよ? ほとんど見なかったけど。スパロボぐらいでしか知らんけど。バルバトスの造形が俺好みなのを知ってるぐらい。
まあ? 別にガンプラバトルをしなきゃ生きていけないなんていう世紀末世界じゃないんだから、やらなくてもいいわけなんだが……めっちゃやりたい! 当たり前なんだよなぁ!
自分の手でロボットを動かせる。しかも戦わせることができる。こんなロマンを放っておけるか!
しかしこの世界は、ガンダム一強の世界だ。他のジャンルのプラモデル、というかロボットアニメがかなり少ない。
前世であったロボットアニメのほとんどを、この世界じゃ見かけない。
マクロス見たい。エウレカセブン見たい。ガオガイガー見たい。アクエリオン見たい。ダイナゼノンだって見たい。見たいみたい見たい見たい!!
……なんて駄々をこねても、無いものは無いのだ。
しかもガンダム以外でアニメが少ないせいか、スパロボもない。この世界じゃスーパーガンダム大戦になっちまうよ。
ああ、やってみてぇ……。このガンプラしかない世界で、戦闘機飛ばして、スーパーロボットで戦ってみてぇ。この世界じゃ叶いようが無いが。
ならどうするか? ある人は言いました。欲しいものが無ければ作ってしまえばいいじゃない、と。
僕は天啓を得たのだ――――
そんな野望を携えて早数年。僕ことアイゼン ハルトはまさしく挫折しかけていた。
前世の記憶を思い出してからというものの、どうにかして前世で見たロボットたちを再現できないかとずーっと考えていた。
小学生になり、ようやく父さんのパソコンを使わせてもらえるようになってから、僕はガンプラとガンプラバトルについて調べた。
ちなみにだが、僕はガンプラバトルでガンプラを使うつもりはない。
当然である。だってガンダムとか全然知らねぇ。ガンダムだけはなぁ、なんか食指が動かなかった。
話を戻して、ガンプラについて調べていた僕は、フルスクラッチというものを知った。
ガンプラのような組み立てキットで作るのではなく、素材を用意して自作する方法だ。
しかし「これだ!」と思ったのも束の間、大きな問題があることに俺は気付いた。
「どうやって作ればいいんだ……?」
フルスクラッチのやり方が分からないのだ。いや、いまどき調べれば大抵の事は分かるが、それを実践できるかどうかは別だ。僕は出来ない。
それに一から作るのであれば、設計図も必要なはずだ。設計図なんてそう簡単にかけるわけがない。
だから、詳しく言えばフルスクラッチで作れないのが正しいか。
「……どーするんだよこれ」
今日も今日とて、さっさと小学校から帰ってきた僕は父さんの部屋で頭を抱えていた。
せっかく、せっかくロボットたちを作れる手段の手掛かりが見つかったというのに、こうやって手をこまねいているだけになるとは。
「どーしたらいいんだよこれぇ……」
考えても考えても案が出ない。頭を捻っていると、ふと部屋の外から足音が聞こえて来たかと思うと、部屋のドアが開かれた。
「ハルトー! お父さんと一緒にガンプラ作らないか!?」
「やだ」
「がーん!? せっかくMGのザクを買ってきたのになぁ」
「いや、僕はガンプラ知らないし。というか、父さんは手先が器用だから一人で出来るでしょ?」
「何を言う。お父さんはな、ハルトと一緒に作りたいんだよ」
「言うて僕は不器用だよ。
うん? 任せっきり?
…………それだ!
「父さんごめん! ちょっと出て来る!」
「ええ? どこに行くんだい?」
「隣!」
呆ける父さんを置いて靴を履き替えた僕は家を出ると、すぐ隣の一軒家に向かいインターホンを押す。
そうだよ。わざわざ僕が作る必要ないじゃないか!
『はーい』
「すいません! 隣のアイゼンです!」
『あら~、ハルト君? ちょっと待っててね~』
程なくして、玄関から姿を見せたのは、色々と豊かな一人の女性。名前をイロハさんという。
のんびりとした性格の人で、心なしかのんびりとした口調で話しかけてくる。
「ハルト君、こんにちは~」
「どうも、イロハさん。ヒメいますか?」
「ヒメちゃん? いるわよ~。あがってらっしゃい~」
イロハさんに促され、後に続いて家にお邪魔する。
「あの子、2階の部屋に居ると思うわ~。ハルト君は分かるわよね~?」
「はい。何回かお邪魔させてもらってますし」
「それじゃ~ごゆっくり~」
イロハさんに見送られ、2階に上がりとある部屋の前に立つ。
逸る気持ちを落着け、ドアを3回ノックする。
『入ってくれ』
「邪魔するぞ」
返事に一言入れ、ドアを開ける。
中にはその部屋の主たる少女が、椅子に腰かけてこちらを見ていた。
「久しぶりだな。ハルト」
「そうだな。ヒメ」
優雅に足を組み、眼鏡越しにこちらを見やる少女は顎で椅子に座れと促す。
こいつの名前はヒメ。イロハさんの妹であり、僕からすれば幼馴染の関係ともいえる。数年前に、家族ぐるみで家の隣に引っ越してきてからの付き合いになる。
「ハルトが家に来るのは久しぶりだ。調子はどうだい?」
「まあ、ぼちぼちだ。お前はどうだ?」
「私も似たようなものだねぇ。講義が少々メンドクサイが」
「
僕の目の前で偉そうにふんぞり返るこの女は、なんと僕の1才歳下でありながら、大学まで
そう、ヤバい奴なのだ。これ大事ね。
小学生が飛び級してアメリカの大学で授業を受けるという摩訶不思議なこのことで、昔は随分と話題になった物である。今となっては鳴りを潜めているが。
前世の飛び級の仕組みはよく分かっていないのもあるが、この世界だとかなり制度が整っていると思う。それこそ、オンライン授業で講義を受けられるくらいには。
「それで? 今日は一体どうしたんだ?」
「ああ。実はだな、お前に頼みたいことがあってきた」
「告白なら断らせてもらう」
「ちげぇよ! なんでそうなる!?」
「男が急に異性を訪ねて来るなんて、告白ぐらいなものだろう?」
「何その偏見!?」
「まあ、条件次第では付き合ってやってもいいぞ? お前が女装して恋人になるならな? まあ、せっかくのその容姿だ。中々の好条件だとは思うが」
「人のコンプレックス抉ってくんな!」
叫ぶ僕を見て、ヒメはケラケラと笑う。くそっ。人のコンプレックスを弄ぶとは。
僕の容姿だがヒメの言ったように、中性的というか女顔である。前に母さんに女装させられたことがあったが、思わず膝をついてしまうぐらいには女装が似合っていた。
おかげで、初対面の人には必ず女に見間違われる。
かくいうヒメやイロハさんにも、初対面で間違われた。
「くっ! 今すぐにとっちめてやりたいが、まずは要件の話をしよう」
「へえ。そんなに大事なのか?」
「ああ、大事だ。ヒメ――――」
「――――作ってもらいたいものがある」
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