宇宙戦艦紀伊   作:アオトル

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今回のお話は前回から少し、時が過ぎているわ。

今はちょうどメ号作戦が実行されている頃ね。

技術局からも応援を出しているし、原作よりもマシな結果になるといいんだけど。



第5話 始動

 

【冥王星沖】

 

 

 

:国連宇宙海軍・科学技術局 混成艦隊:

 

:旗艦キリシマ:

 

 

「~より敵艦隊を発見。」

 

「艦種識別。超弩級宇宙戦艦1、戦艦13、巡洋艦37、駆逐艦多数」

 

「敵艦隊より入電。『テロン艦隊ニ告グ。直チニ降伏セヨ。』返信は」

 

「"馬鹿め゛と言ってやれ。」

 

「は、?」

 

"馬鹿め゛だ

 

 

:コンゴウ:

 

「千早艦長。旗艦キリシマからガミラスへの返信です。内容は、馬鹿め。」

 

「沖田さんらしい回答だな。さて、総員戦闘配備。撃ち合いが始まるぞ。」

 

「了解。」

 

 

:ハルナ:

 

「艦長。キリシマからの返信です。内容は、馬鹿め、です。」

 

「ぁあ~もう!あの爺さん、何考えてんだよ!んなの、絶対怒るだろ!」

 

「それも狙っているだろうな。」

 

「流石、沖田司令ですね。実に大胆です。」

 

「大胆過ぎんだろ!」

 

「そうだな。さて、おしゃべりは後回しだ。いおり。機関出力、戦闘出力へ。」

 

「はいな。機関出力、戦闘出力へ。」

 

「よし、総員、戦闘配備」

 

 

そして、キリシマから返信がなされた直後。両艦隊からビームが放たれ、砲撃戦が開始された。

 

    ・

    ・

    ・

 

 

【地球 芹沢 光 執務室】

 

 

「とうとう始まったわね。」

 

ヒカリは一人、執務室でつぶやいていた。

 

「にしても、イスカンダルの波動エンジンがあんなに凄いとはねぇ。ガミラスのゲシュ=タム機関が可愛く思えるわね。」

 

前回の軍の凶行の後。イスカンダルからの最初の使者、ユリーシャ・イスカンダルの来訪が有った。

彼女が地球にもたらした波動エンジンの設計図のおかげで、イズモ計画はヤマト計画へと変更され、脱出艦イズモは長期航海が可能な戦闘艦ヤマトへの改装が行われた。

なお、ヒカリは少し手をまわしてみたが、ユリーシャがテロに巻き込まれるのを防ぐことはできなかった。

 

「おかげで紀伊計画にも修正が必要になったんだけど。 最近までゲシュ=タム機関で動かしていたから、波動エンジンに取り換えるだけでもかなり大変なのに、いろいろと再調整する必要が出てきたからさぁ大変。」

 

ヒカリは真田さんと共に、イスカンダルから提供された波動エンジンの設計図を解析したが、その結果、現在流用されているゲシュ=タム機関よりも高性能である事が判明し、換装する際に再調整しなければならなくなった。

 

「まぁ、ヤマト抜錨には間に合わないでしょうね。 第一、この作戦で手に入る波動コアは一つだけ。コアを量産するには時間がかかるでしょうし、今回は諦めるしかないかしらね。」

 

そう。今回の作戦でサーシャ・イスカンダルが携えてくる波動コアは一つだけ。そして、その一つはヤマトに搭載されることが決定している。つまり、紀伊への波動エンジンの搭載は見送られる事になる。

 

「なんで気付かなかったのかしら。よく考えれば分かった事なのに。」

 

「私もまだまだ、という訳ね。」

 

はぁ~、とため息をつきながら、どうした物かとヒカリが考えていると、突然、電話が鳴り響いた。

 

「何かしら? もしもし。どうかしたの?」

 

≪今、芹沢軍務局長がお越しになっています。長官に話が有るそうです。≫

 

「いいわ。応接室に通しなさい。」

 

≪分かりました。≫

 

「いったい何を話したいのかしら?」

 

 

 

【応接室】

 

 

「うむ。元気そうだな。ヒカリ」

 

「えぇ。健康には気を使っていますから。それで?話とは何のことですか?」

 

「うむ。話というのは波動エンジンの事だ。」

 

「…それがどうかしましたか?」

 

「先ほど、火星から連絡が有った。コアを回収したそうだ。だが…」

 

「コアは一つしかなかった。…ですか。」

 

「そうだ。二人目の使者が持ってきたコアは一つしかなかった。そして、持ってきた本人も事故で亡くなってしまった。」

 

「そうですか。その使者には哀悼の意を示しておきましょう。」

 

「それと、提供されたコアは、ヤマトに搭載されることが決定した。」

 

「当然でしょうね。」

 

「だが、我々としては、技術局の艦、紀伊を遊ばせておく余裕は無い。」

 

「そうですね。なので、我々は紀伊を現状維持の状態で運用「その必要は無い。」…と言うと?」

 

「波動コアならもう一つ、既に我々の手にある。」

 

「? …! まさか!」

 

「そうだ。提供されたコアを調査した結果。それは、最初の使者が乗ってきた宇宙船。そのエンジンに搭載されていたコアらしき物とほぼ同一の物だった。」

 

「あなた方はイスカンダル側への許可も得ず、勝手に解体して調査していたのですか。」

 

「君に話せば、君は反対していただろう。」

 

「当然です。このような、恩を仇で返す様な事は絶対にさせません。というか、使者が自分で帰る事になった場合はどうするつもりだったんですか。未知のテクノロジーを完全に復元できるとは思えませんが。」

 

「心配には及ばない。解体・調査が行われたのは、彼女がテロで意識不明の重症を負った後だ。」

 

「最低ですね。」

 

「何とでも言ってくれて構わん。それだけ今の地球には余裕が無いのだ。」

 

「そうですか。…それで?何が言いたいんですか?」

 

「…分かって言っているだろう。 まぁいい。つまり、先ほど、使者の宇宙船から回収していた波動コアを、紀伊に搭載する事が決定されたという事だ。反対は認められない。」

 

「…そうですか。私も組織の人間です。私にとっても都合が良いですし、命令には従います。ですが、いい気分にはなれませんね。」

 

「先ほども話したが、地球にはもう、そういった事を考慮する余裕は無い。我慢したまえ。」

 

「分かっています。…では、今後の予定を改める必要が有るので、私はこれで失礼します。」

 

そう言うと、ヒカリは応接室を出ていった。

 

「…すまない。ヒカリ。」

 

 

 

【執務室】

 

 

「はぁ~。紀伊を起動させる目途は立ったわ。でも、いい気になれないわね。全く、何勝手に解体してるのよ。イスカンダル側に問いただされたらどうするつもりなのよ。」

 

「もういいわ。この件は諦めましょう。それよりも予定を組みな直さないとね。」

 

ヒカリは思考を切り替え、当初の予定を変更するために各部署に連絡を入れていく。

 

「あら。また連絡ね。今度は何かしら。」

 

≪ヒカリ長官。先ほどコアが届きました。≫

 

「分かったわ。三番ドックの特別格納庫に運んでおいてちょうだい。」

 

≪了解しました。≫

 

「本当に拒否権は無いみたいね。まぁいいわ。やってやろうじゃないの。」

 

    ・

    ・

    ・

 

 

:1か月後:

 

 

【ガミラス・冥王星基地】

 

 

「これは間違いないのか。ゲルフ。」

 

「間違いありません。シュルツ司令。古びた艦に偽装していますが、威力偵察中を行ったポルメリア級が撃沈されています。」

 

ゲルフ・ガンツ基地副司令がヤマトの映像を、ヴァルケ・シュルツ基地司令に見せて報告していた。

 

「ふむ。撃沈されたことに関しては大した驚きはない。最近のテロンであれば、これぐらいは考えられた事だ。問題は…」

 

「この艦のサイズ、ですね。」

 

「うむ。この艦はこれまでのテロンの艦よりも巨大だ。恐らく、我々でいう所のガイデロール級、或いはゼルグート級のような存在なのだろう。」

 

「えぇ、私も同意します。この艦は既存のテロン艦で一番大きい物より、約50%も大きい。ほぼ間違いなく、テロンの切り札だと考えられます。」

 

「見たところ、まだ完全には稼働できていないようだが、それも時間の問題だろう。万が一という事も有る。完全に起動する前に沈めようと思うのだが、どう思う。」

 

「それがよろしいかと。この状態でも敵を沈める能力が有るのですから、完全に起動すればどんな事になるやら。最悪の場合、この星系から追い出されるかもしれません。」

 

「そうだな。ヤレトラー少佐。」

 

「何でしょうか。」

 

「直ちにこの艦に向け、惑星間弾道ミサイルを1発、そして、ありったけの遊星爆弾を発射してくれ。」

 

「それはどういった意図でしょうか。」

 

「本命はミサイルだ。遊星爆弾はそれを隠すためのダミーだ。テロンはもはや辺境の蛮族ではない。ガミラスの敵だ。ミサイルだけでは確実に堕とされるだろう。」

 

「なるほど。遊星爆弾の群れに混ぜて隠すわけですか。確かにそれならテロンをだます事も可能でしょう。」

 

「そうだ。万が一、ミサイルが堕とされても遊星爆弾の群れが残っている。此奴(こいつ)を確実に仕留めるにはこれぐらいは必要だ。」

 

「了解しました。遊星爆弾の方はどれくらい撃ち込みますか。」

 

「無制限だ。撃ち込める限界まで撃ち込め。」

 

「了解しました。」

 

そう答えるとヤレトーラは退室しようとしたが、シュルツに呼び止められる。

 

「ヤレトーラ少佐。そういえばこの間、特大の小惑星を確保していただろう。あれも使用してくれ。」

 

「ザー・ベルク」

 

ヤレトーラが今度こそ退出する。

 

    ・

    ・

    ・

 

シュルツは大量に発射される遊星爆弾と、発射体制に入った惑星間弾道ミサイルを見ながらつぶやいた。

 

「これで仕留められると良いのだが。」

 

 

 

しばらく後。地球では、ヤマト発進の準備をしていた際にこの流星群が観測され、大騒ぎになった。

 





最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

面白いと思っていただければ幸いです。


今後、台本形式だったりそうでなかったりしますが、これは、私がまだ慣れていないので、どんな形が読みやすいのかという実験的な意味合いが有ります。

この時期にはまだ、イオナはいません。

執務室での話は、メ号作戦が終了して約6時間後の話です。

紀伊に使われる波動コアはユリ―シャが乗ってきた船の物となります。
なお、本作では、ユリ―シャが乗ってきた船は波動エンジンとなっています。(原作がどうなのか分からなかった。)

本作の芹沢軍務局長は、娘が居るお陰で原作よりも少し丸くなっています。

地球が原作よりも強くなった結果、シュルツさんに凄い警戒されるようになりました。


:感想返信のコーナー:

台本形式のタグを追加しました。

ゲシュ=タム機関と波動エンジンの関係について、二度のご指摘を受け、以前は情報の海に潜っていましたが、今回は深海まで潜りました。その結果…
はい、同じですね。申し訳ありませんでした。こちらの落ち度です。
なので、「ゲシュタム機関で我慢する」とヒカリが言っていたのは、取り敢えず、状態の良い鹵獲したゲシュ=タム機関を使用する、という意味に、ゲシュ=タム機関を調べるのは、波動エンジンを紀伊に搭載する際のサイズを予想する為、という意味に変更させていただきます。

宇宙戦艦ヤマトの武装はむしろ、原作よりも少し多いです。(ヒカリがちょくちょく協力している為)あくまで少ないのは脱出船イズモの事です。ヤマトはイズモを戦闘艦として再設計しています。因みに、大和にもメンタルモデルがいるので省人化と武装の増加が行われています。
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