ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~   作:水名(仮)

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今回はタコミカとリオンの戦闘になるかな…?

それではどうぞ


28話:笑う死戦 後編

「いや~ 探しましたよ "彩姫"さぁん」

 

その声に思わず振り返ると黒いポンチョを着た男…モルテが立っていた

 

「にしても先ほどの戦い見事でしたね~ 不意打ちなのに普通のメンバーの攻撃すら当たらないなんて流石"フロアボスキラー"って言ったところですかね~?」

「何が言いたいんですか?」

「あなたも薄々気付いてるんじゃないですかぁ? 自分が()()()()ってことに」

「どういう…?」

 

その言葉に一瞬戸惑ったがそれがいけなかった

 

「敵の前で隙を見せるなんて甘ちゃんですね~ 隙アリです」

 

そう言って私に片手斧で攻撃してきたので咄嗟に回避するが少しだけ被弾してしまう

 

「っ…!」

「あはは! やっぱり瞬発力凄いですね~ でもその様子だと脇腹にちょっと入っちゃったって様子ですか~? でもまだまだ終わりじゃないですよ~」

 

相変わらず掴みどころのない声で言うとさらに攻撃を仕掛けてきた

 

「ショウッ!」

 

それを両手剣で防ぐとバックステップで後ろに下がる

 

「なんかこうしてると3層でキリトさんとデュエルした時を思い出しますね~ あの時は色々と刺激的でしたよ~ まぁ 今はあの時よりも刺激的ですけどね~ 実際命のやり取りをしてるわけですし? そう思いますよね~? タコミカさぁん」

 

その言葉を無視して私は攻撃を入れに行くがそれは軽々と避けられてしまう

 

「無視ですか~ でも案外そういうの好きですよ~? 私 こうやって反撃できるんで?」

 

無防備になった私にモルテは攻撃を加えようとしたが咄嗟に地面を転がって避ける

 

「え~ これを避けるってどんな反射神経してるんっすか~ まぁ 直ぐに終わっちゃこっちとしてもつまらないですからね~ 頑張ってくださいよ~? "彩姫"さんがどこまで避けられるかどうか」

 

 

その言葉の後、攻撃しようとしては回避されを繰り返していたが

 

「はぁッ!」

 

掛け声と共に攻撃がモルテに入るとモルテのHPが3割ほど削れた

 

それに私はあからさまにこれはおかしいと思った 抗戦するのなら防御を固めるはず…でもそれが無いということは最初っから…!?

 

そんな私の考えを見抜いたようにモルテが口を開いた

 

「ははっ 気づいちゃいましたか~? 今回の作戦自体()()()()が目的なんですよ~ おっと…つい喋りすぎちゃいましたね~ 仲間には喋りすぎだって言われるんですけどこればっかりは癖なんで仕方ないですね~」

 

こんなの私がまともにソードスキルなんて放ったら…!

 

私は咄嗟に距離を取るがモルテは先ほどと何ら変わらずに攻めてくる

 

「どうしました? 先ほどまでの勢いがなくなっちゃいましたよ~? もしかして()()()()()()のが怖いんですか~?」

 

思わず防戦一方になってしまうがモルテは片手斧で攻撃を続ける

 

「いい加減自分に正直になっちゃった方が楽ですよ~? 現に先ほどまでの貴方今までにないぐらい楽しそうだったじゃないですか~?」

 

…違う

 

「それに…今まですべてのフロアボス戦に参加するなんて真似 "黒の剣士"にもできなかったのに 貴方は出来ちゃってるじゃないですか~? それって私達と同じ命のやり取りに対して快楽を抱いてるっていう確たる証拠ですよ~?」

 

違…う…?

 

「もし違うって言うんだったら何か反論してみてくださいよ~?」

 

…私は…

 

私はただ…現実(あっち)に帰りたいだけで…

現実(あっち)に帰れるって保障はあるんですかぁ? 何の保証もないってのにフロアボスに挑み続けるって私から言わせてもらってもいかれてる以外の言葉が見つかりませんよ? いい加減認めたらどうです~? 自分が一度スイッチが入ったら相手が死ぬか自分が死ぬかするまで止まらない人間ってことを」

「あ…あぁ…」

 

モルテの言葉に私は完全に心を折られてしまった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

SIDE:リオン

 

 

 

今、私は麻痺毒付きのピックを使い、ラフコフのメンバーを拘束していっている

 

そしてアスナと戦っているラフコフメンバーに対しても麻痺毒付きのピックを投げる

 

「ぐっ…!」

 

ラフコフメンバーが地面に倒れこむとアスナが声を掛けてきた

 

「ありがとうございます リオンさん!」

「礼は後だ! 直ぐにそいつの拘束を!」

「解りました!」

 

彼女ならわかっているとは思うが念のために声を掛け苦戦しているメンバーがいないか探しているとラフコフメンバーを縛っているディアベルとDDAのタンクメンバーと合流した

 

「そっちは無事の様だな」

「あぁ 俺なら大丈夫って言いたいところだけどね…」

「ジリ貧か?」

「結晶類はまだ大丈夫だけど精神面でね」

 

確かに本来あの様な気迫は連続で受けるものではないので精神面がかなり消耗する 実際隣にいるDDAのタンクメンバーは少し消耗してる様子だ

 

「離脱するか?」

「いや 俺は最後まで残るつもりだよ 離脱させるなら彼にしてくれ」

「お…俺ならまだいけるっすよ! ディアベルさん!」

「そうか… なら無理と油断は禁物だ」

「了解っす! リオンさん!」

 

そうして再び駆け出そうとした時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()を感じたので思わずそちらを見るとこの作戦で一番遭遇したくなかった相手がそこにはいた

 

「Wow… これはこれは… "青髪の騎士(ナイト)"様に"紅の策士"様じゃねぇか」

「最悪…」

 

私が思わずそう呟くとディアベルはすぐさまタンクの彼に指示を飛ばした

 

「今すぐにこの場から逃げるんだ」

「えっ… でも…」

「早く!」

「わ‥分かりました! 気を付けてください! ディアベルさん! リオンさん!」

 

ディアベルが有無を言わせぬ気迫でそう言うとタンクメンバーは交戦中のキャラメレの元へと向かって行った

 

「仲間を逃がすなんて随分と余裕じゃねぇか」

「そうだな 私達が負けるということは考えてないんでな 彼には苦戦してそうな奴の所に向かってもらったよ」

「…そうかよ じゃぁまずはてめぇらから血祭りにあげてやるよ …It's Show Time」

 

PoHは〖友切包丁(メイトチョッパー)〗を天に掲げながら言うと掛け声と共にこちらへと向かってきた

 

そして〖友切包丁〗を私に向かって振り下ろしてきたがディアベルがすかさず盾で防ぐ

 

「流石はナイト様だな? だがいつまでそれが持つか見ものだなぁ」

「この場にいる人たちは誰も死なせやしない…! 騎士の誇りにかけて!」

「ほう…? ならその誇りとやらを守ってみろよ!」

 

ディアベルが盾で武器を弾き、体勢を崩すがPoHはすかさず距離を取る

 

再度私に向けて突撃してきたので私は片手剣で防ぎ、そこをディアベルが攻撃を仕掛けようとするがPoHは距離を取ったため空振りに終わった

 

そしてPoHは何かを見るとふと呟いた

 

「そろそろだな…」

「何が…」

 

私はそう呟くとどこからか声が聞こえてきた

 

「大人しく投降しろ!」

「止せ! これ以上は死ぬぞ!」

 

思わずそちらを見ると数人の討伐隊メンバーが1人の黒いポンチョを着たラフコフメンバーを追い詰めており、そのラフコフメンバーはHPがレッドゾーンに突入していた

 

しかしそのラフコフメンバーはそんなことなどお構いなしに近くにいた1人のメンバーに対して攻撃し、続けざまにその近くにいたもう1人にも攻撃をしているのが見えた

 

うわあぁぁぁ!?

 

そのメンバーの断末魔の後、2人のメンバーが消滅するのが見えたため思わずPoHを睨む

 

「貴様…! どこまで腐れば気が済む!?」

「このマッチを組むのには相当長い時間をかけたからなぁ 攻略組という最強とラフコフという最凶が真正面からぶつかり合う… こんな最高なカードを組まないほうがどうかしてるだろ!」

 

奴はまるでこの時を待ってましたと言わんばかりに顔を手で押さえながら高笑いすると辺りを見回し、ある一点に視線を向ける

 

「それに… もうすぐ大物を狩れそうだしなぁ?」

「それはどういう…?」

 

私も思わずそちらに視線を向けると思わず目を見開く

 

そこにいたのは()()()()()()()()()()()()()()だった

 

「「っ!?」」

「あいつがうまく揺さぶってくれたみてぇだな」

 

思わず彼女に駆け寄ろうとしたがPoHがそれを塞ぐ

 

「おっと 行かせねぇよ」

「ぐっ…」

 

ならばせめて隙を作ろうと攻撃を仕掛ける

 

「はっ!」

「どうした? さっきよりも攻撃が単調になってきているぞ?」

 

どうやら自分が思っているよりもかなり焦っているらしい…

 

そう思っているとディアベルが声を掛けてきたので攻撃を防ぎながら耳を傾ける

 

「リオンさん 俺が時間を稼ぐ だからリオンさんはタコミカさんの元へ向かってくれ」

「だが…」

「俺も機会を見て離脱するからさ だから手遅れになる前に…!」

「…頼む!」

 

私はPoHの攻撃を弾くとディアベルと交代し、盾でPoHの連撃を防ぐ彼を背に彼女の元へと駆け出した

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

いつの間にか何人ものラフコフメンバーに囲まれていたので何とか立ち上がろうとするが先ほどの言葉を思い出してしまい再び膝をついてしまう

 

「私が思った以上に効果抜群だったみたいですね~ ではタコミカさん これでお別れです」

 

その言葉と共にたラフコフのメンバーが一斉に私に攻撃してきた

 

左上にある自分のHPが大幅に削れていくのをどこか他人事のように眺めていると突然私に攻撃していたラフコフメンバーの内の2人が突然何かに攻撃された

 

彼らがそちらを見た為私もそちらを見てみるとておさんがそこに立っていた

 

私の姿を確認したておさんは安堵したような表情をし、そしてラフコフメンバーへと視線を向けると早速攻撃を仕掛ける

 

そして私が今まで見たことがないほどの速さで次々と戦闘不能にしていくが最初に攻撃を受けたうちの1人が私に切りかかろうとした

 

しかし直前でておさんの攻撃を受けてその男はポリゴン状になって消滅した

 

それを見たておさんは少したじろいだが軽くかぶりを振って持ち直し、剣を鞘に納めるとモルテの方へと向かって行く

 

まず≪閃打≫を打ち込み、次に≪水月≫を入れるとモルテは片手斧で反撃してきたがすかさず腕を掴み、そのまま背負い投げを決める

 

 

そして武器を取り上げ、モルテを縄で縛ると私の元へと向かってきて私の頭を軽く撫でるがそれにどう反応したらいいのかがわからず俯いてしまう

 

いつの間にか近くに来ていたリオンさんの肩を借りて立ち上がるが私はその場で立ち尽くす他無かった…

 

 

この討伐戦で攻略組側から6人がラフコフ側からは16人が死亡したと聞かされた

 

 

しかし死亡者の中にも捕縛者の中にもドゥクスとPoH 以上2名の名前はなかった




実はディアベルとPoHを戦わせる予定は当初はありませんでした

女の子を曇らせるのは楽しいですね(畜生)

長く続いた道中編もあと1話になるかな…?

それではまた次回に

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