ソードアート・オンライン ~PotetoEdition~ 作:水名(仮)
それではどうぞ
思わずそちらの方を見てみると、良く見知ったサムライ集団と、私達のギルドのリーダーとそのメンバーのみんな(めらさん、意識さん、朱猫さん、じんじんさん、廻道さん)だった
「おぉ! キリトにテオ! しばらくだな!」
「よっ! クライン」
「まだ生きてたか クライン」
サムライ集団改め、[風林火山]のリーダーであるクラインさんがキリトさんとておさんの姿を確認するや否や、声を掛けるとておさんは気さくに返すがキリトさんは悪態をつきながら返す
「テオはともかくとして相変わらず愛想のねぇ奴だな… 今日は珍しくテオやタコミカさん以外にも連れがいんのか…」
そして私達に視線を向けると固まった
「あーっと… ボス戦で顔合わせてると思うけどこの悪趣味なバンダナをしてるのがギルド[風林火山]のリーダーのクラインで、こっちが…まぁ何度も顔合わせてるから紹介する意味はないけど[フリッツ・フリット]のリーダーのポテト それでこっちが[血盟騎士団]のアスナ」
それに対してアスナはちょこんと頭を下げ、ポテトさんもそれに倣って頭を下げたがクラインさんはいまだに固まったままであったので、キリトさんはクラインさんの目の前で手を動かす
「おい なんとか言えって ラグってんのか?」
キリトさんが肘でクラインさんの脇腹を突くとようやく動き、凄い勢いで最敬礼気味に頭を下げる
「こ、こんにちは! くくクライン 24歳独身恋人募集ちゅ…」
どさくさに紛れて妙なことを口走ったクラインさんに対して、キリトさんは強めに腹パンした
すると後ろにいたクラインさんのギルドのメンバー+じんじんさんが全員駆け寄ってきて、我先にと自己紹介を始めた為、ポテトさん達は苦笑いしていた
キリトさんはそんな彼らを体全体で押さえながら振り返る
「ま…まぁ悪い奴らじゃないからさ リーダーの顔はともかくとして」
そう言ったキリトさんの足をクラインさんが思いっきり踏みつける
「へへっ お返しだ」
「おまっ…」
2人のやり取りを見ていたアスナが思わずと言った感じで、笑い始めたので私もつられて笑ってしまう
それに2人はいったん中断するとこちらを見て、キリトさんの腕を掴んで引き寄せるとさっきの少し籠ったような声でキリトさんに聞いた
「どっ…どういうことだよ キリト!?」
クラインさんの質問に対してキリトさんは回答に戸惑った様子を見せたが、キリトさんの代わりにアスナがキリトさんの隣まで行くと良く通る声で発言した
「こんにちは しばらくこの人たちと組むことになったのでよろしく」
それを聞いたクラインさん達が表情を落胆と憤怒の間でころころと変え、やがてクラインさんがさっき十分の視線をキリトさんに向ける
「キリト てんめぇ…!」
そしてキリトさんに詰め寄った時、やたらと規則正しい足音が聞こえてきて、朱猫さんが突如として声を上げた
「皆! "軍"だ!」
その声にハッとなって入り口を凝視すると1人の重装備のプレイヤーを先頭として、規則正しく並んでいるプレイヤーの集団が安全地帯に入ってきた
クラインさんが仲間の人達に指示を出して下がらせ、ポテトさんもそれに続いて意識さん達を後ろに下がらせる
"軍"の部隊のリーダーと思しき男性はそこまで疲れているようには見えないが、他の人達はヘルメット越しにでも疲れているのが目に見えてわかる
そして私達とはちょうど反対側の端に制止すると、リーダーと思しき男性は「休め」と指示を出した
途端に後ろにいた人たちは倒れるようにして盛大な音を立てながら座り込んだが、リーダーと思しき男性はそんな彼らに目もくれず真っ直ぐこちらに向かってきた
よくよく見てみるとリーダーと思しき男性は他の人達とは異なって、装備が若干豪華で胸部分には浮遊城を模したと思しき紋章が描かれている
男性は先頭にいたキリトさんの前で立ち止まると、口を開いた
「私はアインクラッド解放隊所属 コーバッツ中佐だ」
「俺はキリト ソロだ」
キリトさんが名乗ると軽く頷き、横柄な態度で訊いてくる
「君たちは既にこの先を攻略しているのか?」
「…一応 ボス部屋手前まではマッピングしてある」
「ふむ ではそのデータを提供して貰いたい」
当然と言わんばかりに発せられた言葉に対し、私は憤りを覚え始めてきた もしかしたら高値が付くであろう物をいきなり寄越せと言われれば、特別な場合を除いて誰でも怒ると思う
現にクラインさんは怒りを露わにしており、ポテトさんも少し不機嫌な顔をしている
「て…提供しろだと!? てめぇマッピングの苦労が解って言ってんのか!?」
「流石にちょっと図々しすぎません…?」
2人の言葉に対しコーバッツは大声を張り上げる
「我々は諸君ら一般プレイヤーを解放するために戦っているのだ!」
唯我独尊と言った感じでなおも続ける
「故に諸君らが協力するのは当然の義務である!」
ここで完全に"軍"に対する印象が完全に変わったと思う
「そんなこと誰も頼んでないし そもそも貴方達は見たところここに来るには弱すぎる」
私がそう言うとコーバッツは明らかに憤った声色で私に向かって大声を発した
「貴様! 我々を愚弄するつもりか!? 次の発言次第ではただでは済まさんぞ!」
「止せ! タコミカ! 相手にするな!」
流石に不味いと思ったのかキリトさんが止めに入るようにして前に出ると、ウィンドウを操作し始めた
「どうせ街に戻ったら公開するつもりだったんだ 構わないさ」
「おいおい…キリトよ… それは人が良すぎるぜ」
「マップデータで商売するつもりは無いよ」
そしてマップデータを取り出すとコーバッツに手渡すと「協力感謝する」とは言ったが、感謝する気など微塵も感じない抑揚で言い放ち、後ろを向いた
そんな彼に向かって、ておさんが冷静に声を掛ける
「どうするつもりかは知らないが、ボスに挑む気ならやめといたほうが身のためだぞ」
それに対してコーバッツはわずかに振り向く
「…それは私が判断する」
「さっきちょっとボス部屋覗いてきたけど生半可な人数でどうにかなる相手じゃない! 仲間もかなり消耗してるじゃないか!」
「…私の部下はこの程度で音を上げるような軟弱者ではない!」
キリトさんの警告にコーバッツは部下という部分を強調しながら、苛立ったように言うが肝心の部下と呼ばれた人たちはそれに同意していない
「貴様等! 休憩は終わりだ! さっさと立て!」
コーバッツの大声に"軍"の人達はのろのろと立ち上がり、来たとき同様2列縦隊に整列し、コーバッツがその先頭に立つと片手を上げてサッと下ろす
すると武器を一斉に構え、行進を始めた
コーバッツ
「…大丈夫なのかよ あの連中…」
「ああは言いましたけど心配ですね…」
ポテトさんも上層部へと続く出口を見ながら呟くようにして言う
「いくら何でもぶっつけ本番で挑んだりはしないとは思うけど…」
「なんかあのコーバッツってやつ危なっかしいからね…」
アスナと朱猫さんも心配そうに彼らの向かった方を見る
「…一応様子だけでも見に行くか…?」
キリトさんがそう言うとクラインさんのギルドのメンバーさん達とめらさん、廻道さんも相次いで肯定したのでキリトさんは「どっちがお人好しなのやら…」と苦笑いしていた
意識さんとじんじんさんはため息をつきながらも、手早くメニューを確認して歩き始めたので私もておさんの隣まで向かうと、上層部へと続く出口に向かって歩き始めた
少し歩き、振り向くとキリトさんがクラインさんのバンダナの尻尾を思いっきり引っ張っているのが見えたので何事かと思い、思わずておさんのコートの袖を引っ張る
「何を言ってるんだ! お前は!」
「だ、だってよぉ…」
クラインさんは首を傾げ、顎の無精ひげを擦りながらもどこか嬉しそうに呟いた
「おめぇがいつも組んでるテオや意識、タコミカさんや朱猫ちゃん以外とパーティを組むなんて 美人の色香に惑ったとしても大した進歩だからよぉ…」
「ま…惑ってない!」
キリトさんはクラインさんに対し、そう言い返したものの私達が思わずニヤニヤしているのを見たのかそっぽを向いた
止めと言わんばかりにアスナが「はい 任されました」と言ったので、キリトさんはずかずかとブーツの底を鳴らしながら安全地帯を後にした
今回は少し短めですけどキリがいいのでここまでにしておきます
この小説では案外ボッチじゃないキリト君()
次回はいよいよあの回です
それではまた次回に