時系列その他ふわっとしています。
オリジナルキャラ、うざかっこいいを目指しています。
何でお前がここにいる――
決して会いたくないわけではなかったが会えないなら別にそれでいいというくらいの男。
「ハーーールくーーん」
「……いや誰ですかあなた」
「俺が春人を間違えるわけ無いだろ?なあ天川春人君。いや、今はリオ君か」
「……帰れ」
わざとらしく作った息の多い低い声で囁かれる。
ただただ不愉快である。
リオとして存在しているのに見た目も世界も違うというのに何故こいつは俺のことを知っている。
何故俺が天川春人であると知っている。
体感的には何十年ぶりかの再会だが恐ろしい胸騒ぎがしてならない。
これから続く物語がどす黒い色で塗りつぶされるようなそんな恐怖心があった。
とんだニューストーリーである。
セリア奪還作戦(仮)が無事完了しガルアーク王国へ向かうためセリアを抱えて飛行中だったリオ。
そろそろ休憩を考え地上に降り立ったその矢先目の前に鋭い棒状の光が走った。
まるで手品のように光の中から現れたのは前世の天川春人の知り合いだった。
「移動中はたくさんお話をしましょうね」
と自分の腕の中で頬を紅潮させて愛らしく囁くセリアに嬉しさやセリアを救うことができたのだという達成感と安堵が押し寄せ幸福な気分だった。
「俺ともお話ししましょうねっ」
そんな幸せを壊してくれたそいつは黒髪短髪、耳には無数のピアス。高い身長と体格から強面に見えるその男は、そこそこ整っているだけが取り柄のいけ好かない笑顔を向けていた。
「はじめまして、美しいお嬢さん。うちの子がお世話になっています」
「……っ?!」
先ほどから急に目の前に人が現れたり、リオの知り合いのような口ぶりと知らない名前が出ていることで唖然としていたセリアの手を気安く取ってチャラついた笑顔を近づける。
「この人に触れるな」
リオはすかさず手を払いのけセリアを自分の後ろに隠す。
「へえ、お前そんな男らしかったっけ」
睨みを利かしたリオに怯むことなくへらへらと笑う黒髪の男をリオの後ろからセリアが尋ねる。
「ねえ、この人は誰なの?あと天川春人って……」
言葉に詰まるリオを横目に男はよく通る声で
「俺は月島海人。こいつの唯一の親友だ」
リオの肩に腕を回しながらあっけらかんと名乗った。
「違う。あと唯一じゃない」
回された腕を捻りながらリオが答える。
事情は正直あまり理解できていないがわかったことが一つ。
((リオの親友……。そっかちゃんと友達できていたのねリオ……。))
セリアは少し涙ぐんでいた。
「せ、先生、そんな生暖かい目で見ないでください……。」
7歳。全身が焼けるように熱くつき刺さるような痛みに襲われこのまま死んでしまうのではないかと思うほどの苦しみの中混濁した意識の中である一遍の記憶が蘇る。
ー前世の記憶、天川春人として生きていたほんの20年足らずの記憶。
7歳。泣いている女の子が自分に向かって手を伸ばしながら叫んでいた。「「いかないで……っ!!〇〇〇」」必死に自分も手を伸ばすが体はどんどん落下していき女の子の姿が小さくなっていく。
俺は、どこへ行ってしまうのだろう。待っているのはただの死かそれとも……。
「何を書いているの?」
気温は40℃を超えているのではないかと思えるような暑さの午後12時半。
1年3組の教室では給食が終わりお昼休みの時間にクラスメイトは皆暑さに文句を言いながらもそれぞれのグループで遊ぶために校庭へ向かっていた。
そんななか特別棟脇の草むらに隠れて木の枝を使って地面に落書きをしている同じクラスの生徒がいた。
渡り廊下を歩いていた少年天川春人は図書室へ向かう途中で普段は話したこともないクラスメイトに思わず声をかけていた。
彼は言ってしまえば勉強ができない少年だった。
文字を覚えるのは周りよりも数段遅いし算数も国語も苦手でできることといえば運動という目立つことがあまりない小学生だった。その月島海人とという少年に春人はどこかに違和感を覚えていた。
「どうせ言ってもわかんないだろ」
彼が書いていたのは見たこともない文字だった。
日本語でも英語でもおそらくはないであろう文字はどこか光っているように見える。
「うん。わからない。だから教えてくれない?」
「……。」
隣にしゃがみこんで好奇心に目を輝かせ少し首をかしげながら答えを催促してくる。
その整った顔立ちと裏表のない優しい性格でクラスの女子から何かと騒がれているいけ好かない奴。
「変なやつだなお前」
「そう?」
月島海人は小さくため息をついて呟くように話し始めた。
「俺にもよくわかんないんだ。この前熱を出したときからずっと頭の中にあって意味もよくわからないのに本当は知っているような……。誰に聞いてもそんな文字知らないって言うし気味悪がるやつもいた。
でも俺は知りたいんだこれがなんなのか。」
ハルトは声を発せず頷きながら聞いていた。
徐に立ち上がり向き直りながら手を差し出された。
「じゃあさ一緒に探そうよ。」
「は?」
「俺、これから図書室に行くんだ。調べに行こう!」
話したことも殆ど無いただの同じクラスの奴になんの躊躇いもなく言い放つ。
これが俺と天川春人との出会い。
野郎相手に使うハメになるとは思わなかったがきっと運命なのだと今は思うんだ。
なあ、ハルト。
君の願いを私は叶えてみせるよ。