感想返信
>> スポンサーからのサポートって横流ししても大丈夫?急に蝦夷君がこんなの高いの着け始めたら他のメンバーに質問されそうだけど、上手く躱すのかな?
→横流しはアウトです。セブンの「後で確認しておくね?」は「同級生の男子部活生徒へと渡しても大丈夫なのかも確認しておくね」という意味を込めており、蝦夷もそれを分かって了承してます。スポンサーからNG出されたら普通に諦めます。また建前上は「女子代表と男子高校生の運動能力の比較実験」を兼ねるので、それを理由に躱す事が可能です。
>> 八つ当たりでセブンさんからドキドキタイムを強いられる駆くんかわよw
→駆くんはU-17得点王になる過程(特にドイツ戦)で無敵メンタルとなっていますが、セブン相手だと弱くなっちゃうからね。仕方ないね
いやー……長くなりました。めっちゃ。普段の倍近く。
話数分けしてもいい長さになってしまったんですが、1話に纏める話のつもりだったので何とか1話で納めました。今回は高校年代編を執筆するにあたって大事な回となりますので。はい。
ハーメルン内で色々と騒ぎがあったらしいですが、私はいつも通り(月一)投稿を続けますのでご安心ください。更新遅くてスミマセン。
鎌田のラツィオ移籍が確定して安心しました。
ソシエダはシルバ引退で色々と大変だと思いますが、今年は更なるタケの躍動を期待しています。……CLで活躍する2人の姿を見たかった。
5月下旬に差し掛かる。
この日は曇が多く陽は隠れるも降水確率は低く、近年温暖化が進み暑くなる日も多くなる時期の中では良い気温と言えるだろう。
風は少しあり、心地よい空気を揺らして肌を撫でる。晴天とは呼べずとも運動をするには最適だ。
鎌倉学館高等部は敷地内にサッカー場を有している。代表選手がプレーするスタジアムに比べれば遥かに簡易的ではあるもののスタンドも用意されており、地面は芝。当然ながら練習試合を行う場所は鎌学で合意された。
「今日は予定を組んで下さり、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。傑と鷹匠の居ない鎌学高等部で公式戦を行うのは初でしてね。最終調整として有難い申し出でした」
江ノ島高校サッカー部監督の岩城は鎌倉学館高等サッカー部の熊谷と握手を交わし、挨拶を済ませる。
選手達はハーフラインの区切りでチーム毎に分かれてアップをしているが、江ノ島の部員達は鎌学の方をチラチラと見ている。
「……ところで、逢沢 駆くんは今日は練習試合に出ないのでしょうか? 傑くんと鷹匠くんは代表の方と先に話をされましたが」
「ああ、少々予定が被ってしまいましてね」
江ノ島の部員達が気に掛けるのも当然だ。代表に呼ばれていると先に話を聞いていた傑と鷹匠が居ないのは分かっていても、駆は今回U-20日本代表の方に呼ばれていない。その他の世代別の日程は現在ないため、鎌学に残っているのは明白にも関わらず、その姿がピッチにもベンチにもないのだから。
怪我の可能性を考慮して公式戦以外での出場をさせないにしても、ベンチにすら姿がないのはおかしい。それについて岩城が問えば、熊谷が苦笑しつつそれについて答える。
「練習試合には間に合うので安心してください。恐らくもう終わっているとは思いますが、大事な話をしていたので」
「話……?」
「ええ」
「すみません、遅くなりました!」
問答を終えてすぐ、スタンドを潜り抜けて小走りで駆け寄る存在が1人。話に出ていた逢沢 駆が熊谷の下へと近付き、言葉を発する。
「許可は出しているんだ、気にしなくていい。もう済んだのか?」
「はい」
「なら少しでもアップはしておけ。それと駆、江ノ島の監督だ」
「───初めまして、岩城監督」
「ええ、初めまして。……? どうかしましたか?」
挨拶を交わし、数秒。ジーッと見つめる駆に、岩城は少し困惑した表情で問い掛ける。
駆は僅かに視線を外し、パッと笑顔を浮かべながら言い放つ。
「今日は練習試合なので……」
「ええ」
「サッカーでの反則にならない程度には、自由にやって大丈夫ですからね?」
「……? はい、それは勿論。胸を借りて、アイデアを試そうと思います」
頷き、直ぐに鎌学選手がアップする方へと向かう駆の発言に疑問を覚えつつも、岩城はそれよりも気になる点を熊谷へと問い掛ける。
「熊谷監督、駆くんの大事な話とは?」
「ああ、既に噂にはなっているのでご存知かもしれませんが。駆がレアル・マドリードの練習参加へと呼ばれている話については?」
「それは勿論。高校年代……厳密には中学の時からですか。学生の時点でビッグクラブから注目される選手は日本の歴史では中々居ないですから」
「その件について改めて、対面で話し合いたいからと来日されたんですよ」
「レアルのスタッフの方ですか?」
「いえ───監督が直接、です」
「『初めまして、日本の怪物くん』」
鎌倉学館高等部、校舎内の一室。応接室にて座る少年が1人。
短い間隔で3度のノックが鳴らされると、少年───駆は席を立ち、開かれる扉から入室する人物を迎え入れる。
対面で座り、入室した人物に付いてきたもう1人はその隣へ。
座ってから発せられるその挨拶に数秒の沈黙。駆の対面に座る彼のその隣にいる人物が口を開く直前、駆は緊張と共に言葉を発した。
「『初めまして、ギダン監督』」
少々驚いた様子で駆を見つめる2人。レアル・マドリードの監督であるギダンと、付き添いの通訳を行う為の人物。
その様子を見ながら、駆は言葉を続ける。
「『会話の時、僕への言葉に通訳は必要ありません。しかしスペイン語での発言は苦手なので、僕からの言葉だけを通訳してもらえると助かります』」
辿々しく、ゆっくりと、丁寧に。覚えたスペイン語を使って自身に対する必要事項を伝える。
ギダンは一度通訳の人に視線を移し、傍観を要求。再び駆の方へと向き、口を開いた。
「『了解した。もし私の言葉で分からないところがあったら、通訳に申し出てくれ。そしてこの言葉に対しては、君自身のスペイン語で答えてもらいたい』」
「『分かりました。その場合は遠慮なく訊きます』」
「『───なるほど、一文の事前準備という訳ではなさそうだな。元からスペインには興味が? ここからは日本語に戻してもらって構わない』」
「あー……えと、スペインに限らず欧州サッカーにはかなり。レアルの練習へと招待を受けて、必死にスペイン語を学んでる状態ですね」
「『なるほど。我がクラブからの希望を好意的に受け取ってくれている様で嬉しいよ』」
当たり障りない会話を続け、ギダンからの言葉は通訳を介さず駆がそのまま理解し、駆の言葉は通訳を介してギダンに伝わる。そんなやりとりをお互いに馴染ませていく。
「『本当は私自身がこの場に居座る想定はしていなかったのだがね』」
ギダンはそう前置き一つ。
「『リーガを観ているならば、前節の件は知っているかな?』」
「カンプノウでのクラシコですよね? かなりヒートアップして、ギダン監督にレッドカードが提示された……」
「『そう、まさにそれだ。そのレッドカードで今節はおろか、次節も含めて2試合のベンチ入り不可を提示されてしまった。無論クラブの施設から見守る事も出来たが、身に入らなくてね。この機会にと君に直接会う事に決めたんだ』」
スペインの1部リーグであるラ・リーガ───それに限らず欧州リーグの殆どは、5月半ばの時期ではまだシーズン最中だ。最中とは言いつつも、あって残り3試合の終了目前ではあるが。
故に本来ならまだチームの監督としての役割を果たしているべき人間。そんな重要人物が現在日本にいる理由を、本人が話す。
サッカーに於けるカード提示は出場選手に限るものではない。問題行為があればベンチ選手、或いは監督やコーチにすらも適応される。その明確な処罰は大会運営側から後に改めて提示されるが、基本的には出場選手同様の次節出場停止である。
本人の口から語られたラ・リーガ第35節は、リーグ2強とも言われる因縁の対決。エル・クラシコと称されるバルセロナ対レアル・マドリード。カンプノウ*1で行われたその試合は、結果から言えば2-0でバルセロナが勝利を収めた。
だがその結果は賛否両論。前半で奪われた1得点は文句のないゴール。だが試合を通しての主審の判断はバルセロナ贔屓と言われても仕方ないものだった。
それに加えて、後半突入して直ぐに行われたエリア内でのファールも物議を醸している。後から見返せば明確に触れてすらいないシミュレーションなのだが、主審はビデオ判定を待つ事もなくPKを決定していた。
それに対する猛抗議、及び試合後の乱闘騒ぎで多くのカードが提示され、ギダン監督にはレッドカードが出された訳だ。
後日に通達された処罰は二試合のベンチ入り禁止。最終節に出れるだけ温情があったと言うべきか、或いはバルセロナ贔屓の主審の態度を考えれば厳しいと捉えるべきか。
「『私が日本に来ている事が知られれば、メディアは大騒ぎだろうな。【レアルの監督はシーズン終了前に海外逃亡か!?】などとな』」
「あはは……スペイン記事も見逃さない様にしないとですね」
無論、ベンチ入り禁止の通達がされたとて普通は国外にまで足を運ぶ事などあり得ない。幾ら海外に練習参加を呼びかけている選手がいたとしてもだ。
実際のところはどういう意図で来ているのか。もし彼自身が答えをメディアに晒すのであれば見逃すわけにはいかないと、そんな意味も込めて駆は笑いながら返答する。
「『さて。前置きはこのくらいにして、話をしよう。カケル・アイザワ』」
「はい」
「『プレシーズンでの君の練習参加については、概ね事前に通達した通りだ。7月中旬はサウジアラビアでのツアーマッチがある事。また君のスクールが長期休暇のタイミングであるのを見て、8月の上旬がベストだと判断したが、どうだろう?』」
8月上旬───正確には移動時間を含め、7月末からの参加となる。
ギダンが言う通りそれは通達された内容そのままであり、駆もそれで一度了承はしている。が、7月末から8月初めの期間は高校総体の時期である。
元々スクールの大会は然程に興味はなかっただろうが、日本へと来日するにあたりその辺は調べたのだろう。それを受けて改めて、大会を諦めてこちらに参加する意思があるかどうかの確認だ。
駆は迷いなく頷く。
「はい、問題ありません」
「『オーケー。では
「……?」
ここからが本題。つまり先程までの練習参加については本題ではなかったという事になる。
自身が彼の放つスペイン語を正しく認識できているか不安になった駆は通訳の人に視線を向けるが、翻訳される言葉は駆自身が理解したものと相違ない。
「『先程クラシコの話をしたが、それの続きとも言える。前節でのクラシコにて敗戦を決した我々は、残り3試合を残して今季のラ・リーガに於けるトロフィーの獲得を逃してしまった。まだ勝ち点差は7だが、それを理解しているバルセロナは確実に一戦を取る形にするだろう。バルセロナの優勝はほぼ確定だ』」
「はい」
「『勝ち点を抜きにしても、今季の我々は得点力の不足が目立つ。故にレアル・マドリードが早急に獲得すべきは得点力のある選手だと私は考えている』」
「……はい」
「『だが昨今、組織的な戦術が進化するフットボールに於いて、個人の得点力が飛び抜けている選手というのは多くない。その特性の現役のプロは既に囲まれている。故に、若手へと賭けるのが一つの道だと私は思う』」
そこまで丁寧に一つ一つ要素を挙げられれば、流石に駆も察してしまう。
得点力のある若手選手。またレアル・マドリードの監督がこの場にいるという事実そのものが、説得力を増していた。
つまり。
「『カケル・アイザワ。来年のシーズンから、レアル・マドリードは君との契約を結びたいと思っている』」
若干15歳。来年のシーズンでの年齢で考えるにしても16〜17歳の日本の少年に対する、オファーだ。
本来であれば代理人を介してするべき交渉。ましてやギダン監督が直接その場に赴く必要すらない。だが現役のプロですらなく、クラブのユースチームに属している訳でもない高校部活生を誘うからこその、直接交渉。
あり得ない。
だが現実として、フットボールの世界を夢見る少年にとってはこれ以上ない栄誉とも言えるオファーが行われている。
非常に魅力的だ。直ぐにでも飛びつきたいだろう。
だがそれに伴う問題がある。
「幾つか、質問してもいいでしょうか?」
「『どうぞ』」
「18歳未満の海外選手との契約は、FIFAの定めた規約へと違反する行為です。その辺りはどう考えているのでしょうか?」
FIFA───国際サッカー連盟の通称。
駆の言葉通り、FIFAは18歳未満の海外選手との契約を原則禁止と定めている。そこに例外はなく、籍を有する国とは別の国のクラブチームで18歳未満の選手が契約した事例は存在しない。
将来18歳を迎えてからレアル・マドリードへの加入を確定させる為、まずは下部組織へと入団してほしい。そんな意味であれば駆もこんな質問をする必要はなかった。だがギダンが提示したのはあくまでも来年のシーズン。16〜17歳の期間だ。
明確な違反となる。それについてを問えば、ギダンは薄ら笑いを浮かべながら言い放つ。
「『FIFAが定めているのは、18歳未満の“海外選手との契約”を禁じる事だ』」
「……、ぁ、と……ぼ、僕にスペインでの10年在籍の記録はありませんが」
海外選手との契約。そこを強調した物言いに、まさかとは思いながらも駆は直接表現はせずにその言葉を発する。
合法的に10年以上スペイン領土で居住すれば、海外の人間でもスペインの国籍を取得する権利が与えられる。年数はあくまでも最低限ではあるが。
近年、海外のリーグでは高校年代である16歳から活躍する選手が出てきた。それらの選手はあくまでも、そのリーグを開催する国の籍を持っているからこその判定だ。
駆の“記憶”でも、日本の国籍を有しているからこそ16歳からJ2クラブチームのインパルスとの契約を結べた。
つまるところ。
そのリーグを開催する国の国籍を有していれば、18歳未満でも契約を結ぶことは可能。
【18歳未満の海外選手】ではなく、【18歳未満の国内選手】ならば規約に反してはいないのだ。
だが当然、日本生まれ日本育ちの駆は海外国籍を取得する条件など満たしていない。
困惑する彼に、ギダンは薄ら笑いを絶えず続けて淡々と言葉を発し続けた。
「『選手やクラブの人間にとって、フットボールはビジネスだ。だがそれを見るファンにとって、フットボールはあくまでもエンターテイメントの一つに過ぎない』」
その言葉は事実だ。
ゲームや本、ブランド物の購入やスポーツ観戦。その多くは趣味や娯楽でしかない。
「『故に、面白ければ納得する。FIFAは突いてくるだろうがね。その辺りはこちらで何とかするさ』」
「来年のシーズンからっていうのは……」
「『国籍取得の早期実現とは言え、プロとして実績のない海外選手にそれを与えるのは国も納得しない。君の動向を確認する期間とも言える。まあ来季のシーズンすら落としたら私が監督でいられる保証は無いがね。この話が無かった事になる可能性もある』」
話を要約すれば、レアル・マドリードは逢沢 駆がスペイン国籍を取得する事に全力でバックアップする。故にその間に国を納得させる程の動きを見せてみろ───と、つまりはそういう事だ。
高校部活動の大会は然程実績にはならないだろう。ここで言う動きとは、世代別代表やレアルの公開練習への参加期間の事を指している。
無論、駆が継続して実績を残せる選手でなければこの話は切られるし、監督が変わればレアルのオーナーからこの話を抹消されるだろうが。
「『かなりグレーゾーンに入り込む話だ。君が慎重になるのも分かる。だが安心してくれ。仮に違反として捉えられようとも、この件に関する全責任は話を進めた私にある。契約書にもそう明記しよう』」
「…………」
責任───とは言っても、実績までもを塗り替えられる訳では無い。仮にレアルとの契約が出来たとして、そのシーズンの功績が悪くても、それはあくまでも駆自身の功績であり駆自身の価値でしかない。
ギダンの言う責任とは、あくまでもグレーゾーンに片足を突っ込む責任だ。今後のサッカーキャリアを決定する人生最大の博打を打つ責任は他ならない駆にある。
(レアル・マドリードという、タイトルを幾つも獲得しているビッグクラブからそこまでして貰える現実。
既にドイツリーグのブンデスでトップに昇格を果たしたカール・フォン・ゼッケンドルフを打ち破ってハットトリックを果たした事実はあまりにも大きい。カールは年齢問題、及び欧州5大リーグの一員というのもあって勧誘はしていないが、18歳を超えたらオファーを出したい1人でもあった。
故に動向のチェックは怠らず、その能力の分析もしている。だからこそそれを超える得点力には目を見張ってしまうのだ。
規約問題スレスレを通ってでも、下部組織への入団をすっ飛ばしてでも、早期に獲得すべきだと踏んだ。
そうして交渉に出たギダンの判断に、駆はどう答えるか。
長い沈黙。息が詰まりそうな空気の中で、駆は目を瞑り、机の下で手を合わせるルーティンを行う。息を吐き出し、ハッキリとした顔で返答した。
「是非、話を受けさせて頂きたいと思います」
「『───その答えを聞けて嬉しいよ』」
「ただ一つ」
レアル・マドリードへの入団を決定づける契約書を現時点で結ぶ事は出来ないが、今回の話に賛成的であるという表明を示すための同意書に記入する事は出来る。これにギダンの名前を書き込む事で、彼が監督でいる間は今回の話を無くすつもりはないという意思表示になるのだ。
その用紙を取り出そうとするギダンを止め、駆は言葉を続けた。
「スペイン国籍を取得できたとしても、僕はスペイン代表になるつもりはありません。18歳になった時点で二重国籍を取り消して代表資格を日本に指定するつもりです。それでも宜しければ、先ほどの話を受けようと思います」
「『────なに?』」
通訳を通して聞いた駆の言葉に、浮かべていた笑みを消してギダンはその言葉を溢す。
スペイン代表の話など先程まで出ていなかったから───などではない。
アスリートが別国にて、国籍の早期取得を支援される行為の前提には、
サッカーに限った話ではなく、スポーツ選手が海外国籍を取得する理由は、その国の代表資格を手にする為というのが大きい。選手個人の思想と国への貢献を合わせ、お互いにメリットがあるからこその判断。
U-17W杯に於ける優勝国は日本ではあるものの、依然としてフル代表の強さはスペインの方が上だ。W杯の優勝経験もあるし、サッカー後進国と呼ばれる日本で挑むよりも良い功績を残せるに違いない。
スペイン代表としての出場権利を得れる事、レアル・マドリードへと18歳未満での早期入団が出来ること。明らかに好条件。メリットの抱き合わせ。日本という小さな国の人間からすれば受ける以外の選択肢はない。
「僕は日本代表として、日本へとW杯のトロフィーを持ち帰るのが夢の一つですから」
───だが、あくまでも生まれ育った地での代表資格を優先する場合、二重国籍はデメリットにしかならない。
また、スペイン代表へとならないにしても、態々この場で言い放つ必要もないのだ。この場で通した話にスペイン代表の件は含まれていない。あくまでも暗黙の了解の範囲でしかなく、レアル・マドリードとの契約を受けてから正式な代表資格を日本に選択すればいいだけだ。
故に敢えてこの場で宣言する事には意味がある。
即ち、「自分は早期入団する事に拘りはない」という事だ。その国の代表になる事を確定するからこそ、アスリートは国籍取得の早期実現を認められる。それをするつもりがないという公言は前文の意味に他ならない。
そうなると困るのはレアル側。
駆にはスペイン代表になる意思はない。早期入団に拘るつもりもない。契約を受ける側がメリットになると思われた想定は覆され、ともすれば駆の早期入団を望むのは
元よりグレーゾーンに脚を突っ込む行為の上、その理由が片側にしか発生していない以上、オファーを受ける側が条件提示するというのは当然の権利だ。
プロ契約はお互いが合意の上で成り立つ。
駆は“記憶”の中であれよこれよと流され代理人が付くことを許容し、流されるがままに湘南ブルーインパルスへと特別指定選手枠で入団してしまっていた。故に代理人関連、プロ契約については慎重に判断すると決めている。
まさかレアルの監督から直接交渉をされるとは思ってもみなかったが、セブンが国籍問題で苦悩していた事を知っている為、日本代表の資格だけは手放すつもりはないと確固たる意志を持って宣言した。
「『スペイン全体としては利が発生しないのを理解した上で、それでもレアル・マドリードが欲するというのであれば、オファーを受けると。つまりはそういう事か』」
「はい。無茶な要求だとは自覚していますが、日本代表だけは譲れない部分です」
背筋に冷たいモノが垂れ落ちる。
取り繕ってはいても、相手は世界有数のビッグクラブ。現役時代にも偉業を重ねたレジェンドであり、現レアル・マドリードの監督だ。
そんな相手にふっかけて、平静を保てる筈もない。
静寂の中で動く時計の針の音が刺す様に痛い。冷や汗の滴る部位は凍る様な冷たさを感じる。
時間の感覚が狂いそうになる。1分か、2分か。たった数秒程度かもしれない。永遠に感じる程の刻が過ぎ、ギダンは口を開いた。
「『───良いだろう』」
普通に考えれば、レアル・マドリード側はこれ以上ない程の好条件でオファーを出している。それで受諾しなかった時点で破談したと判断してもおかしくないし、駆はこれでレアル加入への道が断たれる事も覚悟していた。
だが、レアルが───ギダンが得点力のある人物を早急に欲しているというのは紛れもない事実。
レアル・マドリードは前シーズンにて数年に渡りチームを支えた大エースが移籍してしまっている。その影響は強く、今季のリーグは2位がほぼ決定している状態だ。
何度かのリーグ優勝、またCLやカップ戦での功績も相まって早々に解雇される心配はない。だが2年連続でリーグを落とせば立場は危うくなるし、ギダンはそうなる可能性が非常に高いと思っている。
故に駆は早急に獲得しておきたい。
無論、既に実績を残している得点力の高い人物を獲得する道もあるし、そっちの方が良い結果を残せる確率は高いのだが。そうなると契約解除金や年俸等で資金が大きく動いてしまうだろう。そうまでして獲得した選手が活躍出来ないという事例も少なくはない。
それらの可能性を考えれば、市場価値がついていない選手を安くオファーする方がリスクは低い。賭けとなるが、15歳ながらU-17W杯で得点王へと輝いた実績を考えれば、将来性は十二分に高いだろう。
「『確約は出来ないが、君の要求通りスペイン代表の資格を得るつもりはないという前提でこの話を進めてみよう』」
「……良いんですか?」
「『確約は出来ないが、な』」
ほっと一息。
「『君を早期獲得する理由には、私が来年のシーズン以降で解雇される可能性を考慮してだ。仮に国籍獲得が上手くいかなくとも、君が18歳を迎えた時に私がレアルの監督を務めて居られれば、オファーを出すという事も付随して伝えておこう』」
「僕の印象、かなり悪くなったと思ったんですが……」
「『寧ろ逆だな。一周回って君の評価を上方修正する事になった。自身の意志をハッキリと伝えている点は素晴らしいと思う』」
「……一周する経過地点だと悪くなってる事になりません?」
「『む、そうか? ……そうだな、そうかもしれん。この言葉選びは適切ではなかったか。ははは』」
本当に誤った言い回しだったのか。意図して出した皮肉を指摘されたからこその流し笑いではないかと、駆はそんな可能性を頭に過らせながら苦笑する。
「『さて、話は以上になる。先ほどの内容での同意書は残念ながら用意していないのでね。また改めて、練習参加の時に呼び出させて貰うよ』」
「分かりました。……えっと、ギダン監督。この後って時間に余裕があったりしますか?」
「『うん? この後は折角だからね。日本の観光をして、明後日の便でスペインに帰るつもりだ。観光も別に急ぎではないから時間は有り余っているが』」
「実はこの後、僕の所属するクラブで練習試合を行うんです。学生の試合なので見応えがあるとは断言出来ませんが……どうでしょうか?」
「『───ほう。なるほど、君が育ったクラブチームの試合か。君という存在は例外にしても、意外な発掘があるかもしれんな。ぜひ見させて貰うとしよう。案内して貰えるかな?』」
「重役出勤とはお偉い気分だな、駆よぉ」
チンピラの様に絡んでくる一つ上の少年───駆と同じくU-17W杯にて優勝の一翼を担ったMF選手、荒木 竜一に対して、駆はサプライズを用意したかの様なこれまた意地悪な笑顔を浮かべながら言い放つ。
「大事な話が被っちゃったんですよ」
「マジな重役出勤なのかよ」
「で、その延長線上なんですけど。荒木さん、スタンド見て貰えます?」
「あん? ……気のせいか駆。何故かレアルの監督らしき人物が見えるんだが」
「ギダン監督本人です」
「マジか。ああそうか、お前の練習参加の……」
「クラシコの乱闘騒ぎでレッドカード貰ってベンチ入り禁止の処罰を受けたので、観光ついでにとの事です」
だいぶ端折った上に混ぜた感じの説明だが、概ね合ってはいる。というかレアルの監督が居る事実そのものが衝撃で理由などどうでもいいだろう。
荒木が引き攣った笑みを浮かべているのを見て、駆は言葉を続けた。
「それで練習試合の観戦に誘ったら『意外な発掘があるかもしれない』とかなり乗り気だったので、アピールチャンスですよ」
「レアルにアピール……!」
まあ注目は駆が育ったチーム、つまり鎌学の方に向いて居たのだが。良い選手がいればどちらのチームであれ興味を持つのは間違い無いだろう。
自身がレアルに入った時の妄想でもしているのか、トリップ状態へと陥った荒木は放っておき、駆は江ノ島側でストレッチをしている少年に話しかけた。
「久しぶり、日比野」
「おう」
日比野───駆の小学生の頃のチームメイトであり、駆が中学2年の途中までシュート時のトラウマを抱える事になった、怪我をさせてしまった相手。
既に総体の県内予選で出場していたから知ってはいたものの、“記憶”とは違って選択した高校は江ノ島だったらしい。
「なんか随分遠くに行っちまった感覚だぜ。今やU-17W杯の得点王だもんな」
「そう?」
「ああ。美島もなでしこジャパン、傑さんもU-17W杯のMVPだ。あの頃のチームメイトがって感慨深いものを覚えると同時に、置いてかれていると思っちまう部分がある。けど、直ぐに追いつくぜ。残念ながら今日はスタメンじゃないが、なんとか出して貰えるように岩城監督にも頼んでるんだ」
日比野は柔軟を終えて立ち上がり、駆の方を向いて穏やかな笑顔で言葉を紡ぐ。
「それと安心した。お前が俺の事をもう引きずってないみたいだからさ」
「別に忘れた訳じゃないよ」
「分かってる。U-17決勝のインタビューは俺も見たからな」
「……変に気を遣って欲しくない気持ちは、なんとなく分かるからさ。日比野が今サッカーを続けてる。それが答えだと思った」
「ああ、それでいい。あの件はどっちも悪くなかった。恨んじゃいないし、謝ってほしい訳でもない。俺はただお前と本気のサッカーがしたいだけだ」
「じゃあ、今日はそれに全力で応えるよ」
「おう」
───荒木に、日比野。そして此方は“記憶”と同じく、学力不足で合格を得れずに進学できず他校へと入学した中塚 公太。“記憶”ではなく、今の自分自身が関わった事のある友人達との会話を経て、駆はアップへと集中する。
その間に感じる江ノ島からの視線の数々に、明確な“記憶”との違いを感じながら、駆は一つ試したい事を頭に浮かべて薄く笑う。
アップを終えて、それぞれがベンチに移動。監督からの指示とフォーメーションの最終チェックが完了し、スタート時のポジションを取ろうと移動する最中。駆は佐伯へと話しかける。
「祐介、一つやりたい事があるんだけど───」
「……俺は構わないが、珍しいな。お前がそんな事やろうとするのは」
「そうかな?」
「寧ろ初めてだろ。傑さんの時はあくまでも周りに使える選手がいる中での1対1をやってるだけだし」
佐伯は珍しいものを見たと笑いつつ、了承して自身のポジション位置へと移動する。
各選手の準備が整い、審判は笛を鳴らして開始の合図を出した。鎌学ボールからのスタートだ。
駆がキックオフで佐伯に預けると同時に前へと走る。ボールホルダーの佐伯にプレスを仕掛けるのは右ウィングにいる小柄な選手───的場だった。
佐伯は1歩横にズラし、即座に駆へと預ける。
(! もう駆に預けるのか。傑が居る時の鎌学とは違うスタートだな。アイツを中心に高速ポゼッションが目的か?)
「高瀬、プレス頼む!」
江ノ島で最高の長身を持つ1年生、高瀬は指示通りに駆へとプレス。駆を先頭にトライアングルを作る形で2人のフォローが入るのを見て、やはりポゼッションかと荒木は想定。
───だがその想定は、容易くひっくり返る事になる。
「……!」
「えっ」
駆はトライアングルの一角へと身体を向けるようにボールをコントロール。アウトサイドに置かれたボールへと高瀬が詰め寄れば、下を見ながら精密にボールを扱い即座に切り返して股抜きで彼を容易に躱した。
(……仕掛けられそうな所は自分で仕掛けるつもりか? アイツはドリブラーじゃない。けど眼は良いからな。高瀬が初心者なの見抜かれて、自分で躱した方が早いと判断したか)
「高瀬、プレスバック! フォロー頼む、織田!」
「ああ!」
荒木はそう判断し、駆に周りを使うように仕向けるため2人に近付けさせる。1対1ならばボールキープを選択して味方の人数を増やしてからパスを出す選択もあっただろうが、2人相手ならばそこまでの余裕は流石にない。
早めの選択をさせる事で選択肢を潰す。思考する時間を少なくすれば、それだけ動きも読み易くなるだろう。
(コイツがU-17W杯で自ら仕掛ける回数が少ない理由が分かった。
駆の前に立ち塞がる織田がそう分析を済ませると、無理に近づく事はせずに一定の距離をキープ。時間を掛ければその分ボールコントロールに不安を覚える事になる。視線をボールへと誘導させる。
そうすれば織田の動きへの注意が散漫になるし、彼の視線の先にボールがあるのは明白。
(よし、ここ!)
「……!? 違う織田、視線に釣られるな!」
「な───消え……ッ!?」
駆がボールへと視線を向けると同時に、激しくプレスを仕掛ける。そのタイミングと駆の動作を見て察した荒木が声を上げると同時に、織田の視界からはボールが消えていた。
駆は薄く笑みを浮かべながら、織田を抜き去ってボールを確保し、ドリブルを続ける。
駆のドリブル時に下を見る癖は、既に直っている。だが駆は自ら積極的にドリブルを仕掛ける回数は少ないし、精々がゴール前での行動だ。その辺りの情報が少ないのは客観的に見て知っている。
だから敢えて、高瀬を躱す際に露骨に下を見た。一度の観察で織田がそれを見抜いた事は“記憶”で知っている。確実に読んでくる保証は無かったが、いずれにせよ迂闊に近づいた時点で【φトリック】の餌食だ。視線誘導も読み通り行えて、完璧な形でそれを発揮出来た。織田からすればボールが消えたと錯覚しただろう。
(ドリブラーじゃない、が。今の時点じゃもう希望的観測だ。ドリブルでぶち抜いて来る想定で対応した方が良い。……クソ、周りも淀みねぇな。駆単独の暴走って訳じゃないのか)
「マコ、サイドのマーク頼む!」
パスの選択肢を減らしつつ、自身が駆の対応に専念する為に周りへと指示を出す。
駆へと追いつき、じっくりと観察。
「織田、挟むぞ!」
(流石に俺相手に速攻の仕掛けはねぇか。溜めて出す───のが現実的だが、今までの行動からして抜いて来るのを最優先に考えるべき)
荒木はある程度、駆がどんな
駆は荒木と向かい合い、その集中力で動きを捉えている。一瞬、その視線はサイドへと流れた。
(パス───いやコイツから目を離す、と……、……!?)
パスを意識させる視線誘導。荒木は微かに釣られるが、ほんの一瞬だ。即座に視線を前へと合わせ、【φトリック】を仕掛けられたとしても「消えた」と思った瞬間に対処へと動けるように重心は後ろへと下げていた。
だが消えたのはボールだけではなく───駆の姿そのもの。
(は、や……ッ)
正確には、消えたと思える程の速さだ。ブレる姿は視界の端で捉えており、そこから駆の取った選択を理解する。
(───左脚の加速、それも身体を最大限に沈めて視線の移動に合わせやがった!)
荒木視点で考えると、自らは左サイドへと視線を誘導された。普通であれば視野の確保という僅かな瞬間でしかないが、駆はその一瞬の動きを見逃さずに右側に重心を傾ける。そして左膝の柔らかさを存分に発揮して身体を深く沈め、爆発的に加速。
ほんの少しでも視野から外れ、それだけの速度が発揮されたともなれば、目の前から人が消えたと錯覚してしまうだろう。
(意識はしてた、左脚の加速も頭には入れていた! けど、後ろから見てるのと体感じゃここまで違うのか……! クソッ!)
「すまん海王寺、フォロー頼む!」
読み合い、ボールコントロール。本職がトップ下にせよ、荒木のDF時の能力は決して侮れない。駆のドリブル能力ではほぼ確実に獲られる。
故にほんの僅かな駆け引きをして、速さのゴリ押し。左脚の加速を使っての単純なよーいどんともなると、予めドリブルコースを封殺していない限りは荒木でも対応できない。
荒木を含めての3人抜き。ペナルティ・エリアはすぐ近くだ。ここまで来れば間違いなく単独突破を狙ってると判断して良い。
最終ラインはもう気にせずに荒木はDFである海王寺へ飛び出すように指示を出した。
しかし、駆の本領はゴール前。ここまで辿り着いた時の駆の直感は、
左脚のアウトサイドでボールを横に押し出しシュートコースを確保。ペナルティエリアの僅かに外だが、フリーで撃たせた時の脅威は知っている。左脚ともなれば『超速の振り』も使える。その対処法は予め教えられており、駆が左側にボールを置いた瞬間に海王寺はスライディングでシュートブロックに滑り込んだ。
(荒木さんから当然、伝わってるよな)
駆がそのまま『超速の振り』で蹴ればシュートブロックに阻まれていただろう。左脚に置いた時点でそれに狙いを絞っていたのは間違いない。
荒木がいれば対処法は伝わっていると駆は推測を立てており、故にこそそれを囮にした。
振りを緩め、足先で自分の頭ほどの高さまでボールを掬い上げる。ループシュートではなく、あくまでキックフェイントでボールを浮かした海王寺を躱しただけだ。
「殺す殺す殺す───っ!」
ボールが離れれば【スナイパー】が確実に奪いにくる。もう1人のDFである堀川の素早いフォロー。
だが彼らのDFに幾度となく助けられた“記憶”があるからこそ、そうしてくると分かっていた。だからこそ頭の高さにまでボールを上げたのだから。
安易に足下でコントロールを試みれば正確なスライディングでカットされる。だが高いボールになれば競り合いで勝つしかない。
駆視点、左側から堀川が来ているのは視野に入れていた。ボールと堀川の直線上を自らの身体で塞ぎ、ボディブロックでボールをキープする。
海王寺が相手であれば幾ら“記憶”より鍛えていても競り合いに負ける可能性は高かった。だが小柄な堀川のフィジカル相手ならば駆でも十分に張り合う事が出来る。
ボールを右側へ。
ペナルティ・エリアのライン上。5人抜きを果たし、駆はシュート体勢へと入る。
(───ホイップキックはキーパーの動きを読んで軌道修正するシュート)
近い将来、韓国の名門クラブでプロになるGK。李 秋俊。
彼は岩城から貰った駆の試合データを受け取っており、右脚となれば『ホイップキック』一択となる事を把握している。その特性もだ。
(一度早めの段階でオレの動きを読ませ、軌道修正不可能のタイミングで飛べば……ッ!)
駆は右脚を大きく振りかぶる。
その視線は李の動きを捉え、重心の傾きから移動方向を把握。それとは逆方向へとボールを飛ばす為に脚をムチのようにしならせ、蹴り放った。
「!」
駆は脚を振り抜いた直後、微かに驚きを孕んだ表情を溢す。ホイップキックの事も当然知られているとは思っていたが、江ノ島にこの蹴り方を実践出来る選手はいない筈だ。
ともすれば対処はぶっつけ本番。ただタイミングが早いだけの『超速の振り』とは違い、コース変動するホイップキックのタイミングへと合わせるのは、分かっていても難しい。それを初体験で合わせてきたのだ。驚きもする。
(よし、触れ───)
だが驚きはあくまでもそこまでだ。
駆は、このシュートが決まるのを確信していた。
「……───ッ!!?」
駆のホイップキックはただ軌道修正をするだけではない。モーションの大きさと体重を乗せて放つ特性故に、その威力は凄まじいものとなる。
伸びるかの様なシュートは目算を狂わせ、触れたとしても威力が相まって『重い』と感じるボールと化す。
誘導で微かに飛ぶタイミングがズレた上にシュートコースは際どい。キーパーとの1対1ともなれば無類の強さを発揮する。
指先が触れただけでは、弾く事は叶わない。指を押し除けて突き進むボールはネットを強烈に刺す。
(ご、5人抜きでそのまま決めんのかよ)
(これが、U-17W杯得点王……ッ)
ネットを伝って落ちていき、ボールはゴールの内側を転がっていく。
勢いが沈んで静止したボールから視線を切る。
ゆっくりと後ろを振り返り、そこにいる人物へ向けて口を開き、言い放った。
「まずは一点です、荒木さん」
「こんにゃろ……」
契約関連の話の理解が面倒な人の為の簡易的なやりとり↓
ギダン監督「スペイン国籍与えるから代表権利とレアルでの国内選手枠の契約するで」
駆くん「スペイン代表資格はいらんよ」
ギダン監督「ふぁ!? それないとレアルとの契約無理やで!?」
駆くん「別にええよ」
ギダン監督「うーん、しゃーないからそれ無しでもレアル契約出来るようにしたるわ」
だいたいこんな感じ。
色々調べた感じ、EU加盟国内の選手がEU加盟国でのクラブチームへと移籍する場合は条件付きで16歳以上〜18歳未満の契約が可能になるそうですが、駆くんには関係なし。
またこれは注意喚起ですが、本作に於けるFIFA規約関連……というか主には国籍取得の話。此方は相当に緩くなってます。なので今回のやりとりも抜け道云々とかではなく本来であれば不可能なやり方です。アスリートが代表権利獲得のために国籍取得の早期実現が行われた事例は存在するものの、こんな条件で通る事はあり得ません。
なので本作に於けるやり取りは、現実で考えると『間違った知識』となります。これらの件は決して真に受けない様にして下さい