Fate/repeat night   作:神代リナ

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第十四話 その瞳の先に

 ……俺の目の前には美しい少女がいる。

 その少女の艶めかしく、長い黒髪が自由に靡く。

 その少女の海の如く深い青い瞳はしっかりと討ち滅ぼす敵を見ている。

 俺は、その美しい瞳を最も良い位置で見られる敵に少し嫉妬した。

 "あぁ、俺もその瞳で睨まれたい"

 そんな気持ちで心はいっぱいだった。

 

 そして、彼女の右手に握られている刀が舞う。

 その人を殺すことのみに特化したその剣術には一切の無駄が無く

 機能美のみを追求したものだった。

 しかしながら、俺からしたらそこらの見せるための剣術なんか目にないほどの"美"がそこにあった。

 

 そして彼女の刀が敵の心臓を一撃で貫き、返り血で濡れた。

 やることを終えた彼女は俺たちの方を振り返る。

 彼女の至るところは血濡れており、身につけている着物は少しはだけていた。

 しかし、その程度で彼女の美は侵されない。

 あぁ、女神の如き美とはまさに彼女にこそふさわしい。

 

「藤乃神父、終わりました。にしても、まさか聖堂教会と組むことにはなりませんでしたけど。ところでそちらの方は……」

 

「あぁ、私の知り合いでね。彼は魔術師専門の始末屋だ。もし、君がしくじった時のために保険として連れて来たんだが……必要なかったな」

 

 彼らは何か話しているが、私の耳には届かない。

 あぁ、彼女が欲しい。

 彼女を俺のものにしたい。

 彼女を俺の所有物にした上で、あの神聖不可侵な身体を汚し尽くしたい。

 

 そんな思いに浸っていたら、どうやら解散するらしい。

 俺を通り過ぎる際に、神父は俺にこう耳打ちした。

 

「彼女が欲しいなら、一年後に天野教会に来い」

 

 ははっ、ハハハハハハッ。

 一年後に俺の願いは叶うのか。

 星の如く人の手には届かないこの願いが。

 

 あぁ、一年、一年か。

 とても短い/あまりにも長い

 

 そんな矛盾した思いを抱いた。

 今まで、多くの魔術師の女を力で組み伏せ、汚して来た。

 だが、あれらを犯している時に得られる快楽はあくまで使い捨てであり

 あの女共を自分の物にしたい、とは思ったことは一度もない。

 

「あぁ、楽しみだぁ」

 

 今の俺の顔は、きっと獲物を見つけた時の獣のような顔をしていることだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、あれから一年が経った。

 とても、とても、待ち遠しかった。

 もう一秒たりとも待てない、我慢の限界だ。

 

 令呪も神父から三画もらったし、ライダーのサーヴァントもちゃんと召喚出来た。これで、資格は得た。彼女を、神塚麗華を得る資格を。

 

 だが、天野市の神塚家の屋敷には彼女の気配を感じなかった。

 なんで、どうして

 

「ふざけるな、ふざけるなぁぁぁぁ!」

 

 思わず叫んだ。

 こんな、こんなことが許されるのか? 

 彼女は、まさか聖杯に選ばれなかったのか? 

 

 否、否! 

 そんなはずはない。

 あの女が選ばれないはずはない。

 確かに彼女は真っ当な魔術師としては弱い。

 何故なら、彼女の魔術回路の数が純粋に少ないからだ。

 

 だが、だが! 

 それがどうした。

 その程度で彼女の評価が落ちるもんか。

 彼女に術など要らない。

 あの女に必要なのは一振りの刀だけだ。

 それさえあれば、あれは輝く。

 

 それに、彼女はこの国の守護者であろう? 

 ならば、この聖杯戦争に参加するというのが道理というもの。

 

 だから、だから、彼女は参加しているはずだ。

 ここじゃないだけで。

 

 その後、天野市中を探し続けた。

 そして、ついに。

 なんの変哲もない一軒家。

 そこに彼女は居た。

 

「神塚……麗華ァァァ」

 

 唇の端が吊り上がる。

 見つけた、ようやく見つけた。

 

「ライダー、行け」

 

 さぁ、俺の聖杯戦争の開幕だ。

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