宇宙戦艦紀伊   作:アオトル

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えぇっと。私、岬明乃です!

今回はヒカリちゃんの代わりで来ました。

今回の話は…どう言えばいいんだろう? う~ん。

艦長。そのまま言えばいいのでは?

え~と、それじゃあ改めまして。

今回の話は軍が色々やらかしちゃった話だよ。

やらかしたで済む事でしょうか?

ヒカリちゃん?今、凄く機嫌が悪いよ。



第3話 凶行

 

:カ二号作戦から1年と半年:

 

 

:芹沢 光 執務室:

 

そこにはデスクに座り、右手で眉間を抑えながら目をつむっているヒカリの姿が有った。そして、彼女からは離れていてもピリピリするほどの苛立っているオーラを出していた。

 

明乃、ましろ、もえかの3人は離れた場所からその様子を見ていた。

 

明乃「どうしよう。ヒカリちゃんが怖くて近づけないよ。こんなに機嫌が悪いヒカリちゃん初めて見たよ。」

 

ましろ「いったい、どうしたんでしょうか?部屋も何時も(いつも)以上に散らかっていますし。」

 

もえか「たぶん先月のあれじゃないかな?」

 

明乃「あれ?」

 

もえか「カ二号作戦で調子に乗って大反攻作戦を決行した軍が、ガミラスに返り討ちにされて壊滅的損害を被った(こうむった)話。

 

ましろ「あぁ、あれですか。」

 

明乃「あれかぁ。」

 

ましろ「確か、かなり(ひど)かったんですよね。」

 

もえか「えぇ、参加した艦艇の8割が轟沈、沖田司令と千早大佐の機転のお陰で辛うじて全滅は免れたみたいだけど。」

 

明乃「8割…」

 

ましろ「かなり、沈められましたね。」

 

もえか「えぇ、本当に危なかったそうよ。」

 

明乃「だから怒ってるのかな?」

 

ましろ「たぶん、そうだと思います。」

 

 

その時、通信装置のコールが鳴り響いた。

 

それを聞いたヒカリはすぐに応じた。

 

 

ヒカリ「どうしたの。」

 

≪千早群像艦長から長官宛ての緊急通信です。≫

 

ヒカリ「繋ぎなさい。」

 

≪了解しました。≫

 

明乃「どうしたんだろ?」

ましろ「さあ?」

 

≪ヒカリ長官。千早少尉です。≫

 

ヒカリ「前置きはいいわ。結果だけを報告してちょうだい。」

 

≪分かりました。今回の緊急任務ですが無事に成功しました。≫

 

ヒカリ「そう。良かったわ。」

 

≪現在、コンゴウと共に帰還中です。≫

 

ヒカリ「コンゴウ?どういう事かしら。てっきり撃沈したと思っていたけど。」

 

ましろ「撃沈⁉」

 

≪はい。どうやらコンゴウの乗組員は”開発された新兵器の実戦テストを行う”としか知らされていなかったようで、それがどんな物なのかは一切(いっさい)聞かされていなかったようです。≫

 

ヒカリ「それだけじゃないでしょう。とんでもない内容を知らされただけで任務を放棄するのは軍人として失格じゃないの?」

 

≪はい。ですが、コンゴウの艦長は父さんだったので納得して此方(こちら)の降伏要請に応じてくれました。≫

 

ヒカリ「なるほど。運が良かったわね。」

 

≪自分もそう思います。≫

 

ヒカリ「それじゃあ、そのままここに連行してきなさい。」

 

≪大丈夫ですか?≫

 

ヒカリ「何が?」

 

≪コンゴウは技術局ではなくて軍の所属ですよ。勝手に連行して大丈夫なんですか?≫

 

ヒカリ「心配いらないわ。コンゴウはもう私達の物だし、そもそも馬鹿どもに文句なんて言わせないわ。」

 

≪…そうですか。それではコンゴウを連行してきます。≫

 

ヒカリ「頼んだわよ。」

 

≪了解しました。≫

 

 

そして通信が終了した。

 

 

明乃「あ、終わった。」

ましろ「どうしたんでしょうか?かなり凄い単語がいくつか有りましたが。」

もえか「さぁ。」

 

ヒカリ「貴女達。いつまでそうしているつもり?」

 

明乃「ごめんね、ヒカリちゃん。忙しい時に遊びに来て。」

 

ましろ「そうですよ、艦長。だからあれほど、やめた方がいいって言ったのに。」

 

ヒカリ「なんだ、そんなこと?別に遊びに来るくらいあんた達なら何時(いつ)でもいいわよ。」

 

ましろ「そうですか…」

 

もえか「ところで、何かあったんですか?」

 

ヒカリ「えぇ、あたしが想像もつかなかった馬鹿をやった奴がいたのよ。で、その対処を群像に任せてたってわけ。」

 

明乃「へぇ、そうなんだぁ。」

 

もえか「その”馬鹿”はいったいどんな事なのでしょうか?」

 

ヒカリ「本当に馬鹿な話よ。この間の反攻作戦が大失敗したのは知っているわよね。」

 

ましろ「はい。」

 

ヒカリ「実はあの作戦。父さん…あぁ、芹沢軍務局長の事ね。父さんは問題だらけの作戦だったから流石に反対していたの。」

 

明乃「え?でも…」

 

ヒカリ「そう。この作戦は最終的に賛成多数で強行されたの。で、惨敗したってわけ。」

 

明乃「なるほど。」

 

ヒカリ「で、ここからが問題。作戦を強行した連中はその結果、自身の立場が危うい物になったわ。彼らはこの大失態を何とかする必要が有った。」

 

明乃「うんうん。それで?」

 

ヒカリ「彼らは考えたの。なんで失敗したのかってね。それで思い至ったのは火力不足。火力が足りなかったから負けたんだって考えたの。馬鹿よね。明らかに作戦そのものに問題が有るのに。」

 

ヒカリ「そして次に、どうしたらそれを解決できるだろうって考えたわけ。で、馬鹿どもはとんでもない事を思いついたの。」

 

もえか「それはいったい?」

 

ヒカリ「簡単な話よ。今使われている新装備は科学技術局が由来の物。ならばきっと、科学技術局にはまだ表に出していないだけで強力な兵器が、それこそショックカノンを超えるものが有るんじゃないか。そう考えたの。」

 

ましろ「…まさか。」

 

ヒカリ「そう、そのまさかよ。馬鹿どもは勝手に技術局の開発記録を漁っていたの。そして見つけてしまったのよ。よりによって、使用時の副作用が危険すぎて封印していた兵器をね。」

 

もえか「副作用?」

 

ヒカリ「えぇ、その兵器の名をD4レイ、正式名称、異次元壊滅兵器D4。発射された光線の周囲と光線の命中地点に次元崩壊を引き起こし、その空間の次元諸共(もろとも)、対象を崩壊させる兵器よ。ショックカノンなんて比べ物にならないわ。」

 

ましろ「凄いですね。」

 

ヒカリ「凄いなんてレベルじゃないわ。現状、これを防ぐにはD4レイ以上のエネルギー兵器で次元崩壊を食い止めるくらいしかないわ。それ自体も、完全に崩壊を押し返さないといけないの。で、問題なんだけど。この兵器、out of controlなのよ。」

 

明乃「アウト・オブ・コントロール?」

 

ヒカリ「out of control。制御不能って意味よ。」

 

ましろ「まずくないですか?」

 

ヒカリ「まずいわよ。実験の時は、近くに待機させていた超重力砲実験艦、ハルナの超重力砲で何とか押し返したけど、半径2㎞圏内が空間ごと消滅したわ。」

 

もえか「恐ろしいですね。」

 

ヒカリ「でしょ。そんな兵器を馬鹿どもは詳しく調べたりせずに、単純に強力だからという理由で勝手に持ち出したの。しかもunder control、完全に制御しているなんて言うんだから救いようがないわ。」

 

ましろ「思っていた以上に大事(おおごと)だった。」

 

ヒカリ「そうよ。こんなとんでもない兵器を何にも知らない人間が、開発者の管理外で使用しようとしたのよ。本当に危なかったわ。群像を向かわせたのは万が一、D4レイが使用された際に抑え込むためよ。彼には、さっき言ってたハルナの艦長を任せていたからね。」

 

もえか「では今回は間に合ったという事ですね。」

 

ヒカリ「えぇ、そうよ。それに今回の件は色々と利用できるわ。ふふふ。」

 

明乃「うわ、ヒカリちゃん、すっごい悪そうな顔してる。」

 

ヒカリ「それに、D4レイを搭載しているんだから当然、コンゴウはうちの物よねぇ。無論、艦長の千早 翔像も。優秀な人材が向こうから来てくれて助かるわぁ。無論、馬鹿どもに拒否権は無いけど。」

 

ましろ「それは違う気が…」

 

ヒカリ「違っても文句は言わせないわ。それだけの事をしたんだから当然よね。軍法会議に掛けようが、一部が暴走した事にしようが無駄。逃がしはしないわ。」

 

ましろ「そうですか。」明乃「ヒェッ」もえか「仕方ないですね(^^)」

 

ヒカリ「そうよ。でも、偶然、気が付いたから良かったけど、下手したら冗談抜きで世界が滅んでいたかもしれないわ。」

 

明乃「そんなに大変だったんだ。」

 

ヒカリ「えぇ、ちょうど開発記録を整理していたんだけど、何故かD4レイの記録が無かったのよ。作ったのは確か。他の皆も覚えていたからそれは間違いない。なのに、記録どころか封印中の実物すらない。おかしいって思ったわ。それで詳しく調べたら記録が削除されていたことが分かったの。更に調べたら監視映像の記録も消されていてね。復元したらD4レイを勝手に持ち出している連中が映っていたの。本当に驚いたわ。で、そいつらを調べたら何と、軍の人間だったの。」

 

もえか「そんな事、本当にあって良いのですか?」

 

ヒカリ「良くないわよ。本当、呆れるわよねぇ。で、後は”全て”の監視カメラを使って、リレー方式でどこに持っていったのかを調べたの。そしたら行先は何と、改装中のコンゴウがいるドックだったのよ。そこからさらに調べたら今日、コンゴウが新兵器の実戦テストをするって分かってね。」

 

もえか「なるほど。それで千早艦長を。」

 

ヒカリ「本当、間に合ってよかったわ。でも、コンゴウと千早大佐を手に入れたののは幸運だったわ。怪我の功名ね。」

 

ましろ「ところで、コンゴウはどうするんですか?」

 

ヒカリ「とりあえず、いったん解体してD4レイを降ろすわ。その後、新たに改造を(ほどこ)して実験艦にするつもりよ。」

 

ましろ「解体するんですか。」

 

ヒカリ「そうなのよ。D4レイが機関に直接組み込まれていてねぇ。解体しないと取り出せないのよ。あ、そうそう。改装が終わったらあんた達にはコンゴウに乗ってもらうから。」

 

明乃「え、私達が乗るの?」

 

ヒカリ「そうよ。あんた達にはとある艦に乗ってもらう事になるわ。コンゴウはそれまでの練習用ってことね。」

 

もえか「練習用、ですか?」

 

ヒカリ「えぇ。あんた達に乗ってもらう艦はねぇ。地球が造れる艦の中で文字通り、最強の艦なの。普通の艦に乗っている人間じゃあ扱いきれないわ。良くて60%。赤点ギリギリね。」

 

ましろ「なるほど。今から慣れろという事ですね。でもなぜ私達なんですか?」

 

ヒカリ「当り前じゃない。確かに最初は軍の人間も乗せるつもりだったわ。あたし達は技術面でのサポートの為に乗るっていう感じね。でも今回の件で今の軍を信用できなくなったわ。だから信用できるあんた達を乗せるの。さっきも言ったけど、この艦は最強なの。もし、今回のような事がもう一度起こって、この艦を奪われでもしたらお終いよ。もう誰にも止める(すべ)がないわ。」

 

もえか「それほどに凄いのですか。でもなぜそんな艦を?」

 

ヒカリ「何が有っても守らないといけないものを守るための艦だからよ。そうね。あんた達、口は堅いかしら?」

 

ましろ「はい?」

 

ヒカリ「質問に答えなさい。」

 

明乃・ましろ・もえか「はい、堅いです。」

 

ヒカリ「よろしい。じゃあ、この艦の説明をしようかしら。あぁ、言っとくけどこの話、外に漏らしたら…さて、どうなるでしょうね。」

 

明乃・ましろ・もえか「はい!絶対に漏らしません‼」

 

ヒカリ「なら安心ね。それじゃあ、まずは名前から教えてあげるわ。」

 

もえか「名前、ですか。」

 

ヒカリ「そう。この艦の名前はね。」

 

ヒカリ「”紀伊”て言うのよ。」

 





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

面白いと思っていただければ幸いです。


今回はD4レイが絡んだお話です。D4レイがどれだけヤバいかは、”D4レイ ウルトラマン”で実際に調べてみたらすぐに分かります。 ガチでヤバいです。

今回の話は、作戦大失敗→挽回するために技術局の装備を漁り、封印中の兵器を勝手に持ち出す→どんな物かも知らずコンゴウに搭載、運用しようとした。→記録整理中のヒカリにバレる。→群像、緊急出動→コンゴウ拘束の流れです。

因みに、この世界の金剛型宇宙戦艦コンゴウとハルナはカ号作戦の時、改装の最中だったため作戦には参加しておらず、そのため沈んでいない。つまり、この世界には原作では1隻しかいなかった金剛型が3隻いる事になります。

ヒカリちゃんが新たに【コンゴウ】【千早 翔像】【軍の弱み】を手に入れました。余程の事が無い限りもう止まりません。


:感想返信のコーナー:

誤字の指摘、ありがとうございました。
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