ありふれない神器で世界最強   作:ヘルメス・トリスメギスタス

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奈落2

 サソリモドキを倒したジン達はサソリモドキとサイクロプスの、

素材やら肉やらをハジメの拠点に持ち帰っていた。

そこで消耗品の補充をしながらお互いのことを話し合っていた。

そこでジン達はユエの歳や能力に大いに驚くことになった。

「……ジンも神様なら相当の歳?」

「いや、地に生まれ天に昇り、また地に降りた身だからな。

合計してもユエの年齢に遠く及ばない」

「……そう」

「それで……肝心の話だが、ユエはここがどのあたりかわかるか?

他に地上への脱出の道とか」

ハジメがユエに質問する。

「……わからない。でも……この迷宮は反逆者が作ったと言われている」

「反逆者?」

ハジメは作業の手を止め、ジンも初めて聞く言葉に興味を示す。

曰く、神代に神に反逆した七人の眷属がいた。

その目論見は破られ、彼らは世界の果てに逃走した。

そのなれの果てが七大迷宮。

奈落の底の最深部には反逆者の住む場所があるとも言われているとか。

「……そこなら、地上への道があるかも……」

「なるほど。神代なら転移系魔法で移動可能か」

ジンはなるほどと納得する。

 

 「……ハジメ達、どうしてここにいる?」

それは最もな質問だった。

「それは俺の失態だ。ハジメには申し訳ないことをした」

「ジン。それは済んだ話だろ。気にしてねえよ」

ユエは途切れることなく質問し、律儀に一つ一つ答えていくハジメ。

ユエを見るとハラハラと涙をこぼしていた。

「……ぐす……ハジメ……つらい……私もつらい……」

どうやら、ハジメの為に泣いているらしい。

そのことにジンは後ろめたさを感じた。

「気にするなよジン。今は生き残る術を磨くこと、故郷に帰ることに全力を注がないとな」

「……帰るの?」

「うん? 元の世界にか? そりゃあ帰りたいさ……故郷に……家に帰りたい」

「……そう。………私にはもう、帰る場所……ない……」

「……」

ハジメはカリカリと自分の頭を掻いた。

ジンは察したのかハジメに任せるといった表情をしていた。

「あ~、何ならユエも来るか?」

「え?」

「いや、だからさ、俺の故郷にだよ。まあ、普通の人間しかいない世界だし、

戸籍やらなんやら人外には色々窮屈な世界かもしれないけど……いまや俺も似たようなもんだしな。

どうとでもなると思うし……あくまでユエが望むならだけど?」

ユエの眼には隠しようもない期待の色が宿っていた。

なんとなくユエを見ていられなくて、ハジメは作業に没頭した。

「俺は寝るから用があるなら起こしてくれ」

ジンはハジメとユエの邪魔にならないように寝ることにした。

 

 「だあー、ちくしょおおおーー」

「黙って走れハジメ!」

「……ハジメ、ファイト……」

「お前は気楽だな!」

現在ハジメ達はユエを背負いながら、草むらを逃走していた。

ハジメ達が逃走している理由は二百体近い魔物に追われているからである。

 

 ハジメ達が準備を終え、迷宮攻略を開始してから十階層は順調に降りることが出来た。

ユエの魔法が凄まじい活躍を見せたことも大きな要因だ。

そんなハジメ達が降りたのが現在の階層だ。

「……」

いろんな意味で押し黙るハジメ。

最近ユエとジンの無双が激しい。

ジンが前衛を。ユエが後衛に配置され二人で魔物を殲滅してゆく。

お互いに対抗するように先制攻撃で殲滅するため、ハジメの出番がなかった。

あれ? もしかして俺いらない子? もしはっきり言われたら立ち直れない自信があった。

「あ~、二人共。最近、俺、あまり動いてない気がするんだが……」

「む? そう言えばそうか。じゃあ俺と交代するか?」

「ああ。俺が前衛に回るよ」

ジンがハジメと交代すると、ハジメは気配感知で十体程の魔物を捉える。

円状に包囲しようとする魔物に対し、ハジメ達は移動しつつ、有利な場所を探ってゆく。

程なくして太い木が無数に伸びている場所に出た。

ハジメ達は頭上の太い枝に飛び移る。

頭上から集まってきた魔物を殲滅する腹積もりだ。

ハジメ達は集まってきたラプトルを見て固まった。

「何で頭に花をつけている?」

ジンが呟く。

とりあえず攻撃を開始する。

ハジメは焼夷手榴弾とドンナーで。

ユエは緋槍を。

ジンは神器化した投げナイフで仕留めてゆく。

結局十秒とかからず殲滅に成功した。

「ジン」

「ああ、ハジメ。弱すぎる……」

続きを言いかけた所でジンの言葉が止まる。

「ハジメ。全方位から魔物が接近中! 数四十以上!」

「逃げるか?」

「いや無理だ。さっきと同じ手でいこう」

「ん……特大のいく」

そして第一陣が到着した。ラプトルだけでなくティラノもいる。

ハジメ達は全ての魔物が集まるまで待った。

そして全ての魔物が集まった所でハジメはユエに合図を送った。

一瞬で全ての魔物が凍結させられた。

まさに殲滅魔法である。

「とりあえずこれで……」

「!?。ハジメ、更に倍の数が接近してくる!」

「!?」

「なあ、あの花もしかして……」

「寄生か?」

ハジメの言葉に肯定するジン。

「とにかく本体を叩くぞ! これじゃきりがない」

 

 そしてハジメ達は二百体近い魔物に追われているのであった。

迎撃しつつも縦割れの洞窟を発見。

ハジメ達はそこに飛び込んだ。

そして入口を錬成で封鎖する。

しばらく道なりに進んでいると大きな広間に出た。

ハジメ達が部屋の中央にやって来た時、

全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に襲いかかってきたのだ。

ハジメ達は背中合わせになり、迎撃を開始した。

ジンは六道棍を取り出した。

「廻れ六道!」

六道棍は形状を変え、楯になった。

ハジメ達も各々の方法で防いでいく。

「!?。ハジメ! しゃがめ!」

ジンの言葉にしゃがむとユエが風の刃で攻撃してきた。

ユエの頭には花が咲いていた。

「くそっ、さっきの緑玉か!」

「ああ、恐らくなハジメ」

ハジメが銃で撃ち落とそうとすると、花を守る動作を始めた。

ならばと近寄ろうとすると、ユエが片方の手を自分の頭に当てる行動に出た。

そして、奥の縦割れから本体が現れた。

エセアルラウネといえる魔物だった。

ハジメがエセアルラウネに銃口を向けると、ユエが射線に入った。

「ハジメ。俺がユエの花を取る。ハジメはエセアルラウネを撃て」

「どうやってだジン?」

「瞬で終わる。任せろ」

「……頼んだぜ相棒」

 

 ジンがゆっくりとユエに近づく。

そして、ハジメは驚愕した。

いつの間にかジンがユエに近づき、ユエの花を散らしていた。

(馬鹿な! 見ていたのに見えなかった!? 何をしたんだ!?)

「ハジメ!」

ハジメはジンの言葉にはっとなり、エセアルラウネを攻撃しこれを倒した。

「ふう。これでこの階層はクリアだな」

「ジン、さっきは何をしたんだ?」

「ああ。ゼウス様の奥義でな『時を越える拳』というパンチだ」

「ゼウスってあのゼウスか? ギリシャ神話の?」

「ああ。そうだ」

(これが神の力……いや、まださっきの棒もあるし、まだまだ奥の手があるんだろう)

ジンは敵に回したくないと思うハジメであった。

 

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