呪術短編集   作: ぽてと。

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今週中に次出せたらとは……??
かなりネタに走っております。これのために呪術短編集投稿を始めたと言っても過言ではない。


[『【第一章】呪い塗れた高専へ』をスタートします!]

 思い出しにくいけれど、通学の時にいつも乗っていたバスに車が突っ込んできたんだ。

 このまま駅まで行って、電車に乗って、学校について、友達と昨日見た流行のドラマについて話したりすると思ってた。

 いや、人生何があるかわかんないもんですわ。

 

 その後、私は世間で言う転生なるものを果たしたのだと思う。

 前世の記憶を思い出す前、ふと違和感を感じた。

 私がいつも見ている視界はもう少し高かった気がするとか、何故肩に通学鞄をぶら下げるのではなく背中にランドセルを背負って通学しているのだろうか……と、そこで前世の記憶が溢れかえってきた。

 もしかして転生ではなく逆行? と疑ったが、即座に否定した。一応事実確認のため持っていた水筒の名前を確認したが、同じじゃなかったから逆行ではないと言い切れる。

 

 実は転生者でしたー☆なんていう衝撃の事実を思い出してから、いの一番に何をしたか。……もうお分かりかとは思うが、登校である。

 今の私は小学四年生。

 このまま混乱してバックれたりしたら今世の両親にクソデカ迷惑をかけることは明白、大人しく学校へ向かった。

 

 それから暫くは平和に過ごした。

 前世では見えなかった幽霊みたいな化け物が見えて自分に意味不明なその化け物をぶっ潰せる超能力があって……なんてこと以外は割と平和に過ごした。……平和か?

 

 今日も化け物ぶっ潰しながら登校してクラス替えされたことで新しく出来たお友達と遊ぼうなんて思いながら教室の扉を開けたとき、()()はきた。

 

 ──ピコン! なんて軽快な電子音と共に文字がポップアップしてくる。

 

「……え?」

 

 私は()()を見て、困惑の声を上げるしか出来なかった。

 

 

挨拶をしよう!

 「おはよう!」↑

 「いい朝だね」↓

 「……」   ー

 

 

 なんだこれ。なんだこれ。

 

 うん。

 

 なんだこれ(困惑)

 

 冷静に辺りを観察する。

 驚いたことに、周りの同級生や教師、化け物までもがピタリと固まって動いていなかった。

 かくいう私も意識はあるが体がちっともいうことを聞かない。『時が止まった世界』というものをいみじくも表現している。

 私は一つ深呼吸をしてから、目の前にドドンと表示されてる角ばった文字列らしきものを見た。

 

 【挨拶をしよう!】→分かる

 【おはよう!】→分かる

 【いい朝だね】→ちょっと気障ったらしいが分かる

 【……】→雰囲気最悪だが分かる

 【隣の矢印】→分からない

 【コレの存在】→???????

 

 え、なんなんだ本当に。

 矢印は……選んだ場合の未来の予想とか? 普通に考えれば上向きが良い方で下向きが悪い方、横一線が変化なしって感じだけど。

 そもそもこれどうやったらこれ消えるんだ、選択すれば良いのか? でもどうやって……。

 しばらく考え込んでいるとピコン! と先程聞いた軽い音が頭の中に入ってくる。

 考えていたのに邪魔をされた私は少し鬱陶しげに何事かと上を見た。

 

 

挨拶をしよう!

 「おはよう!」↑

 「いい朝だね」↓

 「……」    ↓

30

 

 

 なんか追加された。

 目を見開いてそれを凝視すると【30】の数字は【29】に変化する。

 ……え、時間制限アリ?? マジで言ってる?

 しかし無情にも数字は減っていく。このまま放置という手もあるが……ん?

 

 ……

 

 そうだ、放置しよう。

 意味が分からないなら放置してしまえばいいんだ。

 選ばなかったら無効とか、そういうのになるんじゃないだろうか。

 そして周りで変なポーズで停止している同級生を嘲笑いながら残り時間の二十秒を過ごした。

 ピコン! 電子音と共に、前の文字列が消えて新しい文字列が現れた。

 

 

"ハヅキ"は制限時間内に選択できなかった!

選択肢が変化、強制的に決定されます

▶︎「朝からギャーギャー騒いで、猿みたいね」↓↓

 

[称号『優柔不断』を獲得しました!]

[称号『ひどい結末』を獲得しました!]

 

 

「朝からギャーギャー騒いで、猿みたいね」

 

 口が勝手に動き出して発声する。

 教室の中にいる人たちは私の言葉を聞いて静まり返った。

 普段大して目立ちもせず、話すことも少ないクラスメイトに「猿みたい」なんて言われて口が塞がらない男子、私から発せられる冷たい声に肩を震わせる女子、いつもの私からは考えられないような言葉に眉を潜める友人、いきなりの事にまだ処理し切れていない先生。

 私はそのまま自分の席に座って、持ってきていた小説を開いた。

 

 いや、そんなことってある???

 なんで私の名前知ってんだよ、なんだよ選択肢が変化って、ひっかけもいいところだろぶん殴るぞ。

 しかも隣の矢印増えてたし。悪い方どころか最悪じゃねぇか。

 称号何なの本当に、私の人生はゲームじゃねぇんだが?

 

「……あの、言羽(ことば)さん?」

 

 我に帰った先生が私の苗字を呼ぶ。先程の言葉に衝撃を受け過ぎたのか、若干弱腰気味だ。

 どうやって言い訳しようか、と内心冷や汗ダラダラになりながら返事をしようとすると。

 聞きたくなかったあの音が再び鳴り響いた。

 

 

どうしよう?

 「話しかけないでもらっても?」↓

 「猿語は分からないです」   ↓

▶︎「……」           ↓

 

[称号『運命を指する者』を獲得しました!]

[称号『運命を枉し者』を獲得しました!]

 

 

 私は白目を剥いて、先程のような失敗を繰り返さないため一瞬で選択する。

 残る小学校生活一年の終わりが確定した瞬間である。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 悪魔(選択肢)と人生を共にするようになって四年が経った。いや、もうすぐ五年か。

 やはり時が流れるのは早い、と思いながら、私は近くにあったコンビニで購入したコーヒー牛乳に口をつけて、味蕾を喜ばせる。

 甘いものはいい、こんな生活になっても日常を彩ってくれる。

 

 私は中学を卒業、ないし義務教育期間を卒業してから、親に連絡も寄越さずいろいろな場所をプラプラと彷徨う不良娘と化していた。

 家にいても選択肢のせいで親には生意気な態度を取ってしまうし、これが最良だと考えたのだ。

 数年共に過ごして分かったことは、この選択肢からは悪意しか感じられないということ。

 そのせいで親とは上手くいっていないし、こうして意味のない徘徊なんぞしなければならなくなっている。

 

 去年のクリスマスらへんだったかな、高校にも行っていないから時間を持て余していた私はお寺に向かった。悪いものが憑いていてこんなことになっているのならおはらいでもなんでもしてもらおうと思って。

 そこで聞いた第一声は「おまえさん、呪われとるよ」である。

 

 ???????

 

 あまりにも突然で、「あぁ、今日は月曜日ですよ」とか「もう三時ですね」とか、そういういつも通りの日常で使う言葉のようだった。

 呆けている私にお寺の掃除をしていた管理人さんは呪いについて教えてくれた。

 まず、私が見えていたのはファンタジーの魔物とかではなく呪いの類で、呪霊というらしい。

 呪いで成った霊。まさにその通り、呪霊は人間の負の感情(呪い)で生まれるのである。

 

 次に私が持っていた超能力、正体は術式と呼ばれるもので、管理人さんには自分にはなかったものだと褒めてくれた。何がなんだか分からな過ぎて嬉しくなかったけど。

 

 最後に呪術師について、呪術師は呪霊が見える人間の中でもそれを祓える人がなる貴重な職業らしい、私は呪いを祓うための術式も呪力もあるので呪術師になれるんだとか。

 呪力も一般人並みだし術式もないけれど呪霊は見える、そんな人がなれる職業についているのが管理人さん。窓って言うらしいね。

 

 大切なものがあるならば呪術師にならんほうがいいとどこか遠くを見つめる管理人さんが気になりはしたけど、その日はお礼を言って情報を整理することにした。

 その後に肝心の呪われているについて聞いてかったから戻ったけど、管理人さん、いなかったんだよなー。

 日を改めて何度か尋ねたけど管理人さんはいなかった。謎である。

 

 飲み終わったコーヒー牛乳の紙パックをゴミ箱に捨てて、私は携帯を開いて自分が作ったサイトを開く。

 私は食べ物を買うためのお金を稼ぐためによく自分のサイトを使う。

 内容は……まぁ、安価でおはらいしますよーとか、普通に怪しいものだが、肝試しに行ってから肩が重いが本格的な除霊を頼むお金がない学生とか、そう言った人が私のサイトに安さにつられて申し込んでくるのだ。

 中には私が安くおはらいしてくれるからと頻繁に趣味の心霊スポット巡りをしては申し込んでくる常連(おバカ)さんもいる。ありがたいことだ。

 

 さて、そんなこんなで今回は仙台まで行くらしい。依頼動機にはオカルトちっくに封印された謎の箱を見つけて、今日開封予定だから何かあった時のために依頼したと書かれている。

 ふむ、よくある。

 というか最近よくあり過ぎて困るぐらいなんだけど、この前不吉だからどこかに捨ててくれと押し付けられたなんかの指も扱いにも困ってんだよ。一応一緒に押しつけられた封印に使われてたらしい紙巻き付けてるけどよく呪霊に襲われるし……いや、これは流石に被害妄想だな。

 

 仙台行きの新幹線に乗って向かう旨を依頼者に伝える。今回は……『オカルト研究部』さんか。

 うーん……集合場所の横にある高校の生徒さんだろうか。だって研究"部"ってことは部活なんでしょ? 大方学校に忍び込んですぐにおはらいとかしてもらおうって寸法じゃないかな。

 なんかの指が増えてしまったらどうしようかと、鞄の中に入ってあるだろう箱を見てため息をはいた。

 私って、なんて難儀なんだろうか。

 

 

 

 

 

「……帰ろうかな」

 

 確かに面倒ごとになるかなぁと思ってはいた。いたが、既に面倒ごとになっているなんて誰が思うであろうか。

 呪いに塗れた学校を見てあからさまに顔を歪めた。

 管理人さんの話によれば、学校とか病院とかお墓とか、不吉なイメージを抱く場所は呪いが溜まりやすい、それはわかるが流石に溜まりすぎだろ。

 足に近寄ってきた呪霊を術式を使って祓う。まだ集合場所に来てから十分しか経っていないというのに、もう五回は同じことしてるぞ。

 本当に帰ってやろうかと考えていると、硝子が割れる音が聞こえた。

 うわ、もしかして依頼した人たちかな、なんて考えていると。

 

 ピコン! その音が聞こえてきた時点で私の精神は死んだ。

 

 

大変だ!

 大変だ、助けなければ ↓

 そのまま死ね     ↑

▶︎早く向かおう     ↓

 

 

 ハァーーーーーーーー(クソデカため息)

 

 いくらなんでもそれはないだろ、なんでここに残れる唯一の手段で矢印的にもそれを選ぶのが一番っぽいのに【そのまま死ね】なの?? 何その罪悪感でいっぱいになりそうな……。

 何それは、本当に何それは……この選択肢もはや選択させる権利すら剥奪しにきてるだろ。

 一番無難な三番目を選ぶと、体が勝手に進み出した。学校の塀を飛び越えて、また大きな音がした方へ進んでいく。

 行きたくない……行きたくない……! と心の中ではブルブルチワワのように震え上がっているが、外面だけ見れば音のする方へ何かあったのかと颯爽と駆けつけようとする善人だ。違うのに、そんなつもりなんてないのに……泣きたくなってくる。

 

 見えてきたそれに、私は冷や汗をかいた。

 人に比べて三倍ぐらいデカい呪霊が、男の子を振り回していたからだ。いや、どちらかというと男の子がしがみ付いているのか?

 術式を使う様子もないし倒せるとは思わない、すぐに助けた方がいいだろう。

 

 ピコン!

 

 いつもの、あれである。

 どうしてこう、毎回毎回、いいタイミングで現れてくれやがるんだろうか。

 私は痛む頭に気づかない振りをして、いつも通りに空中に浮かび上がる角ばった文字列を見上げた。

 

 

男の子がいる

 「『オカルト研究部』さんですか?」 ー

 「アイツ死ぬぞ、いい気味だ」    ↓

 「ヤバ! 写真撮っとこ!」     ↓

 

 

 巫山戯んなよテメェ。

 

 実質一つしか選択できるものがないじゃんってば!! 私は悲痛な声をあげた、いや口も動かせないからあげてないけど。

 あんなに必死だったら聞こえないだろうしなんて自分に言い訳をしながら選択した。私の体はそのときだけ、オートモードに切り替わる。

 足が動いて自分の後ろを見た。

 そこで頭から血を流している男の子がいる。目があった。えっ。

 

「『オカルト研究部』さんですか?」

 

「は?」

 

 男の子ってそっち?

 聞こえないだろうとかたか括って選択したのに後ろに人がいるなんてキイテナイ……。

 

「何言ってんだオマエ、なんでこんな場所にいる!?」

 

 また聞こえる、あの電子音。

 

 

なんて返す?

 「私の勝手でしょ」      ↓

▶︎「血だらけじゃん、大丈夫?」 ↓

 「おっ伏黒恵だ」       ↓↓

 

 

「血だらけじゃん、大丈夫?」

 

「今そんなこと……ッ虎杖!」

 

 大きな音と共にイタドリと呼ばれたパーカーくんが吹き飛ばされた。しかし無傷。なんで?

 いや、それどころじゃない。私は先程の選択肢を思い出して頭を抑える。

 何が気になったって、勿論三番目だ。

 伏黒恵is誰。もしかしてさっきの血だらけの人か? なんで選択肢が伏黒くんとやらの名前を知ってるんだ? ううん、それも正直どうでもいい。

 

 矢印、なんでいつもより一つ多かった?

 下向きの矢印が二つ並んでいるのを見るのなんか初めて選択肢が出された時以来だよ。

 選択肢を時間内に選ばなかったときだけだと思ってたのに……もしかして、今後も出てくる可能性があるということだろうか。

 うーん、とんでもない厄ネタを目にした気分。

 

「──オイ」

 

 長いこと考え込んでいたせいで周りが見えていなかったらしい。

 血だらけくんに声をかけられてようやく意識を戻すと、いきなり逃げろと言われた。

 

「なんで?」

 

「目の前のアレが見えねぇのか? 両面宿儺が……特級呪物が受肉したんだよ、早く逃げろ」

 

「アレ……?」

 

 日本語なのはわかるが他が分からない。

 両面すくな? 特級ジュブツ? ジュニク? 何言ってんだ。

 そこまで考えて思い出したのは管理人さんに教えてもらった知識。様子を見るに呪いに理解があって、呪力を練って戦っている、あれ、まさかこの人……呪術師さん!?

 衝撃の事実に驚いた数分後、いつもの軽快な音が鳴り響き、世界がピタリと動きを止める。

 

 

呪術師だ!

 戦う  ↓↓

 逃げる ↑

 殺す  death

 

 

 ???????????

 

 今までの自分の人生で一番困惑した時が初めて選択肢が出てきたあの時だったのだが……更新されてしまった。

 目の前の選択肢を穴を開ける気かと言われるぐらいガン見する。

 death……デス? つまり?

 

 体が動かないからどうにかなったものの、もし動いていたら胃の中のものを吐き出していたかもしれない。それぐらいの吐き気と頭痛と胃痛が一気に襲ってきた。

 選択肢で死ねるとか……選択肢で死ねるとか……。

 もう……何? deathじゃねぇよ。いい加減にしろよ。単体の下向き矢印が可愛く見えてきた。

 殺すを選んで何故自分が死ぬことになるのだろうか、自殺でもすんのかよ。本当に、本当にいい加減にしてほしい。

 

 私は真ん中を選んだ。というか真ん中以外怖くて選ぶことが出来ない。

 よし、即座に選択肢さんに逃げてもらって、今日のことはきれいさっぱり忘れよう。そう、これはきっと悪い夢なのだから。

 体が動き始める……ことはなく、何故かまた電子音が鳴った。おかしいな、選んだ後に鳴ることなんてなかったはずなのに。

 

 

両面宿儺だ!

 逃げる death

 逃げる death

 逃げる death

 

 

 ????????????????????

 

 ……

 

 ……

 

 ……

 

 ……もしかしてこれ、俗にいう『負けイベ』……??

 

 雲を掴まされた、そんな気分だ。

 私が生きたいと願った選択を、選択させる者はどうせこの後の死は確定してるのにとほくそ笑んでいたのだろうか。

 なんで死が確定してるんですか……? 私何か悪いことしたかな……。

 もしかして、転生自体が神様の想定外だから異分子を排除したがってるとか、そういうことなの?

 あぁ、もう、考えるのも面倒だな。どうせもう死ぬし。

 そう思って選んだ。ピコン!と、また電子音。もう死が確定しているのに、これ以上何を伝える必要があるというのだ。

 私は気怠げに視線を上げて──ん??

 

 

[称号『(つい)を指する者』を獲得しました!]

 

 

 称号……忘れていた。そう言えばそんなものあったな。最初の一年ぐらいはちょこちょこ出てきてたが……今になってまた獲得するとは。

 想定外の文字に困惑しているとまた続いて音が聞こえる。称号獲得の一行が上へ移動して、新しい文字列が浮かび上がった。

 

 

[称号『(つい)を指する者』を獲得しました!]

 

称号『運命を枉し者』を使用しますか? 残り回数×15

 はい いいえ

 

 

 ……称号を使用? また、初めて見るものだ。

 僅かな興味が湧いて、視線だけでなく顔もちゃんと上げた。

 運命を……ナントカし者か……漢字は読めないけど確かにどこかでそんなものを獲得したような、気が、しなくもない、か?

 何を選ぶにしても、中身が分からないことにはなんとも言えない。とりあえず効果を見てみたいものだけど。

 そう思った瞬間電子音と共にまた文字列が浮かび上がってきた。また何かが書かれている。

 

 

称号『運命を枉し者』を使用しますか? 残り回数×15

▶︎はい いいえ

 効果:称号『(つい)を指する者』獲得時に使用可能、生存確率を上昇させる

 

 

 つッッッッッッッよ。

 

 選択肢はエスパーか何かかな? と疑いそうになる程グッドタイミングで現れた効果説明を見て、私は目をこれでもかと言う程見開いた。

 生存確率が上がるってことはつまり死なないで済むってことか、乗るしかねぇ。

 私は即座に使用を選んだ。残り回数で表示された【15】の数字が【14】に変化する。それと同時に、新しい文と先ほど絶望したあの三択がまた出てきた。

 

 

[称号『(つい)を指する者』が消失しました]

 

両面宿儺だ!

 逃げる     death

 逃げる     death

 逃げる     death

▶︎呪力を纏う   ↓↓ ←New!

 

 

 ──低いッ!! でもdeathじゃない!

 死なないで済むらしい。称号が無くなったのが何よりの証拠だろう、喜びで泣いてしまいそうだ。

 選択を決定したことで目の前の景色が動き出して、耳が音を拾う。

 しかし、私の呪力を纏った体は、一瞬にして宙に浮かぶこととなる。

 

 そのまま校舎の壁にめり込んだ。

 

「ほう、あの一瞬に呪力で防御したか。目のいい女だ。そうだ、まず貴様の持っている──ア?」

 

 あぁ、この自分の頬を掴んでいるパーカーくんが両面宿儺? だったのか。

 壁にめり込むとか口から血が出てくるとか初めての経験だし、痛いし怖い。でも呪力で体を保護してたから見てくれが酷いだけで生きてる。

 

 痛みを無視して盆踊りでも初めそうな体を必死に抑えて立ち上がり、何やら険悪な空気になっている二人を見る。

 祓うだとかもう人間じゃないとか血だらけくんがすごく物騒、依頼を受けに来ただけなのにどうしてこんなことに巻き込まれてるんだろう。

 もう帰ってやろうそうしようとしたところでまた知らない声が聞こえた。

 見上げないといけない程背が高い目元を黒い布で隠した変質者である、怖い。血だらけくんが変質者のことを先生って呼んでるのももっと怖い。

 

「で、君は何?」

 

 私のことが見えていたらしい。グリンッと顔をこちらに向けて目を合わせようとする変質者から必死に目を逸らした。

 そこで、選択肢がまた出てくる。いつもの通り意味がわからな過ぎて選択肢と呼べるほど選択出来るものがない。

 

 

君は何? 

▶︎「これあげるんで許してください」 ↑

 「……五条悟だ、夏油様の仇!!」 ↓↓

 「呪術師を殺しに来た者です」   ↓↓

 

 

「これあげるんで許してください」

 

 私の体は勝手に動いて肩にかけていた鞄に手を突っ込み、どこに埋めてやろうかと考えいたあのなにかの指をが入った箱を取り出す。どうやら『これ』とはこの気持ち悪いなにかの指のことだったらしい。

 何故か変質者が「……へぇ」なんて言って笑みを浮かべる、それとは正反対に血だらけくんが目を剥いて、パーカーくんがげ、と嫌な顔をした。

 え、ごじょうもなつあぶらも誰か分からなかったしこれ選んだんだけどダメだったのかな。

 

「五条先生、宿儺の指が二本あるなんて聞いてませんけど」

 

「いやいや、本当に回収指示を出されてたのは一本だよ。君、それどこで拾ってきたの? あと名前は?」

 

「えー……と……数ヶ月前またこっちに来たときですかね? 言羽菜月ですけど……」

 

 確か押しつけられたのも仙台だった気がする、記憶を手繰りながら思い出す。

 それを聞いた変質者は面白いものを見つけたかのように何故か急に眠ってしまったパーカーくんを持って近寄ってきた。なんだと考える間も無く、額に手が当てられる。

 あ、やばい、なんか眠くなってきた。逃げなきゃいけないやつだったかこれ。

 眠る前にピコン! といつもの音が鳴り響く。

 

 

チュートリアルが終了しました!

[称号『これはほんの序の口』を獲得しました!]

 

どちらを終わりにする?

 人生           呪

 人生−驕ク謚櫁い繧ウ繝シ繧ケ  呪

 現状維持         呪

 

 

 こわ。

 

 いろいろ怖い。チュートリアルだったの? この四、五年が? 序の口怖い。序の口でもうキツイんだけど。

 人生を終わらせるって何? なんで文字化けしてるの? もう選択肢さん何がしたいのか分からないョ……。

 呪に関しては何も言わないからな。何も言わないったら言わないからな!!(涙目)

 咄嗟に一番下の現状維持を選ぶ。おそらくこれが正解、だと信じたい。

 時が動き始めると共に私の瞼は下がった。

 

 あーあ、こんなことになるなら高校とか行きたかったな。

 

 ピコン!

 

 

 




(タイトルに戻る)


言葉菜月
これから選択肢によって接触する人物たちに並々ならぬ印象を植え付けられる人。
因みに伏黒にはこの時点でめんどくせぇヤツだと思われてる。
目が覚めると知らない部屋で寝ていたがフカフカのお布団が久しぶりだったため二度寝した。保健室である。


今週中に次出せたらいいですね。
活動報告にて話の中で拾いきれなかった点などを蛇足として呟いていますので、お暇があればどうぞ。

やる気が7ぐらい上がるので、感想、評価など頂けると大変嬉しいです。

作者、女の子でしかオリ主って書いたことないんですけど……

  • 女主だけでも大丈夫
  • 下手でも男主を出してほしい
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