……私は麗華の部屋から、一人安全なところにいる。
なんか、悔しいな。
みんなは命をかけて戦ってるのに。
まぁ、心の奥底では分かってる。
私なんかが外に出て行っても迷惑にしかならない。
私はここにこもって、アサシンを現界させるための楔としての役割だけを果すのが身分相応というヤツだろう。
《マスター、敵の掃討が完了した。君のお友達の方も敵を倒したようだし、任務終了だ。さて、次はどうする?》
《……とりあえず、帰還して》
《了解》
アサシンとの念話での会話が終わる。
「はぁ……嫌になっちゃうなぁ」
「辛気臭い顔してるわねぇ、萌」
「うわぁ! ……ってなんだ、麗華か」
「なんだとは何さ、なんだとは。あ、戦闘は無事勝利で終わったよ」
麗華が帰って来た。
彼女も疲れているだろうに、そんな気配さえ出さない。
やっぱ凄いなぁ、麗華は。
まるで、聖人の如き優しさ。
他人をさも当然のように救う。
他人を救う余裕のある人間というのはほとんどいないってに。
でもさ、彼女も人間だからさ。
その裏では疲弊しているのだ。
だからこそ……
私は彼女を助けたいんだ。
キャスター陣営の拠点がよく見える高層ビルの屋上。
そこに俺たちは陣取り、ライダー陣営とキャスター陣営の戦いを観察していた。
「……良かったのか、アーチャー?」
俺は隣にいるスナイパー、アーチャーに話しかける。
「何がだ?」
「あのアサシンを見逃したことだ。ヤツ、確実にこちらに気づいてたぞ。ひょっとしたら、後からここに来るかもだ」
そう、俺が言うとアーチャーは笑いながらこう返した。
「あー、その心配はいらねぇよ。ヤツは俺と似てるタイプだ。敵にむやみやたらと突っ込んでくるタイプじゃねぇ。相手のことをじっくり観察してから、絶対にやれる! って時に一発で仕留めるってタイプな」
まぁ、歴戦の兵士たるアーチャーが言うならばそうなんだろう。
さて、ライダー陣営とキャスター陣営の戦いも終わったしここら辺が引き時だろう。
俺は双眼鏡を下ろして、しまう。
「アーチャー、拠点に帰還するぞ」
「りょーかいっと」
アーチャーと俺は屋上から出て、ビルのエレベーターに乗る。
1と表記されたボタンを押してから閉を押す。
エレベーターが地上に着くまでの暇な時間。
しばらくの間、沈黙が場を支配するがアーチャーが口を開く。
「なぁ、マスター。あんたの願いはまだ変わらないのか?」
「……変わらんよ。俺は女王陛下に忠誠を誓った身。連合王国のために聖杯を使わねばなるまい」
「一つだけ忠告だ。あの大戦で真っ先に死んでいったのは……あんたみたいな愛国者だったよ」
アーチャーがそう言い終わった時、ちょうどエレベーターのドアが開いた。