The Warrior World プロローグ…… 作:犬丸ミケ
「入ってろ!!」
ガシャン!!と金属のような音を立ててそれは閉じられる。
「……」
俺は…何故ここにいるのだろうか…
あたりは血生臭く、まるで死人の小屋のような場所だ。
そんな入る気にもなれない場所に俺は俺は両手首、両足首に手枷などをつけられて動くことができないようにされている。少しだけモゾリと動いてみると鎖が音を立ててそれ以上動けないように俺自身を縛り続ける。
「…どうして…こうなった……」
3日前のこと……
「分かった、もう一度言おう。昨夜、貴様は異教徒の住処に独断で潜入、貴様自身は[人身救助]と言っていたようだが…あの場で何をしていたか言ってみろ」
俺の正面にいる少し年代を過ぎた中年の男性は俺自身を威圧するかのように質問する。いや、質問というより尋問の方が正しいのかもしれない。辺りは部屋が繋がっているように見えるが、俺と俺の正面の男性の間に透明な壁のようなものがある。
俺の手足には手錠が繋げられている。動くにも動けない状況。これは本当に尋問のようだ。
「…俺は…確かに人身救助の身であの場所に入った…でも…俺はそれ以外のことは…!」
「…やはり覚えていないのか…分かった、真実を教えてやろう。殺人鬼、セント・エルバーユ…」
「……は…?」
この男は何を言っているのだろうか。だが、俺の耳が間違っていないのなら…たった今この男は俺のことを[殺人鬼]と言ったのだ。
「…なんのことだ…?」
「…昨日、貴様は異教徒の住処に人身救助として潜入した。ここまでは覚えているな?」
「…はい。」
「その後のことだ。貴様は自分自身の愛用の刀で異教徒共を殺害、それも一人残らずだ。」
何を言っているのかわからない。
というより、覚えがない。
この男性は何を言っているのだろうか?俺が殺人を犯すなんてことなど…と俺は思っていた。
「それだけじゃない。応援に駆けつけた兵士まで貴様が殺害したのだ…本当に何も覚えていないのか?」
「……俺は…」
考えがまとまらない。だが、一つのことを思い出した。
それは、異教徒の住処にいた時に気がつけば周りは紅色で染まっていた。紅色の水溜りの中心には異教徒、それどころか異教徒らしくない服装である人達もその紅色の水溜りの中心にいた。誰が殺したのか分からなかった。だが、それを考えているうちに別の兵士がやって来て、何があったかを聞こうとしたが、兵士達は…
「動くな!!悪魔め…!!」
予想だにしない発言であった。兵士達の目はとても怯えており、武器を持つ手がかなり震えていた。腰はとても引けており、素人の兵士のような構え方で俺の周りを囲っていた。
「もう一度言おう、お前は異教徒の住処に人身救助の身で潜入、そして異教徒を全員殺害、それどころか応援に駆けつけた兵士すらも大半が死亡、それも胴体や首が斬られていてだ。本当に覚えがないのか?」
またもや同じ質問、しつこいと思いつつもまた返答する。
「…ありません…」
すると、男性は一瞬だんまりし、一度ため息を吐いてから、
「…私は…お前を罪人に仕立て上げたはないのだ。あなたは我々に希望を与えてくれた英雄なのだ…なのに、それが突然殺人鬼のようになってしまうなど…考えたくもないのだ…」
それは情であった。
かつて俺は人々から悪魔の脅威から退け、英雄と呼ばれていた。それが今はその人々から悪魔、殺人鬼と呼ばれている。もうわけが分からなくなっていた。
それから今に至り、俺はこの血生臭い独房の中にいる。あの尋問の後、神聖裁判所(この世界においての最高裁判所的存在の裁判所)にて死刑宣告を言い渡された。執行猶予は4日。そして今日はその前日である。
「…俺は…殺してなどいない…誰も…殺してなど……」
思考が巡った結果に繋がる答え、それは現実逃避だ。俺は殺してなどいないと言っても、現実において俺は人殺しになっている。それは現実だから非情なのか、それとも俺自身がそれを自覚していないのか?そのすべてがわからなかった。
「いいや…お前は殺したさ…たくさんの人間を…英雄…いいや、殺人鬼セント・エルバーユ…」
「…!?」
時刻はすでに真夜中、警備の兵士はこの独房の先の扉にて警備しているため中には誰も入っては来れないのだ。だが、声が聞こえる。現実逃避の末の幻聴だろうか。
「お前は何も覚えていない…いいや、思い出そうとしない…お前が殺したのだ、あの黒いフードをかぶった無力な人間達を…貴様が握った刀がその命を断ち、やがて貴様を助けるかのように参上した兵士達も貴様のその手で殺したのだ…それが真実だ…」
やはり幻聴ではない。俺自身の耳から通して聞こえるのだから。だが、なんとなくその声は知っている気がした。というより、とても身近に感じた。
「その時貴様は笑っていた。怒り狂っていたか、悲しみに満ちていたか、それは貴様自身、あるいは私にしか分からないのだ。」
その声は冷たく、背筋を逆撫でするかのようであった。だが、不思議と安心感を与えるような声だ。
「もう一度殺してみたいとは思わないか…?あの時の愉悦に満ちたあの表情で…私と共にその手で刀を握り、貴様を陥れるかのような愚かな人間どもに制裁を与えてやろうではないか…」
やがて目が慣れたのか、うっすらとその姿が見える。目は煌く紅に染まっており、髪は長く、暗闇に光を与えるかのような銀色であった。
俺自身、その姿に見覚えがあった。
「…誰なんだ…お前は…?」
「私か?私は……」
答えずともその人物は誰か理解できてしまった。それは……
数年後……
「はぁ…はぁ……」
どこかの崖にてその二人は戦っている。崖の下は広い森であり、背の高い木々で覆われていた。天候は激しい雨であり、視界がとても悪いが、その崖で二つの影が視認できる。どうやら戦闘中のようだ。
戦っているのは二人の男性。
一人は綺麗な白髪に大きな白い翼を広げており、頭の上には黄色に光る輪があり、服装は何か神秘的な雰囲気を思わせる。その姿を一言で言えば天使であった。
もう一人は一見普通の人間。
とても凛々しい目から戦士だと予測がつく。容姿は黒が目立つコート状の服装に癖のある黒の強い茶色の髪型である。だが、こちらの男性はすでにボロボロであり、自身の武器であろう大きな大剣で自身体を倒れないように支え、膝をついていた。
天使のような男性のほうは目立った外傷が見えず、ピンピンしていた。
「どうした?その程度の力で我々から抗おうというのか?」
「…くっ…まだだぁ!!」
最後の力を振り絞ったかのように立ち上がり、そのまま天使に向かって切りかかる。だが、
「…抗うのはいいが、貴様はすでに満身創痍ではないか…自分の体の状態にも気づけないなど…愚かな人間よ…」
剣士のほうは天使が言ったとおりにすでに満身創痍であり、大剣の重さに振り回されながら振り落とすも、簡単にいなされてしまい、バランスを崩しながら崖の端へと倒れ込んでしまう。
「はぁ…くそ……」
「分かっただろう?貴様では我々は倒せない…必然なのだよ。なのに何故だ?何故その目をしていられるのだ。哀れな剣士よ…」
剣士はまだ諦めていなかった。その目から凛々しさは潰えず、また同じように立ち上がる。
「…これで最期にしよう…神波【神輝破弾】」
天使の右手に青色の光が球状になり、そのまま剣士へと接近し、腹部に平手で殴る。
「ぐ…あ……」
「……落ちるがいい。」
青色の球状の物体は一瞬強い光を放ち、そのまま爆発する。
爆発の衝撃で剣士の体は吹っ飛び、崖から落ちていく。
「…………」
「…気絶したか…まぁ、無理もないだろうな。」
普通なら叫び声を上げるような物だが、剣士にはすでにその力を失う以前に意識を失っており、そのまま深い森へと消えていく。
「…最後の時まで抗う勇敢で愚かな剣士よ…まだ生きているのならば次の貴様との闘い…楽しみに待っているぞ。」
その場に白い羽を残し、天使は空へと飛んでいく……
この物語は、一つの過ちが憎しみへと変わり、世界を覆い尽くした時、意思を引継ぎし剣を持ち、覆い尽くされた憎しみを断ち切る一人の剣士による冒険談である。
Newt 第一節「忘れられた剣」より…
えーと…どうも、豊聡耳陽廻輝です。
まぁ、新作をやるのはどういう風の吹き回しかと思われるでしょうが、理由としては…東方 夢影界鏡は何を隠そう、東方の二次創作。次の話を作るには東方の原作の弾幕を描写に使いますが、サボり癖の悪い作者が故に研究を忘れてしまうということなんです…(泣)
それでは結果的に小説が書けない上に、描写などの腕が落ちてしまう(それ以前に技術なんて皆無ですが(泣))のもアレなので、そんな時ようとしてこの作品も書いて行こうと思います。
この作品の出す頻度も作者の気分とかそういうのにまたブレてしまいますが、東方 夢影界鏡と共に続けて行こうかなとも考えているのでどうか、この作品もよろしくお願いします。