相変わらずのキャラ崩壊です。
リオ達は押し問答の末、一先ずはセリアの休息に入るため月島海人と共にガルアーク王国に向かうことにした。
セリアを抱えたまま精霊術で空を飛び、ガルアーク王国の南西部に位置するクレティア公爵領に移動していた。現在地はベルトラム王国の王都から見てほぼ真東に位置する、ベルトラム王国との国境付近に広がる森の上空だ。
着地した場所は簡素な空き地でここで野宿かと少々不安げになるセリアにここで待っていてくださいと声をかけ呪文を詠唱した。
解放魔術《ディスチャージ》
「えっ?!なっ……」
セリアは目を見開いて口に手を当てた。
詠唱後に突如として渦のような黒い霧が出たと思ったら見たことの無い巨大な岩が出現していた。
「ここがしばらくの間家になります」
端的なリオの説明にセリアがおずおずと質問する。
「家って岩よね、これ」
「大丈夫ですよ。中は広いですから」
リオは苦笑しながら答える。
「まあそこにいる下世話な人間だけなら適当でいいのですが、セリア先生にはちゃんと安全な場所で休んでいただきたいので」
「下世話?!」
にこやかに続けるリオの眼差しを受けて月島海人はわざとらしく驚く。
「さあ、中に入りましょう」
「え、ええ」
リオは月島に目もくれずセリアを巨大な岩の中に案内した。
「おーい、置いてくなよー」
「……チッ」
「え?!舌打ち??今舌打ちした?!ねえ!」
「幻聴です」
「幻聴か!ならいいわ!!ははっ」
はあ……。なんだろうか頭痛がする
広い家の中だというのに後ろから着いてくる男の笑い声が妙にキンキンと響き渡る。
厄介だな。消してしまおうか。
「ハルト、手伝う?」
鈴の鳴るような可愛らしい声が聞こえると、薄桃色の長い髪を靡かせた可憐な少女が間の前に現れる。アイシアだ。
「ハルトが困ってるなら私が助ける」
「いや、いいんだアイシア。まだ」
「そう」
少しだけ口元を緩めてこくりと頷くアイシア。
「リオ、こちらは……?」
セリアはまるで湯上りのように頬を紅くし彼女のことを訊ねた。
「えっと、詳しく話すとややこしいのですがこちらはアイシアといって俺と契約している精霊なんです」
「せ、精霊……。そっかあなたがあの時私に話しかけてきた子なのね。凄く綺麗でびっくりしたわ」
とセリアがアイシアに近づこうと歩みだそうとした。しかし、それよりも先に風を切るように目の前を通り過ぎる影があった。
「結婚しよう。君のためなら博打もやめるしタバコもやめる。子どもは2人、いや5人ほしい。」
跪きながらアイシアに真剣な眼差しを向け求婚し始めた。が、
((さっきまでお前を消すかどうか話していたのだが))
と浅はかな男だと哀れに思う。
「ハルト以外に興味ない」
淡々と答えるアイシア。
「とりあえずお2人はお風呂へどうぞ。使い方はアイシアが知っていますので」
これ以上こいつと彼女たちを関わらせると面倒だ。
「うん。いこ、セリア」
「えっあ、はい」
戸惑うセリアの手を引き風呂場へ向かった。
「なーんで俺らは茶啜ってんだよ」
月島海人は客間にある座布団に行儀悪くあぐらをかき座り湯飲みを片手に不満そうな顔で訊ねる。
「お茶がでてくるだけありがたいと思え」
行儀よく正座でお茶を啜るリオをジト目で睨む。
「いやお前なあ、今現在進行形で超絶美少女2人が風呂に入ってんだぞ?!きっとお互いの下着を見ながら「「可愛いわね、触っていい?」」とかうふふイベント発生してるのに、何故野郎2人で優雅に茶を飲む!!」
テーブルを叩きながら本気で悔しそうに声を荒げていた。
「……コーヒーがいいのか?」
「そうじゃねえ。いやコーヒー出してくれんのかよ」
こういう「いかにも」なイベントには昔から無頓着だったなと月島海人は項垂れた。
「まあいいや、丁度お前と話ができるしな。なあ……春人、教えてほしいんだ」
月島海人は改まって居住まいを正した。急な態度の変化にリオは僅かにたじろいだ。
「……俺に答えられることなら。」
「春人、お前なんで……。何で、俺のこと名前で呼んでくれないんだよ……!」
「はああ?」
そんな付き合いたてのカップルみたいなことをそれこそ野郎二人が何故って話だろう……。他に聞くべきことがあるだろう。
「昔はカイ君ハル君と呼び合っていたのにっ奇跡の出会いを果たしたっていうのにお前は……っ!」
「いつの話だよ」
「なまえをよんで」
「……気持ち悪いな」
図体のでかい男が目を潤ませ懇願の眼差しで見てくる(かわいくない)
「……海人は、何でここにいるんだ」
少々どもりながらリオはずっと気になっていたことを聞いてみた。
「友達が泣いていたら悲しくなるだろう?そういうことだ」
「?意味がわからないのだが」
海人は斜め上を見ながら誤魔化すように続けた。
「まあ、その、来ちゃった☆的な?」
「来ちゃったって、お前」
「春人に会うために来ました!!俺親友想い~」
目の横でピースを作りウィンクをする(かわいくない)自称俺の親友だった。
何も説明していないしとんでもないことをさらっと言われリオは収まりかけていた頭痛が再燃した。
なんだかんだ仲はいいのです。おそらく。きっと、ええ。