東方喰種録.re   作:ゆず1252

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お久しぶりです。しーやです!
この作品をしっかり仕上げたいという思いから再度投稿し直します。

首を長くしてお待ちください。


プロローグ

バキッ!!ブチ!!

 

「ァ!!ガアアアアア!!!」

 

薄暗い部屋の中で響き渡る断末魔。一定リズムで聞こえる金属音と何かがちぎれた様な不快音。

 

「ハァ..かねきぃ!君は最高だぁ...。」

 

巨漢の大男がそう呟きながら、金木と言われている男の足指をペンチでつまみ

 

ブチッ!!

 

「ガアアアアア!!?」

 

引きちぎった。大男、ジェイソンと呼ばれる喰種は金木の体で遊んでいた。只々痛みを与える。拷問ではない。問う事が無いのだから。

 

「アァ..も、もう無理、です。」

 

死にはしないが故に永遠に続く生き地獄。拷問だったらどれだけ楽か。吐かないように我慢するという目的があるのだから。いや、心の支えという表現の方が正しいのだろうか。しかしコレにはそれが無い。ジェイソンがただ愉しむだけの行為なのだから。

 

「無理ぃ?そっか..」

 

自分の懇願が届いてくれたのか立ち上がる。

 

「じゃあ次は手の指で...。」

 

現実は残酷だった。

 

 

 

 

 

 

「1000引く7は?」

 

ブチッ!!

 

「ガッ!?きゅうひゃく、93...」

 

ジェイソンはコレの最中に計算をさせてきた。理由は恐らく狂ってしまわないように、簡単に壊れてしまわないようにするため。正直ありがたかった。千切られても千切られても、新しく生えてくる指。これを見るたび自分が人間でなくなっていくような感覚になる。それを計算と痛みで思考を埋め尽くせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は少し方向性を変えてみようと思うんだ。」

 

ここ最近は痛みに慣れてきてしまいほぼ無反応になったことで、現状に飽きてしまったのか、ジェイソンは金木に話しかける。

 

「コレなんだかわかる?」

 

そうして見せられたのは少し大きな百足。

 

「む、ムカデ?」

 

嚙まされる?食わされる?まあどちらだとしても大したことではない。

 

「トビズムカデっていうんだ。これを今から君の耳に入れる。」

 

「ッ!?」

 

聞いたことがある。虫は暗がりを好む。人間の耳の奥は光が差し込まない。ということは?

 

「ハアッ!!ハアッ!!ハアッ!!」

 

ゾゾゾッ....

 

「...ハ」

 

鼓膜を破ったのか音が拾いにくい。

 

「ハ..ハ..ハ」

 

聞いたことのある声で誰かが笑ってる。

 

「ハハハハハハ!!ハハハハハアハハ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「金木さん。もう少し耐えてください。必ず...必ず助けますから!」

 

それでも一筋の希望があった。それが彼等だ。こんな絶望的状況から救い出そうとしてくれる。藁にもすがる思いと言うのはこの事だろう。

 

 

 

 

「さぁ!!選べ!!どっちを殺したい!?」

 

「っ!!...そんなの選べるわけないだろ!!殺るなら僕を殺れよ!!!」

 

ジェイソンには彼等と通じていた事などお見通しだったらしい。あろう事かどちらかを生かしどちらかを殺すと言う最悪の選択を迫られた。

 

「言い方を変えようか?どっちを助けたい?」

 

そんなもの弱者の僕が選べるはずは無い。選択する勇気の無い僕に残されたのは...無惨に殺された彼等の亡骸だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1000引く7は?」

 

「きゅ、993…。98..6。」

 

だから僕は望んだ。もう誰も失わないように、強くなると。

 

「僕を喰おうとしたんだ...。僕に喰われても仕方ないよね?」

 

共喰いによる自身の強化。これが強くなる最短の道だと信じて。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、行こうか。」

 

ジェイソンを倒し、その場を後にした金木は高台に来ていた。恐らく来ているであろうあんていくの皆、CCGの動きを見るために。

 

「こんばんは。今夜は月が綺麗ね?」

 

「...誰ですか?」

 

気配を感じ無かった。アオギリの連中か?だとしても殺意が無い。味方という雰囲気でも無さそうだ。何よりも胡散臭さが目立ちすぎていて警戒を解けない。

 

「初めまして。私、幻想郷という楽園の賢者をしております。八雲紫と申します。」

 

誰もが口を揃えて胡散臭いと言うであろう女性から発せられたのは、新手の宗教勧誘のような自己紹介であった。

 

「八雲紫さん。僕に何のようでしょうか。」

 

「貴方を幻想郷に招待したく馳せ参じた次第です。」

 

何を言っているんだこの人は。それが金木が最初に思った事であった。

 

「...失礼ですが、僕は急いでいるので。」

 

そう言って振り返りその場を去ろうとすると、

 

「そうは行きません。」

 

「っ!?」

 

目の前に八雲紫がいた。先程まで5m離れていて、尚且つ自身の後方にいたというのにだ。

 

「これはもう‎...決定事項なのよ。」

 

目を鋭くさせながら此方を見つめる。

 

「どういう...」

 

最後まで言葉を紡ぐことは叶わず、金木はその場から姿を消した。

 

「ふふふ...歓迎するわ。金木研。」

 

月明かりに照らされた幻想郷の賢者は、芸術的で美しかった。

 

「ようこそ。幻想郷へ。」

 

 

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