宇宙戦艦紀伊   作:アオトル

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さて、今回の話は火星を絶対防衛線にした防衛作戦。

カ二号作戦の話ね。

因みに、蟹じゃなくてカ2号よ。

知らなかった人は気を付けてね。



第1話 カ二号作戦

 

:火星沖:

 

 

 

【ガミラス艦隊】

 

 

オペレーター1「司令官殿。間もなくテロン艦隊と接触します。いかがなさいますか。」

 

司令官「ふん、そんなもの決まっているだろう。全軍突撃だ。」

 

オペレーター2「陣形も組まずにですか⁉」

 

司令官「先の戦いで奴らとの戦力差は判明している。テロンどもの兵器はこちらに傷もつけられんガラクタ兵器。そのうえ、奴らの船の装甲は無いも同然。どこに恐れる必要がある。」

 

オペレーター2「そういう事ではありません。陣形を組む事は敵に対し、効率的な攻撃を行う事や艦隊の安全を守る事、柔軟な対応を取る為にも必要な事です。なので…」

 

司令官「貴様は二等臣民の分際で、親衛隊であるこの私に指図するつもりか。」

 

オペレーター2「いえ、そういうわけでは…」

 

司令官「ならば黙って命令に従え。二度は言わんぞ。」

 

オペレーター2「ッ、 ザー・ベルク。」

 

司令官「全艦に伝えろ。このまま突撃し、テロン艦隊を撃滅する。」

 

オペレーター3「ザー・ベルク」

 

オペレーター1「司令官。敵艦隊を補足しました。」

 

司令官「映像を出せ。」

 

オペレーター1「ザー・ベルク」

 

画面に地球艦隊の映像が映し出される。そこには…

 

司令官「なんだ、この陣形は。まるで三枚の板だな。」

 

オペレーター1「恐らく正面へ火力を集中させる事と、被弾面積を減らす事が目的だと思われます。」

 

司令官「なるほど、無駄な事を。全艦に通達。突撃は中止。奴らに対して側面を向け、一斉射で片づける。」

 

オペレーター3「…あの状態の敵に側面を見せるのですか?」

 

司令官「何か言ったか?」

 

オペレーター3「いえ、何も」

 

 

 

【地球艦隊】

 

 

山南艦長「なんだ、あの艦隊は。全く陣形を組んでいないじゃないか。」

 

沖田司令「先の作戦で自信が付いたのだろう。地球の船など取るに足らないとな。」

 

山南「嘗められたものですね。」

 

沖田「あれほどの勝利を収めたのだ。そうなっても仕方ない。」

 

山南「貴方はそんな事しないでしょうけど。」

 

沖田「無論だ。」

 

オペレーター「司令。敵艦がこちらに側面を晒し始めました。」

 

沖田「ふむ、おそらく一斉射撃による早期決着が狙いだな。」

 

オペレーター「いかがいたしましょう。敵はすでに射程圏内ですが。」

 

沖田「敵艦が回頭し終えるまで待機だ。本作戦の要である艦首陽電子衝撃砲は、改良が行われた事で火力や射程が強化され、更に、機関が暴走する危険性を排除できた。だが発射にかかる時間は変わっていない。確実に仕留めるためにも今は待機だ。」

 

オペレーター「了解しました。」

 

山南「しかし、信長の三段撃ちですか。彼女の発想は凄いですね。」

 

沖田「うむ、艦を改造した手腕もそうだが、発想が素晴らしい。今回の発射に時間のかかる陽電子衝撃砲は正に、かつて三段撃ちに使われた鉄砲と同じ条件だ。」

 

山南「それにこの陣形もそうです。彼女はこの船を見て即座に本来の正しい運用法を発見しました。」

 

沖田「そうだな。艦の設計を見ただけでここまでの戦略を立てることができるのは素晴らしい才能だ。」

 

山南「そうですね。」

 

オペレーター「司令、間もなく敵艦隊が回頭を終えます。」

 

沖田「うむ、作戦を第二段階に移行。全艦、艦首陽電子衝撃砲、発射用意。正確に狙え。」

 

オペレーター「了解。全艦、艦首陽電子衝撃砲、発射用意、繰り返す、艦首陽電子衝撃砲、発射用意、正確に敵艦を捕捉せよ。」

 

山南「いよいよですね。上手くいけば良いですが。」

 

沖田「やってみなければ分からんさ。」

 

 

 

【ガミラス艦隊】

 

 

オペレーター1「敵艦からエネルギー反応を確認。」

 

司令官「ふん、無駄な足掻きを。」

 

オペレーター1「いえ、司令官殿、これは今までに観測されていないパターンのものです。」

 

司令官「何?」

 

 

 

【地球艦隊】

 

 

オペレーター「司令、全艦、エネルギー充填完了しました。いつでも行けます。」

 

沖田「うむ。目標、敵艦隊。艦隊最前列、一斉射。てー‼︎」

 

沖田の号令と共に、最前列の艦から青白い閃光が放たれた。

 

 

 

【ガミラス艦隊】

 

 

司令官「な、なんだ、今のは⁉︎」

 

オペレーター2「司令官、先程の攻撃でデストリア級2隻、ケルカピア級3隻、クリピテラ級5隻が轟沈!あれは敵の新兵器です!」

 

 

 

【地球艦隊】

 

 

オペレーター「敵、戦艦2,巡洋艦3、駆逐艦5,撃沈を確認!」

 

山南「おぉ!」

 

守「凄い…」

 

航海士「よし!」

 

地球艦隊は初めての大きな戦果に高揚した。

 

沖田「気を緩めるな!戦闘はまだ続いているぞ!最前列はミサイルと魚雷を撃ちながら最後列へ移動。2列目の射線を開けろ。一列目は移動しながらエネルギー再充填。急げ!」

 

オペレーター「了解!」

 

発射を終えた最前列の艦がミサイルと魚雷を撃ちながら横へ移動、2列目に射線を開け、最後列に移動。2列目が1列目がいた位置に移動した。この時、発射されたミサイルと魚雷は敵艦にダメージを与えていた。

 

オペレーター「司令、2列目が発射準備、完了しました。」

 

沖田「よし、第二射、てー‼」

 

地球艦隊はこの一連の動きを繰り返すことで、ガミラス艦隊に損害を与えていく。被弾して轟沈、或いは戦線離脱をする艦も出たが、ガミラス艦隊に対して艦首を向けていた為、その数は想定よりも少なかった。

 

 

 

【ガミラス艦隊】

 

 

司令官「何なのだあれは!あんなものが有るとは聞いていないぞ!どうなっている!」

 

オペレーター1「あれは恐らく敵の新兵器です。」

 

司令官「そんなことは分かっている!」

 

オペレーター2「司令官!我が艦隊の損害拡大中!いかがなさいますか!」

 

司令官「このまま撃ち続けろ!奴らを沈めるのだ!」

 

オペレーター2「ですがこのままでは…」

 

司令官「やかましい。奴らの装甲がゴミである事には変わりない。ならば早く沈めればよいのだ。」

 

オペレーター3「司令官!わが艦隊の砲撃が上手く命中しません!」

 

司令官「何をやっている!敵は動いていないのだぞ。なぜ当たらない⁉︎」

 

オペレーター3「敵がこちらに艦首を向けている為、標的が小さく、命中しづらくなっています。」

 

司令官「おのれぇ、辺境の星の分際でぇ!」

 

オペレーター2「司令官!」

 

司令官「今度は何だ!」

 

オペレーター2「後方に感あり!敵の増援です!数は67!」

 

司令官「なにぃ⁉」

 

 

 

【地球艦隊】

 

 

オペレーター「司令。作戦は順調に進んでいます。」

 

沖田「うむ。」

 

山南「沖田司令。戦況はこちらが優勢で損害も想定より抑えられていますが、此方の損害も1割を超えました。そろそろではないかと。」

 

沖田「うむ。敵もそろそろ対策を取ってくる頃だろう。この辺りが頃合いだな。作戦を第三段階へ移行。通常兵装での攻撃に切り替える。」

 

オペレーター「了解しました。」

 

 

 

:火星衛星ファボス:

 

 

 

【ファボス駆逐艦隊】

 

 

オペレーター「艦長、旗艦キリシマからの通信です。」

 

艦長「内容は。」

 

オペレーター「”作戦を第三段階へ移行。敵艦隊の座標を送る”とのことです。」

 

艦長「よし、待機中の全艦に通達。作戦は第三段階に移行した。窯に火を入れろ。ダイモス艦隊と合流する。」

 

 

 

:火星衛星ダイモス:

 

 

 

【ダイモス駆逐艦隊】

 

 

オペレーター「艦長、旗艦キリシマからの通信です。作戦が第三段階に移行しました。」

 

艦長「ようやく我々の出番か。待機中の全艦に通達。これよりファボス駆逐艦隊と合流し、敵艦隊を叩く。」

 

 

 

:火星沖:

 

 

 

【ファボス・ダイモス駆逐艦隊旗艦】

 

 

オペレーター「間もなく目標宙域に到達します。」

 

艦長「よし、全艦に通達。本艦を中心に突撃陣形を取れ。構築が完了次第、敵艦隊に突撃する。」

 

    ・

    ・

    ・

オペレーター「艦長。全艦配置に就きました。」

 

艦長「よし、全艦、突撃を開始せよ。駆逐艦乗りの意地と実力を見せつけてやれ!」

 

指示が届いた瞬間、待ってましたと言わんばかりの勢いで、駆逐艦の群れが突撃を開始、ガミラス艦隊を肉薄していく。

 

 

 

【ガミラス艦隊】

 

司令官「くッ、蛮族共が‼うおっ」

 

オペレーター1「艦尾に被弾!航行に支障なし。」

 

司令官「くそ、撤退だ!」

 

オペレーター2「撤退ですか⁉」

 

司令官「聞こえなかったのか!撤退だ!急げ!」

 

オペレーター1「敵艦直上‼」

 

司令官「なにぃ⁉回避しろ‼」

 

オペレーター1「ダメです!間に合いません‼」

 

直後、艦橋が爆炎に包まれた。

 

司令官「うわぁッ‼」

 

 

 

【地球艦隊】

 

 

山南「…駆逐艦の連中、凄まじいですね。まるで狼の群れだ。」

 

沖田「うむ。流石だな。駆逐艦に突入されるのは艦隊にとっては悪夢と言えるだろう。」

 

山南「ですね。あれを見るとつくづくそう思います。」

 

その時、敵の旗艦と思われる超弩級戦艦が爆沈した。

 

山南「…艦橋を潰し、全方位から魚雷の飽和攻撃か。惨い事をする。」

 

沖田「あの超弩級戦艦も試製空間魚雷を全方位から喰らえば一溜まりもない、か。 彼女の言った通りだな。」

 

山南「そうですね。」

 

オペレーター「司令!敵艦隊が退却していきます‼」

 

山南「まぁ、これだけ殺られたらそうなるだろうな。」

 

オペレーター「追撃しますか?」

 

沖田「いや、ここまでだ。こちらも損害を出している。それに全体的にはこちらの性能が劣っている。返り討ちにされるのが落ちだ。全艦に通達。陣形を整え、敵が完全に撤退するまで警戒を維持せよ。追撃は無しだ。」

 

オペレーター「了解。」

 

    ・

    ・

    ・

 

オペレーター「司令、敵艦隊の撤退を確認。周辺に異常ありません。」

 

沖田「うむ。作戦を最終段階に移行。これより地球に帰還する。帰るまでが作戦だ。気を抜くな。喜ぶのは帰ってからだ。」

 

 

 

 

それから後、帰還の際にガミラス側からちょっかいを掛けられたが、あらかじめ想定されていた為、撃退に成功。駆逐艦とムラサメ級が2隻ずつ不意打ちで沈められたが、損害はほとんど出さなかった。

そして、艦隊は無事に地球へと帰還した。

 

 

この大勝利に地球の各地で歓喜の声が挙がった。中でも軍上層部が一番喜んでいた。というのも、彼らは開戦初期から謎の敵性異星人の有する技術力に、地球の技術力が負けている事を理解していたからだ。その証拠に、もうすでに地球脱出計画が極秘ではあるが話題に持ち挙がっている。そんな中での大勝利だった。中には涙を流していた者もいたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

???「作戦が大成功を収めた。ねぇ…。まぁ、そうなるように手を尽くしたのだから、このくらいの成果は当然よね。もし、これで失敗してたら人類はそこまでだった、て事だし良かったわ。そうじゃなくて。」

 

そう言いながら彼女は新聞を置き、外の街並みを眺める。

 

???「でもこれは序の口、重要なのはここから。…これから忙しくなるわね。 まったく、面倒な事を押し付けられたものだわ。まぁ、文句を言える立場じゃないんだけど。」

 

???「成すべきことを成す。それだけよ。それで十分。 やってやろうじゃないの。」

 

愚痴を終えた彼女は仕事へと戻っていった。

 

 





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

面白いと思っていただければ幸いです。



???は三つとも同じ人物で本作の主人公です。

主人公の介入により、カ二号作戦は原作と異なる結果になりました。


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