【短編集】未熟姫とトレーナー   作:ほいさ

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カワカミプリンセスがプリファイショーに向けて奮闘する話です。長文になってしまいましたが、ゆっくりとご覧ください。
主な登場人物:カワカミプリンセス、トレーナー、キングヘイロー


姫、プリファイになる

『ハッハッハッハ~!俺は常闇帝国幹部、タートル!プリファイよ!今日が滅びの時だ!ハーッハッハッハ!!!』

 

「させません!愛と勇気がこの拳にある限り!プリファイは負けませんわ!」

 

やや手狭なステージ上で対峙するピンク色のプリファイとデカい亀。周囲から「頑張れ!」「負けるなプリファイ!」「私達がついてます!」などのかん高い熱声援が二人を包む。タートルの後ろにはおびえながら震える二人の戦闘員たち。さらにその後ろには三人の戦闘員が気絶したまま放置されている。

 

どうしてこうなった。

 

タートルの着ぐるみに身を包むトレーナーは暑さによる汗と冷や汗で朦朧としながらことの経緯を振り返った。

 

 

 

 

時は遡り一ヶ月程前。

 

トレセン学園生徒会室にて、生徒会役員達は会議を行っていた。議題はオープンキャンパスについて。トレセン学園では定期的にオープンキャンパスを実施している。普段は来年度からトレセン学園に入学するウマ娘向けであるが、今回のオープンキャンパスはまだ学校に通っていない子供向けのものである。

 

「さて、今回で2度目の開催となる子供向けオープンキャンパスだが…」

 

生徒会長シンボリルドルフは重々しくゆっくりとした口調で生徒会メンバーに語りかける。

 

「正直に言おう。去年は失敗だった」

 

苦々しい表情を浮かべながらそう告げた。生徒会室に沈黙が流れる。

昨年度のオープンキャンパスにおいて、彼女たちはあることを失念していた。それは『子供ウケ』である。

 

まだレースの面白さを理解していない、見たことがない子供達が多くいた。そのため、シンボリルドルフが登場しても全く盛り上がらず、「このお姉ちゃん、だあれ?」などと聞かれる始末であった。結果、シンボリルドルフたちが企画したレースの素晴らしさを伝える催し物に子供たちはほとんど興味を示さず、寝る、喋る、暴れるなどやりたい放題になってしまった。

 

「ですが会長」

 

沈黙を打ち破る凛々しく品のある声が上がった。声の主は副会長エアグルーヴだ。

 

「昨年度はURA側が急にこちらへ要請してきたものですから、準備もままなりませんでしたし仕方がなかった思われます」

 

「確かにそうだ。そこで今年は子供受けするにはどうすれば良いか、日々議論を重ねた。が、知っての通り未だに我々は答えを出せていない」

 

「………」

 

「さて、どうしたものか」

 

沈黙がその答えであった。

誰か、誰か!この沈黙を打ち破ってくれ!そんな思いを込めて視線を送るが誰も目を合わせようとしない。

 

その時、

 

「バギィ!」

 

破砕音が響いた。

 

生徒会一同は一斉に音源に目を向ける。

そこにあったのは開かれた扉、そして、

 

「…何をしにきた?カワカミ」

 

栗毛長髪のウマ娘、カワカミプリンセスであった。右手にはドアノブが握られている。

 

「ええと、合宿の許可をもらいに来たのですが…何か問題がありまして?」

 

一同一斉にカワカミプリンセスの右手に指を指した。

カワカミプリンセスは疑問に思いつつ、頭を下げて己の右手を確認。確認後、青ざめた表情で恐る恐る顔を上げる。

 

「み、みぎゃぁぁぁああああ!!!やっちまいましたわあぁぁあ!!!」

 

「…一応聞いておこう。どうしてこうなった?」

 

コツコツコツと冷たさを感じる足音を立てながら、エアグルーヴはカワカミプリンセスに近づいていく。

 

「その、ドアノブがちょーっと固かったので、ちょーっと力を入れて回したらねじ切れてしまいまして…よくありますでしょう?」

 

「確かによくあることだな。お前だけなら」

 

「うっ……」

 

「今月でもう8回目の物損だぞ」

 

「8回(はっかい)も破壊(はかい)してしまいました…なーんちゃって…」

 

ぷぐっぐぐぐ、ぐふっ!という背中から聞こえてくる笑い声をエアグルーヴは無視した。

 

「少しは反省しろ!」

 

「ひいいいぃぃぃいい!す”み”ま”せ”ん”~~~」

 

「鍵をかけていたのだから固いのは当たり前だろ!そもそもノックくらいできないのかお前は!」

 

「そ、そのですね~皆様真剣に会議しておられたので、ノック音で邪魔するわけにもいかないと思いまして。それでこそーっとドアを開けて入ろうとして……」

 

「壊れたと」

 

「はい……」

 

そもそも許可証にサインする際会議を中断させてしまうことになるのでどちらにしろ邪魔になる結果となったのだが、エアグルーヴは言うのも面倒になりあえて言わなかった。

 

「はあ、もういいから書類をよこせ」

 

「は、はい何度も何度も申し訳ありませんわ…」

 

カワカミプリンセスから書類を受け取ったエアグルーヴは歩きながらざっと内容を確認。不備はないと判断し、シンボリルドルフに手渡す。

 

「ふむ。内容に問題はないようだね」

 

シンボリルドルフは書類を確認し、ペンを取り書類にサインをした。

 

「あ、ありがとうございます!感謝感激雨あられですわ!」

 

「かまわないよ。これも仕事さ。だがまだ問題が残っている。ドアノブ破壊の件だ」

 

「べ、弁償いたしますわ!」

 

「いやいや、特段高いものではないし気にしなくて構わない。その代わり1つアイディアが欲しいのだが」

 

「アイディア…ですの?」

 

「そう」

 

シンボリルドルフは己の背後にあるホワイトボードを指さす。そのホワイトボードには『子供心を掴むには?』という議題が書かれていた。

 

「オープンキャンパスに来る幼子の心を掴み、レースの魅力を伝えたい。何かいい案はないだろうか?」

 

「子供心を掴む、つまり子供を夢中にさせるものがあればよいのですね?」

 

「ああ」

 

「それなら簡単ですわ!!!」

 

先ほどの落ち込み具合とは打って変わって自信満々に答えるカワカミプリンセス。

 

「プリファイは子供心を鷲掴みにして離しませんわ!!あれを見れば誰だって虜になってしまいますわ!間違いないですわ!」

 

「……参考までに聞くがそれはどういうものだ?」

 

約1時間かけてカワカミプリンセスはプリファイの魅力を説明した。息継ぎなしのマシンガントークで身振り手振りをしながらわかりやすく、聞いている方が気疲れするほど熱く語った。

 

「「「「……」」」」

 

「どうですか!?素晴らしい作品でしょう!子供だけではなく大人も魅了してしまうのです!」

 

「……わかった。なるほど、子供心を掴むには最適な作品、というわけか」

 

カワカミプリンセスの話を一言一句正確に聞いていたシンボリルドルフではあるが、その顔には疲れ一つない。

 

「はい!」

 

「なるほど」

 

引き出しから書類を取り出し、サイン。そして2枚の書類を手にカワカミプリンセスの元へ近づく。

 

「これが合宿の書類だ。そしてもう1枚君に渡しておく」

 

カワカミプリンセスは新しく渡された書類に目を向ける。そこにはこう書いてあった。

 

 

第2回子供向けオープンキャンパス演出責任者:カワカミプリンセス及び専属トレーナー

 

 

「ではよろしく頼むよ」

 

「ま、任せてくださいまし!」

 

ドアノブを破壊してしまった後ろめたさもあり、カワカミプリンセスは引き受けることにした。もっとも本心はプリファイ布教のチャンスと捉えたからであったが。

 

 

 

 

「ってなことになりましたの」

 

「ふーん」

 

彼はカワカミプリンセス専属トレーナー。出張から帰って来た次の日、トレーナー室にてことの顛末を聞かされていた。

 

「で?何をするんだ?プリファイのアニメを流すのか?」

 

「いえ、それではただの鑑賞会になってしまいますわ!……それもいいかもしれませんね」

 

「趣旨をずらさない。オープンキャンパスなんだろ?」

 

「うっ……そ、その通りですわ……」

 

「で、何やるんだよ」

 

「ふふん、よくぞ聞いてくれました!実はもう考えてありますの!」

 

彼女は胸を張って答えた。その表情はどこか誇らしいものだった。

 

「プリファイのヒーローショーをやりますわ!!」

 

「…あー、うん何となく予想はついていたが…。プリファイは特撮じゃなくアニメだろ?」

 

「プリファイの着ぐるみやコスプレをしてのショーは頻繁に行われていますのよ。ほらこのように」

 

カワカミプリンセスはスマホで撮影した画像をトレーナーに見せる。そこにはプリファイのコスプレをした人と共に拳を上に突き出しているカワカミプリンセスの姿があった。

 

「…いつの間に」

 

「可能な限り参加していますの。もちろんトレーニングとレースが第一ですわ!」

 

「それはよかった」

 

「にしてはトレーナーさん、反応がうっすいですわね~。トレーナーさんもプリファイ好きですわよね?」

 

カワカミプリンセスに影響され、トレーナーはプリファイにはまっている。先週ようやく第5シリーズを見終えたばかりだ。

 

「確かにプリファイのアニメは好きだが、特撮はな~。アニメとかけ離れてて違和感がありそうなんだよ」

 

「そんなことはありませんわ。それはそれ、これはこれ。食らわず嫌いはいけないと思いますわよ」

 

「そんなものか?」

 

「こんなこともあろうかと!ジャーン!」

 

カワカミプリンセスは2枚のチケットを取り出した。そのチケットには『プリファイショー招待券』と書かれている。

 

「会長にお願いして用意しましたの!」

 

「…職権乱用じゃないのか?」

 

「違いますわ!あくまで仕事として視察に行くだけですわ!」

 

「……そうかい」

 

不満を漏らしつつもカワカミプリンセスには逆らえないトレーナーであった。

 

 

週末、プリファイショーを見るため、会場前にトレーナーは来ていた。時計を確認すると待ち合わせの10分前。

 

暇つぶしに周囲を観察してみる。周りにいるのは子供、そして引率する保護者だ。子供の方はキラキラとした目で興奮気味に親へチケットを握りしめながら話しており、親の方は「はいはいすごいのね」などと聞き流しているが、嫌な顔はしていない。

 

「……俺もあんな感じだったのかなぁ」

 

思わず独り言が出てしまう。俺が子供のころはデパートの屋上でたまにヒーローショーが行われており、チケットなんてものはなかった。内容は同じものの繰り返しで衣装もクタクタとしていたが、それでも自分は満足していたのだろう。

 

思い出に浸っていると、ドタバタドダドダと大きな足音がトレーナーへ近づいてきた。

 

「お待たせ致しましたわ!」

 

「いや、まだ時間あるから大丈夫だよ」

 

「さすがですわね!」

 

「ま、一応大人だからな」

 

「それにしても、意外と地味だな」

 

カワカミプリンセスは黒を基調にしたワンピースに茶色のカーディガンを着ていた。普段の彼女と比べるとかなり落ち着いた服装だ。

 

「今日の主役はプリファイですもの。目立ってはいけませんわ!」

 

「……」

 

「?どうしましたか、トレーナーさん?」

 

似合ってる。トレーナーは頭の中でその言葉を思い浮かべたが、

 

「入場が始まったな。さっさと席を取りにいくぞ」

 

スタスタと歩き出すトレーナー。

 

「え?大丈夫ですわよ。席は予約制ですので。って、待ってくださいまし!トレーナーさ〜ん!」

 

 

会場に入り、2人は席につく座席は後ろ側。会場内の様子がよく見える位置だ。ステージを中心として扇状に椅子が配置されており、段差を設けて見えやすくなっている。なんとなく既視感があったが、

 

「学園の講堂に似てますわね」

 

オープンキャンパスのショー会場は講堂だった。なるほどこれは参考になる。これを見越してこの会場・この座席を予約したのだろう。流石は我が校の名生徒会長シンボリルドルフだ。

 

まだショーは始まっておらず、ザワザワと観客たち、主に子供たちが騒いでいる。

 

「楽しみですわね」

 

「…そうだな」

 

ビーッ!!

 

「始まりますわ」

 

静かな声でカワカミプリンセスはそう告げた。

 

 

そのショーは夢の舞台だった。

 

初見はただのコスプレに見えたが、よく見ると細部まで作り込まれていて、クオリティーが高い。

また、演者も気合が入っているのがわかり、動きやセリフにもキレがある。そして何より楽しそうなのだ。

 

「……凄いな」

 

トレーナーは素直に感想を述べた。

 

「でしょう!あ!必殺技ですわ!!」

 

『プリファイ・スターダスト!!』

 

ステージ後方に設置されたスクリーンには星が映し出され、それを敵役たちが打ち砕く。そして敵に当たるタイミングで爆発音が鳴り、敵が倒れていく。その連携は完璧であり、見事なものだった。

 

その後も派手で見ごたえのあるアクションが続き、あっという間に時は過ぎていった。

 

『『『『『地球の平和は私たちが守る!』』』』』

 

最後の決め台詞でショーは終わり、拍手喝采の中カーテンコールが行われた。役者たちは笑顔で手を振りながら舞台袖へと消えていった。

 

「いかがでしたか?」

 

「…良かった。すごく良かった」

 

「ですわよね。トレーナーさん、最後の方では立ち上がって『プリファイ!』ってデッカイ声で叫んでいましたもの」

 

「おかげでもう喉ガラガラだ」

 

「私もですわ」

 

2人して笑い合う。

 

「にしても今のヒーローショーってこんなにレベルが高いんだな」

 

「日々ヒーローショーは進化しているのですわ!子供たちを笑顔にするために」

 

「…そうだな」

 

などと会話でまったりしてると、「はっ!」とカワカミプリンセスは何かに気づいたような声を出した。

 

「どうした?」

 

「忘れてましたわ!」

 

「何をだ」

 

「プリファイショーの後は握手会&サイン会ですのよ!」

 

ちらりと出口を見ると長蛇の列ができていた。

 

「…行くのか?俺は今すぐ寝たいのだが」

 

「そんな眠気はぶっ飛びますわよ!さぁ、行きましょうトレーナーさん!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

こうしてトレーナーは半ば引きずられるようにしてイベント会場へと向かった。

 

カワカミプリンセスは握手はせず、サインだけもらうことにしたようだ。

 

「わ、私のせいでプリファイの未来を壊すわけにはいぎまぜんもの…」

 

と涙と鼻水で顔をグチャグチャにしてはいたが。

 

そんな思いでもらったサインには、

 

『親愛なるカワカミプリンセス様へ』

 

とあった。どうやら常連という話は本当だったらしい。

 

 

会場から出て、すぐ近くのベンチで休むことにした。飲み物を飲みながら出す話題は当然、今回のようなプリファイショーをどのようにすれば開催できるかだ。

 

「セットは学園にある物で代用できるだろう。となると、問題は衣装か」

 

「コスプレ衣装なら通販サイトでも買えますわよ?」

 

カワカミプリンセスがトレーナーにスマホを見せてくる。そこにはコスプレ専門の通販サイトが表示されていた。

 

「ざっと衣装の値段を確認してみたが、この程度の値段なら予算が下りるだろう。どれにする?」

 

「どれもこれもプリファイを良く再現できていて選べませんわ!」

 

「んじゃー適当にこれにするか?」

 

「いえ、この衣装は肩の部分が少し違いますの。却下ですわ」

 

選べないとはいったい何だったのだろうか…。制作者へのリスペクトとこだわりは別問題ということなのだろう、とトレーナーは受け取った。

 

「う〜ん、むっずいですわね~。頭がパンパンしちゃいますわ~」

 

2人でスマホを見ながらあれでもないこれでもないと悩んでいると、

 

 

「おや、カワカミプリンセスさんとトレーナーさんじゃないですか」

 

 

聞いたことがある声が聞こえてきた。2人はスマホから顔を上げる。すると、そこにいたのは、

 

「どうもお久しぶりです。以前の収録では大変お世話になりました」

 

テレビ局のプロデューサーだった。スイープトウショウとの対談番組などを担当してくれた方だ。カワカミプリンセスの着飾らない姿に惚れ込んでおり、カワカミプリンセスの魅力を広げるための様々な企画を提案してくれた人物である。

 

「あ、どうも」

 

「こんにちはですわ」

 

こちらのあいさつに彼は笑顔で応えた。

 

「お2人とも何やら難しそうな顔をしてましたが、どうかしましたか?」

 

「実はですね……」

 

かくかくしかじかと事情を話す。

 

「なるほど、それでしたらちょうど良いものがありますよ?」

 

「「え?」」

 

「私が働くテレビ局はプリファイを放送していまして、プリファイショーの制作や監修も行なっているんです。シナリオの作成や舞台演出、そしてプリファイ衣装の作成をしています」

 

「「……」」

 

「プリファイショーで使っていた衣装が余っているんです。前シリーズの物ですので貸し出しも容易いですよ。よろしかったらお貸ししましょうか?」

 

カワカミプリンセスの目がキラリと光った。

 

「ぜひ!ぜひぜひぜひ!お願いしますわ!」

 

「分かりました。それでは後で局の方までお越しください」

 

「ありがとうございます!」

 

こうして思わぬ形でオープンキャンパスプリファイショーの開催に一歩近づいたのであった。

 

 

後日、プリファイの衣装が入る箱が届いた。

 

カワカミプリンセスは品名を確認するや否や

 

「フンヌゥッ!」

 

箱を引き裂こうとしたのでトレーナーは慌てて止めた。

 

「落ち着け、中身が傷つくだろ」

 

「そ、それもそうですわね!心臓バックバクのドッキドキでしたので」

 

「まずは落ち着け。はい、深呼吸」

 

「すぅ~~~~~~~~~」

 

カワカミプリンセスは箱から手を離し、深呼吸を始めた。その瞬間トレーナーはカッターを取り出し、迅速かつ丁寧に包装を解いて行く。

 

「……よし、開いたぞ」

 

「ふぅ~~~~~~~~~。あ!私が開けようと思っていましたのに!」

 

深呼吸を終えてもまだ落ち着かないカワカミプリンセスと共に箱の中身を確認する。ビニール袋で放送されたプリファイ衣装をカワカミプリンセスは取り出し、そのまま胸でギュウっと抱き締める。

 

「はぁ~ついに私、プリファイの姫になれますのね~!」

 

そのままクルリクルリと回り出す。トレーナーはそんなカワカミプリンセスを一望した後、ゴミに出すため箱に目を移すと、そこには一枚の手紙と厚さが薄めで手のひらより大きい本が何冊か入っていた。トレーナーはとりあえず手紙を読むことにした。

 

『親愛なるカワカミプリンセス様並びにトレーナー様へ

この度、ご要望のプリファイ衣装をお送りいたしました。

加えて、プリファイショーの台本を同封させていただきました。以前行われたプリファイショーの台本をカワカミプリンセス様向けに私がアレンジしたものです。

こちらは参考程度にお使い下さいませ。』

 

と書かれていた。本当にできるプロデューサーだ、頭が上がらない。感謝の気持ちを持ちながらトレーナーが手紙の末文を確認すると、追伸として、

 

『追伸:プリファイの衣装では足りないと判断しましたのでもう一つお送りいたします』

 

もう一つ?トレーナーが疑問に思っていると、

 

「宅急便でーす。お荷物お届けに参りました」

 

トレーナー室の入り口から声が聞こえてきた。どうやらまた何か届いたらしい。

 

「は〜い」

 

返事をしてドアを開けると、配達人とでかい箱が立っていた。箱の高さはトレーナーよりも少し高く、幅は広い。

 

「こちらにサインお願いしまーす」

 

「え?あ~はいはい」

 

戸惑いながらも受け取り印を押して、受領書を受け取る。

 

「ありがとうございます」

 

配達人が帰った後、受領書を確認する。送り主はあのプロデューサーだった。品名を確認しようとした。

 

「お待たせしましたわ〜」

 

そこへ、ようやく落ち着きを取り戻したカワカミプリンセスがやってきた。

 

「おぉ、来たか」

 

「はい、それで何が届いたんですの?」

 

「これだ」

 

トレーナーは箱を差し出した。

 

「え?なんですのこのでっけー箱は?」

 

「わからん。まあ、あのプロデューサーだから悪いものではないだろうが」

 

トレーナーが戸惑っていると、カワカミプリンセスは箱の前に立ち、

 

「セイヤッ!」

 

ドスッと指を箱に突き入れ、そのままビリビリバリバリと豪快に引き裂いていった。

 

「うお!?」

 

驚くトレーナーをよそにカワカミプリンセスは箱の中に入っていたものを引っ張り出していく。

中からは巨大な亀が出てきた。大きさは大人一人よりも一回り大きい。

 

「か、亀!?」

 

いきなり出てきた亀に驚くトレーナーだったが、

 

「大丈夫ですわ。動きませんもの」

 

カワカミプリンセスが箱から取り出した亀をよく確認すると、甲羅と本体の間に線が見えた。

あれはいったい?疑問に思いながらも今度こそ品名を確認する。そこには『品名:着ぐるみ』とあった。

 

「トレーナーさん、手紙が張り付いていましてよ」

 

カワカミプリンセスはは箱の底にあった封筒をベリッとはがし、トレーナーに渡した。トレーナーは封筒から手紙を取り出し、中身を読む。

 

『プリファイの衣装だけでは足りなかったので、怪人の衣装を送らせていただきました。是非ともお使いくださいませ』

 

「怪人の衣装ってわけか」

 

「でもおっかしいですわね~。プリファイにこんなゴッツイ亀の敵なんて出たことありませんわよ?」

 

疑問に思ったトレーナーは手紙の続きをカワカミプリンセスと共に読む。

 

『追伸:この亀の着ぐるみは作ってみたは良いものの、使いどころがなくて放置されていたものです。いくら壊しても大丈夫ですのでご自由にお使いください。』

 

「だってさ」

 

「…どうしてこちらを見ますの?」

 

壊してもいいのはありがたい。肉厚であり丈夫そうだ。

 

「これならカワカミのパワーを受け止められそうだな。よし試してみるか」

 

トレーナーは着ぐるみのファスナーを開け、カワカミプリンセスに手伝ってもらいながら着ていく。

着こみ終わり、トレーナーは立ち上がった。甲羅が重く、少しよろめいたが、すぐに体勢を立て直す。

 

「ふむ、なかなかいいじゃないか」

 

固そうな見かけによらず意外と動きやすい。これなら柔軟に動けるだろう。

 

ただ、問題があった。熱い、そして重いのだ。着ているだけで汗が噴き出てくる。また、本体の重さはさほどではないが、とにかく甲羅が重い。長くはもたない。短時間の勝負になるだろう、とトレーナーは一人考えた。

 

「よし、次に耐久テストだ。思いっきり打ち込んで来い、カワカミ」

 

トレーナーはクルリと後ろを向き、甲羅をカワカミプリンセスに突き出す。

 

「わかりましたわ!行きますわよ!」

 

カワカミプリンセスは助走をつけ、勢いよく飛び上がった。そして思いっきり頭を振り上げ、

 

「姫たるもの、勝利をこの手に!」

 

甲羅に頭突きをたたきつけた。ドゴォン!! 鈍く大きな音が響く。だが、甲羅は割れなかった。絶大なパワーを持つカワカミプリンセスの頭突きに耐えきったのだ。

 

「す、すっごぉぉいですわ!私の頭突きでブッ壊れなかったのは初めての経験ですわ!すっごいですわね!トレーナーさん!」

 

「……」

 

カワカミプリンセスはトレーナーに呼びかけたが反応はない。

 

「…トレーナーさん?」

 

ピクリとも動かないトレーナーのことが心配になったカワカミプリンセスは着ぐるみに近寄り、着ぐるみのファスナーを下げるとトレーナーの顔がひょっこりと出てきて、

 

「ウヴォォォゲログオオオォォ!!!!」

 

ゲロをぶちまけた。

 

「ギエェェェエエエ!ばっちいですわああぁぁぁあああ!!」

 

カワカミプリンセスはその顔面にパンチを叩き込む。トレーナーの口は砕け散り、無事にゲロは止まった。

 

 

 

 

「まったく、驚いたらすぐにパンチをするのはダメだと毎度言ってるだろ」

 

次の日、トレーナーはカワカミプリンセスに説教をかましていた。カワカミプリンセスのトレーナーの耐久力と再生力は半端ではなく強いため、傷は完全に癒えていた。

 

「俺じゃなかったら死んでたぞ」

 

「だってばっちかったんですもの…。トレーナーさんがいけませんのよ、私にゲロぶっかけてきたのですから」

 

「それは…まぁスマン。それより衣装の方はどうだ?一度着てみたほうがいいんじゃないか?」

 

「そうですわね。では早速着替えてみますわ」

 

「了解」

 

ドアを開け、トレーナーは外に出てドアをすぐに閉めた。かすかにだがガサゴソと衣擦れの音が聞こえる。

 

聞き続けるのは失礼だと思い、トレーナーは暇をつぶすため、ついでに軽く食事を済ませるために食堂へ向かうことにした。

 

 

食堂に着くとあまり人はいなかった。ほとんどのウマ娘たちはトレーニングに励む時間なので当たり前ではあるが。そこに1人ウマ娘が優雅にお茶をたしなんでいた。栗色でウェーブのかかった髪、あふれ出てくる優雅なたたずまいのウマ娘キングヘイローであった。

 

キングヘイローはトレーナーに気づき、声をかけてきた。

 

「あら、ごきげんよう」

 

「ごきげんようお嬢様。カワカミがいつもお世話になっています」

 

「何度も会話している仲なのだから今更かしこまらなくていいわよ。それで、今日はなぜここに?」

「ちょっと食事でもと思ってな」

 

「珍しいこともあるものね」

 

「まあ、もっぱらトレーナー室でカップ麺食ってるからなぁ」

 

「自分の健康をもっと大切になさいな。あなたが倒れて最も悲しむのはカワカミさんなのよ」

 

「了解。じゃあガッツリとカレーでも食べるか」

 

「サラダもお忘れなく」

 

トレーナーは注文スペースに向かい、おばちゃんにカレーを注文。作り置きしてあったので、カレーが出てきた。忘れずにサラダもトレーに入れる。

会計を済ませ、キングヘイローのテーブルに着き、食事を始める。

 

「あ~まともな食事なんていつぶりだろう…」

 

「そんなにひどい生活を送ってるの?」

 

「金がなくってなぁ。カワカミが壊した備品の修理費とかでほとんど消えちまってるんだ」

 

「辛いでしょうね」

 

「全然。カワカミのためなら何でもないさ」

 

「…はぁ、ならたまにはおごってあげるわよ」

 

「いいのか?」

 

「あの娘の涙を見たくはないもの」

 

キングヘイローは紅茶を一口飲み、ふぅっと息をつく。

 

「……ありがとう」

 

「どういたしまして。ところで今日はカワカミさんと一緒ではないのかしら?」

 

キングヘイローは辺りをキョロキョロと見回す。

 

「ああ、あいつは今衣装合わせ中だ」

 

「衣装?」

 

「オープンキャンパスのステージで着るプリファイの衣装だ」

 

「ああなるほど、子供ウケが良さそうね」

 

キングヘイローはカワカミプリンセスに付き合わされて何度かプリファイを観賞している。一見いやいやながら付き合っているようだが、夢中で画面に食いついているのをトレーナーは何度か目にしている。

 

「だろ?しかもプリファイショーで実際に使われた物を借りれたんだよ」

 

「ほぅ」

 

紅茶カップをソーサーに置き、トレーナーに向き直る。

 

「興味あるのか?」

 

「そうね…デザイナーの娘としては多少」

 

プリファイのファンとしてじゃないのか?とトレーナーは疑問に思ったが、口には出さなかった。

 

トレーナーはちらりと腕時計で時刻を確認し、

 

「そろそろ着替え終わってるだろう。キングヘイローも一緒に来るか?」

 

「えぇ、ぜひ。レース後の休養日で暇を持て余していたところよ」

 

2人は席を立ち、カワカミプリンセスの控え室へ向かった。

 

 

キングヘイローを連れたトレーナーはトレーナー室のドア前に立ちノックをした。が、返事はない。ドアを開けようと考えたが、着替え中だったらまずいと考えなおし、代わりにドアに耳を近づけて中の音を聞き取る。

 

「ふんぬっふんふんふぬぅ…なっかなか入りませんわね!」

 

カワカミプリンセスの大声で聞こえづらいが、ビッビッビリ…とかすかに音が聞こえる。これはまずいことが起こってる!と思いトレーナーはドアを開けようとしたが、

 

「お待ちなさい。レディーの着替えを覗くのは失礼よ」

 

とキングヘイローに止められた。

 

「代わりに見に行ってあげるわ。そこで待ってなさい」

 

「…感謝する」

 

トレーナーはその場で耳を立てながら待機することにした。

 

『失礼するわ』

 

『へ?どちら様で…?えええ!キ、キングさん!?どうしてこちらに着やがりましたの!?』

 

『また言葉遣いがお下品になってるわよ。…まぁ今のあなたの姿ほどではないけど』

 

『うぐぅ!』

 

『衣装が入りきっていないようね。下着とお腹が丸見えよ?』

 

『は、入るはずなんですの!太ってなんかいませんもの!』

 

『ハイハイわかったから、ぬぎぬぎしましょうねー』

 

といったやり取りが行われて数分後。ガチャリとドアが開き、キングヘイローが出てきた。その腕にはプリファイの衣装がある。

 

「待たせたわね。入っていいわよ」

 

トレーナーが部屋に入ると、カワカミプリンセスが肩を落としながら座っていた。

 

「だいたい何が起こったのか分かったが一応確認しておく。…入らなかったんだな」

 

ギクゥとカワカミプリンセスの体が跳ね上がる。

 

「は、入るはずなんですのよ!?体重はキープしてます!…昨夜スイーツをバクバクしちゃいましたが」

 

カワカミプリンセスは自分のお腹をつまみながら力説する。たしかに多少の脂肪はあるが問題はないようだ。

 

「お腹の問題じゃないわよ」

 

キングヘイローが割り込み、カワカミプリンセスの胸に指を指す。

 

「あなた、また胸が大きくなったでしょう?」

 

「あ…そういえば前回の測定で1つサイズが上がりまして」

 

ちらりとトレーナーは確認しようとしたが、キングヘイローに睨まれたので慌てて目をそらした。

 

「それで衣装のサイズが合わなかったのよ」

 

「なるほど……」

 

となると胸のサイズに合ったものを送ってもらう必要がある。しかし、カワカミプリンセスの巨乳サイズに合う衣装があるのだろうか。トレーナーが考え込んでいると、

 

「仕方がないわね、私が仕立て直してあげましょう」

 

「え?キングさんが?」

 

「私こう見えても裁縫は得意なのよ。プロほどの腕はないけれど…この程度のサイズ直しならできるわよ」

 

「さすがキングさん!何でもできますのね!!」

 

「オーッホッホ!もっと褒めなさい!称えなさい!」

 

「可憐で強くて何でもできるまさにキングですわ!」

 

「オーッホッホッホ!もっと私の名を呼びなさい、叫びなさい!あなたの記憶に焼き付けなさい!」

 

「キング!キング!ほらトレーナーさんも一緒に!」

 

「え?俺も?」

 

突然巻き込まれたトレーナーは困惑しながらも、

 

「「キング!キング!キング!キング!キング!キング!キング!」」

 

「オーッホッホッホ!良いですわ!いいですわ!最っ高に気分が良いですわぁああ!!!」

 

日が沈むまでキングコールを続けたカワカミプリンセスとトレーナーであった。

 

 

一週間後、キングヘイローからサイズ直しされた衣装が送られてきた。本人曰く、予想より長くかかってしまい申し訳ないとのことであったが、その間、カワカミプリンセスとショーに向けて練習できたのであまり気にならなかった。

借り物であるため、直してもよいかと尋ねたところ、どうぞご自由にと言われたので問題はない。

 

カワカミプリンセスはプリファイの衣装、トレーナーは亀の敵、タートルの着ぐるみを来て練習を行っている。

 

「せりゃああ!!プリファイナックル!!」

 

助走をつけたカワカミプリンセスからの全力を最小限の動きでトレーナーは受け流す。

 

「せいやっ!!」

 

逆手からの一撃が来たが、助走はつけていないので先程よりも威力は劣る。よってトレーナーは着ぐるみの強度に任せて受け止めた。カワカミプリンセスは反動を利用し、大きく後ろに下がる。

 

「よし、今日はこれくらいにしておこうか」

 

「はぁ……はぁ……はいぃ……」

 

カワカミプリンセスは息を整えながら返事をした。トレーニング終了後でもこのように激しく動けるカワカミプリンセスはやはりすごい、とトレーナーは心の中で感嘆する。

着ぐるみを脱いだトレーナーは疲れ切ってるカワカミプリンセスへスポーツドリンク入りのボトルを手渡す。

 

「あ、ありがとうございますですわ」

 

カワカミプリンセスは飲み口を口で塞ぎ、腰に手を当て、口を上向けながらゴギュゴギュゴギュと一気に飲み干した。

 

「っかっは〜!運動後のスポドリは最っ高ですわ〜!」

 

「おーう、いい飲みっぷり。よっ、プリンセス」

 

「おーっほっほっほ!姫として当然ですわ!」

 

姫は一気飲みなんてしないとトレーナーは思ったが、あえて言わなかった。

 

「それにしても上手くなりましたわね、トレーナーさん」

 

「そうか?」

 

「ええ、私の全力全開を受け止めた生き物はトレーナーさんが初めてですのよ?」

 

「まあ、受け流してるだけなんだがなぁ」

 

「それでも、ですわ」

 

また人の道を踏み外したとトレーナーは思ったが気にしないことにした。

 

「一応確認しておくが、打撃を当てるのは俺だけ。他の敵役には」

 

「当てる寸前のところで引っ込めばよろしいのですよね?」

 

カワカミプリンセスはパンチをシュッとトレーナーに繰り出した。が、当たる寸前にサッと引っ込めた。

 

「そうだ。敵の戦闘員役はトレーナー候補生が務めることになっているから、くれぐれも怪我をさせないように」

 

「わかっておりますわ!お茶の子さいさい余裕のよっちゃんですわ!」

 

「おう、その調子でセリフも忘れないように」

 

「…ぜ、善処しますわ」

 

トレーナーは少し不安に思ったが、決め台詞などは完璧なのでフォローすれば大丈夫だろうと考えることにした。

 

来週は遂に本番である。

 

 

 

 

オープンキャンパス当日

 

トレセン学園には多くの子供たちが訪れていた。まず最初にショーや公演がある講堂へ向かうこととなっていた。多くの子供たちはまっすぐ向かったが、一部の子供は人の流れを外れて別の場所に行こうとする。それを食い止めるため、生徒会メンバーやトレーナーが誘導を行っていた。

 

そんな様子をカワカミプリンセスは眺め、強者の余裕で待ち構え

 

「うっぷ、緊張しすぎてゲロゲロしちゃいそうですわ…」

 

ていなかった。緊張のあまり朝食はまともにのどを通らなかったので、顔色が悪くなっている。

 

どうにか待機室に着き、衣装に着替えることができた。が、依然調子は良くない。

 

「このままではだめですわ…こんなみっともないプリファイを子供たちにさらすわけには…」

 

「お困りのようね!」

 

バーンと扉が開き、一人の女性が入って来た。

 

「え?あなた誰ですの?」

 

「あたしの名前は安心沢刺々美!数多のウマ娘を(たぶん)導く救世主!奇跡の腕を持つ(自称)伝説的笹針師よ!ワォ、あんし~ん☆」

 

「……」

 

とりあえずぶっ飛ばした方が良さそうですわね…。カワカミプリンセスはぶっ飛ばすために立ち上がろうとしたがうまく立ち上がることができない。

 

「おや?どうやら体調がよろしくないようね!でもあんし~ん☆この笹針で秘孔的なところをブスリとつけば一発で体調改善元気いっぱい便秘解消全身全快しちゃうわよ!」

 

明らかに怪しい。信じ込みやすいカワカミプリンセスでも流石にこれは普段なら信じることはなかった。が、

 

「…本当に良くなりますの?」

 

今のカワカミプリンセスは体調が良くなく正常な判断ができなかった。さらにどうしても体調を治したい、プリファイを成功させたいと焦っていたこともあり、藁にもすがる思いだった。

 

「えぇ、もちろんよ。ささ、そこに座って」

 

「わかりましたわ」

 

カワカミプリンセスはベッドに座り、安心沢はカワカミプリンセスの後ろに立ち、肩に手を置いた。

 

「それじゃあ、いくわよ。えいっ」

 

プスッ

 

「っ!?」

 

突然の激痛にカワカミプリンセスは思わず声を上げそうになるが、何とか堪えることに成功した。

 

「はい、これで終わりよ」

 

「……本当ですの?」

 

「ええ、もう体調は良くなっているはずよ☆」

 

控室にある鏡を見ると先ほどの真っ青な顔色は消え、いつも通りの顔色に戻っていた。

 

「すごいですわ!体に力がモリモリ湧いてきますわ!」

 

シュッシュッとシャドーボクシングを行うと、今までにないくらい体が軽く感じられた。

 

「ありがとうございます!安心沢さん!」

 

「いいのよ、これぐらい。また何かあったらいつでも言ってちょうだい」

 

「っしゃあ!いっちょやったりますわ!!」

 

気合一発。カワカミプリンセスは元気に控室を出てい講堂のステージへと向かった。

 

「…マジで成功するとは思わなかったわ~。ま、いっか☆こんなに元気になるなんて、あたしったら天才☆」

 

安心沢の目先には”大きく凹んだ壁”があったが、気にすることなく彼女はどこかへ消えていった。

 

 

…遅い。講堂の舞台裏にて、タートルとなったトレーナーはカワカミプリンセスを待っていた。集まることなく別々で準備を済ますことになっていたのだがまだ来ない。

 

何かあったのだろうか?意外と小心者なところがあるから緊張して動けなくなっているのかもしれない。心配でたまらなくなったトレーナーだったが、

 

「お待たせいたしました!!!大地に芽吹く愛と勇気の花!!プリファイピンクただいま参上ですわ!!!」

 

いつも通り、いやいつも以上に大きな声と足音でカワカミプリンセスはやって来た。

 

「おう、遅かったじゃないか。何かあったのかと思ったぞ」

 

「申し訳ございません。少々支度に手間取りまして。ですが、安心してくださいまし。このカワカミ、完璧に仕上げてまいりましたわ!」

 

ふぅと安堵の一息。心配して損したとトレーナーは安心した。

 

「そうか、それは楽しみだ。よし、そろそろ時間だから行くとするか。今日はよろしく頼むぞ。お姫様」

 

「こちらこそよろしくお願いしますわ、怪人様♪」

 

 

プリファイショーinトレセン学園、ここに今!開催!

 

講堂のステージにデカい亀と黒タイツに見を包んだ戦闘員が出てきた。

 

「え?何あの亀?」「知らな〜い」「プリファイに出てきたことないよ〜」と戸惑いの声が上がったがタートルことトレーナーは無視した。

 

『ウジャジャジャジャ〜ここにはうまそうなガキがい〜っぱいだぁ〜。それ!野郎ども食っちまえ!』

 

「「「「「ティー!」」」」」

 

トレーナーのマイクと繋がったスピーカーからトレーナーの声が響き渡り、戦闘員に扮した五人のトレーナー候補生たちが子供たちを襲う。

 

「きゃあああっ!こわいよぉおおおっ!」「助けてくれぇええっ!」「いやああああああっ!」

子供たちの悲鳴と親たちの暖かな笑い声がする中、

 

 

「お待ちになりなさい!」

 

 

力強い声女性の声で制止がかかった。

 

「だ、誰だ!?」

 

タートルと戦闘員は必死に周囲を見渡す。

 

「ここですわ!」

 

ステージの上から、ドシンと音をたて、一人のウマ娘が飛び降りてきた。

 

「大地に芽吹く愛と勇気の花!!プリファイピンクただいま参上ですわ!!!」

 

決め台詞と決めポーズが見事に決まった。

 

『プリファイだと!?何だそれは!?』

 

「あら、ご存じありませんの?まあ仕方がないですわね。仲間たちとはぐれてこんな別世界にぶっ飛ばされてしまいましたもの」

 

『ええい!何をわけのわからんことをごちゃごちゃと!やってしまえ!』

 

「ティー!」

 

一人の戦闘員がプリファイピンクに襲い掛かった。

 

「はっ!そんな攻撃当たりませんわよ!」

 

ひらりと身をかわすと、

 

「とりゃああああっ!!!」

 

強烈なパンチがさく裂。派手な効果音とともに戦闘員はぶっ飛ばされた。

おおう、やられたフリとはいえ派手にぶっ飛んだな~。

 

タートルの着ぐるみに身を包み、効果音のボタンを押したトレーナーは心の中で感心していた。実際に当たってはいないはずなのにあそこまでぶっ飛べる身体能力があるとは、将来有望なトレーナーだなぁ。

 

「よし、撤退していいぞ」

 

マイクを切り替え倒れた戦闘員に指示を出した。が、一向に返答がない。

 

「どうした?」

 

ちらりと倒れた戦闘員に目を向けると、泡を吹いていた。

 

「……気絶してる?おい起きろ!」

 

返答はない。まさか、カワカミプリンセスに殴られたのか?焦りつつ身体を目で確認したが損傷はない。どうやら拳が当たったわけではないようだ。

そのことに安堵しつつトレーナーは原因の分析を始めると、

 

「あら、もう終わりですの?かかってきなさいませ!」

 

シュッシュッシュッとプリファイピンクはシャドーボクシングを始めた。すると横に垂れていたステージの暗幕が激しく揺れ、ビリビリビリィ!と音を立てて裂け始めた。ちらりと見えた暗幕の向こうにある壁はわずかながら凹んでいるようだ。

 

……なるほど。トレーナーは納得した。拳を力強く高速で振ることで空気を押し出し、衝撃波を発生させて戦闘員をぶっ飛ばしたのだ。

 

「全員撤退しろ!」

 

トレーナーは戦闘員たちに指示を出した。が、

 

「あら、逃がしませんわよ!」

 

プリファイピンクによってまた一人戦闘員がぶっ飛んだ。台本上全く問題はないが、このままではまずい。

しかたない。トレーナーはカワカミプリンセスにマイク越しで指示を出した。

 

「いったん待て!」

 

また一人戦闘員がぶっ飛んだ。

聞こえていない!?

トレーナーはプリファイピンクの耳を確認した。そこには小型のインカムが装着されていたはずだが、

 

ない!?

 

プリファイピンクの耳には何も付いていなかった。ショーが始まる前に装着し、トレーナーもしっかり確認したはずだが。ふと、プリファイピンクの股を通して後方をを見ると、インカムの残骸があった。その場所はプリファイピンクが着地した場所の近くだった。

 

「しまった、着地の衝撃で外れたのか」

 

その後動き回っているうちに踏み潰してしまったようだ。

 

「さあ、どんどん来てくださいまし!」

 

こうなったらスピーカー越しで直接辞めるように言うべきかと考えたが、

 

「プリファイつえー!」「やっちゃえプリファイ!」

 

などと興奮する子供たちの声が聞こえる。もし、怪人である自分の声でプリファイが攻撃をやめてしまったらどう見えるだろう?正義のプリファイなのに悪に屈したと思われるかもしれない。

 

子供たちの夢を壊してしまってもいいのか?

 

トレーナーは一瞬悩んだが、決断した。

 

『ハッハッハッハ~!俺は常闇帝国幹部、タートル!プリファイよ!今日が滅びの時だ!ハーッハッハッハ!!!』

 

ショーを続けることにした。カワカミプリンセスにはアドリブがあるかもしれないと伝えてある。

その際はプリファイらしく振る舞えばいい、と。

 

「させません!愛と勇気がこの拳にある限り!プリファイは負けませんわ!」

 

プリファイピンクことカワカミプリンセスは台本にないセリフをすぐに叫んだ。

そうだ、どうしてこうなったではない、これからどうするかだ。

 

周囲からは「頑張れ!」「負けるなプリファイ!」「私達がついてます!」などのかん高い熱声援が二人をを包んでいる。どうやら夢の時間はまだ終わっていないようだ。ならば続けるのみ!

 

トレーナーは腰を抜かしている戦闘員には指示を出し、撤退させようとした。

 

「逃しませんわ!」

 

プリファイピンクが戦闘員に突撃していく。

 

『させぬわ!』

 

タートルは戦闘員の前に立ちふさがり、プリファイピンクの突進を両腕で受け止めた。

 

「くっ、なんて力ですの」

 

プリファイピンクは一旦距離をとり、今度はタートルに拳を振りかぶりつつ突進してきた。

 

「くらいなさいませ!プリファイナックル!」

 

練習通りの技だ。トレーナーは練習通りに最小限の動きで受け流そうとしたが、バキィと着ぐるみの一部が砕け散った。

 

『グゥッ!』

 

トレーナーはうめき声をあげた。

 

「まだまだですわ!」

 

プリファイピンクの逆手からパンチが繰り出された。練習では難なく受け止めることができたが、

 

『グオォォッ!』

 

完全には受け止めることができず、着ぐるみにひびが入る。そしてプリファイピンクは一度距離をとり、再攻撃を開始した。

 

カワカミプリンセスの猛攻を捌いていく。ほとんどは練習した通りの動きだったが、時々練習にない動きもあった。だが、トレーナーは見事にさばいてみせた。カワカミプリンセスと過ごした時間は伊達ではない。

 

何となくだが次に何をしようとしているかわかる。カワカミプリンセスもそうなのだろう。トレーナーがきっと捌いてくれると信じて打ち込んでくる。それはまるで二人だけしかわからない濃厚なワルツであった。

プリファイピンクの猛攻に着ぐるみがズタズタになってきたが、まだタートルは耐えた。

 

「はぁはぁ…どうして倒れないんですの?」

 

プリファイピンクの息が切れてきたようだ。

 

『フゥフゥ…俺には守りたい物があるのだ』

 

子供たちの夢だ。

 

『だから退かぬ!死んでも守ってみせるのだ!』

 

カワカミプリンセスは軽い息切れで済んでいるが、着ぐるみの暑さもあり、トレーナーの体力はもう限界であったため、そのまま倒れてしまった。

 

一時の沈黙。それを打ち破ったのは

 

「負けるな!タートル!」「頑張って!」

 

タートルが己を賭してまで部下を守ろうとしていると子供たちは考え歓声を上げたのだ。

 

だが、夢中で打ち合っていただけのトレーナーとカワカミプリンセスは歓声の原因がわからなかった。とまどい、次にどうしたらよいのかがわからない。

すると、

 

 

「オーッホッホッホ!」

 

 

ステージの袖から高笑いが聞こえ、ウェーブのかかった栗色髪のウマ娘が一人で出てきた。プリファイピンクに似た緑の衣装の上に同色のマントを羽織り、目だけを隠す仮面をつけている。

 

「あなたは一体誰ですの!?」

 

「私の名前はダークキング!常闇帝国のキングよ!」

 

あの高笑いとキングにつけられたこだわりの強いアクセント。間違いない、彼女の名は

 

「キングヘイローか?」

 

マイクを切り換え、尋ねてみると彼女はわずかにうなずいた。しかしそのままキングヘイローは言葉を続ける。

 

「それにしても幻滅ね~せっかく怪人にしてあげたのにこんなにあっさりと負けてしまうんだもの」

 

つかつかと優雅に歩きながら、プリファイピンクの元へ近づく。

 

「こんな小娘に」

 

キングヘイローことダークキングはプリファイピンクの耳を何度も突っつく。その様子を見ていたトレーナーはその耳に変化があったことに気づく。インカムがついていたのだ。

 

ありがとうキング!トレーナーはマイクを通じてカワカミプリンセスに指示を出した。

 

「今はキングヘイローに合わせろ」

 

カワカミプリンセスはコクリとうなずいた。

 

「こ、小娘とは何ですの!私は姫ですわ!…それよりも『怪人にしてあげた』とはいったい!?」

 

「言葉通りの意味よ。つまらない頑丈さだけが取り柄の人間を怪人にしてあげたの。面白いでしょう?」

 

「お、面白くなんてありませんわ!」

 

「そうね、結果的につまらなかったもの」

 

ダークキングはため息をつき失望したようなまなざしで子供たちを見つめる。

 

「退屈しのぎにそこの子供たちを怪人にしてしまいましょうか」

 

子供たちは恐怖で泣き出してしまった。

 

「やめなさい!」

 

「あら、何か文句でもあるの?プリファイピンクさん?」

 

「ありますわ!」

 

「言ってごらんなさい」

 

「あなたの退屈しのぎなんかのミミッチイ目的で人の命を弄ぶなんて絶対に許されることではありません!」

 

「なら、あなたが私の退屈を紛らわせてみなさい」

 

ひらりとダークキングはステージを降り、プリファイピンクから距離をとった。

 

「私を捕まえて見せなさい。こう見えて私、足には自信がありますの」

 

「……」

 

「おや?気が向かないようですね。それでは賞品はこちらの怪人解除の薬はどうでしょう?」

 

ダークキングは懐から小瓶を取り出した。

 

「さあ、いかがなさいます?」

 

「…やってやりますわぁああ!!!」

 

プリファイピンクは雄たけびを上げ、ダークキングめがけて走り出した。それを見たダークキングも走り出す。

 

ダークキングは観客の周囲にある階段付きの通路を駆け抜けていく。それを追うプリファイピンクも同様だ。素人目では十分早いスピードだと思えるほどの速さだが、彼女たちの脚質は差しである。走る距離が長くなるにつれてスピードがぐんぐんと上がっていく。

 

講堂周りの通路を一周したところでダークキングは客席の間にある通路をトップスピードで駆け抜けていく。それを追うプリファイピンクもグイグイと距離を縮めていく。そんな二人のウマ娘の大迫力の激走、輝く汗の美しさを目の前で見た子供たちは歓声を上げる。「がんばれー!」「負けるな!」「追い抜けプリファイピンク!」「逃げきれブラックキング!」走ることにあまり関心がなかった子供たちが二人の走りに魅了されていく。

 

全ての通路を駆け抜けてステージに向かう道のりでプリファイピンクはついにブラックキングまであと腕一本のところまで追いついた。

 

「ぬぉぉぉおおお!!」

 

プリファイピンクは最後の力を振り絞り、ダークキングへ必死に手を伸ばす。が、届かない。そのままズルズルと距離が離れていく。もうだめだ、追い付かないと多くの人がそう思ったその時、

 

「ド!根!!性!!!ですわーーーー!!!!」

 

気合一発!踏み込みに力を込め、一気に加速する。残り腕三本、腕二本、腕一本、そして———

 

「つっかまえましたわ!!!!」

 

ステージ上で遂にダークキングの服を掴んだ。そのまま二人とも倒れこむ。

 

「「はぁ、はぁ」」

 

二人とも激しい運動で息が上がり、肩が激しく上下している。数秒の沈黙の後、客席から大歓声が上がった。その声は講堂中の空気を震わせていた。耳だけでなく全身で感じ取ることができるほどであった。

長い永遠と言えるような歓声が収まったところでダークキングは立ち上がり、プリファイピンクの手を掴んで引っ張り上げた。

 

二人ともまだ疲労が抜けていないようであったが、その表情は晴れやかなものであった。

 

「見事ですわ!私もまだまだということがわかりました。退屈なんて言ってる場合じゃありませんわね。もっともっと走りに磨きをかけなくては!」

 

「えぇ、そうですわ!一緒に頑張りましょう!」

 

二人は固い握手を交わした。その様子を見ていたトレーナーは安堵のため息を漏らした。

 

ダークキングから小瓶を受け取ったプリファイピンク、カワカミプリンセスはタートルに薬を飲ませるふりをしながら、着ぐるみのチャックを下げた。

 

「ありがとう!プリファイ!」

 

タートルの着ぐるみから汗だくのトレーナーが上半身だけ出てきた。

 

「いえいえいえ、姫たるもの当然のことですわ!おーっほっほっほ!」

 

「私も負けていられませんわ!オーッホッホッホッホッホ!!」

 

二人の高笑いが講堂中に響き渡り、そのまま幕が下りた。

 

 

幕裏でカワカミプリンセスとトレーナーはキングヘイローに土下座をした。

 

「「ありがとうございます(ですわ)!!」」

 

「はぁ、そんなに気にしなくていいわよ。キングたるもの当然の行いをしたにすぎませんわ」

 

仮面を外したキングヘイローの顔には疲労の中に満足そうな笑みが浮かんでいた。

 

「気になって来てみたら謎のド突き合いが発生してたから、何か問題が起こっていると察したの。それを収めるため、着替えて舞台に立っただけよ」

 

「「はい!重ね重ねありがとうございます(ですわ)!!」」

 

「褒められるのは悪い気がしないわね。いくらでも感謝しなさい。けれど、これでは話にならないからひとまず顔を上げて頂戴」

 

「「はい……」」

 

二人が顔を上げるとそこには満面の笑顔を浮かべるキングヘイローがいた。

 

「ほら、よく耳を澄ませてみなさい。最高のご褒美がそこにあるわよ」

 

三人から見て裏側、つまり観客席の方からガヤガヤと騒ぐ声が聞こえてくる。よく耳を澄ますと「わたし、あの二人みたいにかっこよく走れるようになりたい!」「あたしはブラックキングみたいにきれいに走りたい!」「プリファイみたいに最後まであきらめず走れるお姫様になりたい!」「タートルみたいに誰かを守れるようになりたい!」などの声がちらほらと聞こえる。

 

「ふふん、どうやら効果はあったようね。私たち二人の走り、そしてトレーナーさんの頑張りを見て誰かに憧れを抱く人が出てきたのだから。これは誇るべきことよ」

 

「はいっ!」

 

「それではそろそろ戻りましょうか。これ以上ここにいるとまた何か起きそうですもの」

 

そう言って立ち去ろうとするキングヘイローに対しカワカミプリンセスは素朴な疑問をぶつけた。

 

「それにしてもキングさん、どうしてプリファイの衣装を持っていたんですの?」

 

ギクッとキングヘイローの肩が跳ねる。

 

「あ、あれはその……そう!あなたの衣装を仕立てた際に予備で作っておいたものよ!」

 

「え、でもプリファイピンクの色はまっピンクで緑じゃありませんわよ?」

 

「……」

 

「それに今思い出したのですが、人が怪人になるストーリーってプリファイ5期30話『マジヤバ!!あの怪人の正体って!!』とよく似ているような…」

 

「…………」

 

薄暗くてよく見えなかったが、トレーナーはキングヘイローが滝汗をかいているのがわかった。

 

「ま、いいですわ。プリファイは誰の心にもいるのですから全く問題ありませんわね!」

 

こうしてプリファイショーは終了した。

 

 

プリファイショーの後にシンボリルドルフ主催の説明会並びに講演会には多くの子供たちが耳を傾け、夢中に聞くこととなり大成功に終わったらしい。

 

プリファイショーで倒れた戦闘員もといトレーナー訓練生は軽傷で済んでおり、「どんなウマ娘にでも向き合う度胸が付きました!ありがとうございます!」涙ながらトレーナーに語っていた。

 

このように多くの物を生み出したプリファイショーであった。その中でひっそりと生まれた物が一つある。

 

「ふふ~んふふ~ん♪あたしは天才笹針師~安心沢刺々美☆わ~ぉ☆」

 

上機嫌に鼻歌を歌いながら、道を歩いていた。すると一枚の紙が目に入った。そこには安心沢の写真が貼ってある。

 

「わ~ぉ☆私ったら有名人~☆」

 

下の方まで確認してみると、こう記述されていた。

 

「変態不審者に注意!最近この辺りに出没しているとの情報あり!見かけたら110番!」




本文で出てきたプロデューサーはカワカミプリンセスのストーリーに実際に登場する人物ですので、機会がありましたら、是非カワカミプリンセスを手に入れてみてください。
大部分は自書きですが、AIのべりすとを使用しました。
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