「……レイカ、外に何か居るわ」
萌との同盟が成立してから一時間ほどたった頃にキャスターがそう言う。
「……サーヴァント?」
「サーヴァントに近しい反応が3つ、サーヴァントの反応が1つという所ね」
サーヴァント一騎はまだ分かるけど……サーヴァントに近しい反応?
なんじゃそりゃ……また面倒臭そうな……
ていうか、まだ昼間だよ?
神秘の秘匿はどこに消えたの?
「……まったく、何処のバカよ。昼間に人の拠点に戦闘ふっかけて来るのは」
「だが、そこまでバカでも無さそうだ。……この辺りから根こそぎ生物反応が消えている。恐らく人払いの結界でも貼ったんだろう。最低限の秘匿をする気はありそうだ」
とアサシンが言う。
まぁ、確かに秘匿はする気はあるのだろう。
とはいえ、だったら夜にやれよ感が凄い。
「キャスター、そいつらに動きはある?」
「……1mmたりとも動いてない。出て来い、ってことじゃない?」
なるほど、なるほど。
わざわざ、そいつらの思惑通りここから出てきてやる義理も何もないが……
「どうするの、麗華?」
萌が聞いてくる。
どうするかは決まっている。
心底、相手の思惑通りに動きたくはないが夜まで待てないような狂人が何をやらかすか分からない以上、速やかに撃破するしかあるまい。
「そいつらの望み通り、迎撃する。あ、萌は二階の私の部屋にでも篭ってて」
萌はあくまで聖杯戦争に巻き込まれただけの一般人。
戦闘に参加したところで敵マスターに殺されるのがオチだし、何より……なるべく一般人を神秘に関わらせてはいけない。さもないと、彼女は平穏を取り戻せなくなる。
「で、でも、私だってマスターってやつだし、一応外に出た方が……」
「はぁ、貴女が外に出たところで敵魔術師に瞬殺するだけ。悪いことは言わないから隠れておきなさい」
む、すんなり言うこと聞くと思ってたから意外だ。一般人なんてこんな血生臭い戦いに参加したくないと思うと予想したのだけど……。
現実味がなくておかしくなってる?
それとも……私には言えない目的地とやらに関係がある?
まぁ、どちらにしろ彼女には隠れてもらうが。
……まだ、彼女は納得していないらしい。
言いたくはないけど……
「あのね萌、こうあんまり言いたくはないけど……」
「マスター、君に戦場に出られると正直足手まといだ。僕はサーヴァントとの戦いをしている最中に君のお守りをするほどの余裕はないだろうし、それはキャスターと神塚麗華も同じだ」
「そ、そっか。うん、私じゃ役に立たないよね。じゃあ麗華、部屋借りるね。……みんな、生きて帰って来てね」
と言い、萌は二階へと上がって行った。
アサシンの奴、私が言おうとしたこと全部、言っちゃった……。
「アサシン、ありがとう」
「礼を言われる覚えはない。僕はあくまで君たちの仲が拗れて戦闘に支障が出るのが嫌だっただけだ」
……冷徹な殺人マシーンみたいな印象を受けるアサシンだが、ひょっとしたら本当は優しいのかな?
まぁ、それはいい。
最後に装備の確認をする。
服は……今回は昨日の狙撃で主力魔術礼装だったあの着物は損傷があるから今回は簡易的な礼装化を施している制服を着ている。
礼装に問題は……無し。
にしても、この制服の魔術礼装化はあくまで登下校中に魔術師に襲われた時の保険として施したのに……まさか、魔術師と全力で殺りあう時に使う羽目になるとは。ちょっと防御力が不安。
武器は、M29と霊刀。
どちらも、問題ない。
よし、じゃあ行こうか。
「キャスター、アサシン、行くよ」
そうして、私たちは居間を出て、玄関の扉を開ける。
……私たちを出迎えてくれたのは、昔の船乗りの格好をした男と真っ黒な制服に身を包んでいるナチの武装親衛隊と思わられる男が三人、そして
「神塚麗華ぁぁぁ……ついに、ついに俺の前に……」
狂気を孕んだ目でこちらを見ている、見覚えのある魔術師だった。