Fate/repeat night   作:神代リナ

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第十三話 最凶同盟

「……どうして貴女がここにいるのよ」

 

 私は目の前の短い茶髪の少女、高原萌にそう言う。

 

「えーっと、それは……その……話すと少し長くなるよ?」

 

「長く、ね。良いわよ、話してみて」

 

「昨日の夜、外を歩いてたらたまたま麗華を見つけたんだ。学校休んでるくせに何やってんのかな? って思って着いて行ったら……麗華とそこの……えっと、誰だっけ?」

 

 萌はキャスターの方を見る。

 

「……(わたくし)はキャスターって呼んでくれれば良いわ」

 

「うん、そこのキャスターさんが知らない男の人と殺し合いをしてるのを見てしまったんだ。それで、これ見ちゃいけない奴だ、と思った私は何も見なかったことにして帰ろうとしたら……黒いスーツを着た男の人に追いかけられたの」

 

「黒いスーツを着た男……教会の連中でもないし……魔術師?」

 

「いや、今思うとサーヴァント? ってヤツだと思う。アイツからは人じゃない感じ……いや、この世界にいちゃいけないって感じがしたから。多分、人ならざるサーヴァントなんじゃないかな?」

 

 この世界にいちゃいけない……か。

 そんな雰囲気を出してるサーヴァントなんているかな? 

 うーん、まぁ世界は広いからそう言うサーヴァントもいるか。

 

「まぁ、アイツの正体考察は置いといて……そして、アイツに私は追い込まれて……」

 

「たまたま僕を召喚したって訳だ。そうして、一般人だった僕のマスターは聖杯戦争に巻き込まれた」

 

 一人の男が突如として現れて、そう言う。

 あれは……サーヴァント! 

 キャスターの方を見てみると、あの白髪の俺を睨みつけていた。

 

「このアサシンの言う通り、私はこうして今まで何の関わりもなかった魔術の世界に入った。でも、右も左も分からないからどうしたら良いかな? と思った時にふと麗華が殺し合いをしてたのを思い出した。もしかして、麗華も聖杯戦争の参加者なのかも、と思って貴女の家のインターホンを押して見たの。そうしたらキャスターさんが出てきて……まぁその後何やかんやあってキャスターさんに麗華が起きるまでここで待ってても良いって言われたの」

 

 ……なるほど、なるほど。

 

「キャスター、萌の言う通り貴女が萌達を中に入れたの?」

 

「えぇそうよ。貴女のお友達、敵対する意思が無さそうだし。それに……アサシン陣営と同盟を結べるのは良いと思ったのよ。少し、アサシンは気に食わないけど」

 

「キャスター、あの事は悪かった。ただら僕も突然サーヴァントが出てくるとは思わなくてつい癖が出たんだ、故意じゃない。だから、そろそろ睨むのをやめてくれないか」

 

「はぁ……えぇ、それは分かってます。……こんなに引きずるなんて今回は(わたくし)も大人気なかったわ」

 

 そう言うとキャスターはアサシンのサーヴァントを睨むのをやめた。

 はて、二人の間に何かあったのだろうか? 

 

 それにしても敵対の意思は無い、か。

 キャスターが言うなら本当に彼女達には無いんだろ。

 でも、そうなるとサーヴァントとマスター両方に聖杯への願いは無いってことか。

 

「なるほどね。今回は良いけど、もし私の意識がある時はちゃんと確認とってよ?」

 

「勿論、レイカに意識があるなら許可は取るわ。安心して」

 

 なら良いけど。

 

「ねぇ萌、一応確認するけど貴女は聖杯への願いは無いのよね?」

 

「うん、私そもそも巻き込まれただけだし。急になんでも願いが叶うって言われても困ると言うか何というか……」

 

 うん、萌は嘘をついてない。

 あとはアサシンの方だ。

 

「アサシン、貴方も願いはないのね?」

 

「あぁ、僕はこの聖杯戦争で召喚された異常存在を殺すために召喚されただけだ。別に聖杯に願いを叶えてもらうためじゃない。それに、僕の願いは聖杯では叶えられない。だから、君達と争う気はない。あぁ、聖杯降臨なら安心するといい。僕が消えなくても魂の数は足りる」

 

 魂の数は足りる? 

 異常存在? 

 何のこと……? 

 

 まぁそこら辺は後で聞こう。

 今は大事なものだけ片付けよう。

 

「萌、聖杯戦争の説明は誰かから受けた?」

 

「うん、受けたよ。アサシンとキャスターさんから」

 

「……貴女は聖杯を要らないって言ったでしょ? だったら、教会に保護してもらうのは考えなかったの」

 

「……私はこの戦いからは降りない。とある理由があるから」

 

 とある理由? 

 

「えっと、とある理由って言うのは?」

 

「あんまり言いたくない。けど、麗華に害は無いから。そこは安心して」

 

 そっか。

 じゃあ、わざわざ無理に聞き出す事もあるまい。

 そう思い至ると、私は一枚の紙を懐から取り出し、少々内容を書き足してから萌に渡す。

 

「セルフ・ギアス・スクロール……なるほど」

 

 と、アサシンが呟く。

 あのサーヴァント、魔術の世界の事も知ってるのか。

 

「えっと、これは何?」

 

 萌は一般人だからこの紙のことを知らなくて当然だろう。

 

「セルフ・ギアス・スクロールって言う契約書ね。まぁ魔術的な仕掛けのある契約書だと思って」

 

「魔術的な仕掛け……? その仕掛けってなんなのさ」

 

「契約内容を違えると死ぬ呪いみたいな感じ」

 

「つまり、ここの名前を書く所に私の名前を書いたら……内容を守らないと私は……」

 

「死ぬね」

 

 少し、嘘をついた。

 このセルフ・ギアス・スクロールはあくまで魔術刻印がある相手同士にしか機能しない。

 要するに、魔術師でもなんでもない萌には効果がない。

 

 しかし、萌はそれを知らない。

 だから、本当に死ぬと思って恐れている。

 現に、今萌の顔は真っ青だ。

 

 ただ、アサシンはこれが嘘であることを知っているはずだが……

 

「……」

 

 指摘をしない。

 なるほど、私と同盟を組んだ方が良いから黙ってるのか。

 中々、いい性格をしてる暗殺者だこと。

 

 ちなみに、セルフ・ギアス・スクロールの内容は

 

《神塚麗華は永遠に高原萌に対して如何なる攻撃及び妨害も行わない。その代わりに高原萌も神塚麗華に如何なる攻撃及び攻撃を行なってはならない》

 

 というものだ。

 

 要するに事実上の不可侵である。

 ちなみに永遠だと聖杯が降臨しないはずだと思うかもしれないが、アサシンが先程魂の数は足りると言っていたので永遠にした。

 

 あったばかりのサーヴァントの言う事を信じるのはいけない気がするが、嘘をついている素振りはないし、そもそも嘘をついた所で彼にメリットが無い。

 

「萌、もし私と同盟を組む意思があるならサインして。そうじゃないなら、私たちは敵。今すぐ、攻撃させてもらう。さぁ、どうする?」

 

「……はい、これで良い?」

 

 ……ちゃんと高原萌と書いてある。

 うん、問題はない。

 

「本当に、私と同盟を組んで良かったの?」

 

「もちろん! だって私、何も分からないもん。だったら、麗華と同盟を結んだ方が心強いよ」

 

「そっか。にしても、キャスター陣営とアサシン陣営の同盟か。中々、敵からしたら面倒な同盟だね」

 




明日、今更ながらプロローグを投稿します。
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