「ハァァァッ!」
「オラァ! チッ、キリがねぇ」
数十回にも及ぶ回数、槍と剣がぶつかり合う。
もはや神速の域に達した英霊の剣と槍の衝突はぶつかり合う度に大気を揺らし、火花を散らす。
そんな戦いを影から覗き見ながら、私たちも動き出そうとしていた。
「キャスター、今から橘一樹に仕掛けるよ」
今、サーヴァント達は自分達の戦いに夢中で、私たちのような伏兵を気にしている素振りはない。
そして、この場に姿を表している唯一のマスターである橘一樹もまた同様である。
ならば、マスター殺しをするしかあるまい。
それに、彼は最優のクラスであるセイバーのマスターだ。
ここで落とせればかなり大きい。
「それは良いけど……
「いや、橘一樹は私が仕留める。キャスターは私の妨害をしてくるであろうセイバーとランサーの足止めをして。例えば……彼の足元を凍らせたりしてさ。貴女の陣地作成スキルなら」
キャスターの陣地作成スキルは少々変わっていて、彼女の陣地作成スキルは彼女が存在している場所を中心として、半径数メートルの地を彼女の陣地にするというものだ。
だから、普通のキャスターの陣地作成のようにマスターの工房を要塞化することには向いてないが、咄嗟の遭遇戦には強い。
ただし、あくまで攻撃手段は他のキャスター同様魔術によるもので、近距離戦が強いとかは特にないので、三騎士相手に殴り込みに行っても普通に負ける。
遭遇戦には強いが自身から積極的に戦いに挑むのは弱いという難しい性能である。しかも、遭遇戦に強いと言っても他のキャスターに比べたら程度である。
だから、戦闘をするかしないかの判断をするにはかなり頭を使わなければならない。
「分かったわ。でも、彼は魔術師としては貴女より強いわよ? どうするの?」
そんな事はもちろん分かってる。
だから、魔術師としての禁忌と神塚の切り札を使ってその実力差を埋めるとしよう。
「魔術師としてはあれだけどさ……これを使うんだよ」
そう言って、私は懐から拳銃、
「銃……ね」
キャスターは露骨に嫌そうな顔をして私の拳銃を見る。
「……私は魔術師としては下の上くらいのステータスしかないけど日本に害を及ぼす外来の魔術師を相手取らなきゃいけないからこういう現代兵器とか平気に使うからまぁ……悪いけど我慢して欲しいな」
「はぁ……仕方ないですね。でも、ただの拳銃じゃ防御魔術に防がれるのがオチよ」
「もちろん、そこに関しても抜かりはない。神塚は魔術の腕はかなり衰えてるけど得意分野……神秘殺しの分野はまだ衰えてないよ。この銃弾には魔術的防御を貫通する術式が刻まれているんだ。流石にサーバントの魔術的防御は貫けないけどマスターの方は問題なく貫通出来る」
そう言いながら、私はM29のシリンダーから弾丸を一発だけ取り出し、キャスターに見せる。
「……不思議な術式ね、これ。まぁ、良いわ。30秒くらいセイバーとランサーを動けないようにしておくから貴女は確実にあのマスターを仕留めなさい」
「任せて。じゃあ、やるよ」
私はコンテナの影から出て、橘一樹の直線上に立ち、銃を構える。
まだ、彼らは気づいていない。好都合だ。
「
私は魔弾の術式を起動するための詠唱を始める。
「我、日ノ本の国を守護する者なり……不遜ながら神塚家24代当主たる神塚麗華が国産みの神に願う」
私が握っているM29に魔力が集まり始める。
……流石に気づかれたか。
「ッ!! セイバー、伏兵だ! 俺を狙ってる」
「ちょっと待ってろ! 今助けに……なッ⁉︎」
セイバーは彼のマスターの危機を救おうと助けに行こうとするが、足が凍りついていて足を動かせない。
「キャスターのサーヴァントか、クソが! マスター、とりあえず自分の身は自分で守れ! アイツが構えてるのは拳銃だ。そのくらい魔術でなんとかなるだろ」
「あ、あぁ。
「……フッ」
思わず笑みを浮かべてしまう。
あぁ、その防御魔術は強力なのだろう。
かの唯一神の偉大なる加護の如く頑強なのだろう……
だが、ここは日本だ。
日本において、八百万の神々の加護を受けている神塚に貫けぬ魔術はないと知れ、
「伊邪那岐神よ、我にいかなる朝敵をも貫く
詠唱終了。
私は引き金を引く。
「お前はもう、死んでいる」
夜のコンテナ置き場に銃声が響き渡る。
今作の主人公、JKのくせして実は衛宮切嗣みたいな奴だった件。
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