ありふれない神器で世界最強   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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ストックが尽きました。


奈落

 「クソッ!」

ハジメを守ることが出来なかった。

ジンは己の不甲斐なさに怒っていた。

あの後ジンは途中で突き出た岩に引っかかり、

そこにあった洞窟を進んでいた。

どこまでハジメが落ちたかはわからないが、

早く救援に向かわないとの思いが、ジンを突き動かしていた。

槍も失くしており、現在は方天戟を取り出して持っている。

そこに一匹のウサギ型の魔物が現れた。

「邪魔だ」

突進してきた魔物を即座に殺す。

ここでふとジンは考えた。

コイツは食えるんじゃないかと。

ジンは知らなかった。魔物の肉は人間にとって猛毒であることを。

神の肉体故に毒は効かないのだが。

そうでなければ死んでいたであろう。

ジンは生のまま咀嚼して飲み込んだ。

その時妙な感覚があった。

ステータスプレートを確認してみると技能が増えていた。

「なるほど。魔物の肉を食べると技能が増え、ステータスも上がると」

それならば食いながら進んで行けばいいなと考え、

ハジメの捜索に意識を切り替えるのだった。

 

 奈落に落ちて相当の時間がたった。

ジンは未だにハジメを発見出来ないでいた。

ジンはハイペースで迷宮を攻略していた。

縮地や空力といった技能で移動スピードを早くし、

出会った魔物を片端から殺して食った。

今はタールザメがいた階層から五十階層は進んだ。

ここにもいないかと思った時、濃密な殺気を感じた。

コイツは強いと感じたジンは、方天戟の先の先を持った。

誰もいないから加減なしの一撃で決める腹だ。

向こうもこちらに気付いたのか、止まっている。

来る! と思ったジンが仕掛けようとして相手を見て止まる。

「ジン?」

「……ハジメか? ハジメその髪、左腕!?」

「ジン! 無事だったのか!」

「ハジメも……いや、無事ではないか……」

ハジメの姿を見た後、ジンはハジメに土下座した。

「すまない。守ってやれなくて!」

「いや、顔を上げてくれ。俺はジンを怨んじゃいない。

むしろ今までよく守ってくれたじゃないか」

「だが……」

「俺がいいって言ってるんだ。顔を上げてくれ」

「わかった。ありがとうハジメ」

ジンは顔を上げると意を決して告げる。

「これからハジメにだけ伝えたいことがある。聞いてくれ」

そしてジンは自身のことを全てハジメに伝えた。

「ジンが半神半人の神……」

「ああ。ハジメにだけ伝えておく。いつも通りに接してくれ」

「じゃあ、そうさせてもらう。改めてよろしくなジン」

二人はがっちりと握手を交わした。

 

 そこから二人はお互いに何が起きたかを情報交換した。

「異質な場所?」

ジンがハジメに尋ねる。

「ああ。明らかにな」

「それでどうする?」

「行くに決まってる」

「わかった。それじゃ行こう」

かくして二人は扉のある部屋まで向かった。

「これは魔法陣か? ハジメ見たことは?」

「いや。こんな式は見たことがない」

ハジメが錬成で開けようとすると、扉から赤い放電が走り弾き飛ばした。

それと同時に扉の両側のサイクロプスの像が動き出した。

その瞬間右のサイクロプスが、凄まじい発砲音と共に吹き飛ばされた。

ハジメの電磁銃が命中したのだ。

左のサイクロプスがキョトンとしていると、視界が縦に真っ二つになった。

ジンの方天戟の攻撃であった。

二人は扉を開ける。

「……だれ?」

人の声にびくりと反応する二人。

二人は注意して眼を凝らした

「……人なのか?」

ジンが呟く。

首辺りから下を立方体に閉じ込められた少女であった。

流石に二人共予想外だったのか呆然とする。

先に気が付いたのはジンだった。

「何故閉じ込められている? 悪さをしたのか?」

少女はふるふると首を振る。

「何も悪いことしてない。裏切られただけ!」

「ふむ。ハジメ。この子は嘘をついていない」

「何でわかるんだ?」

「俺の右眼は人の感情を視ることが出来る。この子に嘘の色は出ていない」

「そうか。よし、話を続けろ」

そして、少女は自身の身の上を語りだした。

ジン達はそれをしっかりと聞き質問した。

「ハジメ。この子の答えには嘘がない」

「そうか」

ハジメはそう呟くと立方体に触った。

続いてジンも立方体に触る。

ハジメが錬成を。ジンが直接魔力を注ぎ込む。

「チッ! 抵抗が強い!」

「だがもう少しだハジメ!」

その時立方体がドロッと溶けた。

そして少女は枷から解放された。

相当の魔力を消費した影響でゼーハーと息をする二人。

そして二人でハイタッチをした。

「……ありがとう。……名前、何?」

「南雲ハジメ。こっちが神威ジン。俺の唯一信頼する相棒だ」

「ハジメにそう言われると面映ゆいな。そう言えば君名前は?」

「……名前付けて」

「と言われてもな。俺はネーミングセンスが壊滅的だし……ハジメ、任せた」

「ユエなんてどうだ。俺もネーミングセンスがないが……」

「んっ。今日からユエ。ありがとう」

ハジメは着ていた外套を脱ぎユエに渡す。

ユエが裸だったためだ。

 

 その時ジンが叫んだ。

「ハジメ! 上だ!」

その言葉に回避するハジメ達。

天井から降ってきたのはサソリモドキだった。

ユエを逃がさないための最後の仕掛けなのだろう。

ハジメはドンナーをいつでも抜けるように構えた。

その前にジンが立ちはだかった。

「ジン?」

「コイツは俺に任せろ」

そう言って方天戟の先の先を持つ。

そして異形の構えを見せる。

(何だあの構えは!? いや、それよりも何だこの圧は!?)

ハジメはジンの構えに恐怖を覚えた。

「天喰!」

そして方天戟を振り下ろした。

サソリモドキは真っ二つに寸断された。

(ジンの技、速いとか重いとかそんな次元じゃない! デカい!)

サソリモドキも強かったのだろうが、ジンの前では意味がないとハジメは感じた。

そして今の自分の全力でもジンは倒せないことも。

(これが神の力か……。面白い)

いずれジンを越えてやるとハジメは誓った。

 

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