感想への返信
>> 初めて感想を書かせてもらいます、原作は見てなかったけど、この小説を読んで凄く面白かった為コミックス全巻購入しました
→原作57巻全部!? お金もそうだけど読了に大分時間が掛かったでしょうに……私の作品で売上が伸びるならば何よりです!
>> 裏で少女二人が何を話してたのか、気になって仕方ないw
→ぶっちゃけるとそんなに大それた話でもないです。基本的には舞衣ちゃんの「駆っち」関連による精神攻撃をセブンがのらりくらり躱してたり、二人で手っ取り早くなでしこに上がる為の戦略練りをしてたりって位ですね。駆っち関連じゃなければ割と真面目に話してました。
今回は普段よりかなり短めな上、ほぼ地の文のみです。FIFA U-17W杯が重要な話となる為、部活動の大会は繋ぎによる説明のみでほぼカットとなりますが、ご了承ください。
今年の男子U-17日本代表はFIFA W杯への出場権を手にしている。昨年度のAFC U-16アジアカップではグループステージ、本戦の全試合を通してトータルで1失点のみ、得点数は28点。優勝国として出場権を獲得していた。
その為今年のU-17のメンバーは、基本的に昨年度にてU-16の代表を務めたメンバー及び監督がそのまま一つ繰り上がりになった形となる。だが中には高校選手権で突如として成長を果たした者もいる為、もちろん確実に同じメンバーとは言えない。
その為に5月中旬にU-17日本代表には親善試合が組まれていた。アジアカップの面子が多い以上は下手に調整試合は必要なく、W杯に挑むのならば相応の相手が必須。
とは言え本戦で相手するだろう国に手の内を曝け出す真似もそう簡単にするわけにはいかない。実力差があれば話は別だが、今年のU-17日本代表は優勝候補にも名を連ねている為、実力が明らかに上のチームなんてのは居ないと思った方が良い。
昨今サッカーファンの中で話題に上がる逢沢兄弟不在のU-16メンバーでさえアジア内に於いては圧巻の一言だ。そこに二人が合流するとなると、攻撃力が目に見えて上がるのは分かっている。
後は二人がU-17代表に噛み合うかが鍵となる。去年のU-17では交流カップにて招集されはしたものの、その時とは別の監督であり、メンバーも全く違う。例え一流のプレイヤーであっても短い期間でチームにフィットするというのは非常に難しい。
ただ逢沢兄弟───厳密にはその兄に当たる逢沢 傑という存在はあまりにも異質だった。
実質的にU-16の繰り上がりとなっているこのチームはある意味完成されているチームと言って良い。傑と駆は追加召集されたような立場であり、本来ならば時間を掛けてU-17日本代表というチームに自分を溶け込ませる。だが傑は己の存在の大きさを示し、あっという間にU-17を自分中心のチームへと変化させ、背番号10番を獲得していた。
また駆も存在感という意味では傑に劣るものの、結果という意味では傑以上に残している。傑が中心となった以上、兄のプレーをよく理解している駆も当然スタメンに抜擢されたのだ。
親善試合の相手はチリ。今回のFIFA U-17W杯の出場こそ逃したものの、強豪揃いの南米予選で引き分けが多く、一度はブラジルにも勝利を収めている。無論徹底した戦術行使はあったのだろうが、強い味方がいる事で更に光るレオ率いるブラジル代表が負けたとなると、選手の質も高いことは窺える。相手として不足はない。
そして親善試合はチリだけではない。一試合だけではチリ対策に講じてしまう時間が多くなり、本番での連戦の為には少々物足りなくなる為、更に一試合の親善試合。その相手はポルトガルだ。
此方はヨーロッパ予選を通過して本選出場国ではあるものの、昨年度に駆と傑が交流カップで試合をした国であり二人との試合を経験した者も何人か残っているという事で、対策を講じてる相手にどの程度通用するのかという名目で親善試合を引き受けた。一応、要請をしてきたのはポルトガルの方である。
結果としてはチリに6-3。ポルトガルに4-2と勝利を収めたが。強豪相手に大量得点と良く思えるが、アジアカップで最少失点を勝ち取ったチームとしては失点が多いようにも思える。
駆と傑の投入によるフォーメーションチェンジも影響はしているだろうが、それ以上に海外と競うにはDF陣のフィジカル問題が出てきていた。単純な身体の強さだけではなく、適度な柔らかさによるテクニックと脚の速さ。サッカー選手としての“質”というのが日本人に比べて一線を画しており、それが本番の課題になるだろうと、やはりその結論に至る。
もう一つ問題があるとすれば、駆の得点だろうか。得点力の向上の為に呼ばれた駆だが、得点は両チームに1点ずつの2点と、結果こそ残してはいるがファンが望むほどの活躍は出来ていないように思える。
駆の交流カップ以前の試合結果のみを知っている人物達は怪我が原因かと邪推する者も多いが、駆個人を追い掛けるファンとしては身体能力は兎も角、得点力が落ちたという訳ではない事を知っている為、ここは大きな問題にはならない。
というよりよほど流し目で見ない限りはフルタイムで観戦していれば分かる。明らかに駆へのマークがキツいのだ。だからこそ他の選手が得点を重ねられるので、此方は大きな問題にはならない。
明確な課題が見つかったは良いが、半年で鍛えられる分は決まっている。何より筋力量だけを増やしても筋肉が重くなってスプリントが発揮出来ず今までの様な動きが出来なくなる選手というのも珍しくない。
そこで一つ、日本代表は9月にもう一度だけ親善試合を組んだ。この時期は夏の
戦術を組むのは前提だが、それ以上にフィジカルが上の相手に対抗出来るDFが見つかれば大きな戦力となるだろう。高校世代最高峰のDFとも言える飛鳥と言えど、能力的に上の相手を一人で全て抑えられるほど優れている訳ではない。
高校生にとっては自分の高校部活青春時代を費やす舞台。サッカー協会からしたら日本世代別代表の候補を探る大会。誰も彼もが勝つ気で挑む総体の、その予選。
県予選でドラマを残していくチームが多い中で、やはり優勝候補筆頭と呼ばれる鎌学は圧巻の一言だった。
二次予選からシード校として出場する鎌学の相手は湘南大付属。去年までの三年間で殆ど失点をしていないというチーム。代わりに得点数も少ない為に順位を上げきれない部分があったが、その守備力が間違いない事は明白なチームだった。
だが、そのDFのカラクリを暴いた傑のパスによるアシストが4回。鷹匠に2得点、サイドに位置する二人の1得点ずつ。そして自ら2得点を重ね、6-0で鉄壁とまで言われたチームの壁を打ち破った。
スタッツも鎌学の支配率79%と終始鎌学が試合を掴んでいる状態が続いており、高校世代に逢沢 傑という名を轟かせる。
さて、そんな二次予選の2回戦第一試合───そして第二試合が終わり、舞台は第三試合へ。第三試合の組み合わせは慶早大付属対、江ノ島高校。
第二次予選のトーナメント表が出る前から既に注目が集まっていた為知っていたが、やはりこの目で確認したいと、鎌学の高等部が集まる中で一人中等部の駆も混じって観戦に来ていた。周りからすれば先に高等部の応援に来ていたというのもあって気にした様子は無さそうだが、事情を知ってる傑だけは苦笑気味に駆を見ている。
「駆、お前はどっちが勝つと思う?」
「湘南ユースでレギュラーの中島さんに、鷹匠さんも知ってる通り横浜ジュニアに居た島谷さんがいますからね。サッカーを知っている、という意味では慶早が有利だと思います」
「江ノ島は一年起用が多いしな。けど───」
「監督と全体的な選手の質で言えば江ノ島の方が優れている」
「……おい、俺の台詞獲るなよ」
「あ、すみません」
駆が江ノ島の選手に注目する中で、鷹匠は笑って問い掛けた。それの返答をし自身の意見を言おうとすれば遮られ、鷹匠は不満気な表情を出しながら言葉を漏らし、駆は謝る。
「しかし、全体的な選手の質に……監督か。俺としてはトップ下───荒木の個人能力が注目する点と思ってたが、あの中に知り合いでも居たか?」
「……見てれば分かりますよ」
「生意気小僧め……」
そんくらい張り合ってくれなきゃ来年のFW争いで困るけどな、と。鷹匠は薄く笑みを溢し、駆の言葉通り試合に集中する。
そして始まり───結果として、0-2で江ノ島は勝利した。ベストの荒木がしっかりとフィジカルトレーニングを重ねた事と、駆の記憶とは違い攻撃的な選手の薄さからか4バックで全体的な安定感が増しており、クリーンシートでのベスト8を決めている。
「へぇ……U-15の時は随分だったが、荒木の奴大人しくなったか?」
「大人
「……だな。スタミナ問題もマシになってきてる。つっても尖った部分が消えた訳じゃない。見えてる世界が一段階上がった感じか?」
「それに駆の言う通り、全体的な選手の質も悪くない。選手同士の連動は足りない部分も多いが、自分のストロングポイントを理解してる選手が多いから単純な攻めと守りで十分に競えてる。で、それを後半には修正して攻めが複雑化し、一気に2得点か。修正点を出してるのが監督なら、確かに監督も中々の曲者だな」
そんな傑と鷹匠の評価を、駆はうんうんと満足そうに笑顔を浮かべながら同意を示した。
高校夏大会の総体は6月内に終わりを迎える。翌日の準々決勝では注目を集めつつあった江ノ島は葉蔭学院に2-1で敗北。その後一週間後の葉蔭は棟光学園を2-0で下し、決勝進出。また鎌学は順調に駒を進めており、準々決勝を5-1。準決勝を7-0で勝利し、決勝で競う二校が決まった。そしてこの時点で神奈川トップ2である両校は総体全国への出場権を獲得しており全力を掛ける必要はないが、無論手抜きなんて真似はしない。
お互いに全力を尽くしての対戦。だが昨年度の総体で鷹匠単身でも止められなかった鎌学に更にピッチの王様が君臨したら、攻撃の波状は止めきれない。起死回生の同点ゴールはあったが、そこから突き放され最終的に鎌学の3-1勝利で神奈川県予選を終えた。
高等部の総体本戦が始まるまでの間に、今度は中等部の全中予選が始まった。
前大会での高円宮大会に於いて、鎌学中等部は駆の存在を無しにブロック予選まで駒を進めていた。そのブロック予選も敗退こそしてしまったが、原因は明確化されており、現状はその問題も解消されている。県予選ではやはり駆の得点能力が非常に目立ち、県予選5回の試合で駆の単独得点数は29点と、やはり同年代ではずば抜けた成績を誇っていた。
全中のブロック予選でもその勢いが衰えることはなく、総合得点数は前回の全中ブロック予選を超える17得点。本当に身体能力が下がっているのかと疑問視されるが、現状の駆はミドルによる得点数が落ちており、ギリギリの競り合いで一歩前を出て決めるシーンが多く目立つ為、それが明確なのは間違いない。
だが身体能力が落ちてるのが確かな為にマークに掛ける人数を減らした分、駆に勝負の余地が芽生えてしまい、それを制する回数が多い為、得点能力に優れていると言えるだろう。
そんなブロック予選終了から少し後。一足先に高等部の総体全国大会が始まる。前大会に於ける準優勝
二回戦は9-2で勝利。三回戦は5-0とクリーンシートに納めて次へと繋ぐ。
また鎌学の準々決勝前日から全中全国大会も開始し、鎌学中等部は初戦を7-0で勝ち抜く躍動を果たしている。
高等部の準々決勝と中等部の二回戦、そして高等部の準決勝と中等部の準々決勝は同日。どちらかが熊谷監督不在になる場面。ここは選手の精神性を信じて高等部の指揮を傑に預け、監督という名目は他の教師に任される。
総体準々決勝は見事に傑の指揮が嵌まり8-0。これまでの指揮系統との違いによるギャップも生まれたのだろう。
中等部の二回戦も概ね順調であり、ここまで続く連続クリーンシート試合を維持して4-0で勝利。
続く総体準決勝でも監督不在の乱れが現れることはなく、3-0で勝ち抜いた。
中等部の準々決勝も6-0と、攻守共に活躍を見せる試合運びとなっている。
さて、そんな中で訪れる総体決勝。流石にこの場面で席を外す事は出来ないので、熊谷監督は高等部の監督としてベンチに座っていた。
全国の決勝まで残るチームだ。当然生半可な戦術で勝てるチームではない。今まで傑を中心に回っていた試合はストップして、珍しく鎌学の相手が試合を支配する時間が長くなっている。だがそれを壊したのは、やはり傑。
荒木の本来のスタイルを参考にワンタッチパス主体で回すようになってからは試合運びが鎌学優勢に傾き、全体的なパスワークと乱れない精密さが決勝戦にまで残った相手を翻弄し、後半には怒涛の得点ラッシュ。決め返されさえしたものの、試合結果は4-2で鎌学の勝利となった。
準決勝は第二試合に当たる為、そんな試合結果を知らされてからの全中大会準決勝。メールにて試合結果を受け取った鎌学中等部は大きなモチベーションを獲得しつつ、試合へと挑む。
やはり無失点試合での全国制覇という偉業は難しく、この準決勝に於いて失点を許してしまったものの、3-1で鎌学は勝利。
翌日、監督も合流して最後の全中。
全中決勝で───鎌学は、惜しくも優勝を逃した。2-3。奇しくも前回の全中決勝に於ける同チーム、青森との試合であり、そして前回の試合結果を反転させた勝敗だった。
だが鎌学が負けた事自体にはそれほど動揺が巡る事はない。元より前回の全中でも、青森は駆と傑を有する鎌学にもしやという所まで追い詰めたチームだったから、その連動が生きているのならば、単身能力でずば抜けた二人の内の一人が抜けた鎌学に対しての勝機はかなりある。例え佐伯が成長していても、前回と同じ事をやれば良いだけだ。
だが、中学年代を大きく騒がせている問題が一つだけあった。
試合終了間際の駆のシュートがキーパーに止められた事。それもパンチングなどの弾きではなく、キャッチングで。
普通ならばキーパーのセービングはそこまで不思議ではない。同業者からすれば怪物染みたセンスを持っていても、鍛えられたキーパーはシュートストップを連発して得点を防ぐシーンを幾度となく見せる。寧ろ何度も放たれているシュートを一度として止められない方が異常なのだ。少なくとも観客の視点から見れば、だが。
しかし逢沢 駆というサッカー選手は公式戦でのシュート全てをゴールに捉えており、その怪物染みた決定力こそが武器だった。
だが同年代の中学生キーパーにシュートをキャッチングで止められたという事実が、彼の能力の減少を明確に表しており、U-17の親善試合でも1得点ずつのみという戦績もあって本当に高校世代の日本代表に呼ぶべき飛び抜けた人材なのかという疑問が、世間に広まった。
……無論、それを込めたとしても彼の強さが覆るわけではない。だが今まで100%決めていたシュートが99%に変わるだけで必ず違いは出る。観る者が望むのは自国からの“絶対的”なストライカーだったから。
まして、ネットニュースなんかで『逢沢 駆がシュートを外す!?』なんて煽られもすれば、そのイメージが残り続ける。まあ、同じFW選手からすれば馬鹿げた話ではあるのだが。
そんなサッカー界に激震を走らせる全中決勝から数週間。U-17のメンバーに新たな選手が追加招集された。
一人は今年入学で1年生ながら、激戦区の神奈川でたった一人葉蔭を相手に単独でパフォーマンスを発揮し一得点を奪った江ノ島高校に所属する荒木 竜一。そして、同じく1年生でありながら全国の舞台を経験し、フィジカルの差を“技”で埋めるCBの登録選手である、八千草高校の島 亮介。
これにてU-17は世代別W杯の準備を整えて、世界へと挑むことになる。9月に行われた親善試合もCBの補強が上手く作用して4-0とクリーンシートで勝利を収めており、しっかりと勝ちのイメージを持ったままW杯へと行ける。
今までの様な下剋上とは打って変わり、優勝候補とまで言われる世代別代表だ。プレッシャーの掛かり方はまるで違うだろう。まして、数年後にはA代表の舞台で競う可能性もある選手の溜まり場だ。プロへのステップアップも兼ねた、将来も見据える為の戦いであると言っても良い。
世代最高峰の選手を揃えた日本の、各国予選を勝ち抜いた世界への挑戦。
まずはその一段階目に当たる1グループ4チームによる三試合が、今幕を開けた。
私的に一番書きたいシーンが近づいて来ているのでワクワクしてます。後何話掛かるかは不明ですが……