ガンダム? そんなことよりスーパーロボットだ!   作:神咲胡桃

6 / 10
バトル時の視点は、現段階のアンケの結果から三人称視点でいきますが、一応アンケは残しておきます。


歌とたまごと純情と 2

「ついに完成だ! 新たな機体……アーハン!」

 

興奮するヒメが、鼻息荒く叫ぶ。

 

作業机の上に立っているのは、ずんぐりむっくりとした丸みを帯びている一体のプラモデル。白い装甲で覆われてはいるものの、所々その内部のフレームが見える。

 

そんなこいつの名は『アーハン』。

 

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』という劇場アニメに登場した機動外骨格スーツだ。

 

主人公のアンジェラ・バルザックと共に前半主人公機として登場するも、登場から僅かで売り払われ、さらには終盤で同型機が敵として登場するという、不遇な期待だ。

 

ただスーパーロボット大戦Tで初登場した際は、アンジェラの搭乗機として戦闘ムービーが拝める。最初は敵で出て来るけどな。

 

だけどそのアーハンを見ても、ヒメと違っていまいち気分が盛り上がらなかった。

 

「……どうした? ナイトメアプラスの時はあんなに騒いでいたじゃないか?」

「嬉しくないわけじゃないんだ。嬉しいんだけどさ……ごめん。これは俺の問題だから」

「ふむ……まあいい。さっそく試しに行くぞ」

「あ、ああ」

 

 

 

 

そんな訳でゲーセンに赴くと、久しぶりの顔を見かけた。

 

「ん……また会った」

「あの時の……」

 

そこに居たのは、ガンプラバトルを初めてした時の相手だった銀髪少女だった。

 

「久しぶり」

「ああ、久しぶりか。えっと」

「……レン」

「え?」

「コトノハ レン。レンの名前」

 

そう言えば、お互いの名前は知らなかったな。

 

「ああ! 僕はアイゼン ハルト。それでこっちは……」

「ハナウミ ヒメだ。よろしく頼むよ」

「ハルトとヒメ。覚えた。それで、二人はガンプラバトル?」

「ああ、そうだけど」

「それなら……」

 

レンがごそごそと腰のポーチから、一体のガンプラを取り出した。

 

「私とやろ? この子なら、あのガンプラにも負けない……!」

「ふむ。いいんじゃないか? 知らない人間よりはやりやすいし」

「そうだな。やろうか、レン」

「ん……!」

 

ちょうどGPベースが開いたので、僕たちは向かい合って準備を始める。ナイトメアプラスの時のバトルを見ていた人が居るのか、少しだけ騒がしくなる。

 

GPベースが起動し、プラフスキー粒子がプラモデルたちに命を吹き込む。

 

「……アーハン、出るぞ」

 

アーハンのブースターを吹かし、空へ飛び立つ。

 

「……荒野ステージか」

 

草木一つない地面に巨大な岩が転がっている。

 

地面に着陸すると、センサーが近づく反応をキャッチした。

 

反応が現れた方向を見ると、赤い光を散らしながら飛んでくる機体が見えた。

 

「……ブレイブ。また可変機か。好きだな」

 

ヒメがポツリとつぶやく。

 

そして相対するヒメは、困惑した様子を見せる。

 

『違うガンプラ……?』

「悪いが、今日はこいつだ。手加減無くやらせてもらう」

『少し不満だけど、勝つのはレン』

 

 

ガンプラバトルが始まった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「先手は貰う……!」

 

クルーズポジション(巡航形態)のレンのブレイヴが動き出す。地面で構えているアーハンに、機首のGNビームライフル『ドレイクハウリング』から粒子ビームが発射される。

 

アーハンはブーストし、地面を滑るようにして粒子ビームをかわす。そのまま頭上を通り過ぎていったブレイヴを撃とうと、突撃用マシンガンを向ける。

 

しかし次の瞬間、アーハンの周辺の地面から次々と土が跳ねた。

 

「くそっ! 完全に背後を向けていたのに、一体何が……」

 

歯噛みしながらレバーを引くと、立ち込める土煙からアーハンが出て来る。

 

「腕部に収納されているGNビームマシンガンだろうねぇ。ブレイヴは後方迎撃が優秀だ」

「正解」

 

ハルトが上空を見上げると、そこにはブレイブがスタンドポジション(MS形態)が滞空していた。

 

「……このまま勝つ!」

「ちぃ!」

 

サイドバインダーからGNビームサーベルを取り出し、ブレイヴ勢いよく突貫する。

 

それに対しアーハンは左手に装着されているブレードを振り上げる。

 

二つの剣がぶつかり、火花が散りながら不快な音が響き渡る。

 

「なんて出力……!」

「ん……!」

 

しかし微かにアーハンが押されているようで、踏ん張っている両足が下がる。

 

その様子をヒメが険しい表情で見ていた。

 

「(あの程度の鍔迫り合いで押される? そんなはずはない。確かにアーハンはガンプラと比べても比較的小型だが、それでも出力的には負けていないはずだ)」

「ッ!? ブレードが!」

 

ヒメが考えている間に、状況が動いた。

 

アーハンのブレードが弾かれ、離れた地面に突き刺さる。その隙を逃さずブレイブが斬りかかるも、アーハンが咄嗟に下がったことで装甲を掠めるにとどまる。

 

しかしこれも、ヒメにとってはおかしなことだった。

 

「(やはりおかしい。あの程度の攻撃など簡単に躱せる。それだけの機動力がアーハンの特徴……やはりハルトに何かあるのか)」

 

このヒメの考察は間違っていなかった。

 

実際、ハルト自身もこの違和感を疑問に思っていた。

 

「なんだこれ……どうして……!」

「もらった」

「しまっ!?」

 

マシンガンで牽制したにも関わらず、易々とブレイヴの接近を許してしまい、構えていた右腕を切り飛ばされる。

 

そしてそのままGNビームサーベルを振り上げ、アーハンを一刀両断しようとした瞬間の事だった。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「……え?」

「なに?」

「…………」

 

目の前で起きていることが、理解できなかった。

 

結果として、アーハンは斬り飛ばされた右腕以外は無傷だった。

 

そして、勝敗を伝えるモニターは僕が勝者であることを告げていた。

 

「なん、で……」

「ん。私が直前で降参したから」

 

目の前の疑問に答えを提示したのは、ブレイヴを回収したレンだった。

 

「どうしてそんなことを」

「だって、ハルトの動きが悪かったから。このブレイヴでリベンジがしたかったのに、そんなハルトに勝っても嬉しくない」

「ぁ……」

 

確かに、今回のガンプラバトルでのアーハンの動きは良くなかった。それはつまり、僕が集中しきれていなかったことを示している。

 

「何でなのかは聞かないけど。今のハルトとは、戦いたくないかな」

 

ぼんやりとしたレンの言葉が、重くのしかかる。

 

レンはリベンジをしたかったと言った。そのためのブレイヴで、だけど僕は集中できてなくて。

 

罪悪感が、心を蝕む。

 

「……来週、隣町のゲームセンターで行われるガンプラバトルの大会。レンは出るつもりでいる」

 

そこで再び戦おうと言うことなのだろうか。そんな資格が、僕にあるのだろうか。

 

「待ってる。じゃ」

 

結局その日はそれ以上ガンプラバトルをする気になれず、ヒメに手を引かれて帰った。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。