穢れを貫きし銀弾は確実に徒花零慈の心臓を貫く。
「アガッ……ア、アァァァァァァッッ!!」
吸血鬼に対して強力な特効効果のある純銀性の弾丸は毒となり、彼の身体を内部からボロボロにしていく。
彼の身体中から流れ出る血液により、地面を真っ赤に染め上げていく。
「ガッ、アッ……」
彼は顔から地面に崩れ落ちる。
バシャン、と血の池に。
彼は最後の力を振り絞って立ちあがろうと腕に力をこめるが、純粋に力が足りないのと血で滑るからか少し身体が持ち上がっては再び血の池に落ちるのを繰り返している。
……哀れだ。
これ以上、敗者を辱める必要もあるまい。
私はM29をホルスターに戻し、霊刀を鞘から抜き、彼へと近づく。
一歩……二歩、三歩……そしてついに彼の目の前へと辿り着く。
「……ア……ァ」
もはや徒花零慈は虫の息のように見えるが、油断してはいけない。
この状態からでも、逆転しかねないのが死徒というものだ。
心臓を貫いた上で、首を討ち取っておかないと不安で仕方ない。
私は霊刀を振り上げる。
今回は呆気なかったな
なんて思いながら、彼の首を切り飛ばそうと霊刀を振り下ろすと……
「……は?」
私の身体は宙に浮いていた。
そう、霊刀の刀身は徒花零慈の首に届く前に、何かにぶつかり、その衝撃で私は吹き飛ばされた訳だ。
私の身体は私の家の四軒隣りの家の壁をぶち破り、その家の居間に転がった。
「ッ……!」
肺に空気が入らない。
まずは姿勢をどうにかして、呼吸をしないと。
「……ッ!……ガハッッ、ッハァ……ハァ」
なんとか立ち上がり、酸素を肺は取り込み始めた。
……左手が逝ったらしい。
だが、右手は動く。なら、なんとかなるだろう。
私は右手で霊刀を強く握り締める。
あぁ、身体中が痛い。休みたい。
でも、まぁ彼が休ませてくれるはずもなく……
「油断したな、神塚麗華」
そう言いながら、彼は私の前に現れる。
もはや、弱っている様子はない。
嵌められたか、チッ。
先ほど持っていた機関銃は既に持っておらず、代わりに彼の左手には巨大な血塗れのバスターソードを握り締められていた。
……あのバスターソード、見覚えがある。
確か、以前私に戦いを挑んできたあの外来の魔術師が同じものを持っていたはずだ。
「……そのバスターソード、見覚えがあるわ。なんなのそれ?」
「あぁ、これか。これは徒花家の本家にあたるとある西洋の魔術師の家系が生み出した、殺した敵の魂をストックしておける魔剣だよ。人間だった頃は俺にとってなんの役にも立たなかったが、今ならかなり役立つな。例えばぁ、お前の銀弾による俺の魂へのダメージをどこの誰かも分からない奴の魂に肩代わりさせたりな」
サーヴァント達の援護もまだ受けられない状況でコイツの蓄えた魂を殺し尽くさなきゃいけない訳か。
なるほど、これはめんどくさい戦いになりそうだ。
……コイツ相手に私は勝てるのだろうか?
そんな疑問が私の脳裏を掠める。
いや、勝てるかじゃない……勝たなきゃいけないんだ。
護国の魔術師として。
霊刀の先を徒花零慈に向けて、そのまま全力で突撃する。
まだ、身体強化は続いている。
霊刀の刀身とバスターソードの刀身が交わる。
「ッ、ハァァァァ!」
「フッ、軽いな」
私の霊刀の刀身は軽く弾かれる。
「……チッ!」
「どうした、護国の魔術師。お前の実力は、その程度かァァァァァァァァァァ!」
「なめるなぁ!」
私は身体強化にほぼ全魔力を費やし、全力でバスターソードの迎撃をする。
再び私たちの剣の刃が激突する。
激しい力によって打ち付けられた刃から火花が散る。
マスター情報更新
徒花零慈
年齢:37
身長:185cm
性別:男
体重:73kg
職業:傭兵(魔術使い)
願い:聖杯に興味無し
魔術師界隈でかなり忌み嫌われている魔術使い。救いようのない屑。容姿の美しい魔術師を凌辱している時が一番生を感じるとは本人談。魔術の腕はそこそこ優れているが、現代兵器を使うことも厭わない。魔術属性は火。神塚麗華に勝つための力を得るために死徒になった。