アンケートご回答してくださりありがとうございました。回答者がいて目剥いた。
頭良さそうな小説書こうとしたけど無理でした。
「──どり、虎杖!」
「……え?」
虎杖悠仁は意識最近めっきり聞かなくなっていた声に我に帰った。
ここは……見たことのある場所だ、多すぎるように思える机と椅子、黒板の横に書かれた予定表、ガヤガヤと人が行き交う廊下──高校だ、杉沢第三高校。
おぉ、懐かしい。呑気にそう思ってすぐに
「ッ!?」
異常に気がついた。
持っていたシャープペンシルが地面に落ちることも気にせず立ち上がって戦闘態勢に入る。勢いよく立ち上がったせいで椅子が飛んでいってしまったが気にしない。
まるで突然糸が張り詰めたように動いた虎杖に驚いている友人を見ながら虎杖悠仁は周囲を警戒した。
(何かの
自分は先程まで戦っていた筈だ、呪いは、仲間たちはどこへ行った?
──そこまで考えたところで、ふと疑問が湧いてきた。
視界が悪い、と言うか、
自分は格闘技とかそう言った類は習っていない、ならば今とっている構えは何だ? ……いや、
ずっと感じていた泣きたくなるぐらいの激痛がすんなりと消えたのは何故だ? ……いや、
仲間がこの事態に気が付いていない筈がない、どこへ消えた? ……
──
彼自身は分かっていなかったが、虎杖悠仁は一人ではなかった。
虎杖悠仁の隣に、
声も姿も好きも嫌いも、辿ってきた道だって同じだけど、少しだけ違う。
その
その
その
その
その
その
「お、おい、虎杖? どうしたんだよ。」
虎杖悠仁の友が彼の名を呼ぶ。
虎杖悠仁は案じてくれている彼らのために振り向きたかった。早くなんでもないって笑ってやろう。
違和感に首を傾げている虎杖悠仁を、
気付け。
皆戦ってるんだ。
気付け。
俺だけこんなところでモタモタしてられねぇ。
気付け。
五条先生だって封印された。
気付け。
伏黒だって、くぎさき、だって、大変だから。
気付け。
ナナミンがっ、後は頼むって、いったんだッ
気付け!
宿儺を抑えきれなかった俺は
気付け!
人を殺してしまった俺は
気付け!
命を奪ってしまった俺は
気付け!
"正しい死"を奪ってしまった俺は
気付け!!
戦わなくちゃならないから!
気付けッッッ!!!
「……う」
虎杖悠仁を目を覚ました。……そうだ、ずっと前から、「いたどりゆうじ」は。
空を見上げそういえば急に頭が痛くなって倒れたんだったなと虎杖は起き上がった。
どうやら頭を打ったのにも関わらず大きな怪我はない様子。無駄に頑丈な体に感謝をしながら、目の前の木箱に隠された『それ』に視線を移した。
「今度は、絶対食ってやんねぇ」
◆◆◆
虎杖悠仁は人生を変えた。
何故過去に戻ってきてしまったのかは分からない。
呪術か、神の悪戯か、はたまた神でさえ予想出来なかった
そう、虎杖悠仁は宿儺の指を取り込んでいない、呪術師ではないのだ。
ただの人間、ただの他人、ただの非術師。
何度も自分が問いかけてきた。
それでいいのかと。
それで後悔しないのかと。
だから、虎杖悠仁は言い聞かせるように返事をするのだ。
それでいいんだと。
それ
ちゃんと根拠だって用意した。
虎杖悠仁という人間は宿儺の器になるべく生まれた存在だ。渋谷で夏油とやらの姿をしていたアイツが、そうなるように生み出した存在。
自分のせいで両面宿儺は目覚めてしまったし、それを利用するためにアイツは動き出した。
アイツは何者なのか、どんな思惑があるのか、何をしたがっているのか、……何も、分からないけれど。
虎杖悠仁が両面宿儺の指を取り込んだことがいけないことだったのは確かだ。
なら、取り込まなくていいじゃないか。
そうだ、取り込まなくていい、そう思って過ごしてきた。
恋人と別れたことを嘆く友達を見てこう言う感情から呪霊が生まれるのかな、とか。
ふと黒い服の人を見かけると渦巻のボタンをつけていないか、とか。
スーツを着た人を見ればどこか、心臓のあたりがズキズキすること、とか。
虎杖悠仁は知り過ぎていた。
人間が呪いを生み出すことを。呪いと向き合う人間がいることを。
虎杖悠仁は知り過ぎていた。
人間を害する呪いを。人間を縛る呪いを。人間を愛する呪いを。人間を不幸にする呪いを。人間を幸せにする呪いを。
人間が吐き出す呪いを。人間の
呪霊とは戦えない、だから呪術師とは言えない。
しかし呪いのことを知っている、呪術師のことを知っている、自分が非術師だと知っている。
──自分が呪いを生み出すことを知っている、それで未来で話した筈だった人が死ぬかもしれないことを知っている。
いつも心のどこかに蟠りがあった、今こうしている間にも自分は負の感情を、呪いを生み出しているのかと。
たかが人間一人の
虎杖悠仁とその他非術師の負の感情が積み重なって呪いになったとして。
その呪いに、非術師が殺され、呪術師が怪我を負わされる。
勿論最後に勝つのは人間だ、呪術師だ。なんせこちらには最強がいる、その男にかかればそんな呪いなど敵でもない。
敵でもない、敵でもないが、やはり胸のつっかえは取れてくれない。
それでは呪いはいいとして、自分が救った廃墟にいたあの子は? あそこで自分がいなければ子どもも自分も危なかったと言って礼を言ってくれた釘崎は? 少年院で自分が囮になって逃した伏黒は? 八十八橋で特級相当を三体も相手にしなければならなくなる、自分の同級生は?
一つ消えれば十になって苦悩は増えてきた。
苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦悩、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛、苦痛。
自分の選択が正しかったのかも分からなくなってしまっていた。
正しい筈だと信じ込むこともできない。
そんな時に祖父が旅立った。
分かっていたことだからそんなに驚かなかったし、今回も"正しい死"であった祖父に安堵した。……前回も経験したし悲しくないと言えば、嘘になるが。
看護婦と書類を片付けている中、当たり前だが伏黒は来なかった。 虎杖が持ち出さなければ伏黒は怪我をすることもなくスムーズに宿儺の指を回収できていたと言うことである。なんとも言えない心境のまま虎杖は家に帰宅した。
もう学校に宿儺の指はないのだろう。
伏黒が昨日のうちに回収しているのだろうし、指が無くなったならならもう呪いがうじゃうじゃと集っているわけではない。
学校という施設は負の感情の受け皿になりやすいと聞いたし完全にいなくなったとは言えないが、少なくとも宿儺の指に吸い寄せられた呪霊のせいで死ぬ人間はいない。
だから、これから虎杖悠仁は普通の学生として、普通の非術師として、普通の人間として、日々を過ごしていけばいいだけなのに。
『俺は
『共犯ね、私達』
『好きな地獄を選んでよ』
『母さんも僕も、人の心に呪われたって言うのか』
『後は頼みます』
「……ッ」
離れない。
喜びが離れない。
焦りが離れない。
悲しみが離れない。
痛みが離れない。
楽しさが離れない。
哀しみが離れない。
怒りが離れない。
安らぎが離れない。
何もかも、離れてくれない。
過去に戻るぐらいなら今までのことも仲間のことも出会いのことも別れのことも、いっそ忘れさせてくれたらよかったのに。
打ち明けることも出来ずに、噛み砕くことも出来ずに、ただ一人で抱え続ける。
明日も明後日も明々後日も、その次もその次もその次だって。
忘れることの出来ないそれは、いつだって虎杖に牙を剥いている。
これは、
あなたは秒速1メートルのトロッコに乗っています。
3メートル先に分岐路があります!
右を選べばあなたとたくさんの人が轢かれてしまいます。
左を選べばあなたが救った人や仲間が轢かれてしまいます。
残り2メートルです!
残り1メートルです!
分岐しました。折り返しは不可能です。ご了承ください。
虎杖悠仁
考えて考えて考えて考えて考えた結果宿儺の指を食べなかった。
しかしそれがよかったことなのか、本人にも分からなくなってしまった。
救いがあったらいいな。
今週中に次出せたらいいですね。(引き返せなくなってきた作者の図)