……いつも通り任務を終えて、俺が何年も前から使っている拠点、まぁ拠点と言ってもただの天野市にあるアパートの一室だが、に帰って来るとアーチャーが真剣な顔をして自身の
珍しいな、今の時間はいつも銃に触れてないだろうに。
「やたら精が出るじゃないか、アーチャー。一体どんな風の吹き回しだ?」
「……いや何、ちょっとした感でな。今日の夜、この戦いにおける俺の命運が決まる気がしてな」
「ほう。で、そんな命運を決める戦いの相手は誰だと思う?」
「……キャスター陣営とアサシン陣営のタッグ、多分こいつらと今日ぶつかる。キャスターのマスターは恐らく俺を優先的に倒そうとするはずだ。もう二度と、他人との戦闘中に肩をぶち抜かれたくねーだろうからな」
キャスターのマスター、神塚麗華……か。
この聖杯戦争に参加しそうなヤツを調査していた時、彼女の情報も見た。
幼くして、この国を守護する神塚の当主になった少女。
なんとなく自分と似ている気がした……連合王国に、女王陛下に絶対的な忠誠を誓っている自分と。
「ハッ、お前もガチの顔になってるじゃねぇか。……やっぱり、同じ愛国者として負けられないってか?」
「……あぁ。彼女に負ける、それすなわち女王陛下の顔に泥を塗ることになる。負けられないさ、絶対に」
「……俺には分からねぇな。あの時代、あの国出身の俺には。大国生まれの人たちは愛国心を持てるなんて羨ましいことで」
私たちの新たな拠点となった、天野駅近くのビジネスホテルの一室。
そこで私は、小さめの机に広げた地図と睨めっこしていた。
「……連絡、遅いわね」
「……来た」
私のスマホから着信音がなり響く。
「……萌、どうだった?」
「A地点、敵影無し。次行って来るよ」
「えぇ、よろしく。気をつけてね」
通話終了。
A地点……秋風タワーズホテルはハズレらしい。
萌のサーヴァントであるアサシンがそう判断したなら間違いないだろう。
彼、スナイパー探しとか得意っぽいし。
私はそんな事を思いながら、地図上の秋風タワーホテルの位置にバツ印を付ける。
……あの後、どの陣営と次に戦うかを話し合った結果、アーチャー陣営と戦うことに決定した。
遠距離からライフル銃で正確に相手を狙い撃ち出来る高度な狙撃能力は脅威でしかない。
他の陣営と戦っている時に狙撃されたら迷惑極まりないし。
で、この天野市で狙撃に適した場所といえば高層ビルの屋上。
あそこからなら、街を一望出来るし、夜にあそこに来る人はほとんど居ないし、狙撃スポットとしてここを使わない訳はないだろう。
という訳で、現在偵察能力に優れているアサシンとそのマスターである萌に天野市中のビルを調べてもらっている。
私たちは、昨日のライダー陣営との戦いでのキャスターの損耗具合を鑑みて、アーチャーを発見するまで待機……まぁ一応司令部の役割をしている。
さて、今の時間は19時……今日中までに見つかればいいけど。