魔王(中身一般人)と仮面少女(無表情魔法使い)の異世界道中   作:クラウディ

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遂に、小百合の能力が……





仮面少女の能力

 

 

 

「…………お前、誰だ?」

「はっはっは!! いやぁひどいな伯斗君! 僕のことを忘れるだなんて! 僕が誰かって? そう! 僕こそ! あの無表情でお人形さんみたいな絶世の美少女! 葛葉小百合さ!」

「な、なんじゃこりゃぁあああああああ!!??」

 

 俺の目の前にいる体の細い()は、自身のことをあの無表情美少女小百合だという。

 決して俺の頭がおかしくなったわけではない。

 むしろおかしいのは目の前にいるこいつだ!

 

 雪のような白髪に、宝石のような碧眼を持っていた美少女だというコイツは、明らかに別人だった。

 何故ならこいつの見た目は、あの深窓の令嬢とも言うべきドレスを身に纏い、人形のように無表情だった小百合とはどこをどう見ても違っている。

 

 髪の毛は、黒と白のツートンカラーだし、目は赤と青のオッドアイ。

 〆に、服装がドレスではなく紳士が着るような燕尾服だった。

 さらに言えば、その燕尾服もきっちりとしておらず、どこかおどけた道化のような見た目をしている。

 頬には星とハートのペイントがあり、これらの要素からピエロかサーカス団員のような印象を受けた。

 

「おまっ、小百合はどこ行った!?」

「だから言ってるだろう? 僕が君の探している葛葉小百合だと!」

「嘘つけっ! 小百合は女性だったんだぞ! お前みたいな男じゃなかった! それに何だテメェ! こんなふざけた格好して! ピエロか! それともサーカス団員か!」

「そういえば、いつの間に僕のことを小百合と呼ぶようになったんだい?」

「話を聞け!」

 

 男の胸倉を掴みながらひとしきり騒いだ俺は、息も上がってきたので掴んでいた手を離し一服する。

 一応、こんなことができているのは、こいつに敵意というものが全くなかったからだ。

 現に、俺が祠の中を一通り探してから出てきた時には、外で待っていたアクと楽しそうに話していたからなのだ。

 

 しかし、それとこれとは話が別だ。

 なんで、見ず知らずの男を無警戒で接しなきゃなんねぇんだよ。

 もっと言えば、ここは森のど真ん中。

 そこへ、あったこともないし俺が着ているような新品同然の綺麗な服を着ている男がいたら、警戒しない方がおかしい。

 

 森の外から歩いてきたのなら、服は汚れているはず。

 なのにこいつの服は欠片も汚れていない。

 それに、こんな森の中でピエロみたいな奴がいるとか、悪役感半端ないんだけど!

 

(ったく、ただでさえ洞窟の中にいた奴から呪いの装備じみた指輪をつけられ、今度は俺と同じ境遇であろう美少女を名乗る変な男。指輪のことはどうしようもないとして、こいつはどうしてやろうか?)

 

 そんな考えを浮かべる横で、アクが口を開いた。

 

「ま、魔王様! その人の言っていることは本当です!」

「は?」

 

 思わず、加えていたタバコが落ちかける。

 

「じ、実はですね……」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 辿り着いた先には大きな岩肌にポッカリと空いた洞窟があって、魔王様はそこでいったん足を止めました。

 

「……アク、ここで待ってろ。小百合……君は、ここでアクの護衛を」

「は、はいっ!」

「……分かった」

 

 そう魔王様に言われて、僕とサユリさんは外で待っていました。

 そんな時に、

 

「……ねぇアク」

「は、はいっ! どうかしましたか?」

「……お話しよ?」

「は、はい?」

 

 思わず首を傾げてしまったんですが、お話程度ならとそのお願いを受けました。

 ですが……

 

「ま、魔王様はすごいですよね! あの悪魔を一瞬でバラバラにして倒しちゃったんですもん!」

「……そうね……確かにすごい」

 

 話を振っても、小百合さんは「すごい」とか「そうなんだ」でしか返してくれませんでした。

 まぁ、それも最初の方で、だんだんといろんなことを話してくれたんです。

 

「さ、小百合さんはなんであの場所にいたんですか? すっごくきれいな服を着られていますし……もしかして……どこかの貴族の方だったりしますか?」

「……気づいたらあそこにいた。家は貴族ではないけど、ものづくりの名家だった」

「そうなんですか!? えっと……もしかして、小百合さんも世界征服とかを考えられているのでしょうか……?」

「……ううん。早く家に帰りたいだけ」

「そ、そうですか……」

 

 家に帰りたい。

 その言葉は僕には辛いものです。

 だって、僕にはもう帰る場所はありませんから……

 暗くなってしまった僕を見て、小百合さんはある行動を起こしました。

 

「……アク、悲しそうだね。……これで、少し気分がまぎれるといいけど……」

「……え?」

 

 そう言って、袖から一枚の仮面を取り出した小百合さんはそのまま仮面をつけたんです。

 

 次の瞬間。

 

 ブワッと小百合さんの全身から煙が発生して、小百合さんの体を覆い隠してしまいました。

 

「小百合さん!?」

「……大丈夫」

 

 心配して声を掛ける僕に、小百合さんは煙の中から大丈夫と言ってくれます。

 煙が晴れてくると、そこには……

 

「はっはっは! 大丈夫だよ! アク君! 今から君を笑顔にしてあげるからね!」

「誰!?」

 

 見知らぬ誰かが立っていました。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「……と、言うことなんです……」

「……なるほど……意味がさっぱり分からん!」

「はっはっは! これは手厳しい!」

 

 アクから一通り事情を聞いたが、全くもって意味が分からん。

 なんで仮面をかぶったら煙が出て、煙が晴れたら出てきたのは男のピエロ。

 なんだ? 異世界マジックショーか?

 

 取り敢えず、こういうのは……

 

「で、それはどういうことかな小百合? 詳しく説明してもらおうか」

 

 専門家(本人)に聞いた方がよさそうだ。

 

「はっはっは! いいとも!」

 

 ……なんか、高笑いがウザいな。

 そんなことを思う俺を尻目に、そいつ――小百合は話始める。

 

「この世には魔法というものが存在している! こういうのはアク君、それに伯斗君、君達も知っていることだよね?」

「は、はいっ!」

「ああ……(いやラノベ系なら分かるがこっちのは知らんぞ? だけど知らんって言おうもんなら「ふぅ……こんなことも知らないのかい伯斗君?」とか言われそうだから、はいって言っておこう)」

 

 内心、言い訳を言いつつも、小百合の話を聞いていく。

 

「それでは基本的な所は飛ばして、僕の能力について解説しよう!」

 

 そう言って、地面に手を付いた小百合は()()()()()()()()()()()

 って、ん?

 

(えぇええええええ!? 地面に腕が突き刺さってるんですけど!?)

「ど、どうなってるんですかそれ!?」

「それについてはまた後で……っと、ここかな? おっとこっちの方だったか。よいしょ……」

 

 驚く俺とアクを横に、地面に腕をめり込ませた小百合は何かを引っ張り出す。

 それは、会議室かなんかに置いてありそうな()()()()()()()だった。

 そのホワイトボードに、これまたどこから取り出したのかマーカーを使い、何かの字を書いていく。

 なんだこれ? 出来の良すぎるマジックショーか?

 

 すらすらと書いていく小百合はある物を書き終えると、こちらを向く。

 出来上がった絵は、マネキンと形容できる人型の周りに、たくさんの仮面がある絵だった。

 

「僕()は、君達もよく知っている人物、あの無表情美少女葛葉小百合を本体としている()()だ。君達も知っての通りに、僕達の本体――ご主人様は、ひっ……じょ~に感情が薄い! その代わりと言っては何だが、ご主人様はある魔法の才能に目覚めた。それが……」

 

 小百合が一呼吸おいてホワイトボードを回転させると、そこには大きく「仮面を作る能力」と書かれていた。

 

「この仮面を作る能力だ」

「で、でも、仮面を作る能力ってそれだけじゃ……」

「そうだ。普通なら、ただの仮面が出来上がるだけ。凡百な魔法使いならそういう結果になるだろう。だがご主人様は違った!」

 

 また一回転させ、さっきの絵を持ってくる。

 

「ご主人様は〝魔道具〟を作る才能にも恵まれていたのだ」

「魔道具、ですか……?」

「そう、魔法が使える道具。それこそ魔道具だ」

 

 そして小百合は、あの初対面の時にいきなりファンネル宜しく飛ばしてきた仮面を懐から取り出した。

 

「これは、鬼の力を宿すと言われる〝斬鬼〟という仮面だ。これは非常に強力で、仮面の縁に至っては並の鎧を切断するほど鋭利だ。なので、くれぐれも不用意に触らないように……。ご主人様はこれを魔力を操作することによって宙に浮かし、相手を切り刻もうと飛翔する殺人円盤と化す。っといった感じに、仮面には様々な能力があると思っててくれ」

「おぉ……」

「…………小百合の姿が変わったのも、仮面の力か?」

 

 話の途中だったが、確信を持って聞けることがあったので、質問を投げかける。

 

「正解! 感情と表情のないご主人様は、友達の勧めで〝感情を持ち、人格を切り替える仮面〟を複数作りだしたのだ!

「なるほど……」

「ちなみにだが、私に着けられた名前は〝道化師(ピエロ)〟! その名の通り、人々の前でお道化て笑顔にさせることを担当している!」

 

 だから小百合は、悲しんだアクを笑わせようとこんな底抜けに明るい仮面をつけたのか……

 

「他にも様々な仮面がある! 堅苦しかったりぃ、融通の利かない奴だったりぃ、暑苦しかったりぃ、そんな奴ばっかりだ! これからもよろしく頼むよアク君! 伯斗君!」

「は、はい! よろしくお願いします! ピエロさん!」

「ああ、よろしく頼む……」

 

 なんか……情報量の暴力でどっと疲れたな……

 って、ん?

 

「これからもよろしくってどういうことだ?」

「え? このメンバーで旅をするんじゃないの?」

 

 そうあっけらかんと言うピエロ。

 

「……まっ魔王様!! 僕も……一緒について行っちゃだめですか……?」

 

 ダメ押しにアクからの提案。

 これで断ったら、流石に人でなしだよな……

 ま、この世界の住人がいれば心強いか……

 

「ふむ、まぁ良いだろう」

「!! ありがとうございます!」

「お! 伯斗君も乗り気だね! それじゃあ、伯斗君が魔王って言われているから……」

 

 そう、何かを考えるようにして、さほど時間をかけずにピエロは言った。

 

「僕達は今から〝魔王軍〟だ!」

 

 何かの決意を込めた言葉と共に、俺達の旅は始まったのである。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「…………ところで、どこへ行くんだったっけ?」

「……(ズルッ)」

 

 大丈夫なのか……?

 

 

 







どうだったかな?


仮面舞踏会(マスカレイド)

 自身が作成した特別製の仮面をかぶることによって人格と能力を切り替えるぶっ壊れ能力。
 感情の薄い小百合のことを気の毒に思った小百合の友人が情報を出し合い、共同制作した一品達。
 副作用で、性別が変わったり性格が180度変わったりする。
 今回登場したのは、その内の()()である道化師(ピエロ)
 他にも大勢いる。
 もちろん、医療が可能な仮面や、戦闘が可能な仮面などもある。
 基本的に、小百合一人いれば大抵のことはこなせるだろう。


道化師(ピエロ)

 まさに魔法としか言えないマジックショーや、底抜けに明るい性格で以て人々を笑わせる男。
 今回も、マジックは何個か披露していた。
 他にも、瞬間移動マジックや、切断マジックなどもできる。(攻撃にも転用可)

 優しい笑顔の裏には……

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