Fate/repeat night   作:神代リナ

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第十九話 野生本能Ⅲ

……一撃目、二撃目、三撃目。

 

何度も何度も、私たちは刃を交える。

しかし、どちらも傷を付けないで終わる。

 

「どうした、神塚麗華……貴様の実力はその程度か!」

 

「あんまり……舐めてると……痛い目に、合うわよ!」

 

十撃目、私は遂に徒花零慈の剣を大きく弾くことに成功する。

これはチャンス!

 

「はぁぁぁぁ!」

 

霊刀の刃が彼の首を断ち切る。

普通ならこれで彼は死ぬのだろう。

 

だが

 

「ふん、これで二つ目か。まだまだ余裕だな」

 

この一撃は彼のストックしている数多の魂の一つを削ったに過ぎない。

彼の魂本体は一ミリたりとも傷ついていない。

 

彼の首から上が瞬時に蘇生する。

そして、彼は再び何事もなかったかのように剣を振いはじめる。

 

「速度が鈍って来ているぞ、神塚麗華ぁぁぁぁ!」

 

「しまっ!!」

 

彼の今までよりも早い斬撃を迎撃していたら、私の霊刀が吹き飛ばされる。

私の手元にある武器は……M29のみ。

ただ、M29を構えるまでの間に私が真っ二つに切られる方が早いだろうから実質この距離じゃ使えない。

 

なら、どうする。

ここは……

 

「遠つ御祖の神、笑ほほえみ給え!」

 

結界魔術で防ぐしかない!

私の心臓を貫こうとしていたバスターソードの先が結界にあたる。

 

「……! この程度の結界如きぃ!」

 

結界を破壊せんと徒花零慈が力を入れるが、今のところ結界にはヒビ一つ入らない。

なんとかなったか、と私が安堵しかけた時

 

 

パキン。

パキン。

パキン

 

……結界にヒビが……不味い!

 

「ッッッ! ハアァァァァァァッッ!」

 

結界が破られないように全力で魔力を込める。

しかし……

 

パキン。

パキン。

 

ヒビは広がっていき……

 

パリンッ。

 

遂に魔力が持たなくなり、結界が破れた。

 

「ァ……」

 

私の心臓部にバスターソードが突き刺さる。

そんな様子を何処か他人事のように眺めていた。

 

バスターソードが私の身体から引き抜かれる。

 

ドボドボドボといった感じで勢いよく私の身体から血が流れ出ていく。

身体が冷たくなっていく。

その血が誰かの家の部屋の床を真紅に染めていく。

 

寒い、寒い、さむい。

あたたかいばしょ、どこかな?

わたしはあたたかいところにいこうとして。

 

「ぁ……」

 

足に力が入らず、そのまま地面に私の身体は崩れ落ちる。

からだがかたまっていく。

 

いやだ、いやだ。

でも……ねむくなってきたなぁ。

ねちゃっても……いっか。

 

そう思いながら……私は()()を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……終わった、終わった。

 

俺は遂に神塚麗華を打倒した。

神塚家歴代最高傑作を正面から撃ち破った。

橘とは違い、正面から実力で、だ。

 

最初に胸に抱いたのはやはり高揚感だった。

しかし、それはすぐに虚しさに変わった。

あぁ、彼女との戦いはもう終わったんだと

そう考えると少し虚しくなる。

 

でもまぁ、自分のものになるんだから良いだろう。

そう自分に言い聞かせて、彼女の血を吸うべくゆっくりと余裕を持って地に伏している彼女の元へと歩む。

 

ふと、脳裏にある疑問が掠り、歩みをとめる。

 

「そう言えば……なんで彼女は一族の最高傑作と呼ばれていたのだろうか?」

 

彼女は確かに強い、強いがそれは総合的な戦闘能力の話だ。

彼女は魔術師としてはお世辞にも優秀とは言えない。

 

何故なら魔術回路数も、魔力量も少ないからだ。

 

そんな彼女を日本有数の大魔術師の一族たる神塚が最高傑作と呼ぶだろうか。

 

「……全拘束、限定解除」

 

そんな機械音声じみた抑揚のない声が聞こえた。

まさかと思い、思考を辞め彼女の方を見る。

 

「お前は……誰だ……?」

 

思わずそんな疑問が口から漏れた。

 

彼女が、神塚麗華が私の目の前に立っていた。

 

それは良い。

 

彼女ならそれくらいはあるかもしれない。

 

彼女の身体には傷一つ残っていなかった。

 

これもまだ良い。

 

治癒魔術でもかけたのかもしれない。

 

だが、その雰囲気はなんだ?

さっきまでのとはまるで別人。

 

というか、この雰囲気は人のものか?

そんな疑問すら出てくる。

 

彼女の()()()()がこちらを見る。

思わず畏怖の念を抱く。

 

「……我が名は神塚麗華。それくらい分かるだろう?」

 

……違う、違う。

断じてお前は神塚麗華などではない。

 

コイツは……コイツは早く殺さないと。

本能がそう叫ぶ。

 

その本能に従い、彼女へバスターソードを振り下ろす。

 

トレース(神剣作成)……」

 

あと少しで、彼女を切り伏せられる。

そう安堵した瞬間……

 

オン(開始)

 

いつの間にか、彼女の手に握られていた翡翠色の剣によって俺の剣が砕け散っていた。




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