>> ブラジル勝ってるけど4点も取られててどうしたの?
→作中で明記してたつもりだったんですが、読み直したら書いてませんでした。すみません。
作品内に於ける本年度のU-17W杯開催国はアルゼンチンです。アルゼンチンからしたらホーム、ブラジルにとってはかなりアウェーな状態での試合運びとなりました。アルゼンチンにかなり勢いがついての試合なので得点の取り合いみたいな結果になってます。
よくよく考えるとリカルド・ベルナルディのいるアルゼンチンが6失点も大分アレな気もしますが
「……」
カメラに向けて一本指。まずは一点だと言わんばかりにゴールパフォーマンを披露し笑顔を晒す駆を遠目に見つめる存在が一人。
若き天才、ベッケンバウアー二世と謳われるドイツの逸材。【
「あんなに簡単に抜かれるのは初めて見たぞ。お前の股を抜くなんて発想をする
「……私の『
「そんなに成長しているのか?」
「いや、11番だ。彼の動きが見えなかった。……想定を間違えたな。今回警戒すべきは
ゼッケンドルフの脅威的な部分はその視野だ。完璧なポジショニングと未来予知にすら思える先読みがフェイントを見通し、あらゆる動きを遮断する。だから傑単体のドリブルで超えることは困難を極め、彼の目の前でのパスは封じ込められる。
が、唯一。駆の動きは捉える事が出来ず、そのパスを通してしまった。その理由は明確だ。駆の本能が、その天性の“嗅覚”が、ゼッケンドルフさえ出し抜くコースを見つけ出して駆けて行き、傑はそれに呼応してパスを出したから。
ゼッケンドルフも股抜きそのものならば対応出来ただろう。だがその選択がドリブルによる股抜きではなく、本来誰にも反応出来る筈のないパス故に、その選択を許してしまった。
「……なるほど。クレイジーなのは10番ではなく11番か」
「ああ」
「それを織り込んだ上での先日のコスタリカのDFだった訳だ。でもまあそれなら分かりやすい。サイドやボランチの絞りで俺達が───」
「いや」
それでも一番危険なのが傑である事は変わるまい。故にその相手をゼッケンドルフに、と。そういう意味でドイツのもう一人のDFが告げようとするが、ゼッケンドルフは試合再開の為に自陣ポジション開始位置へと戻る駆。そして傑へと視線を向け、変わらぬ表情で、だが強く言う。
「あの二人……アイザワ兄弟は私が止める。お前達は事前通りのDFで構わない。日本にはもう、点を取らせない」
『抜けた! 再び抜け出した逢沢 駆!』
前半10分。またも傑のパスでチャンスが演出される。ペナルティエリアのギリギリ外。中に入れればファールのリスクを相手が背負うことになるが、駆の視界にはDFが近寄る姿が見えている。
現状の自分では上手くファールを誘えるか微妙。φトリックもどの選択肢であろうと後ろにキーパーがいる以上はリスクが高い。
何より、エリア外とは言えミドルレンジ。シュートコースは空いており、ホイップキックならばこのままゴールに突き刺せる。
シュートモーション。大きく振り被った脚がキーパーの反応に合わせて逸れていき、読みとは逆の方向へボールが放たれ───た、
「……ッ!?」
横から現れたゼッケンドルフの差し出した脚がボールに触れ、大きく弾かれサイドラインを割る。真正面のシュート。本来ならばコーナーキックになってもおかしくはない。だがゼッケンドルフの事だ。恐らく狙ってサイドへと追い出したのだろう。
途轍もない威圧感。世代最強と言われるだけの身体能力と判断力に技術。
(……今の、まさか)
そこから導き出されるもう一つのゼッケンドルフの選択を駆は考え、傑へと視線を向ける。
決める気である事は変わりない。だがそれと同時に確かめたい事が出来た為に、抜け出せたらもう一度と要求。傑も同じ考えに辿り着き、コクリと頷く。
そこから暫くお互いポゼッション。ゴールに迫る事はあるが、シュートまではいかない状態へと膠着する。日本の1-0でのリード状態ではあるが、背中を掴まれている様な感覚。とても余裕を持てる様な状態ではない。
前半20分になって、ここで今までパス回しに専念していた駆が抜け出しに成功する。消えかけていた存在感。ドイツDFにそれに対応する術はなく、駆はエリア内のフリーで絶好のチャンスを迎える。
キーパーの位置をしっかり把握し、その動きに合わせてシュートコースを変更。振り被った脚はボールを蹴り出してポストギリギリに、向かう。
「ッ!」
(やっぱり、これ!)
再び似たような状況。だが先ほどよりも明らかに駆にとって有利なシチュエーションで、ゼッケンドルフの脚は放たれたシュートを塞ぐ。
弾かれたボールはゆっくりとゴール方面へと転がっていき、キーパーが拾った。
(……
セカンドボールを狙いに行こうとするもゼッケンドルフによって飛び出しを抑えられてしまい、キーパーがボールを保有するのを見てから視線をゼッケンドルフへと移す。
動かない表情で等しく顔を駆へと向けている。交わる視線を外し、駆は考えに確信を持つ。
今までの試合に於いて、駆のミドルシュートを塞ぐ手段として相手に取られていた選択はコースの誘導だった。それはホイップキックを読み易くするという理由である事は想像に難くない。
ただそれ以上に、無茶にシュートコースそのものを塞ぎにかかれば
だが、ゼッケンドルフはシュート自体を防いでいた。単純にシュートブロックされるだけならば駆もそれを避ける選択肢があっただろうが、この10分間に於ける二度のシュートでそれを取る事は出来なかった。
理由は駆も分かってる。
(打った直後に塞ぎに来てるから、それを避けるコース選択が出来ないんだ。死角から現れて、ここぞというシュートタイミングで脚が出されるから動きの把握も出来ない)
無論、シュートが放たれてからそのコースを読むなどという離れ業をやっている訳じゃない。どれだけ身体能力が優れていたとて、人間の能力の限界を考えればそれでは間に合わないのは明らかだ。
事前にシュートコースを予測し、コース変動の不可能なタイミングで塞ぎに掛かっている。
ではどういう理屈で駆のシュートコースを完璧に読んでいるのか。
駆の考えが正しければ、その答えは簡単だ。
(僕の動きじゃなくて、キーパーの動きから予測している)
キーパーの逆を突く判断をゼッケンドルフも行い、駆のシュート体勢と力みからフェイントかどうかを把握。それと同時に味方キーパーの動きを見る事で、ホイップキックによるシュートコースの変動を把握し、その選択が確定となった瞬間にゼッケンドルフはシュートブロックに来る。
脅威的な身体能力はもちろん、駆の大振りのシュートモーションもあって、その選択を可能としている訳だ。
ならば駆がゼッケンドルフを出し抜くにはどうするべきか。可能性は二つ。キーパーに止められる事を承知の上で全力のミドルを敢えてキーパーの動きに合わせて打つか、或いは大振りのシュートモーションを抑えて打つか。
だがフェイントが全くと言っていいほどに通じないゼッケンドルフだ。モーションの変動がない事を見抜いて止めてくる可能性は非常に高い。
「……」
駆は汗を拭いつつ、視線を傑へと移す。兄はどう考えているだろう。少なくとも二度、ゼッケンドルフは駆のシュートを防いで見せた。このまま打ち続けても決まらない可能性は高い。しかし小手先の策では通じないだろう。
「駆」
そんな視線に気付いた傑は、ボールがサイドラインを割ると同時に話しかけてくる。
「決められないから渡すな───とは、まさか言うつもりはないよな?」
「……」
このまま打っても決まらない可能性が高いと考えていたのは事実だ。鋭い指摘に駆は一瞬口の中に苦いものを含んだ時のような笑みを浮かべてしまう。
目を瞑り、大丈夫だと言わんばかりに頷いて言葉を紡ぐ。
「兄ちゃんこそ、ゼッケンドルフ相手にビビったりしてないよね?」
「はは、当然だ。寧ろワクワクしてるよ。今の全身全霊を、騎士がいる俺を、
そうして相手のリスタートに合わせて自分の位置を調整する傑を見送り、駆は己の仕事を全うしようと前衛としての守備を務める。
───だが不運な事に、そのリスタート後のドイツのポゼッション。最終的にエリア付近まで侵入したFWのシュートがエリア内でシュートブロックに入っていた
お互いに攻撃の勢いが落ちる事はない。前半初めの方は長めに存在感を消してここぞというタイミングで抜け出しの機会を窺っていた駆だが、ゼッケンドルフに最終的に止められる事がわかった為に、少しでも注意を引く為に積極的に前線でボールを受け取る動きを繰り返す。
前半35分の段階で通算6回。
駆自身はここ最近のしつこい複数マークが無かったこともあり、絶好調に飛び出しを成功させている。フォローに来ているDFもタイミングが合えば身軽に躱す事は可能だろう。
だがその6回。絶好のシュートまで持って行った全てを、ゼッケンドルフによって防がれている。最初の一回で駆のシュートによる“伸び”も理解したのだろう。シュートブロックに使う脚で衝撃を和らげた上に、キーパーの取りやすい位置へと転がっていく。
ただ防ぐだけでなく、自陣が落ち着ける状態にまで持っていっている。やはり単身能力では遥かに劣っていると重々自覚させられる。
前半の終わりを意識する時間帯。お互いイーブンの状態で後半を迎える事になるか。全体的なパステンポの速さが下がってきて自陣で回す事が増えてきた。見渡し、お互いに整っているDFライン。下手に早い仕掛けを行えばカウンターを食らいかねない。どちらも出方を伺う。
ボールは日本が保持。
長いボールポゼッションによりDFラインは押し上げており、CBがセンターライン付近まで出てきている状況。
サイドの島からパスを受け取った飛鳥は、ダイレクトで素早く中にいる傑へと渡した。
右脚でトラップと同時に踏み込み、左足を振り被る。視線の先には7度目の抜け出しとなる駆の姿。だが傑へと渡るタイミングを測っていた相手ボランチが寄せていく。
このままパスを出しても通るだろう。それだけ今日の駆の抜け出しは毎回完璧だ。
ゼッケンドルフもそれを意識する。故にこそ。
「……!」
振りの勢いを一気に緩めて脱力した左脚がボールを叩く。DFに来た相手の股を華麗に通してドリブルを開始した。
フォローに来た相手をまた一人抜き去り二人抜き。中央にスペースが空く。あくまでも駆に対する警戒心を高めているだけでマンマークではないゼッケンドルフからしたら、ドイツ陣地で作られたその余裕を放っておくわけにはいかない。駆の抜け出しが難しいタイミング。即ち傑が自分より前の位置へパスを出さないタイミングでゼッケンドルフは詰め寄る。
その瞬間。
絶妙な間、ゼッケンドルフの身体能力を持ってしても追いつけない距離感で、傑はシュート体勢に入る。
傑のキック力を考えればシュートレンジ内ではあるが、ゼッケンドルフの立ち位置とキーパーのポジショニングからして入る確率は限りなく低い。セカンドボールでワンチャンスを狙う可能性を過らせ、ゼッケンドルフは接近する脚を即座に止めた。
一度抜け出しを止めた駆の動きは
そこまで判断を終わらせて、ゼッケンドルフは体勢を後ろに逸らして傑のモーションを捉える。
(……いや、これは)
だがシュートにしては走り出しの準備も兼ねた前傾寄りの姿勢を見て、ゼッケンドルフは判断を更新する。後ろに逸らした姿勢を立て直して前進。
傑の振り被った左脚はボールを越し、シュートになる事はなく地面を踏み締める。転がっていたボールは踏みしめられた左足の踵に触れて止まり、傑はボールを置き去りに駆け抜けていく。
そのボールを、後ろに居た荒木がキックするフォームを取った。
(読まれたか、だが想定内。読まれてもやる事は変わらない。ゼッケンドルフにとっての要注意対象は俺と駆だ。チームとして動いてタカさんだったり他の選手を止めに来る事はあっても、俺と駆のラインを潰すのが最優先)
だから傑は敢えて通るタイミング全てを駆に渡していた。そうする事で傑がボールを持って駆が動き出した時の警戒が駆へと向くから、傑はある程度自分で持ち運ぶ事が出来る。
そしてゼッケンドルフが傑へと意識を向けた瞬間に荒木へとパスし、自分は前線へと飛び出していく。駆と傑を個人で潰すゼッケンドルフにとって嫌な事は、自分が止めるべきと判断している二人が同時に飛び出す事だ。どちらかへの対応に必ず意識が向く。人の身である以上は二人共を止める事なんて事は不可能。予め警戒しておけば味方に任せる選択もあっただろうが、常に駆と傑がラインを形成していた事で一定以上の距離から離れた時の判断は咄嗟になる。
さあどうする、世代最強。
ゼッケンドルフの横を抜けていく傑は鋭い視線を彼と交わす。それを見送り、ゼッケンドルフは地面にスパイクを突き刺して。
(……なるほど、確かに厄介だ。離れた二人を私だけで止める方法はないし、味方への指示も間に合わないだろう。だが───)
加速する。
確かに二人を同時に止めるなんて事は不可能。絶好調の駆の抜け出しを封じるのは味方DFでは難しく指示も間に合わない。ゴール前で傑に渡ればギリギリまで侵入して確実にゴールを奪うだろう。
しかし、ゼッケンドルフは迷いなくその脚を進め、荒木へと近づいた。
(元を潰してしまえば二人を止める必要なんてない───が、荒木のパスに間に合うか?)
荒木のパスセンスは傑のそれを上回る。いや、正直に言えば今こそ傑の方が上だろう。だがワンタッチで行われる正確無比なコントロールとギリギリを見極められる判断力。
幾らゼッケンドルフと言えど、駆と傑の二人による無数の選択肢をダイレクトで出せる荒木のパスを塞ぐなんて真似は出来ないだろう。
ゼッケンドルフにとっても賭けなのは間違いない。荒木は目を見開きながら、右脚を振り抜いた。
「いっ、けぇえッ!」
縦回転。ゼッケンドルフの位置で丁度最高打点を迎えてから落ちるように意識して、ドライブキックでのパスを出す。向かう先は傑。この状況でFWの方に少しでも強く意識が向かないわけがないだろうという荒木の迷いない判断による少しでも隙を突くパス。
少しでも隙を突く。そもそも届かない弾道。早い連携の中で取った選択。どう考えても防ぎようのない一閃だ。荒木自身も手応えを感じる最高のパス。
───だが、忘れるなかれ。
今ここに存在するは、あの傑が一度もドリブルで抜き去る事が出来なかった唯一無二の皇帝。
間違いなく次世代のドイツを担う世代最強のCB。
一流になる選手は数多かれど、スーパースターと呼ばれる程に伝説を残す選手は、往々にして、皆が感じ取っている常識や既成概念を打ち破り、観ている者達のサッカー観というのを新しくする。
誰もが止められないと確信する程のパス。だが、この男はそんな迷いを過らせる事もなく脚を踏み込んだ。
その脅威的な身体能力による詰めと跳躍は、素早く出された筈のパスが最高打点を迎えるよりも一歩早く。
ゼッケンドルフの頭が、ボールを弾き飛ばした。
「な……ッ!!?」
驚愕を隠しきれずに表に出す荒木は、その衝撃的な光景に身体を硬直させて呆然と前を見つめる。
そんな荒木に、いや日本勢の全ての選手に届く、珍しく焦りを含んだ傑の声。
「ボール!」
ハッとした荒木が反射的にボールの行方を視線で追えば、ゼッケンドルフが弾き返したボールは
パスが通るという確信と、確信を覆された驚愕による、思考の隙間。
カウンターに備えていたCBは兎も角、完全にゴールへと意識を向いていた日本選手の殆どは前線に張り付いている。
(いや、俺もアレは通ると確信した。切り替えに時間は掛かる。傑が立て直してる間は俺が止めれば良いだけの話───)
飛鳥は即座に判断し、抜かれるリスクを背負ってFWにチャレンジ。前半の間に幾度となく止めたと言えど、この勢いに任せて突き進みたいだろう。ここで挫けば時間を作れる。余裕がないのはカウンターを仕掛けているドイツも同じだ。
日本のDF人数が少ないとは言え、急激なカウンターに対応出来るドイツ人数もまた少ない。ドイツの陣形は3-6-1。3バックにしては中盤に掛ける人数が多い1トップの珍しいフォーメーション。中央は六角型を取っており、二人のトップ下と左右のMF、そしてボランチ二人。その内の左サイドハーフとトップ下の一人が上がってきているが、それは飛鳥の視界内。
ドリブルに来ないのならばFWと距離を取ってDFラインを下げた方が良かったが、FWが取った選択はドリブルだ。ならばDFラインを保ったままドリブルを止めれば、オフサイドになるサイドとトップ下は無闇に抜け出す事が出来ずに走りは止まり、日本の切り替えが出来た時に対応できるタイミングが早まる。
飛鳥はハンドサインで幸村を押し止めてDFラインを下げさせない。ここで抜かれては致命的だが、DFラインを下げた時のリスクもまた等しく危険。同じリスクなら日本を有利に運ぶ事が出来る方を選ぶ。
事実、可能な限り押し込まれることを避けるDFは成功し、相手のドリブルは止まった。
悔しさを孕んだ表情を晒しながらドイツFWはサイドへと流すが。
「自由には運ばせないぜ!」
先程の日本の攻撃は中盤の組み立てと判断していた島は比較的下り目の位置にいた為、飛鳥の遅らせたドイツの流れに直ぐに追い付きサイドの選手をしっかりとマーク。
一気に加速して剥がされる可能性を考慮して徐々に距離を詰めていき、センターラインとペナルティエリアの丁度真ん中。ゴールまで縦25メートルという所で島は一気に近付きファールにならない様に。だが最悪ファールを取られても良いと、手で相手選手に触れる。少し無理した接触だ。笛を鳴らされるのも覚悟の上。
相手は体勢を崩したまま中央にボールを蹴る。幸いファールはなく、アドバンテージ、ファールディレイのサインもない。飛鳥は自分の方へと転がっていくボールへと近付き、脚をボールに触れさせ───る、直前。
「───……ッ!?」
暴風のように飛び込んできた巨躯。人間の肉体。飛鳥の視界の外から詰め寄るその存在、ゼッケンドルフによってボールを奪われる。マイナス気味に転がってきたボールだ。ミドル・ロングのあやふやな距離ではあるが、中央。しかも拾ったのはゼッケンドルフ。
彼の能力を考えればこの程度の距離は容易く沈めるだろう。飛鳥は焦りを含んだ表情で止めに掛かるが、その肉体に阻まれシュート体勢を取られる。
誰もがシュートを放つと思ったその瞬間。
「ぁあああ!!」
「……!」
(守備意識への切り替えと同時に、前線に居たことによるコートの俯瞰。そこから直感的に危険位置を察知してボールの最終地点を読んできたか)
ゼッケンドルフの思考通り。結果渡そうとしたのは傑方面だったが、荒木のパスを受け取る準備をしていた駆は、ゼッケンドルフによってボールカットされた段階で即座に守備意識へと切り替えた。最前線には居たが誰よりも守備に走るのは早く、ボールカットと同時に日本ゴールへと向かうゼッケンドルフを把握して何処で渡るかを本能的に割り出した。
攻撃だけではなかったかと感心すると同時に、
ゼッケンドルフの脚は振り下ろされる前に角度を変え、ボールを柔らかく蹴る。
ふわりと浮き上がったボールはシュートブロックに出した駆の脚を越え、ゼッケンドルフに意識が向くことで飛鳥の後ろを飛び出していたドイツFWへとフリーで渡り。
キーパーとの1対1。
シュートはあっさりとネットに吸い込まれ、ドイツのゴールが確定した。
1-2。
試合は進むが、これといってハイライトに映る様な場面なく、日本はリードを許した状態で前半を終える事になる。
ドイツ戦は今作を執筆する上で一番書きたかった所ですので、普段より少し長めの試合描写にするつもりです。
ちなみにサッカー観を新しくするスーパースターという例を挙げますと、セルティックにて伝説を残した『中村俊輔』選手が分かりやすいと思います。フリーキックの名手と言われた彼が結果を残している事で、「なんでその位置のフリーキックが決まらない」「コーナーから狙えるだろ」とフリーキックが簡単と思わせる様にしてしまったそうです。
まあチョロっとそんな話を聞いた事があるなってだけで、私自身はどちらかと言うと香川・本田選手の全盛を観ていた世代ですので実際にそんな話があったかどうかは知りませんが、事実として中村俊輔選手はCL日本人初得点や、セルティックファンからも伝説と謳われる程に結果を残しています。
当時の映像なんかもYouTubeに歴代ベストゴール・ベストフリーキックとして多く上がったりしてますので、リアルの方をあまり見ないと言う方にも是非一度目に焼き付けて頂きたいです。