スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION Cross G   作:⌒*(゚∑゚#)*⌒

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伊豆強襲

 佐世保基地防衛任務は終了したものの、DCの電撃作戦によって甚大な被害を被った基地は機能停止のまま放棄することが決まった。

 それを見越してのことか、追撃をすることなく戦闘原潜は姿を消し、結果的に地球連邦軍の戦果は敗北同然。

 伊豆基地の上層部はこれを“見せしめ”のためと推測し、ビアン・ゾルダークの覚悟に苦杯を舐めた。

 しかし、それでもMAPWを防ぐという偉業を成し、多くの命を救った伊豆基地の機動兵器部隊は賞賛され、第1機龍隊も歓声と喝采に迎えられた。

 

 そして、帰投したオキトたちを一番に迎えたのは、最も疲労しているであろう佐世保基地の防衛隊だった。

 カイを筆頭に最敬礼で待っていた彼らに同じく返した後、ゲンマと握手していたカイは涙を滲ませていた。

 

「オキト・サエグサ大尉ですか?」

 

「ええ、そうですが。」

 

「俺は佐世保基地第305飛行隊ジャーダ・ベネルディ少尉っす。」

 

「同じくガーネット・サンデイ曹長です。」

 

「同じくラトゥーニ・スボゥータ少尉です。」

 

「飛行隊? もしかして最後まで残ってた3機って。」

 

「ああ、俺らです。PT部隊もっすけど、本当に助かりました。ありがとうございます。」

 

 そう言ってファンキーな見た目に反した敬礼をしたジャーダと2人の女性に敬礼を返して機龍隊の中からアリスを引っ張り出した。

 同じ戦闘機乗りの方が何かと気が合うことだろうと考えているからだ。

 何やら面倒臭そうにしていた彼女はジャーダたちとオキトを交互に見て首を捻る。

 

「この3人は残ってたメッサーのパイロットだってよ。戦闘機乗りなら気になってただろ? あ、シマはうちのくろわし1番機のパイロットなんだ。」

 

 紹介されて名乗ったアリスは3人と握手を交わしてから旧式のメッサーで最新鋭のFー32シュヴェールトと互角に戦ったことを称えた。

 特にラトゥーニという少女の飛び方は参考になったと。

 

「苗字が金土日だから週末トリオってとこかな。これから何処に配属になるか分からないけど、頑張って。」

 

「少尉もありがとうございます。」

 

「じゃあ、俺たちは上官のところへ行くから。週末トリオは今の内に休んだ方がいいよ。」

 

 手を振って背を向けた2人はゲンマの元へ行くと、他の隊員と並んで今後の指示を仰いだ。

 ゲンマは司令部と繋がっているらしい通信機でやり取りしていたが、直ぐに部下へ向き直って解散を告げた。

 第1機龍隊は訓練を休んで回復に努めるように、とのことである。

 よくよく念を押した彼は整備班に後のことを託して本部の方へ走っていった。

 この後も佐官以上の人間で会議があるのだろう。

 

「飯には早いか。シャワー浴びたらGトレでもして時間潰してよう。」

 

「じゃあ、私は筋トレしよ。今日機体が重く感じたんだよね。」

 

 ちなみに、だが。

 シマ・アリスは鍛え上げた軍人を片手で投げたり、パンチ1発で入院させたりと生身が凶器なレベルになるまで鍛えている。

 決して力不足で操縦桿が重いだとかそういうことではなく、単に人間には限界があるというだけだ。

 もし、中型バイクを1人でひょいひょい動かすような人間が筋力不足ならほとんどの人間が虚弱体質になってしまう。

 

 暑苦しいパイロットスーツの前を開けて溜め息を吐いた2人はそれぞれのロッカーを目指して別れた。

 他の隊員もちらほら着替えているロッカールームに入ったオキトは自分用のロッカーを開けてメットやスーツを放り込むと、シャワーを浴びに行く。

 湿度の高いシャワールームで空いてるボックスを確保して熱い湯を浴びた彼は改めて深い息を吐いた。

 

「あれ、大尉じゃないですか。」

 

「ん? タカヤマか。」

 

「お疲れ様です。今日のMAPW迎撃には痺れましたよ。2番機から見てましたけど、ありゃ一生忘れられない光景になりました。」

 

「俺もだよ。万が一外れたら機龍でもどうなってたことやら。」

 

「また勲章と昇格になるんじゃないっすか?」

 

「どうかな。機龍を降りるまでは大尉止まりだと思うけど、それより今回の一件でGフォースの予算が上乗せされたらいいな。」

 

 軽く汗を流すだけに留めた彼は陸式機龍の改修を想像して少し笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伊豆を離れる?」

 

「そうだ。我々第1機龍隊はこれからスペースノア級弐番艦ハガネに乗艦して任務に就く。」

 

 困惑した空気がブリーフィングルームに漂った。

 第1機龍隊、というよりは陸式機龍自体がその主要任務のために日本を離れることがなかったからだ。

 そんなことをして問題ないのだろうかと隊員たちは目を見合わせる。

 

「我々を悠長に待機させていられるような状況ではなくなったということだ。」

 

「はい。任務とは具体的に何でしょうか?」

 

「極秘だ。説明は発艦後となる。」

 

「期間は?」

 

「不明だ。強いていうなら我々の奮闘次第となる。」

 

 手短にそう告げ、手元の名簿を読み上げたゲンマは彼らがハガネに行く選抜隊と発表した。

 第1機龍隊に加え、整備班からも何人か来ている。

 

「では、各自そのつもりで出立の準備をしておくように。」

 

『了解。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第1機龍隊の機体や資材をハガネへ積み込んでいる最中、けたたましい警報が鳴り響いた直後にミサイルが基地を襲った。

 凄まじい揺れと爆音が格納庫内にも届き、機龍に乗っていたオキトは悪態を吐く。

 

「Command1、Command1!! クソッ……何が起きてるんだ。司令部へ、こちらオキト・サエグサ大尉!」

 

〈大尉!? 司令、サエグサ大尉から通信です!〉

 

〈レイカーだ。サエグサ大尉、DCから奇襲を受けている。PT部隊が迎撃に出ているが、陸式機龍は出られるか?〉

 

「機龍は出せます! しかし、攻撃を受けたのかゲートが開きません。司令部から開けませんか?」

 

〈やれるかね?〉

 

〈はい! 8番区画G1格納庫を……。開きます!〉

 

 鋼鉄の扉が鈍い音を響かせて開いていき、薄暗い格納庫に白光が射し込んだ。

 そして、広がっていく出口の向こうに炎と瓦礫ですっかり有様を変えた基地がモニターに映る。

 戦車隊や飛行隊だったものがあちこちで灼熱の血を噴いて亡骸を晒していた。

 好き放題にホームを荒らされたオキトの顔が怒りで歪む。

 

「機龍発進!」

 

 最大戦速で飛び出したオキトは襲いくる重力を力任せに押し返して加速を維持してみせた。

 待ち構えられていたのか、次々飛んでくるミサイルを置き去りにして、機龍を横滑りのまま射撃体制にする。

 目の端でミサイルの炸裂を認めながらも顎部メーサー砲と両腕のレールガンを敵飛行隊に向けて引き金を引いた。

 

「躱された! 機龍の解析もしてきた訳か!」

 

 頭上を通過したFー32からばら撒かれた機銃が装甲で跳ね返る音に舌打ちしたオキトが回避機動のパターンを変えた直後に質の違う攻撃がアスファルトを抉った。

 伏せていた飛行隊を囮に噂の新型兵器アーマードモジュールが接近していたのだ。ついこの前に関門海峡で初交戦することとなり、手足の付いた戦闘機のようなそれにはオキトも驚かされた。

 DNAコンピューターがレーダー波に捕捉されたことを知らせると、3機編隊のレールガンが機龍を追う。

 独特の電光を見て反射的に機龍を真後ろに跳躍させる。至近を突き抜けた超音速の弾丸が空気を揺らした。

 

「下手クソが!!」

 

 カウンター気味に撃っていた機龍のレールガンは敵3番機の左腕を肩からごっそりと奪った。

 機体バランスを崩した敵機がストールし、僚機のフォローに入った他の2機は機龍にミサイルをばら撒いていく。

 

「そんな雑な弾幕でぇっ!!」

 

 真っ直ぐ、ミサイルを潜るようにペダルを踏んだオキトは高度の下がった敵機を目指した。

 蛇を意識したスラローム機動でレールガンのロックを外し、メーサーブレードを展開した機龍に対して格闘戦を覚悟したのか、片腕の敵機がブレードを構えて後退していく。

 だが、そこへ無慈悲なくメーサー砲が浴びせられた。

 手負いの1機は敢え無く爆発し、残りの2機の元には機龍が今度こそ格闘を仕掛けていった。

 約3倍のサイズ比がある機龍の重圧は想像を絶するのだろう。

 

 真正面からタックルされた敵機は破片を撒き散らせて墜落していき、最後の1機は不利を悟って高度を上げた。

 その空中制動は滑らかで、飛行できない地球連邦側のPTにはさぞ驚異的なことだろう。

 

「やはりテスラ・ドライブだな。」

 

 推進剤の補助を受けた機龍は驚くほど高いジャンプで追い縋ると、脚部にブレードを突き立てた。

 火花を散らして装甲を貫いたブレードから機龍の重さが加わり、テスラ・ドライブの出力限界を超えた敵機は引きずり下ろされていく。

 特機の重量を加算して叩きつけられた衝撃は敵機の機体耐久を遥かに上回った。

 バラバラになってひしゃげた機体のテスラ・ドライブが爆発する前に離れたオキトは戦火の激しい方へ引き込まれるように機龍を駆る。

 

「このままだと物量で押し込まれる。機龍の制圧力で押し返すしかない!」

 

 地下ドッグの発艦口付近の防衛が飛行隊のみで手薄と見ると、バックパックの曲射ミサイルを発射しながら戦域に突入していく。

 海に面したそこは飛行できないPTが戦えず、飛行隊が奮闘していたようだ。

 しかし、AMとFー32を相手に苦戦を強いられている。

 

「MG1から飛行隊へ。これより協力して敵を押し返す!」

 

〈大尉!〉

 

〈また助けらちゃいましたね。〉

 

「週末トリオか。敵を引っ掻き回すから叩き落としてやれ!」

 

〈了解っす!〉

〈了解!〉

〈了解。〉

 

「全砲門セーフティ解除。ファイア!」

 

 顎部メーサー砲、腕部レールガン4門、バックパックの大型ビーム砲と曲射ミサイル。

 何れもAMサイズなら一撃必殺の大型兵装だ。

 堪らずブレイクして編隊を崩した敵機にメッサーが襲い掛かり、花火が3つ基地の空に爆ぜる。

 

〈後ろです!〉

 

「大丈夫。見えてるよ。」

 

 倉庫と防波堤を盾に背後まで回り込んでいたAMが実体剣を手にアタックを仕掛けてきたのだ。

 固定砲台の役をしていた機龍は一見無防備な背中を晒しているようだが、生憎と陸式機龍の背後は死角ではない。

 

「テールブレード展開。」

 

 先端からメーサーブレードを出したテールが素早く敵の前に割り込んで、下から深々と機体を串刺しにした。

 奇襲をかけたつもりの敵には何が起きたかも分からなかっただろう。

 ギ、ギ、ギ、と駆動系から嫌な音を上げるAMから尾を抜き、強かに打って遠ざけた機龍は砲撃を再開した。

 

「8と12を攪乱する。3、2、1。」

 

〈外した!〉

 

〈FOX2! やったぁ!〉

 

〈こちらも撃墜。〉

 

「どうした、ジャーダ少尉? レディに花を持たせたのか?」

 

〈いやぁ、はは……。〉

 

〈敵増援来ます!〉

 

「!!」

 

 レーダーに次々と現れる光点を見て表情を引き締めたオキトのモニターに多数のAMが映し出された。

 迷うことなく戦闘区域に入ってオキトたち防衛隊を目指してきている。

 飛行隊を補給に戻らせ、残りのFー32を処理した機龍にもAM1隊とFー32が5機も狙いを着けたようだ。

 

「毎度毎度惜しみなく投入してくれやがる。そんなにAMは生産性いいのか。」

 

〈初めて見る型がいるな。何だ、あの黒い奴は?〉

 

〈あれも四肢がある。〉

 

〈雰囲気からして指揮官機ってとこか。エンブレムも付いてるようだしな。〉

 

〈久しいな、ライディース。〉

 

 黒いAMからの通信と理解する前に凄まじい速さでフォーメーションを切り裂いた“竜巻”がSRXチームの2番機に接敵した。

 単なる機体の最大速度ではない。加減速の妙と最適な戦闘機動が圧倒的な速度を演出している。

 オキトは練度の高いDC軍のパイロットすら凌駕する腕前に戦慄した。

 カイやイングラムに匹敵する実力の持ち主が自在な三次元戦闘を可能とする機体に乗っているのだ。

 

「(機体を知り尽くしている……!)」

 

〈その声、やはりエルザム兄さんか……!?〉

 

 彼を見下ろすように止まったAMのパイロットを兄と呼んだライディースの声からは強い拒絶の意思が放たれている。

 それを形に示すかのように砲口がAMに向けられた。

 兄弟の間に如何なる確執があるのかは不明だが、それが最早言葉にしてどうにかなる問題でないのは他の防衛隊にも感じられている。

 そんな二人が戦場で、“銃”を手に対峙してしまえばどうなるか?

 

 語るまでもない。

 

〈己の正義は力を以て示せ! ブランシュタインの家名とあの事故の重圧に耐えられなかったお前にできるのならな!〉

 

〈言われずともそうさせて貰う!〉

 

 戦場が再び動き出した。

 対空迎撃を開始した防衛隊は幾らか対処の仕方が理解できてきた3次元機動に互角以上の戦いを繰り広げている。

 特にカイ・イングラムの制圧力が群を抜いていた。

 多少カスタマイズされただけのPTでAMを次々に撃墜していく。

 

「(地対空戦闘が得手のGをモデルにした機龍はともかく、PTでよくあれほど……。)」

 

 加えるなら、今戦っている部隊は今まで以上に練度が高い。

 AMを1機撃墜した際に機龍もレールガンを2発貰って装甲に傷をつけられてしまった。

 航空隊からのミサイルを回避したオキトは右に回り込んだAMに向かってメーサー砲を放つと、バックパックのビームカノンを機動予測に従って撃つ。

 左腕と右脚を貫かれたAMが火を噴いたことを確認したオキトを衝撃が襲った。

 またレールガンだ。

 機体に深刻な損傷が生じたことを報せるアラートが鳴る。

 

「バックパックを!? ええい、仲間を捨て石に何度も何度も……てめぇらにゃ人の心ってもんがないのかァ!!」

 

 バックパックを切り離して身軽になった機龍が直上を通り過ぎようとするAMの正面に跳んだ。

 パイロットの驚きが透けたような雑な回避を許さず、メーサー砲とレールガンがAMを蜂の巣に仕上げる。

 

「前線に飛び出した指揮官をみすみす逃がしたか……。」

 

 Fー32の編隊をメーサー砲で容易く薙ぎ払ったオキトは黒いAMを敵勢後方に認めて悪態を吐いた。

 先程、通信からは基地地下のハガネが数分で発進するまで援護しろと聞いていたが、このままでは物量で押し込まれかねない状況だ。

 リアルタイムで敵の陣形が変化し、カイやイングラムが力を発揮できていないことも大きい。

 敵の指揮官を撃墜して連携を破壊してしまうのが最善手だろう。

 

「(ライディース少尉には悪いが、ここを攻めた報いはくれてやる。)」

 

 フットペダルを7割踏み込んで吶喊を開始する。

 敵部隊は既に基地の上まで侵入しているため、海上で頭から殴り付けられることはない。

 真っ直ぐ、黒いAMを殺すために敵陣へ向かう機龍を迎撃の弾丸が襲う。

 

「すまん、整備班!」

 

 機体を振るだけでは避けきれない弾がガツガツと装甲を叩くが、オキトは歯を食いしばって先を目指した。

 AMの携行兵器では火力不足で機龍を撃墜することはできない。

 バックパックは排熱フィンに運悪く被弾して駄目になったが、機龍にはそういう弱点はないのだ。

 

〈陸式機龍! 我がトロンベとの決闘を望むか!〉

 

「べらべら喋るな。死ね、反逆者!!」

 

 護国の龍と黒い竜巻の殺し合いが、今火蓋を切って落とされた。










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