ガンダム? そんなことよりスーパーロボットだ!   作:神咲胡桃

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主人公の苗字を変えました。大して話にかかわりません。


歌とたまごと純情と 3

アーハンの初陣から一日経ち、僕たちはヒメの部屋にいた。

 

机に向かいアーハンの右腕を直しているヒメと、床に座り込んでベッドに寄り掛かる僕。どこか気まずい雰囲気が漂っていた。

 

「……何があったんだい」

 

流石に耐えかねたのか、ヒメが口を開く。飛び出てきた内容は、言わずもがな僕のことであった。

 

「……僕たちのやってることってさ、自己満足なのかな?」

「そりゃぁ、自己満足だろう? せっかく作った物を、戦わせては壊しているんだ。どう考えたって自己満足以外の何物でもない」

「それはガンプラバトルだろ? そうじゃなくてさ、こうやってガンプラ以外のプラモデルを作って、戦わせてる。それが動いても、そのことに感動するのは僕たちだけ」

「だから自己満足だと? 私はてっきり、それが分かっていて言ってるもんだと思ってたけどな」

 

あけすけのないやり取りが、僕たちの間で飛び交う。

 

「誰に何を言われたか知らないが、どれだけ筆舌に尽くそうと、結局は遊びだ。プロとなれば話は別だが、たかだか遊びの一つに、あーだこーだ言ったところで、大して意味があるとは思えないな」

 

遊び、か……。

 

「よし、直ったぞ。それで? レンとの勝負はどうするんだ」

 

隣町のゲームセンターのガンプラバトル大会か。あの様子だと、レンは必ず参加するだろう。

 

無視することもできるが、さすがにそれは憚られる。

 

「まあ、出るよ。レンにもああ言われちゃったし」

「……そうか。なら、練習に行くとしよう」

 

もやもやとした気持ちが晴れないまま、時間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

「デカいな……」

「ああ、デカいな……」

 

大会当日。隣町に来た俺たちは、会場となるゲームセンターを見上げていた。

 

三階建ての建物すべてがゲームセンターらしく、煌びやかな光が、真夜中の蛍光灯に群がる虫の様に人を集める。

 

ボケーっと立っているわけにもいかないので、中に入り受付を済ませる。

 

「……ハルト」

「レンか」

「今日は大会。言っておくけど、先週みたいに止めないから」

「……ああ」

 

それだけ言葉を交わすと、レンは去っていった。今日は大会だから、馴れ合いは不要だ。

 

その後、トーナメントが発表された。

 

それなりに大きい大会ということもあって、A、B、C、Dの4つのブロックで予選がある。その後、Aブロックの一位とBブロックの一位で、そしてCブロックの一位とDブロックの一位で準決勝が行われ、その勝者で決勝が行われる。

 

自分の名前を探していると、トーナメント表にあり得ない名前があるのを見つけた。

 

「ハルトはBブロックか。レンはCブロック。当たるとすれば決勝だな……おい。聞いているのか?」

 

ヒメの声が聞こえるが、それに返事を返す余裕がない。

 

だって、なんであの人の名前が……

 

「――あら、久しぶりね。ハルト君」

 

背後からかけられた声に振り向く。

 

そこには、私服に身を包んだミクモ先輩がいた。

 

「あなたもこの大会に参加していたのね。私はDブロックなの。お互い、頑張りましょう」

「え、ええ……」

 

まるであの日のことなどなかったかのような振る舞いを見せるミクモ先輩に、僕は曖昧な相槌を打つことしかできなかった。

 

ミクモ先輩が去った後も、姿が消えた方向見続ける僕にヒメが声をかけた。

 

「あの女とハルトがどういう関係かは知らないが、急に自己満足だの言いだしたのはあの女が原因だな?」

「……言われたんだ。プラモデルの方じゃないけど、まるで自己満足だって」

「ふん。なら良いだろう。当たるとすれば決勝だが、もし当たったら、あの女の言う自己満足で倒してやれ」

「ああ……」

 

えも言えぬ不安が渦巻いたまま、ガンプラバトル大会の幕が開いた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

一回戦 敵機 ガンダムアストレイレッドフレーム(フライトユニット装備)

 

 

草木が揺れる草原ステージの上空をアストレイとアーハンが飛び回る。

 

「落ちろ!」

「……」

 

アストレイがビームライフルを撃つも、アーハンはそれらを躱して肉薄。両腕に装備されたブレードで、ビームライフルとシールドを切断する。

 

爆発。

 

武装と盾を失ったアストレイは、ビームサーベルを取り出すとアーハンに斬りかかる。

 

しかしビームサーベルの薙ぎ払いを、アーハンは飛び込むようにして頭上を飛び越えて回避。同時に上下逆さまの状態で背後に回り込む。

 

「落ちるのは、お前だ!」

「フライトユニットが!?」

 

アーハンが振るったブレードによって、フライトユニットが×の字に切り刻まれる。

 

慌ててフライトユニットを切り離したアストレイが地面に着地し、それと向かい合うようにアーハンも降り立つ。

 

アストレイは左腰部の鞘から日本刀『ガーベラ・ストレート』を引き抜き、アーハンに向かって走り出す。

 

対するアーハンもブレードを構え、一瞬の交差。

 

胴体を切断されたアストレイが、爆散した。

 

 

 

 

二回戦 敵機 ドム

 

 

「ふはははは! くらえ、ジェットストリームアタックだ!」

 

3機のドムが隊列を組み、アーハンへ一斉にジャイアント・バズを撃つ。

 

この大会はチーム戦ではないため、相手ファイターは必然的に一人で3機のドムを動かしていることになる。

 

ハルトは相手の技量に警戒するあまり、持ち込んでいるマシンガン2丁で牽制しつつ、攻撃を回避しながらどう攻めるか悩んでいた。

 

アーハンの機動力のおかげで無傷のままだが、このままでは埒が明かない。いっそのこと接近してかき回してやろうかと考えたハルトが、アーハンを接近させる。

 

「おおっとアブねぇ!」

 

ドムのファイターがアーハンが向かってくることに気付くと、()()()()()を下がらせる。

 

その動きに違和感を感じたハルトは、その正体に気付いた。

 

「そういうことか!」

 

ブーストを全開にして跳躍。先頭のドムの目の前に着地する。

 

変な動きをされる前に、先頭のドムにマシンガンを突き付け弾丸の雨をお見舞いする。

 

破壊されたドムの爆発を目くらましに、残りの2機がアーハンから距離を取る。

 

「ちぃ! このぉ!」

 

2()()()()()()()ジャイアント・バズを捨て、後付けのザクマシンガンを斉射する。

 

しかし、接近するアーハンはまるで未来を読んでいるかのように悠々と回避し、ドム2機に接近する。

 

「な、なぜだ!?」

「ドムを3機操作してたんじゃなくて、一機のドムに残りのドムの動きを連動させてたんでしょ? タネが分かれば!」

「くそぉ!」

 

苦し紛れに拡散ビーム砲を撃とうとするが、それより早く先頭のドムの胸部左側にある発射口に、弾丸を叩きこむ。それと同時に、隊列の後ろにいた最後の一機の拡散ビーム砲の盾にする。

 

「じゃあね」

 

アーハンのマシンガンが、最後の一機の頭を吹き飛ばした。

 

 

 

 

決勝トーナメント 準決勝 

VS Aブロック一位  敵機 V2バスターガンダム

 

 

宇宙ステージに漂う小惑星を、V2バスターの『メガ・ビーム・キャノン』のビームが砕いた。

 

吹き飛ぶ破片に紛れて現れたアーハンに、今度は『スプレー・ビーム・ポッド』で拡散ビームを放つ。さらに一基18発の『マイクロミサイルポッド』6基から、合計108発のミサイルがアーハンを襲う。

 

それに対し、アーハンの両腕に内蔵されているビームガンをミサイル群に向ける。ハルトのモニターに映るミサイルが、次々とロックオンされていく。

 

「演算照準、動作予測、弾道補正、セットアップ――オートマチック、スマートファイア!」

 

アーハンが回転しながら放つ正確無比なビームが、次々とミサイルを撃ち落としていく。

 

さらに爆発の隙間を縫って、V2バスターに突撃。一回戦、二回戦の時以上のスピードを持って接近する。

 

慌てて迎撃しようとしたV2バスターのビームライフルを奪い、銃身下部に接続されている『マルチプル・ランチャー』のグレネード弾を撃つ。

 

グレネード弾は直撃するが、完全に動きが止まっていないV2バスターを、ビームライフルの一撃が貫いた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『準決勝、第一試合の勝者はBブロック一位のアイゼン ハルト君』

 

勝者を告げるアナウンスに沸く観客たちを尻目に、第二試合の方へと向かう。

 

この大会までの間に、ヒメとトレーニングした成果を出せている。そのおかげで現段階で無傷のまま突破できた。

 

レンに挑戦状を叩きつけられる原因となったバトルのときのような、変な違和感は特に感じていない。

 

そういえば、レンがCブロックを勝ち抜いたのは知っているが、Dブロックの一位は誰なのだろうか。まあ、レンの実力なら勝ち抜いているとは思うが……。

 

そう考えて、第二試合を行っているGPベース周辺に着くと、丁度GPベースが発する緑色の光が途絶えた。

 

丁度試合が終わったらしい。だが、何かおかしい。

 

第一試合の盛り上がりに比べて、あまりに静かすぎるのだ。

 

そんなに圧勝で終わったのかと疑問に思い、何とか人の壁をすり抜けて何故か一番前にいたヒメの隣に並ぶ。

 

「ヒメ? どうしたんだ、ヒメ?」

「…………」

「いったい何が……」

 

あのヒメですら、どこか唖然としていることに驚きつつ、GPベースを見るとやはりヒメ同様に唖然とした。

 

「……私が、負けた」

 

今回のためにか、青く塗装され先週のとは所々形状が異なるブレイヴ。それがバラバラに破壊された状態でGPベースに転がっている。

 

そして、呆然とした表情でそれを見るレン。

 

「中々楽しかったわ。まさか三分も持たされるなんてね」

 

そんな悲壮感を気にすることなく、勝者の語りを話すのは……ミクモ先輩だった。

 

「それじゃあね。私は、次があるから」

「……ッ!」

 

ミクモ先輩の言葉に歯噛みするレン。

 

『準決勝、第二試合の勝者はDブロック一位、ヒイラギ ミクモさん。十分後、決勝戦を開始します』

 

淡々としたアナウンスが、フロアに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

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